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高江の機動隊派遣についての住民監査請求 今後の動きに注目

2017-06-15 | 記録

5月15日(月)、高江の機動隊派遣についての住民監査請求(愛知県職員措置請求)がなされてから、1ヵ月が経ちました。

住民監査請求に対しては、60日以内に監査委員の監査及び勧告を行わなければならない、と地方自治法に定められています(242条第5項)。

また、監査委員は、監査を行うに当たつては、請求人に証拠の提出及び陳述の機会を与えなければなりません(242条第6項)。

今後に向けた行動提起が予定されており、詳細が明らかになりましたらこのブログでもお知らせしたいと思います。

遅くなりましたが、以下に、5月15日に出された住民監査請求を掲載いたします。

 

愛知県職員措置請求書 

2017(平成29)年5月15日 

愛知県監査委員  御 中 

請求人 長峯信彦(代表)
飯島滋明(代表)
池住義憲(代表)
     山本みはぎ
岩中美保子
服部邦子
長谷川芳子
                             松本八重子
                             保田泉
                                                         外 912名

    〒460-0002名古屋市中区丸の内三丁目5番35号
               弁護士ビル1102
                  大脇雅子法律事務所
          電話:052-951-7380
          FAX:052-951-7426
       上記請求人ら代理人
       弁護士 大脇雅子
    〒460-0011名古屋市中区大須4-13-46
               ウィストリアビル5階
            名古屋共同法律事務所
          電話:052-262-7061
          FAX:052-262-7062
       同  弁護士 中谷雄二
    〒463-0057名古屋市守山区中新10-8
               シャンボール小幡2階
            守山法律事務所
          電話:052-792-8133
          FAX:052-792-8233
       同  弁護士 岩月浩二
                 外29名 

    請 求 人    別紙請求人目録記載のとおり
    代 理 人  別紙代理人目録記載のとおり 

 請求人らは、地方自治法第242条第1項の規定により、別紙事実証明書を添え、以下のとおり必要な措置を請求する。 

Ⅰ 請求(措置要求)の趣旨

1 愛知県知事は、北部訓練場ヘリコプター着陸帯移設事業に伴う各種警備事業に関して、2016(平成28)年7月13日より2016(平成28)年12月末日の間、愛知県警察職員が沖縄県公安委員会の指揮下において行った上記活動に係る一切の公金の支出につき、愛知県警察本部長若しくは同支出につき決済を行った職員に対し損害賠償請求若しくは損害賠償命令を行うこと。 

2 監査委員は「愛知県公安委員会は、今後沖縄県公安委員会からの米軍基地移設工事等に伴い生ずる各種警備事象への対応を任務とする愛知県警察職員に対する派遣要求に応じてはならない。」との勧告をなすこと。 

Ⅱ 請求(措置要求)の理由

第1 請求人らは、愛知県に住所を有する住民である。 

第2 派遣の経過

1 沖縄県公安委員会は、2016(平成28)年7月12日に愛知県他5都府県の公安委員会に対し、「米軍基地移設工事等に伴い生ずる各種警備事象への対応」を任務として、警察法(昭和29年法律第162号)第60条第1項の規定に基づき、警察職員援助派遣要求を行い(沖公委〈備二〉第22号)、愛知県公安委員会は、2016(平成28)年7月13日、沖縄県公安委員会に対し、上記警察職員の援助要求どおり派遣することに同意した(備警発第2998号)。 

2 沖縄県公安委員会は、2016(平成28)年8月4日、愛知県他5都府県の公安委員会に対し、前項に記載の任務のため、警察法第60条第1項の規定に基づき、警察職員の援助派遣要求を行い(沖公委〈備二〉第26号)、愛知県公安委員会は、2016(平成28)年8月19日、警察職員について要求どおり、派遣することに同意した。 

3 沖縄県公安委員会は、2016(平成28)年9月21日、愛知県他5都府県に対し、 第1項記載の任務のため警察法第60条1項の規定に基づき警察職員の援助派遣要求を行い、(沖公委〈備二〉第34号)愛知県公安委員会は2016(平成28)年9月30日、警察職員について要求どおりの派遣をすることに同意した。 

