おはようございます。旅人宿 会津野 宿主の長谷川洋一です。
昨日は、DMO(Destination Management/Market Organization)の講演を聴く機会がありました。
お話しを伺ったなかで最も記憶に残ったのは、組織論のこと。その中では5つの原則が示されました。
「責任と権限一致の原則」
「命令の一元化の原則」
「専門化の原則」
「権限移譲の原則」
「統制範囲の原則」
の5つです。
この原則を守った組織にしないとDMOは動かず、簡単に言えば、自治体からの出向や契約社員、第3セクター的組織、また、意思決定が組織内だけではできないものはダメよということでした。
講師がおっしゃるには、いま、あちらこちらで行われているDMOは、ほとんどがダメな組織で、自律的に成長することを阻害しているという。
理想としてはわかるのですが、それを実施するためには、行政からの補助金に頼らず、民間で資金調達をして実施しないと無理だろうと感じる。
DMOは、地域に特化した着地型観光を扱う組織です。資金調達するにしても、地域外から出資を受け入れると、意思決定のとき、地域外の利益構造に目を向ける事が往々にして起きるでしょうから、これは理想に反する。
なかなか難しそうです。
そんななか、先日出版された「社会を根底から変えるシェアリングエコノミーの衝撃!仮想通貨ブロックチェーン&プログラミング入門」(玉蔵著)を読んでいます。
内容は、ビットコインなどの仮想通貨を支える技術である「ブロックチェーン」についての本です。
通貨を例にとると、通貨の価値を認めると言う事は、「この人はこれだけの通貨を持っています」という契約を認めることと同じで、その認識を中央集権的に認めるのではなく、みんなで同じ証拠(取引台帳)を持って認めようと言うのがブロックチェーン技術とのこと。
これを使うと、巷の契約も中央集権ではなく、みんなで維持でき、不正もできなくなるという。
財産の登記を考えてみると、登記簿を保持し財産を認める法務局は、一元的に登記簿を管理しています。不動産の売買をするときや、不動産を担保として借金する場合、法務局から登記簿の写しを取り寄せ、その人の持ち物であることを証明する。もし誰かが不正を働き、これを捏造してしまったら、財産の保全が出来なくなってしまう。そこで、中央集権的に厳密な処理をする組織である法務局に、その役目を集中させているのが実際です。
こういう一種の契約は、ブロックチェーン技術を使えば、不正が出来ず、わざわざ法務局まで足を運んで書類が出来るのを待つ必要がなくなると著者は言います。
なぜ不正ができないって?
それは、この本に詳しく説明されています。そこは、本書に譲ることにします。
さてさて、社会においては、このほかにもたくさんの契約があります。DMOの5原則に出てきた出向や契約社員などの雇用契約もそのひとつ。
巷の社会では、この契約を派遣会社などに集中させることで、派遣会社は利益を得ている。たとえば、原発作業員の日当を10万円払ったとしても、その途中にいくつもの派遣会社が間に入り、最終的に労働する人の日当は8000円になってしまうなんて事が起きています。
この例では、10万円のうち9万2千円もの額が、途中の派遣会社で「契約」によりお金が動いて消えてしまう。ただ、その契約は契約者間で秘密にされていて、社会からは見えない。不正ではないけれど、ここまでくると搾取している人がいると言っても良いレベル。これは、社会にとって大きな損失だなぁと思うし、働く人々の格差を大きく生んでいると思うのです。
労働者から見れば、一番近い雇用者の顔を見て仕事をする。この雇用者の考えと、仕事を発注する発注者は必ずしも一致するとは限らない。
原発の作業をしている方々は極端な例だけれど、間に1つの派遣会社が入るだけでもこういうことは起こる。
ならば、DMOでも、ブロックチェーン的に組織を構築すれば良いのではないだろうか?
少し前に流行ったクラウドファンディングでは、実際の通貨を使ってクラウド(群衆)から資金を集めるものだったけれど、その資金及び賛同契約の詳細は公開されておらず、資金を集めた人が資金提供者の意向に沿わずプロジェクトを進めても、その責任は問われない。ここには、少し搾取のにおいが漂う。だから、これはダメだ。
株式の新規公開であるIPOに相当する新たなコインのICO(Initial Coin Offerling)を行い、地域から少額なものを数多く資金調達し、資金提供者との契約をみんなで維持すれば、そこで働く人々は自律的にみんなの利益を考えるようになる。
そんなDMOが、近未来の仕事のやり方になるような気がする。
もっともっと、ブロックチェーンのこと、勉強しなきゃ。
今日も素晴らしい1日を過ごしましょう。
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