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山の神にお供して歩きつづける、ある山のぼら~の記録。ネイチャー、冒険の本もとりあげるよ。

8~9世紀の大地震と火山の噴火

2012-12-09 | 山・ネイチャー・冒険・探検の本

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『歴史のなかの大地動乱――奈良・平安の地震と天皇』 保立道久(岩波新書)

貞観地震・津波とはどんなものだったのだろうという単純な興味からひもといた本。読んでみると驚きの連続だ。とにかくこの奈良・平安の時代は、地震、津波、火山の噴火、疫病の流行、旱魃が立て続けに起こる。さらに都では落雷が頻発する。ときの為政者である天皇は、自らの不徳のせいであるとして、祈祷を各地で行う。その祈祷はいわば荒ぶる神々の鎮魂が目的なのだが、自然の猛威の前にそんなものは蟷螂の斧にもならないほど無力だ。

当時は、凶事はすべて神々の仕業とみなしていた。たとえば政変で失脚し、死んだものたちの怨霊(神)の仕業であるとしたり、火山の噴火が起これば、山の神の怒りであるとした。その怒りを鎮めるために、神格を上げ、位階を上げてみたりするが、当然効果なしで、その後も次々に災禍に見舞われる。

こんな時代に生まれなくてよかったと胸をなでおろすものの、この時期のすさまじい大地震と、それと連動して起きた(?)火山の噴火は気になるところだ。ざっと抜き書きしてみると、以下のようになる。

762年 中部地方地震(M7.0)
781年 富士山噴火
800年 富士山噴火
802年 富士山噴火
830年 出羽秋田地震(M7.0―7.5)
832年 伊豆火山噴火
837年 陸奥鳴子火山噴火
838年 伊豆神津島大噴火
839年 出羽鳥海山噴火
863年 越中・越後地震
864年 富士山噴火
869年 陸奥海溝地震・津波(M8.3) いわゆる貞観地震・津波
871年 出羽鳥海山噴火
869年 肥後地震(貞観地震と同年)
874年 薩摩開聞岳噴火
887年 南海・東海地震(M8.0―8.5)
915年 十和田大噴火

阿蘇山も864,867年に噴火しているが、地震との関連性はわからない。十和田大噴火(この噴火によってカルデラ湖、十和田湖ができた)は、縄文や弥生時代の出来事と勝手に思い込んでいたが、10世紀の出来事だった。

では、最近の火山活動はどうなんだろう。
124回火山噴火予知連絡会2012年10月24日発表によると、現時点で活動が見られる火山は以下の4座。
・霧島山(新燃岳)
・桜島
・三宅島
・択捉焼山

ほかにここ数年で活動が見られた山をいくつもあげている。たとえば、十勝岳、岩手山、秋田駒、吾妻山、草津白根山、浅間山、弥陀ヶ原、富士山、阿蘇山。

大地震のあとには、火山の噴火が“つきもの”といわれている。とすれば、今活動をしている上の4つの火山が大噴火してもおかしくないし、3.11の直後に富士山のふもとを震源とする大地震もあったので、久々の富士山噴火があってもおかしくない。しばらく山頂付近が立ち入り禁止になっていた岩手山とか、いまだに活発な火山活動で山頂を踏めない浅間山とか、時折観光客が足止めされる阿蘇山とか、怖そうなところは多い。

この本によれば、8~9世紀は朝鮮半島でも大地震が起きるという異常なほどのプレートの活動期だったわけだが、先般の3.11を境に、これに匹敵するようなプレートの活動期に入ってしまったのだろうか。

歴史のなかの大地動乱――奈良・平安の地震と天皇 (岩波新書)
クリエーター情報なし
岩波書店

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