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【会津野】日本人にとっての自由

2016年12月30日 | 宿主からのブログ

おはようございます。旅人宿 会津野 宿主の長谷川洋一です。

いま、「日本教の社会学」(小室直樹、山本七平著)を読んでいます。

そのなかに、「日本人の自由」についての素晴らしい記述がありましたので、今日はその話題としましょう。

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徳川時代に「自由」という言葉が出てきます。

鈴木正三(1579-1655)というお方が、「商人なければ自由なし」という定義をされています。ここでは、商人は、需要と供給の間をつなぎ、不自由を感じさせない任務があるとしています。つまり、不自由がないということが自由だとしています。

石門心学(石田梅岩(1685-1744)を開祖とする倫理学の一派)では、布施松翁(1725-1784)というお方が、どうすれば人間は自由になるかを論じています。

彼は、自然とは全部「からくり」であるという機械論的宇宙論を展開します。宇宙は全部「からくり」で、太陽が回っているのは大「からくり」。水が高い方から低い方へ流れるのも「からくり」。湖が出来て貯水する場所があるのも「からくり」。人間は、そういう「からくり」のなかで生きているとします。だから、この「からくり」に身を委ね、少しも抵抗感を感じない状態になってるのが、人間にとっての自由である。

今の日本社会も「からくり」だから、抵抗して人間関係がギクシャクすることが、人間にとっての不自由。ここに身を委ね、何も抵抗を感じない状態とすることが自由なんだ、と結びます。

さらに、心理的な自由を論じているものに、真宗の「妙好人伝」があります。ここでは、例えとして、財布を取られたとき、非常に自由な気持ちでいるためにはどうするかと言うことが出てきます。考え方を、先世界の因果だと考えよ、とします。先世に自分が財布を取り、現世にお返ししたにすぎない。これで気持ちも晴れ、自由になれるであろうということです。訴えたりすることは甚だ不自由なことで、自分の心理的な問題として解決すれば、自由な生き方ができるといいます。

これらはすべて、「不自由でないことが自由」という思想で、「日本人の自由」というものは、こういう考えが続いていると著者たちは論じます。

たしかに、いくら経済的に豊かでも、不自由を感じる方々はたくさん存在します。貧しくても、心は自由という方もたくさんいらっしゃいます。

英語で言う「freedom」や「liberty」は、発言力を持つことや、他人に認められることなどが、その言葉の背景にあります。

日本という国は、明らかに自由に対する考え方が違うことを認識しました。

社会の「からくり」を知り、身を委ねながら、それでも起きる問題は心のなかで解決してゆく。これが日本的自由の獲得の方法なのかもしれません。

今日も素晴らしい一日を過ごしましょう。

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