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<平成23年(行ケ)第10252号 審決取消請求事件>(判決文はこちら)
東海地方で有名なCMソングといえば、“○イホーンのインターホン♪”とか、“○ン○ン○ンワの若鶏♪”とか、ういろうソングとか、“○ジャータが3時をお知らせします”とか(←歌?)、いろいろありますが、今日は、そんなCMソングに思いを馳せてしまう判決をご紹介いたします。といっても、CMソングがメインなわけではないですけどが(←三河弁)。
いわゆる称呼同一漢字同士商標の類否判断に関する判決で、原告さんが下記本願商標につき出願したのですが、引用商標により4条1項11号にて拒絶査定→拒絶審決を受けたので、審取訴訟を提訴したという事案です。
■本願商標と引用商標
本願商標はこちら。
「海葉」(標準文字)
指定商品:第29類に属するかまぼこ等。
引用商標はこちら。

指定商品:第29類に属するかまぼこ等。
■JPO(審決中)の類否判断
JPOは、審決で“本願商標と引用商標は類似する”と判断したわけですが、その理由はこういうものでした。
『称呼において、両商標に接した取引者、需要者が一種の造語である「海葉」の文字を「カイヨウ」、「海陽」の文字を「カイヨウ」と称呼することが不自然であるというような、格別の事情があるものとも言い難いものであるから、両商標は「カイヨウ」の称呼を同じくする称呼において類似する商標というのが相当である。
また、本願商標「海葉」と引用商標「海陽」とは、外観上類似するとはいえないものの、共に、漢字2文字のみから構成され、かつ、看者の注意をひきやすい語頭の「海」の漢字を共通にすることから、外観において、近似した印象を与えるものである。
さらに、観念については、共に特定の意味合いを看取させないものであるから、比較することはできないものである。
してみると、本願商標と引用商標とは、両者の外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、観念において比較できないものであるとしても、このことが「カイヨウ」の称呼の共通性及び外観における近似性を凌駕するほど著しいものとはいえず、両者は互いに相紛れるおそれのある類似の商標というのが相当である。』
■裁判所の類否判断
それでは、裁判所は、どのように判断したのでしょうか。
結論から言うと、裁判所は、本願商標と引用商標は非類似であると判断しました。
その理由はこういうものでした(判決文10-11頁、下線は私が付しました)。
『外観について,本願商標と引用商標は,それぞれを構成する漢字2文字のうち,先頭の1文字が「海」であって共通するものの,「海」ともう1文字の漢字を組み合わせた単語は非常に多く存在するから(乙3),「海」と組み合わされる漢字の外観上の相違を軽視することはできないというべきである。そして,本件においては,「葉」と「陽」との間に旁(つくり)や偏(へん)の共通性はなく,その相違は大きいから,全体として両者は外観が大きく異なる。
観念についても,本願商標からは「海草の葉っぱ」,「海に浮いた葉っぱ」程度の観念が生じるのに対し,引用商標からは,「海に昇る太陽」,「海に沈む太陽」,「海の日の当たる場所」程度の観念が生じるから,両者は観念において大きく異なる。
称呼について,本願商標と引用商標から生じる称呼は,いずれも基本的に「カイヨウ」であり,基本的に同一である。』
以上のとおり,本願商標と引用商標とは,その外観,観念において大きく相違し,称呼において基本的に同一であるところ,海の母音である「あい」も,葉や陽の母音である「おう」も,漢字の音読みとしてありふれた読みであり,これに「K」と「Y」の子音を組み合わせた「KあいYおう」との称呼は2文字の漢字のありふれた読みからくるもので,外観,観念の相違に比較すると,識別力が弱いものである。
そして,本件において,この判断に反して特に考慮すべき取引の実情は認められないから,本件においては,外観と観念の相違が称呼の共通を凌駕するものというべきであって,指定商品について共通するものがあるとしても,本願商標と引用商標とは類似するものではないというべきである。』
