名古屋の 商標亭  −あいぎ特許事務所弁理士 ひろたのブログ−
いらっしゃいませ。商標登録、商標出願などに関する商標づくしのお料理を種類豊富にご用意しております。


<平成22年(ネ)第10015号輸入販売差止等請求控訴事件>(判決文はこちら

 「越後製菓さんの第4111382号の「餅」特許 vs.  サトウ食品さんの切り餅」訴訟の判決が出たというニュースが昨日あり、知財系の方の間では大いに沸き立っていましたね。2010年11月30日 Asahi.comの記事
 
 他の弁理士さんのブログなどで詳しい解説がなされると思いますので、わたくしとしては、 
 「この季節に判決出すとは、東京地裁、Good job!」 
 とだけコメントしておきます。
 (2~3ヶ月早かったら、くそ暑過ぎて、お餅の話題で盛り上がれんかったと思うよ…)


 そして、このブログでは、ひっそりと不競法の判決をご紹介するといたします。

 今年の1月にゴヤールvs.アディダスのバッグマークの侵害訴訟の地裁判決が出たのを覚えていらっしゃるでしょうか。
 詳しくは大塚先生の駒沢公園行政書士事務所日記のエントリでご覧いただくとして(←横着い(汗))、今日はその控訴審の判決を取り上げます。

 原審では不正競争・商標権侵害で争われていましたが、商標権侵害の請求の方は当審係属中に原告ゴヤールさんが控訴を取り下げたようですので、当審では不正競争の方だけ判断がなされています。

 で、原審判決では、原告ゴヤールさんの標章と被告アディダスさんの標章は外観類似でないとして、被告アディダスさんの行為は不競法2条1項1号ないし2号に該当しないと判断されておりました。

原告標章

これは「ゴヤールのヘリンボーン柄」として結構有名なんですね(例えばYahoo!の通販サイト)。ブランド物に疎いわたくしは原審判決を見て始めて知ったのでありました~あはは(汗)。

被告標章1

被告標章2

ふっ。アディダスの葉っぱのマークなら、私でも知っとります。

■控訴人(原審原告)ゴヤールさんの主張(判決文)
 今回、控訴人ゴヤールさんが主張したのは、『不正競争防止法違反の成否に関して商品等表示の類否を判断する場合は,取引の実情の下において,表示を全体的に観察し,需要者等の最も注意をひく部分に着目して行うべき』だというものでした。
 つまり、『原告標章は,控訴人の商品であるバッグの全面を覆うものであり,被告各標章も,それぞれ被控訴人の商品である被告靴及び被告バッグの全面を覆うものである。そして,需要者等は,原告標章の付された商品及び被告各標章が付された商品のいずれについても,店舗で展示されている状態で見て,その時に受ける印象をもって各標章の特色を認識するのであり,近くに寄って,念入りにその模様(標章)の細部まで見るのではない。したがって,原告標章と被告各標章との類否判断に当たっては,該当する商品の全面に付された状態での双方の標章を離隔的に対比すべきであり,商品から標章の一部を切り抜き,切り抜いた状態での標章を対比して類否を判断すべきではない。』と。
 で、原告標章と被告各標章とを対比すると、
 『①いずれも,美感の中心をなす基本的な構成である,等間隔で平行に配した直線と,かかる直線と約60度の角度で交わる等間隔で平行に配した直線とから成る,という点において共通し,②約60度の角度で交叉する2組の等間隔の平行な直線の色彩が,原告標章においては両直線とも白であるのに対し,被告各標章においては,交叉する2組の等間隔に配した平行線の双方が白でなく一方が薄い緑がかった茶色であるという点において相違があるが,薄い緑がかった茶色の等間隔に配した平行線(直線2)も褐色又は黒色の地を背景として需要者等の注意を良くひきつけるものであって,原告標章と被告各標章とは美感印象において類似し,③また,原告標章及び被告各標章のいずれも,それぞれを構成する約60度の角度で交叉する等間隔の2組の平行線は,上述のとおり輪郭がややはっきりせず,かつ,一本の線としてカチッとつながっていない印象を与え,また,やや滲んだ印象を与えるものである。このように,原告標章と被告各標章とは,美感を共通にし,印象を同じくしており,類似する。』と。

