おはようございます。旅人宿 会津野 宿主の長谷川洋一です。
今朝の会津野は、霧、−2℃。上空が見えますので、ほどなく晴れてくるだろうと感じます。
今日は、木材の成長について考えてみます。
会津美里町の林野面積は、18,984haあり、材積と呼ばれる木材の量は3,955,156㎥です。(福島県24年度林業統計より)
会津美里の山には、1haあたり208㎥の木材が生えていると考えていただければ良いでしょう。
同じ統計から、年間の成長量を調べると、町全体で63,955㎥の成長が見られます。1haあたりにすると、3.4㎥の木材が毎年生産されていると言えます。
この数字、どのように判断したら良いのかを示すために、再生可能エネルギーの研究をしているNEDO(独立行政法人新エネルギー産業技術総合開発機構)が試算した各都道府県ごとの成長量一覧(上の図)と比べてみます。
福島県の木材成長量は、針葉樹が6.2㎥/ha、広葉樹が5.1㎥/haであることがわかります。
残念ながら会津美里町の木材成長は、県平均よりも大幅に低い生産性である現状が見てとれます。
さて、先日「カリスマ林業家」と呼ばれる速水亨さんが出演されているTV番組を観ました。速水さんは三重県で林業をされていますが、林業の震災復興という視点で宮城県南三陸町の場合について考えている場面がありました。そこでは、三重県の木材の成長量と宮城県の成長量を比較され、宮城県は三重県の約2倍近くの木材成長量が得られる利点を指摘され、東北の山々が木材の成長に優位な点を示していました。
実際として、樹齢60年から70年もののスギが、三重県では好条件でも樹高24mまで伸ばすのがやっとであるのに対し、南三陸では一般的な条件で29mほどまで成長します。これを体積に治すと2倍近い差となると言います。
なぜ、地域によってこれだけの差が出るかと言えば、
1.木材の成長の季節は3月~7月で、その間に木材の成長に必要な水が東北の山には雪という形で豊富に存在している
2.木材は成長に長い年月がかかるものなので、その間に台風などの突風にさらされる機会が西日本に比べ東北は極端に少ない
3.下草の繁殖が少なく、目的とする木材成長に日照と栄養、水分が行き渡る
と指摘していました。
これは、林業家が適切に管理している人工林の話なので、管理が行き届いていないところとの比較を単純にしてはいけませんが、裏返して考えると、会津美里町の山林がいかに適切に管理されていないかということを物語っています。
会津の山々は、林業における3つの利点を充分に満たす気候条件があります。適切に管理すれば、現在の2倍から3倍の成長量も夢ではないことを、数字は示しています。
会津美里町の山々は、宝の山なのにもったいない。しみじみと感じました。
今日も楽しい1日を過ごしましょう。