4 愛知県公安委員会は、2016(平成28)年7月13日以降、2016(平成28)年12月末日までの間、北部訓練場ヘリコプター着陸帯移設事業に伴い生ずる各種警備事象への対応を任務として愛知県警察職員を派遣した。 

5 派遣人員及び規模については、情報が不開示とされているが、少なくとも沖縄県外6都府県より500人規模の警察職員が沖縄県に派遣され、沖縄県公安委員会及び沖縄県警察本部の指揮のもと、前項の任務に従事した。
 なお、東京都公安委員会に関する資料によれば「警視庁機動隊2個中隊140人が高江基地に着任した」とされているので、愛知県公安委員会も近似した警察職員が派遣されたものと推定されるが、派遣人数の情報公開請求するも情報開示を拒否されている。 

6 沖縄県那覇市在住の沖縄平和市民連絡会北上田毅の言によると、上記派遣された愛知県警察職員は、2016(平成28)年12月末日までに帰名したと言われるが日時は不明である。 

第3 公金の支出

1 前項の派遣により愛知県は、2016(平成28)年7月13日より同年12月末日までの間、派遣した警察職員の人件費(給料、時間外手当、特殊勤務地手当等)及び派遣のための装備資機材(個人、部隊、装備等)の運搬費用を支出した。仲里衆議院議員の2016(平成28)年8月1日付質問主意書に対する2016(平成28)年8月8日付政府答弁書によれば、本件派遣中の「警察官の俸給等身分に直接付随する経費」は、当該警察官が所属する都府県が負担する旨述べられている。

2 それに基づき、愛知県より支出された下記公金につき情報開示を求めたところ、すべて非開示となった。

(1)俸給

イ、      派遣人数 情報非開示

ロ、      派遣期間 情報非開示

ハ、      支出の根拠 愛知県職員の給与に関する条例

ニ、      支出の総額(イ、ロが非開示のため算定不能) 

(2)警察職員の沖縄県への移動につき沖縄県までのフェリー代、航空機代、装備の移動費       情報非開示

(3)時間外手当        情報非開示

(4)特殊勤務手当       不明(情報開示の期限が2017(平成29)年8月17日) 

第4 公金支出の違法性の判断基準について

1 当該公金支出の違法性の存否を問う場合、公金支出手続それ自体に直接法令違反を必要とし、その場合に限ると解することは、住民監査請求及び住民訴訟の範囲を著しく限局し、納税者の住民監査請求権を否定することになり、地方自治法242条第1項の法の趣旨に反する。

2 当該公金支出は、公金支出の原因行為又は先行行為と一体化しているのであり、その原因行為又は先行行為の目的、原因行為又は先行行為自体の違法性を問う必要がある。1985(昭和60)年9月12日最高裁判所第1小法廷判決(昭和55年(行ツ)第84号)は、「地方自治法242条の二の住民訴訟の対象が普通地方公共団体の執行機関又は職員の違法な財務会計上の行為又は怠る事実に限られることは、同条の規定に照らし明らかであるが、右の行為が違法となるのは、単にそれ自体が直接法令に違反する場合だけでなく、その原因となる行為が法令に違反して許されない場合の財務会計上の行為もまた違法となる」「前者が違法であれば、後者も当然に違法となるものと解するのが相当である」と判示する。

3 また、本件公金支出の原因である沖縄県公安委員会による援助要求の目的の違法性、正当性、妥当性についても議論すべきである。2016(平成28)年12月16日公表の沖縄県における「北部訓練場ヘリコプター着陸帯移設事業に伴う県外警察職員への活動費に対する支出に係る住民監査請求の結果報告」2、「監査委員の意見」(2)「請求には理由があるとする監査委員の意見」ウ「なお過去には米軍基地の警備を目的とした県外警察職員の派遣があったことなど、その経費が県の負担となることに疑問を感じる事例もあったことから監査委員としては、援助要求に対しては、その目的等についても議論すべき」であると「附帯意見」を述べている。「米軍基地移設工事等に伴い生ずる各種警備事業への対応」それ自体、「警察法」の規定する「法律の目的」(第一条)及び「警察の責務」(第二条)に明示はなく、「公共の安全と秩序」には該当せず、違法である。 

