行雲流水

阿島征夫、一生活者として、自由に現代の世相を評す。時には旅の記録や郷土東京の郊外昭島を紹介する。

ヤマトの労働改革を一歩進めて

2017-05-07 21:55:59 | Weblog
宅配最大手のヤマトホールディングス(HD)は2017年度にグループ全体で1万人規模を採用する。中途採用が中心で、産業界でも異例の規模。給与総額は前年度比160億円増える見込みで、同社の17年度の連結純利益予想とほぼ同水準に当たる。従業員の負担が限界を迎える中、宅配便の取扱個数は減らす方針だが、サービス維持のためには大幅な人員増が不可欠と判断した。日経の5月3日一面記事だ。
 
現場能力を超えた過重労働の抑制、サービス残業の精算など、日本の働き方課題が一気に吹き出したヤマト、労働課題で一民間企業がこれほどマスコミに注目されたことはないだろう。自ら考案した宅配事業の代表企業だからこそだろう。しかし、その対策も日本を代表している。今回の報道も、残業の抑制が雇用を生み出すという労働経済の良い循環を示している。
 
同社は既に報道(注)されているように、料金の値上げを発表している。値上げ額は今回の新規雇用で増える人件費に相当するという。こういう値上げなら消費者も納得するだろう。日本郵政のごとく、経営の責任で4000億円も大穴をあけておきながら、郵便料金を値上げするということには納得できない。
 
もう一つこの機会にやることは時間外割増率の世界水準への到達だ。日本の時間外割増率は欧州に比べれば半分ぐらいでアジアでも最も低い水準、経営にとって人を新たに雇うより現在員に残業をやってもらった方がコストが安い。この悪弊を取り除くことが連合・労働組合の役割だ。時間外割増率の国際比較をすると、日本は通常日25%(1か月60時間を超えるとその部分50%)休日35%、マレーシア、シンガポールは通常日50%、休日100%で以前の統治国英国と一緒、ドイツは最初の2時間25%、それ以降50%、休日は60%、韓国は通常日も休日も50%となっている。
 
注、ヤマトホールディングス(HD)は4月28日、宅配便事業の構造改革案を発表した。インターネット通販など大口の顧客に対して繁忙期の出荷調整を要請するほか、一般個人向けに適用する宅配便の基本運賃を9月末までに140~180円引き上げる。消費者が対象となる値上げは消費増税時を除くと27年ぶり。
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