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【会津野】統計とバイアス

2017年07月20日 | 宿主からのブログ

おはようございます。旅人宿 会津野 宿主の長谷川洋一です。

先日「Fast&Slow」(ダニエル・カーネマン著)を読んでいたときのこと。

「リンダ問題」と言うのが出てきました。ご紹介しましょう。

★ ★ ★

【リンダ問題】

・「リンダ」は31歳独身で、率直に意見を言う性格で、非常に聡明。

・彼女は学生時代に哲学を専攻しており学生時代、差別問題や社会正義に深く関心を持ち、反核デモにも参加していた。

・彼女についてもっともありそうな選択肢は次のどれか?

(選択肢)

①「リンダ」は銀行の出納係である。

②「リンダ」は銀行の出納係であり、フェミニスト運動の活動家である。 

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というものです。多くの方に選択をしていただくと、②を選ぶ人が多いという結果となったそうです。

よく考えれば、どちらも銀行の出納係であり、②はそのうちのフェミニスト運動の活動家に限定しているものなので、①の方が確率としては高い。

しかし、②を選ぶ人が多かった。

これは、特定のカテゴリーにとって典型的なステレオタイプに当てはまるような場合、確率を過大に評価してしまう現象として現れたもので、代表性ヒューリスティックと言います。

★ ★ ★

先日来、教育委員会などが主催するサマーキャンプが旅行業法違反として中止となるケースが頻発していると報道されています。

不特定多数の人々を扱う旅行の主催や手配などは、旅行業の許可が必要としたうえで、それは旅行会社の仕事だと報じる。なので、旅行業の許可を持たない団体が主催や手配をすることは、法律違反だから是正が必要だと言います。この法律は、ここ数年で始まった新しい法律ではなく、昭和27年の制定当時から、旅行業許可を持たない者が旅行の募集や手配をすることは禁じられています。

なぜ、いまさら? と思うものの、このニュースに対する反応がおもしろいのです。

先ほどのリンダ問題にあてはめると、

①旅行業許可を持たない者が不特定多数に向けサマーキャンプの募集、実施をすることは違法である。

②旅行業許可を持たない者が不特定多数に向けサマーキャンプの募集、実施をすることは違法であり、許可を受けている旅行業者の利権を踏みにじっている。

正確な数字を測ったわけではないけれど、私がSNSで読む限り、ほとんどの人が②の反応をとっています。

では、このニュースを受け、サマーキャンプの募集を許可を受けている旅行会社に委託したり、主催者自身が旅行業の許可を取るようにしたのかを調べてみると、そういう行動はせずに、サマーキャンプそのものを中止しているだけであることがわかります。

これって、旅行会社の利権を踏みにじっていることなの?

と純粋な疑問を感じます。

今回のニュースは、①の方の「単に法律違反が指摘されただけ」というのが、確率的にも正しいし、実際にそれだけのことである。と、言えるでしょう。

近頃、「印象操作」という言葉が取り沙汰されています。ステレオタイプにあてはめることを連想させる言い方をすると、多くの方は勝手に間違った判断をする。そういうことです。

印象操作されないためには、しっかりと統計的に正しいことを考え、それに従う。

世の中のマーケッターと消費者は、このしのぎ合いです。

消費者としてのコツとして心得ておきたいものです。

今日も素敵な一日を過ごしましょう。

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