第5 本件公金支出の違法性及び不当性

1 本件派遣は警察法60条、同法36条に違反し、違法である。

(1) 警察法60条第1項は、都道府県公安委員会は、「都道府県警察に対して援助の要求をすることができる」と規定し、沖縄県公安委員会は、警察法60条第1項の規定に基づき、2016(平成28)年7月12日に愛知県他5都府県に対し警察職員の援助派遣要請を行っている。しかるに7月12日の前日である7月11日に、警察庁は、警視庁を含む6都府県警察に対し「沖縄県公安委員会から沖縄県への特別派遣の要請が行われる予定であるが、派遣機関及び派遣部隊は次のとおりであるから、派遣態勢に誤りなきを期されたい」との通知を行っている。警察法60条第2項は、「当該都道府県公安委員会が援助要求をするときは、あらかじめ必要な事項を警察庁に連絡しなければならない」と規定しているにすぎないから、沖縄県公安委員会が援助要求決定をしていない段階で、警察庁が当該都府県警察本部にあらかじめ援助要求に応えるよう通知することは予定されてはいない。2016(平成28)年11月1日付仲里利信衆議院議員の質問主意書に対する2016(平成28)年11月11日付政府答弁書によれば、沖縄県警察からの「連絡」により「調整」を行ったものであるとする。警察庁による各自治体に対する事前の調整は公安委員会の民主的運営と政治的中立性を確保するという意義を没却し、警察法60条第2項の趣旨を逸脱した権利濫用である。これは本件派遣が沖縄県にとって必要だったのではなく、政府が沖縄の基地建設に沖縄県民の合意がないのにもかかわらず、無理矢理の工事強行を決め、それを実現するために多くの人数の警察職員(機動隊)を沖縄県外より派遣することを必要とした「政府の意図」によることは明らかである。

(2) 都府県警察の責務は、警察法第36条により、「都道府県の機関として、区域内における個人の生命等の保護に任じ公共の安全と秩序の維持に当たることを責務とするものであって、他の都道府県警察とは独立した存在である」(警察庁長官官房「警察法解説」(新版191頁))とされているのであるから、当該公安委員会の「頭越しに」、国の必要性や意向によって援助派遣に備えるよう自治体の公安委員会に事前に直接指示することは権限の逸脱であり、違法である。

(3) 警察法59条は、都道府県警察の相互協力義務を規定し、同法61条は「居住者、滞在者その他の管轄区域の関係者の生命、身体及び財産の保護並びにその管轄区域における犯罪の鎮圧及び捜査、被疑者の逮捕その他公安の維持に関連して必要がある限度において」権限を及ぼすことができるものとしている。本件援助の要求及び派遣は、「米軍基地移設工事に伴い生ずる各種警備事象への対応」を任務としているが、基地建設に反対する沖縄県民の運動を抑圧することを目的とし、それ自体警察法36条の範囲を超えるもので、違法である。

(4) 本件派遣は、愛知県議会に諮ることなく、愛知県民の公金でもって、長期間警察職員(機動隊)を沖縄県に派遣されたものであり、愛知県民の意思を尊重せず、手続の違法がある。

 

2 高江ヘリパッド工事の違法性

(1)住民の合意の欠如

 2016(平成28)年7月に開始された沖縄県東村高江におけるヘリパッド建設は、沖縄県及び地元の住民による合意を得ることなく強行されたもので、住民らの基地建設反対行動を抑圧し、基地建設工事の遂行を図ることを目的として警視庁その他5府県に対して要求された警察職員(機動隊)派遣である。

 沖縄県議会は、これまでオスプレイの配備と海兵隊の撤退を求める意見書を可決してきたが、2016(平成28)年7月21日、総理大臣その他関係大臣に対し「米軍北部訓練場ヘリパッド建設に関する意見書」を可決した。ヘリパッド建設は、「東村高江の集落を囲むように」行われ「地域の自然環境や住民生活への悪影響を及ぼす」とし、加えて「配備されるオスプレイの欠陥と危険性に対する住民不安が増している」と指摘している。「意見書」は、住民らは「精神的にも限界を超えた騒音、低周波を浴び続けている」として建設の中止を強く要請した。