■裁判所の判断(判決文8~10頁)
 上記ゴヤールさんの主張に対する裁判所の判断を結論からいうと、『当審において控訴人が主張する観点から検討しても,原告標章と被告各標章とが類似しているとはいえず,控訴人の上記主張は採用することができない。』として、被控訴人アディダスさんの行為の不競法2条1項1号なし2号該当性を否定しました。

 原告標章についてはこんな判示をしとります。
 『…これを付した商品(甲23の1~7,11,12及び16~18)を離隔的に観察した場合,確かに,色彩の組合せからして白色の杉綾部分が目立つが,あくまで,白色の杉綾が連続的に多数配されているとの印象を受けるにとどまり,白い複数の平行な直線同士が60度の角度で交わる模様であるとの印象は受けない。
 また被告標章についてはこんな判示をしとります。
 『…これを付した商品(甲21の1及び2,23の8~18,乙30)を離隔的に観察した場合,白色と黄緑色の葉が目立ち,このうち複数の白色の葉は直線的に連続して配されているとの印象を受けるものの,複数の黄緑色の葉については,個々の葉の上端と下端とを結んだ線を仮定した場合,それらの線が少しずつずれており,これらが直線上に配されているとの印象は受けない。
 さらに,仮に原告標章の白色の杉綾部分が複数連なって直線を構成しているとの印象を受けるとしても,原告標章では,直線を構成するのが長方形であって,同じ幅の線が続く印象を受けるのに対し,被告各標章では,白色の直線を構成するのが葉であって,幅の変化(凹凸)が大きいので,控訴人が主張する「直線」から受ける印象も,原告標章と被告各標章とで異なっている。


■コメント
 いわゆる地模様の商標は、原則として識別力がないとして登録できないこととなっています(商標審査基準3条1項6号)。しかし、構成に基づく本来的識別力(モノグラムを含むようなもの等)やら、周知著名性によるセカンダリーミーニングにより登録されているのも割とあります

 (なお、地模様につきセカンダリーミーニング獲得に基づき登録性を認めた有名な事件としてH11(行ケ)80号。)
 原審で争いとなった原告さんの登録商標(第4977875号)は、びみょーに文字が入ってたりして(称呼も付されている)、それで一発登録されたんでしょか。
 
 
 また、地模様は、不競法でも商品等表示として保護を認められることがありますね(例えばS54(ワ)692号)。
 原審も当審も、原告標章自体が商品等表示に該当するか否かについては判断しておらず、そこんとこどーなのかよくわからんですが、「ゴヤールのヘリンボーン」として有名らしいようなので、商品等表示として認められる余地がありそうですね。


 本日は以上です!
 次回は意匠の新着審決かなー。次回も見ていただけるならぷちっと押してね…
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コメント ( 2 ) | Trackback ( 1 )


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コメント
 
 
 
ゴヤールっていうんですか (hisashi49)
2010-12-02 09:26:30
同じ列車に乗り合わせる女性が肩に下げているのを見て、何だろう?どこの製品だろう?と思っていました。模様の中に一箇所、文字があるのを確認しましたが、判読できず、さりとて、近寄るわけにも行かず不明でした。
ゴヤールっていうんですね。
やっと分かった。ほっ!
 
 
 
Unknown (ひろた)
2010-12-02 15:44:27
hisashi49さん、こんにちは!

自分も初めて知りました(汗)。
商標を扱う仕事なのにブランド物に疎いって…と反省。
山・岩ブランドならマニアックなんすけど、だめですかね…
 
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【知財(不正競争):輸入販売差止等請求控訴事件/知財高裁/平22・11・29/平22(ネ)10015】控訴人:(原告)ゴヤールサントノレ/被控訴人... (判例 update)
事案の概要(by Bot): 1 別紙2原告標章目録記載の原告標章を付した鞄等を販売する控訴人(原告)は,別紙1被告標章目録記載1の被告標章1を付した被告バッグ及び同目録記載2の被告標章2を付した被告靴を輸入,販売等した被控訴人(被告)に対し,不正競争防止法3条(2条1項...