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【会津野】風景を消費する消費者

2017年05月30日 | 宿主からのブログ

おはようございます。旅人宿 会津野 宿主の長谷川洋一です。

今朝の福島民報に載っている只見線の記事をご紹介します。

今年1月から、さまざまなところで只見線活性化のアイディアを発表する機会を持ってきました。私の発表してきたアイディアは4項目あったのですが、そのうちの2つ「線路の枕木オーナー」と「鉄道関連施設の命名権」が盛り込まれました。これは、29日の只見線利活用プロジェクトチームの場にて、福島県が「ふるさと納税」と「クラウドファンディング」の返礼品という形式を用い、上下分離方式によりこれから毎年発生する地域負担金の2億1千万円を補う形とするとしたものです。

やっと具体的に動き出しそうな気配になってきました。いままでは、行政が取りまとめた負担金割合のニュースを知らされるばかりで、「それいったい誰が負担するの?」という状態でしたが、負担金の集金装置である行政が、負担先を地域住民の外に目を向け、個人向けと法人向けそれぞれの具体策を示したことは、大きな進歩であると感じています。

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さて、ドナルド・トランプ大統領のニュースが連日報道されていますが、トランプさんの出自を先日勉強しました。

ドナルドの祖父フリードリヒ(後にフレデリックに改名)は、1869年にドイツで生まれた方で、14歳の時に理髪師の修行を始め、16歳でニューヨークに渡り理髪師で生計を立て、22歳(1891年)にシアトルに移住し米国籍を取得した移民です。1840年代から1800年代末期までのゴールドラッシュの波の晩年に山師相手のホテルを開業し、ブームが去る前にそれを売り抜け財を成した歴史があります。

ゴールドラッシュのときは、出てくるかわからない金を掘り当てる仕事をするよりも、作業に必要な道具など、山師が消費する仕事をした方が大きな財を成したと良く言われます。ジーンズのリーバイスもそうでしたし、トランプ大統領のおじいさんもそうだったのですね。

ドナルド自身は大学で不動産を勉強。1973年に、ハドソン川沿いの鉄道操車場の再開発事業を手掛けます。不動産以外の事業として、航空会社、カジノ、トランプ大学などを手掛けるも、ことごとく失敗。現在は、大統領職を手掛けていますが、この先、どうなることでしょうか。

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さて、今回の只見線の話に戻りましょう。

只見線を存続させたい方々は、いったい何を消費するのか。ここが大きな注意点だと私は思います。

地域住民は、ローカル線であるがゆえに非常に不便な路線なので、普段の足として利用することでは生活そのものがまわりません。なので、自分の足を持たない高校生くらいしか利用しません。なので、地域による消費は、ほとんど見込めません。

次に観光消費ですが、SLに乗りに来る方々や、ローカル線の雰囲気を味わう方々は確かにいるものの、これが急に増加する気配はありません。平成23年の災害前に会津川口~只見間(およそ26Km)が売り上げた乗車券収入は、JRの発表によると年間500万円しかありませんでした。ちなみにこの区間の運行維持には2億8千万円の維持管理経費がかかります。

これが、地域住民と観光消費の消費実態です。

これでは存続が難しいとして、このうち地上施設の管理経費である2億1千万円を、地域負担にするというのが、この話のそもそものふりだしです。

只見線活性化策は、このほかに新たな消費を考えなければなりません。

そこで考えたのが、資産そのものを価値として消費額に転換させるのが、私の考えた提案でした。

只見線沿線は、誰もがすばらしいという風景を持つ地域です。そこにローカル線の列車やSLなどが走ってくる風景が価値となっています。その価値を"一山いくら?"で売るわけにはいかないので、風景の名前や"つながり"を売るのが良いと思ったのです。

ただ、この売り上げの享受者は、上下分離で資産を持つことになる行政(すなわち地域)です。

フレデリック・トランプは、山師に休息する場とナイトライフの場を提供した。

地域存続を見据えた地域活性化策のひとつが提示されたのが今回。次は、民間事業者自身が、風景消費する消費者へ向けた商品を考えなければなりません。

素晴らしい風景ポイントをめぐる自動運転車サービスなのか?

それとも、ドローンみたいなものを遠隔操作して風景を消費するサービスなのか?

フレドリックは、ゴールドラッシュが終息する前に売り抜けした。風景消費が終息してしまうときも来るだろうが、現在のカリフォルニアには隆盛があるのだから、風景消費終息で荒野と化す只見線風景の後のことも考えなければならないかもしれない。

もともと只見線沿線地域が持つ価値は、エネルギーの産地だ。只見線も、その目的のために敷かれたものだ。

電力エネルギーの次なる画期的なエネルギー発明が行われるかはまだわからないけれど、エネルギー流通路として「つながった土地」を活用することもぜひ考えておきたいものだ。

今日はそんなことを想った朝でした。

今日も素敵な一日を過ごしましょう。

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