 愛知県内の市民団体は、2016(平成28)年9月6日愛知県警察本部長に愛知県警察職員の沖縄県高江のヘリパッド建設への派遣の中止を要請した。

 また、2016(平成28)年9月9日、青井美帆(学習院大学教授)他17名の研究者、有識者は「沖縄の人権、自治、環境、平和を侵害する不法な強権発動をただちに中止せよ」との声明を発表し、住民の合意の欠如によるヘリパッド建設工事の違法性を主張している。

(2)アセスメントの不備

 「やんばるの森」は、地球上で唯一残る湿潤亜熱帯照葉樹林帯であって、希少生物や固有生物が多数生息していて、オスプレイの飛行による生態系への影響が懸念されている。それに対しアセスメント(環境影響評価)も十分に行われることなく工事が強行されている。ヘリパッド建設に対する住民らの抵抗は正当であって、これを警察力で押さえつけることは住民民主主義に反し、違法である。

(3)ヘリパッドのずさんな工事と環境破壊

 2016(平成28)年12月27日、中日新聞によると、「ヘリパッドのずさんな工事」につき、おおよそ次のように書いている。

イ、 「土木技術者が防衛省から情報公開請求で図面を入手し、現場と照らし合わせたところ、工期を急がせ、人手不足と手抜き工事で数々の法令違反や不備があった。

ロ、 沖縄県赤土等流出防止条例違反が存在する。すなわち、「N-1」地区に至る道路で赤土の流出を防ぐため、貯水池を数カ所設ける必要があったのに、設置せず、ブルーシートで覆うにとどめたため、赤土が海に流出し、環境を破壊する危険がある。

ハ、 道路ののり面は約80度のきつい傾斜地であるが、米軍が恒久的に道路を使用することになっているが、ガードレールなどの防護柵がない。

ニ、 G地区に至る道路ののり面に芝生が敷かれていたが、仮の盛り土をしたため、水抜きが不完全で、少しの雨で崩落している。

ホ、 H地区に至る工事用道路は、モノレールを敷設して環境を保全する予定だったが、工期が間に合わないため、森林伐採を行い、貴重な自然環境が破壊された。

ヘ、 道路の切り株をそのままにして将来、道路が陥没する危険がある。盛り土の転圧が甘く、雨水による事故の危険がある等、突貫工事により、安全性を無視した工事が行われた。

ト、 本来1年2、3ヶ月で建設するヘリパッドを4ヶ月で作らせたため、トラックの違法積載、安全ベルトやヘルメット不使用のまま作業が行われた。

チ、 盛土の不備により水たまりや芝の剥がれが2017(平成29)年2月末時点でさらに拡大している。

(4)オスプレイ配備の危険性と生活侵害

 平成2016(平成28)年12月13日、オスプレイは沖縄本島の東方沖で空中給油訓練中のトラブルでプロペラを損傷し、沖縄県名護市沿岸の浅瀬に着水を試み大破した事故が起きた。アメリカ側の原因究明に目立った動きはなく、日米地位協定の壁により日本側において事故の究明はできない。そのため、下記の重大事故発生後も格別の対策が取られなかったため、今日も重大事故の危険性は続いている。なお、米軍は、空中給油はしないとしていたが、2016(平成28)年12月19日オスプレイの訓練が再開された。沖縄県知事は、「言語道断」、佐喜眞淳宜野湾市市長も「遺憾」を表明している。

 米軍輸送機オスプレイは、ヘリと飛行機の機能を併せ持ち、上空でプロペラの角度を変化させる特殊な構造のため、機体の不安定さや操縦の難しさが指摘されている。2012年10月、沖縄にオスプレイが配備された。その年にオスプレイは海外で2件の墜落事故を起こしていた。オスプレイは開発段階から深刻な事態が相次ぎ、重大事故の危険性が指摘されている。

 オスプレイの主な重大事故は下記の通りである。

 2000年4月8日 米アリゾナ州 開発試験中に墜落し19人死亡
 2010年4月8日 アフガニスタン 墜落し4人死亡
 2012年4月11日 モロッコ 墜落し2人死亡、2人重傷
 2012年6月13日 米フロリダ州 墜落し5人負傷
 2015年5月17日 米ハワイ州 着陸に失敗し2人死亡
 2016(平成28)年12月13日 沖縄県沖 不時着し2人負傷

