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【会津野】旅行券たるもの(その1)

2016年06月06日 | 宿主からのブログ

おはようございます。旅人宿 会津野 宿主の長谷川洋一です。

今朝もきれいに晴れています。午前9時で20℃を超してきた会津野です。

昨年度、福島県では地方創生の政策として旅行券事業というのが行われました。簡単に言えば、地域内に宿泊する方々の宿泊費の半分を国の交付金から当てるというものです。

この予算は約10億円でした。4月の熊本地震で大きな被害を受けた九州の観光業に対し、180億円の旅行券事業を行うと、先日発表がありました。

この事業がどの程度の影響を及ぼすものなのか、福島県の事例を元に検討してみましょう。

まず、観光庁の宿泊旅行統計調査によると、平成27年1月から12月までの1年間の延宿泊数は、

福島県 11,149,120
九州7県 53,863,590

となっており、福島県は年間1千万泊、九州7県は5千万泊という、ざっくりとした数字を頭に入れておきましょう。

そこで、福島県の実際を見てみようと、事業を行った福島県観光交流課に資料開示請求を行い、調べてみました。

まず、利用人数(延宿泊数)からみてみましょう。

コンビニ発券 81,904 37.5%
A社 72,483 33.2%
B社 44,509 20.4%
C社 19,611 9.0%
 合計 218,507  

今回の事業は、コンビニであらかじめ半額のクーポン券を買っていただくものと、旅行サイトで宿泊割引クーポンを使用出来るようにして補助するものと2通りがありました。旅行サイトは、「楽天トラベル」「じゃらん」「るるぶトラベル」「Yahoo!トラベル」の4社が参画しました。「るるぶトラベル」と「Yahoo!トラベル」は、共通のシステムを使用したので、ここは合算し、3社として名前がわからないように統計処理してみました。

全体としてみると、1000万泊のうち21万8千の利用ですので、約2%の利用実績でした。これがどの程度地方創生に貢献したかはわかりませんが、地域によってはかなり多くの旅行券宿泊者を受け入れたところもありますので、この仕組みを上手く使った事業者の手腕が大きく左右したようでもあります。このあたりは、この後詳しくみていきます。

シェアを見ると、当初はコンビニと旅行サイトの配分が約半々の予定でしたが、コンビニ発券システムのトラブルと、途中から往復はがきの抽選による方式に改められたりと、当初予定とは違うことが起きました。そこで、ロスした予算を臨機応変なクーポン発券対応が出来る旅行サイトに割り当てたため、終わって見れば、コンビニが3分の1、旅行サイトが3分の2の利用を獲得したことになりました。

次に、各市町村あたりの旅行券利用額をみていきましょう。市町村単位でデータがあるのはコンビニ発券分のみで、旅行サイトは有る程度エリア分けしているものの各社によりそのエリアが異なりますので、ここはコンビニ発券分を見てみます。

    利用額 軒数 1軒あたり平均
県北 福島市 183,796,000 72 2,552,722
  二本松市 54,750,000 13 4,211,538
  伊達市 896,000 5 179,200
  本宮市 34,000 1 34,000
  大玉村 604,000 4 151,000
県中 郡山市 84,882,000 44 1,929,136
  須賀川市 4,188,000 8 523,500
  田村市 376,000 4 94,000
  天栄村 6,494,000 20 324,700
  石川町 28,626,000 19 1,506,632
  玉川村 428,000 1 428,000
  平田村 0 1 0
  三春町 2,608,000 6 434,667
  小野町 0 1 0
県南 白河市 1,144,000 5 228,800
  西郷村 7,788,000 6 1,298,000
  泉崎村 1,314,000 1 1,314,000
  矢吹町 1,544,000 2 772,000
  棚倉町 128,000 2 64,000
  矢祭町 946,000 2 473,000
  鮫川村 0 1 0
  塙町 2,214,000 6 369,000
会津 会津若松市 171,020,000 44 3,886,818
  喜多方市 6,806,000 41 166,000
  北塩原村 42,820,000 81 528,642
  西会津町 362,000 21 17,238
  磐梯町 3,326,000 16 207,875
  猪苗代町 40,808,000 52 784,769
  柳津町 3,144,000 10 314,400
  三島町 302,000 6 50,333
  金山町 766,000 4 191,500
  昭和村 78,000 3 26,000
  会津美里町 1,134,000 4 283,500
南会津 南会津町 8,420,000 66 127,576
  下郷町 9,318,000 24 388,250
  檜枝岐村 6,020,000 45 133,778
  只見町 2,912,000 14 208,000
相双 相馬市 1,626,000 2 813,000
  川内村 0 4 0
  楢葉町 16,000 1 16,000
いわき いわき市 76,780,000 61 1,258,689
合計   758,418,000 723

1,048,988

参画した宿1軒たりの平均利用額を見ると、

となっており、二本松市と会津若松市のお宿さんが1軒あたり400万円程度の売上額をこのコンビニ発券分だけで得ています。平均は100万円余り。グラフを見ると平均的な市町村はあまりないので、大きく稼いだ市町村と、さほど影響が無かった市町村の差が有ることがわかります。

コンビニ発券を担当した会社の分析では、10000円券が福島市、会津若松市で多く使われ、6000円券が郡山市で多く使われているとしています。これから、温泉旅館が立地する地域では10000円券が、ビジネスホテルが多く立地する地域では6000円券の利用が多い事がわかります。

福島県の温泉旅館立地を考えると、福島市には飯坂温泉・土湯温泉・高湯温泉、郡山市には磐梯熱海温泉、会津若松市には東山温泉・芦ノ牧温泉、いわき市には湯本温泉と、比較的宿泊定員の大きな地域があります。ビジネスホテルは、福島市、郡山市、会津若松市、いわき市に集積しています。

他の旅行サイト各社の分析を見ても、福島市は温泉旅館・ビジネスホテル双方で、会津若松市は温泉旅館、郡山市はビジネスホテルの集客が多かったという結果となりました。いわき市は残念ながらあまり成果を出せませんでした。

南会津地域は、民宿が多いので6000円券の利用が多かったという分析を出している社もありますが、数字を見る限りでは多いとは言えず、小規模民宿にあまり波及効果が無かったことをカモフラージュしているように見えます。

このように、もともと宿屋が集積している地域では、大きく成果を出し、それ以外の地域ではあまり効果が無かったことがわかりました。

★ ★ ★

(文字数がオーバーしてしまったため、2つのエントリーに分けました)

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