読書の森

物語を読むのも書くのも大好きです。読書感想、創作、エッセイなど綴ってまいります。

テレビは友達 その4

2017-03-21 13:01:28 | 創作

亜樹は好んでニュース番組を見ていた。
あれから、テレビの中で感じ良い笑顔を見せていたアナウンサーが、亜樹に対して軽蔑した笑いを浮かべてる様に見えた。

テレビ局から彼女を特別視してると感じたのである。
そしてそれは、彼女が一方的な抗議をした日からだ。

テレビをつけると、テレビカメラから自分を監視されている気味悪さがあった。
亜樹はあまりの気分悪さにテレビの画面を叩いた事もある。
常軌を逸した自分の反応が悲しかった。、

そんなバカな事はないと、彼女は理性で割り切ろうとしたが、日々その気味悪さは募った。
唯一の慰安のテレビが、逆に激しく傷つける凶器になった。
好きだった読書に切り替えようとしても、頭が混乱して、内容が理解し難かった。
脳内の快感ホルモンが全て侵された気分だった。

見通しのつかない不安ば生活が彼女を追い詰めていった。
己の幼稚な恋愛感で全てを失った気分だった。
狂いそうになっても、専門医を訪ねる事に抵抗があった。
テレビの件を打ち明ければ、精神病患者と診断されそうであった。



しかし、たった一本のメールが、苦しむ亜樹を救った。
「亜樹元気か?自分は相変わらず金にならない仕事をしてる。上野が言い出した事だけど5月の連休明け、同期会がある。出席しないか。返信待つ。遠井」

小学校時代仲良しだった遠井邦彦から久しぶりのメールだった。

亜樹の出た小学校は川崎大師様ーに近いアットホームな所だった。
そこで、彼女はありのままの自分を発揮して子供らしく振る舞えた。

近所に住んでいた邦彦はヤンチャな男子だったが、思いやりのある子だった。
亜樹の家庭の事情を知りながら、誰にも言わず、亜樹自身にも知らぬふりをしていた。

利かん気そうで、イケメンに程遠い顔の邦彦を亜樹は好きだった。
それは切なくなる好きでなく、気持ちが楽になる好きである。

遠井邦彦、大手新聞社に入社した後フリーのライターをしている。
生活はカツカツで彼女も出来ないそうだが、いつも呑気な声で喋る。
この人はアウトローだという意識が、亜樹を邦彦から遠ざけていたが。

亜樹は堪らなく邦彦の声が聴きたくなった。
メールを打った方が自然だ、突然の電話は誤解の素だと考えもした。
躊躇しながら、彼女は邦彦の携帯に電話をした。

「遠井君?私佐藤です」

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