 オスプレイは、構造上の欠陥があると疑念がもたれている。

 以上の相次ぐ重大事故の発生から沖縄とりわけ本件ヘリパッド基地周辺の住民はオスプレイ墜落の不安にさらされている。さらに、オスプレイの運行は離着陸はじめ飛行も比較的低空のため騒音及び振動がひどい。ちなみに宜野座村の城東区における調査によれば、オスプレイの訓練飛行が実施されて以来、夜間の騒音は60デシベルに達し、夜間飛行の回数も約2倍に増加し住民の平穏な生活が妨害されている。すでに児童が体調を崩し、学校を休んだ例もあり、周辺住民らの睡眠妨害や精神的負担は重い。さらにオスプレイによる機材等のつり下げ訓練も行われている。

 沖縄県議会はオスプレイの配備と訓練中止を求め、2016(平成28)年12月22日内閣総理大臣他に対する意見書を、同日在日米国大使及び在日米軍司令官他に対する抗議決議を採択した。

(5)過剰な工事費

 ヘリパッド建設工事については、N1地区で9回、G地区では8回契約が変更され、資源空輸や警備費等でN1地区6.1倍、G地区5.4倍とあり「異常事態」と指摘されている。

 

3 工事における具体的な警察行動の違法性

 警察法2条第1項は、警察の責務を「個人の生命、身体及び財産の保護に任じ、犯罪の予防鎮圧及び捜査、被疑者の逮捕、交通の取締その他公共の安全と秩序の維持に当たること」とし、同法2項は、警察の活動は「厳格に前項の責務の範囲に限られるべきものであって、その職務の遂行に当たっては、不偏不党かつ公正中立を旨とし、いやしくも日本国憲法の保障する個人の権利及び自由の干渉にわたる等その権限を濫用することがあってはならない」と定めている。

 しかるに建設現場における警察行動は警察法2条に違反し、「住民の人権を侵害する」下記の如き諸行為があり、これは沖縄県警察の管理指揮下の下に沖縄県警と派遣された愛知県他5都府県の警察職員が一体となって行った違法行為である。沖縄県知事は「過剰な警備」と批判している。

(1)車輌の違法検問

イ、 2016(平成28)年7月19日、機動隊は米軍北部訓練場の各ゲートを通る県道70号の複数場所において、午前9時30分頃から12時半まで少なくとも検問を行い、通行する車輌をすべて停止し、何らの法的根拠を示さず運転免許証の提示を求めた。機動隊はレシーバーで連絡を取り、運転手が反対派住民だと判明すると通行を阻止したりして、前進を許さず、検問にあった通行人らは、集会の場所へ移動したり、迂回を余儀なくされた。

ロ、 ちなみに愛知県より現地に赴いた松本八重子は7月22日、山本みはぎ及び服部邦子、丸山悦子は11月17日、北村清幸は12月9日に、新川ダムの橋元で車輌検問に遭遇した。

ハ、 2016(平成28)年11月7日午後3時頃、毛利正道弁護士は、県道70号線上にて、観光バスで高江ヘリパッド建設現場に出かけたところ、愛知県警による検問に遭遇し、30分にわたり違法な強制停止を命じられた。愛知県警察官らは何ら理由も告げることなく、毛利弁護士らはN1バリケード集会における時間短縮を余儀なくされた。

ニ、 一般に自動車検問には、①犯罪が発生し逃走車の緊急配備活動としての検問、②交通違反の予防摘発のための検問③一斉検問の三類型があるが、今回の検問では近くで事件が発生したわけでもなく、交通事故多発地域でもない本件検問は法的根拠を欠く。本件検問は北部訓練場の各ゲートへの住民の往来を阻害することを目的とする違法な行為であり、憲法第21条に規定された平和的抗議活動をする住民及び集会参加者の「集会の自由」や「表現の自由」を妨げたもので違法である。一斉検問も、裁判例は自動車の利用者の自由を不当に制限することにならない方法と態様でおこなわれるべきであるとしている。

