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~頭を使ってではなく、カラダ(感性)で子育てしてみませんか~

とあるあっぱれな人。

2016年12月14日 | エッセー
 昨日は、往復5時間余りの道中、初対面のとある60歳くらいの女性と話に花が咲いて楽しい時を過ごすことができた。
 世の中にはこんな人もいるんだなぁ。すごいなぁ。
 あっぱれ!!!!!

 ただただあっぱれ!

 何があっぱれかというと、つい最近、銀行から1億5千万の融資を受けられたという話。
 60歳を超えた女性が、自分の長年あたためていた夢を叶えるために1億5千万の借金をするなんて、アンビリーバブル以外の何者でもない。というか、30歳であろうと40歳であろうと1億5千万なんて借金、そう簡単にはできない。少なくとも、みみっちぃ私にはできない。ありえない。
 しかも、この方、健康とは言えないお体で、『もし、その夢を叶えるために頑張ったら、死ぬよ。』と知人に言われたくらいな方。

 それでも、作りたかった・・・・。
 その、夢とは、月10万円で入れる有料老人ホームとのこと。
 田舎でも15万円はかかるという有料老人ホーム。
 それで、経営は成り立つの?そんなことをしたら、スタッフのお給料はどうなるの?ただでさえ、介護士の給料は安すぎる。ハローワークの求人情報のチラシを見ていると、基本給が13万で夜勤手当がついて18万とか・・・。これでは、家庭をもてない。現に、介護士同士で結婚されている方は共働きを続けている方がほとんどだし、生後3か月から保育園に預けて復帰している。なのに、入居者の費用を月10万円にして大丈夫なの?
 と質問すると、意外な答えが返ってきた。あっぱれ。
働いている人が幸せでなくちゃ。お給料ももちろんだけれど、福利厚生をしっかりしたい。

 以前、富山かどこかの施設が、子どもも高齢者も一緒にいる空間をコンセプトにしていて、そんな施設だったらいいですよね・・と話すと・・・。

 3階立てで、2階と3階部分は居住空間にして、1階には、最初は職員の子どもたちを預かる託児所スペースを考えている。ちゃんとお勉強も見てあげたいから大学生のアルバイトを雇って宿題とか見てもらったり遊んだり・・・。ゆくゆくは学童もやりたいと考えているとのこと。

そして、極めつけは、1階にレストランを作り、その収益を入所者の方の毎月のおむつ代にしたいという構想。
 その女性曰く、自分の懐に利益を入れようという考えはない。ただ、ただ、理想に近い介護施設を作りたいだけ・・・・。

 再度、聞いた。
 それにしても、月10万でしかも、スタッフの福利厚生をしっかりした施設ってできるんですか?

 役員報酬をもらわないから、大丈夫・・・とおっしゃった。
 ということは、役員報酬ってそんなに高額なの?

 それにしても、60歳を過ぎての億を超える借金を背負うということの荷の重さを思うだけでアンビリーバブル。

 大学を卒業させるだけでひーひー言っている私とは、お金に対する考え方が全然違うのだろう。

 その方のそれまでの人生を伺っていてそう思った。

 今まで、何度かケアマネ関係の事業所を立ち上げてこられた豊富な経験を聞いていて、有料経営者ではっても、儲けようという大前提で事業をしていらっしゃらないところが、逆に、お金に困らない経営につながっているのかもしれないとしみじみ思った。
 ケアマネの事業所を立ち上げようと思って物件を探したけれどいい物件が見つからず、それなら、建てちゃおうってことになって、土地を探して建てようとしたとき、ふと、あることを思いついたそう。
一軒家だと個人情報があるから心配。という理由でアパートを建て、その一角を事務所に。
 しかし、いざ、作ってみると、事務所への客の出入りが多くて、アパートの住人に迷惑がかかるかなって思って、隣の敷地を買って、事務所を別に作ったとのこと。
 そのアパートも、超いい条件。こんな条件のアパートなら私も入りたいよ。
 アパートの住人のネット代は彼女が出し、敷金礼金もなしにしたという。

 元々、アパート経営が目的でアパートを建てたわけではないから、とらないとおっしゃるが、私だったら、しっかりちゃっかり儲かっちゃおうって思うだろうな・・・。
 お話を伺っていると、儲かろうと思って事業と立ち上げているわけではなく、ケアマネとして自分の理想に近づくために事業を立ち上げ、尚且つ、従業員の幸せは大前提という基本スタンスで事業を行っている。みんなが幸せな経営、つまり、ウインウインな経営をめざしていらっしゃる。
 それが、どれだけすごいことか・・・・・。

 世の中には、こんな方がいらっしゃるんだなぁ。
 ご主人のお仕事が安定していらっしゃるから、借金さえしなければ自分のやりたいようにできるという強みをあるのだろう・・・・。
 私は、なぜか、私が大黒柱にならざるを得ない状況に追い込まれてしまった。
 それって、職場の人間関係が少々厳しくても辞められないという意味では、今となっては続けて来れてよかったという感慨だけれど、遊び心をもちづらい。なんだか、ちっぽけ。

 家族を支える男性って、考えてみると、大変。    
 辞めたくても、そう簡単には辞められない。やりたいことをそう簡単にはやれない。
 
 三男が電話してきた。
 遅まきながら、仕事をするという大人の階段の基礎工事がやっとできあがったみたいでほっとした。
 どんな仕事をしたいのかもどんな専門学校に入りたいのかも何もわかっていないのに、なぜだか、とても晴れ晴れとした声で、クリスマスの夜の飛行機で帰るから、もし、できたら、迎えに来てほしい・・・と。正月の規制ではなく、今の派遣みたいな季節労働者みたいな仕事を辞めて、一時、家にいさせてほしいという。目的はみつかっていないのに、なぜだか、ルンルンした声なので、ま、いいか。
 本人曰く、一緒に働いている56歳の男性とじっくり話をする機会があって、それで、自分の人生のスタートボタンを押せたよう。かなり、遅まきながらの何だろう?自分で自分の人生を大切にしたいという基盤ができあがったらしい。


感無量!
 3年寝太郎くんが、ついに、目覚めた。
かわいい子には旅させよとはよく言ったもんだ。
 その56歳の男性は、正職ではあるけれど、30年間、ずっと辞めずに、夜勤もある灼熱の工場で黙々と働き続けた方。職場ではいつも笑顔でユーモアがあって、三男は、てっきりこの仕事がそこそこ自分に合っていると思っている人だと思っていたそう。でも、じっくり話してみると、いつもいつも辞めることばかり考えて生きてきた30年だったと知って、かなり衝撃を受けたとのこと。
 30年ずっと辞めたいと思いつつ、人生の半分以上の歳月を費やしてしまった人を見て、ぞくっと寒気が走ったのかもしれない。あっという間に自分の人生がやめたくても家族を養うために辞められないで終わりに向かっているなんて、なんて虚しい人生だろう・・・。
 そんなの嫌だ。絶対に嫌だ。
 
 旅させた甲斐があった。

 私が、何度も訴えた『あなたの人生なんだよ。誰の人生でもないあなたの人生なんだよ。』という言葉が、やっと彼の心に響いてくれた。言葉は、ぶつかった人生に響く。ぶつからない人生には響かない。

 三男は、やっと自分の人生を大切にしたい=自分を大切にしたい=自分の気持ちを大切にしたいと思えるようになってくれた。ぶつかったから心の奥底から溢れてきた自分に出逢えたのだ。3年寝太郎のお話って、もしかしたら、思春期の男の子のそんな成長物語なのかもしれない。




 

 
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