JPOの審決と見比べてみると、真逆的判断…。
さて、本件の被告たるJPOは、指定商品を取り扱う業界の取引実情を考慮すると、称呼が極めて重要な要素となると主張していました。これに対して、裁判所は、以下のように判示しています(判決文11頁)。
『確かに,証拠(乙5の1〜6の6)によれば,日常の買い物が困難になっている高齢者等に対応するため,本願指定商品に含まれるかまぼこ等を取り扱っている複数のスーパーマーケット,インターネットを利用したネットスーパーにおいて電話注文を受け付け,また,ウェブサイトを設けているかまぼこ店においても電話注文を受け付けている事実が認められるものの,他方において,これらの電話注文の多くは,事前に配布されたカタログや商品一覧のチラシの存在,ウェブサイト上の商品情報や商品番号,さらには単価などの閲覧等を前提とするものと認められるから,
これらの電話注文に関して称呼のみで取引が特定されている実情にあるとはいえない。』
『CMソングについても,本願指定商品に含まれるかまぼこを取り扱っている複数の業者がCMソングを作成している事実は認められるものの(乙7の1〜7の5),CMソングの歌詞には取扱業者の名称も含まれるのが通常であろうから,これにより称呼のみが特に重視される実情にあると認めることはできない。』
うーむ、そーですか…
で、ここでCMソングに思いを馳せる。
“○イホーンのインターホン♪”など諸々の名古屋CMソングには、確かに企業名が入ってるけどが…(除く「○ジャータ」及び「ビオジア○」)。それで“称呼のみが特に重視される実情でない”となるのかよくわからんかったりするけど…。
ちなみに、本件とはあまり関係ないですが、CMソングで商標の称呼を連呼しても、2条3項8号の「使用」とはならん、とされとりますね(「音声」だでね)。
ただ、侵害については商標価値の毀損として侵害を肯定する余地があるとか(逐条解説とか、『商標法概説』田村善之先生著とか、『新・商標法概説』小野昌延先生・三山峻司先生著とか)、不使用取消審判(50条)では取消を免れるとか(『新・商標法概説』小野昌延先生・三山峻司先生著とか)言われたりしとりますけどが。
取り留めないハナシで終わってしもた…
本日は以上です!次回も見ていただけるならぷちっと押してくださいな(。-_-。)/
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※左上の画像データは名古屋市さんのご好意により提供していただきました。
この記事を読んでひろた興味を持たれた方は…
【紹介記事】
知らないうちに、紹介記事を書いてくださっていました(1年近く前の講座ですが、たまたま発見しました)。
2010年9月 岐阜県立城北高等学校での講座
【執筆記事】
「知財管理」誌 VOL.60 NO.6
(並行輸入と商標権侵害 -並行輸入の抗弁における「同一人性の要件」及び「品質管理性の要件」-)
「知財産管理」誌 VOL.58 NO.5
(「腸能力」審決取消請求事件(平成19年(行ケ)第10042号 審決取消請求事件)
「パテント」誌 2011.2 Vol.64
(部分意匠に関する判例研究 -類否判断を中心に- 包装用容器事件)
字数制限が厳しかったので尻切れトンボ気味ですが…
【関係事件】
代理人になった事件です。負けたのでご紹介するのをためらっておりましたが、思い切って…。
平成18年(行ケ)第10367号審決取消請求事件
なお、牛木理一先生のHPで紹介いただいているので(「特許ニュース」2007年6月29日号の記事です)、そちらも併せてご覧ください〜(こちらのB−27の項です)。
【ZIP FM Z−TIME BIZ】
2008/07/23 商標の話題で出演
※注意!弁理士さんや知財部門のご担当など、クロートの方へ!
このブログでは、わかりやすくするために、正確でない表現を使ったり、はしょったり、大雑把にしてたり、…等々してますが、目くじら立てずに見逃して下さい
また、判例・新着審決・最近の話題は、“ホットなうちに”スピード重視でご紹介しておりますので、読み間違い・勘間違い・理解間違い・論点見逃しがあるかもしれません。疑問を感じられたらご一報いただけるとありがたく存じます