ホ、 免許証の提示義務は「無免許」「酒気帯び」「過労運転」「大型免許制限」に限定されている。

(2)N1地区ゲート前の住民のテントと車輌の強制撤去

イ、 2016(平成28)年7月22日、機動隊は、N1地区ゲート前で住民を囲い込み、2時間にわたり機動隊のバス2台の間に押し込んで動けなくさせた上で、住民らの所有するテントと車輌の強制的排除を行った。かかる有形力の行使、拘束行為は、何ら法的根拠もなく違法な行為である。

ロ、 その結果、87歳の女性が5針縫う怪我をしたり、63歳の男性が機動隊員から胸を膝で押さえつけられて打撲を負い、二人とも救急搬送された。

機動隊員は、住民の車輌やテントの排除を行ったが、本来法治国家は自力救済は禁止されており、所有権の確認もせず、かつ何の令状も執行文もなく、排除した上記行為は違法であり、法的根拠はない。

ハ、 正面ゲートを守っていた愛知県警は、集会参加者の顔や発言、行動をビデオで撮影し、住民や参加者らの「肖像権」を侵害し続けていた。これは憲法13条による人格権の侵害である。集会参加者の撮影や録画は、集会の権利の行使に萎縮的効果を与える。

ニ、 ちなみに11月15日11時42分、愛知県警は北部ゲート入口前を警備しており、服部邦子が所属を尋ねたところ、愛知県警の「入江」「森田」と名乗った。愛知県警の機動隊員は、同所にて常時検問を行っており、そこには、尾張小牧及び豊田ナンバーの警備車が常時駐車していた。明らかに愛知県より派遣された警察職員(機動隊)は、現地において、沖縄県その他派遣の5都府県の警察職員と一体となって、行動していたことは明白である。

ホ、 2016(平成28)年、12月13日N1の入口に住民らが座り込みをしていたところ、機動隊により座り込みは南北に分断されて、機動隊員3~4人がかりで、前列にいた住民ひとりを持ち上げて運び上げ、愛知県在住の北村清幸は、道路の端に追いやられ、その左手を機動隊員に外向きにひねられた。「痛い」と言うと「痛けりゃ、立ち退く」と言われた。

(3)沖縄県の事前の意見聴取を行わない県道封鎖

イ、 2016(平成28)年7月22日午前6時4分より午後4時47分まで機動隊により、東村高江と国頭村安波の2ヶ所で県道70号が封鎖された。

ロ、 県道封鎖をする際は、道路管理者に対する事前の意見聴取が必要である(道交法110条の23項)。しかるに機動隊員は緊急の必要性もないのに事前に沖縄県に対して意見聴取を行わなかった。かかる違法な県道封鎖はその後もくり返し行われていた。

(4)市民の不当な拘束と逮捕

イ、 沖縄平和運動センターの山城博治議長が、2016(平成28)年10月17日、沖縄防衛局職員が北部訓練場内に設置する侵入防止用フェンス上の有刺鉄線を切った器物損壊の疑いで逮捕拘禁された。この時、十数人の市民らが訓練場に入って、ヘリパッド建設事業に抗議し、工事を監視していた。折から無許可の樹木伐採や土砂の過積載等の法令違反の行為が次々と報告されていた。防衛局職員が通報し、傍観していた警察が駆けつけ、隣接する国道に山城氏が出るまで追尾して、国道上で準現行犯として逮捕した。切断されたのは、価値2000円の鉄線1本であった。第2回の逮捕は、「公務員の腕をつかんで揺さぶった」公務執行妨害が加わり、第3回の逮捕は10ヶ月前の辺野古に「路上にブロックを置いた」という威力業務妨害罪で遡って追起訴された。法律上、「罪を犯したことを疑うに足りる相当の理由」のない逮捕勾留は違法であり、不当に長い拘禁は違憲(憲法34条違反)である。逮捕勾留には山城氏の政治的表現行為に対して、その権利性に優越する利益が侵害される「相当な理由」が必要であるが、山城氏の逮捕はその「相当性」を欠く。また、山城氏の逮捕及び長期勾留は、証拠隠滅の恐れもなく、逃亡の恐れもないのであるから違法であり、健康状態も悪化し、回復不可能な不利益を同人に被らせた。

 2016(平成28)年末、日本の刑事法研究者は、山城氏の逮捕勾留の処分が違法であるという緊急声明を出し、1月17日の二次集約までに、65人の研究者が「山城氏の逮捕勾留は違法・不当で速やかに解放すべきである」との声明に賛同している。沖縄県警察によるこれらの行為は憲法34条(抑留、拘禁に対する保障)に違反して違法である。

 山城氏は2017(平成29)年3月18日夜、保釈により約5ヶ月にわたる拘束を解かれた。

ロ、 N1ゲート付近において警察官らは、座り込んでいた無抵抗の市民を理由もなく拘束し、手足や首をつかんで引き戻す等、住人に対してさまざまな不当な拘束をした。市民らを無理矢理道路脇の警察車輌と機動隊員の行列の間に閉じこめ、外に出ることを一切禁止して、炎天下の下、住民や支援者らを飲み物もなく、トイレにも行けない状況に置いた。このような規制は「監禁」の罪に該当する。

(5)取材妨害

 2016(平成28)年8月20日午前、資材を搬入する工事車輌を止めるため、県道70号の高江橋の上に座り込んだ市民50名を機動隊員が強制排除する様子を取材していた沖縄タイムスと琉球新報の記者を機動隊が強制排除した。琉球新報の報道によると、同紙の記者は機動隊員に2度も両腕をつかまれ、背中を押されて約40メートルも移動させられ、2度目は車輌の間に押し込められた。そのため、記者は工事車輌の資材搬入等の現場に近づくことができず、取材の機会を奪われた。なお記者は、琉球新報の腕章をして記者と名乗り続けたのであり、機動隊員に取材排除の意図があったことは明白である。強制排除等が違法であることは前述したとおりであるが、記者に対する上記行為は憲法に保障する報道の自由(憲法21条1項)を侵害した。なお、2016(平成28)年8月19日にも30分も沖縄タイムスの記者は通行止めをされ、取材を妨げられ、報道の自由を侵害された。 

4 工事を補助した警察官らの権限外行為

(1)基地建設作業員の警察車輌での運搬

 2016(平成28)年9月2日、機動隊はヘリパッドの建設作業員約10名を警察車輌に乗せて、東村高江のN1地区ゲート前に運んだ。上記機動隊の行動は、基地建設の民間業者に便宜を図るもので、明らかに警察法2条1項及び警察官職務執行法が規定する警察の責務の権限を逸脱した行為であり、違法である。加えて、中立且つ公平であるべきという警察法の大原則にも反しており、違法である。

(2)違法ダンプによる運搬の黙認

 2016(平成28)年7月から、窓に着色フィルムを貼る等の改造を加えたり、ダンプの表示番号を記載しない、いわゆる違法ダンプによってヘリパッド建設工事のための砂利が建設現場に運搬がされていたにもかかわらず、機動隊はこれを黙認した。警察は、これらのダンプトラックを採石場から前後を警察車輌で警護して北部訓練場の工事現場まで住民の抗議に耳をかさず走行させた。これは、警察法2条1項、警察官職務執行法の違反である。さらに、この行為は警察が市民の生活の安全を守るという基本的責務に反して、ヘリパッド建設工事の業者に便宜を図ったものである。これは警察法2条2項に定める「不偏不党且つ公平中立の原則」に反し、違法である。

(3)ヘリコプターによる資材の搬入

 警察は、ヘリコプターによって建築資材の搬入を行った。これらの行為もまた前述した通り違法である。 

5 抗議行動を行っている地元住民に対して「土人」等と差別発言

 2016(平成28)年10月18日、高江周辺のヘリパッド建設現場において県外から派遣された機動隊員が、ヘリパッド建設現場の市民に対して「土人が」と発言し、さらに別の機動隊員が「黙れ、こら、シナ人」と発言した。この差別発言は、憲法13条の保障する個人の人格権を侵害するものであり、違法である。

 機動隊員個人の発言が不法行為を構成するものであることはもちろん機動隊が前記職務遂行中の中で発したこの言葉は、市民の人権を守るべきである警察への信頼を失墜させるものである。

 2016(平成28)年10月28日、沖縄県議会は、「この発言は、沖縄県民の誇りと尊厳を踏みにじり、県民の心に癒しがたい深い傷を与えた。沖縄戦では本土防衛の捨て石にされ、戦後27年間は本土から切り離される米軍占領下に置かれ、そして今なお全国の米軍専用施設面積の約74%が集中しているもとで沖縄県民は基地があるがゆえの事件事故に苦しめられ続けてきた。

 今回の発言は、沖縄県民の苦難の歴史を否定し、平和な沖縄を願って歩んできた県民の思いを一瞬のうちに打ち砕いたものと言わざるを得ない。法を守り、市民及び県民の人権を守る先頭に立つべき警察官である機動隊員らによる抗議参加者に対する一連の発言に対し、県内外から多数の非難が出ており、不信感が広がっている事実を警察関係者は真摯に受け止めるべきである。

 よって、本県議会は、市民及び県民の生命及び尊厳を守る立場から、沖縄に派遣されている機動隊員らによる、沖縄県民に対する侮辱発言に厳重に抗議するとともに、このようなことが繰り返されないように強く要請する」と決議した。 

6 結び

 このように、愛知県からの警察職員の本件派遣は、派遣自体が警察法2条、60条、36条に違反し、本件工事それ自体に違法性が存することに加えて、派遣された愛知県警察官それ自体が県民や支援者を抑圧する違法行為を繰り返していた。上記の通り、愛知県より派遣された機動隊員は、沖縄及び5他都府県の警察官らと一体となって車輌検問や県道の封鎖を行って、車輌の停止や免許証を提示させたり、不当な身体の拘束を行っているのであり、これらは公務員職権濫用罪(刑法193条)を構成するものである。また警察のヘリコプターで、民間企業の工事の作業員や資材を搬入し、本来中立であるべき警察の職務の権限を超えたものである。

 ちなみに、2016(平成28)年12月16日、沖縄県住民監査請求の審査結果、監査委員1名は「東村高江における警察活動については憲法に定めた人権を侵害する事実が認められ、従って警察法2条の規定に反することは明らかである」から「公費を支出することは認められない」と認定している。 

第6 勧告

 監査委員は、当該行為が違法であると思料するに足りる相当な理由があると認めるとき、当該行為により地方自治体に生ずる回復困難な損害を避けるための緊急の必要性があると認めるとき等理由を付して、勧告等の手続が終了するまでの間、当該行為を停止すべきことを勧告することができるとして、行政監査制度は、「暫定的な停止勧告制度」を認めている。2017(平成29)年4月26日辺野古において埋立て工事が始まり、本件と同様、「米軍基地移設工事等に伴い生ずる各種警備事象への対応」を任務として、沖縄県公安委員会から愛知県公安委員会に対して援助要請がなされる蓋然性が高まり、それに愛知県公安委員会が同意する危険性が高い。よって「基地移設工事への警備」が第4の1に述べたように警察法2条、60条、36条に違反することは明らかであるから、請求人らは愛知県監査委員に対し、請求の趣旨第2項のとおり勧告を求める。 

第7 結論

1 情報非開示と住民監査請求権の侵害

 本県においては、「公金の支出」について愛知県警察本部より沖縄県への派遣人数、派遣期間が非開示となっているため、警察職員に支払われた俸給の算定ができない。加えて「時間外手当」「特殊勤務手当」「部隊携帯の諸費用」「帯同車輌数」「運搬費」「フェリー代」等も情報が非開示となっている。非開示の理由として、愛知県警察本部長は、情報を「公にすることによりテロ行為を敢行しようとする勢力等が過去の実例などを研究、分析するなど将来におけるテロ等の犯罪行為を容易にし、今後の警備実施などに支障を及ぼす恐れがあるとみとめられるため」と通知している。

 しかし、本件の愛知県警察(機動隊)の沖縄の基地工事の警備のための派遣目的は高江ヘリパッド建設工事に限定されていること、一部未完と補修箇所を残しているが、すでにほぼ工事は完了していること、請求人からの開示要求が公金の支出に限定されていること、警備計画への情報開示ではないこと、テロ行為を敢行しようとする勢力は具体的に存在していなかったこと、また将来存在すると予測される蓋然性はないこと、仮にかかる勢力があったにしても、本件のような特殊限定的事例の研究は何ら役にたたないこと等を参酌すれば、非開示の理由は、理由として合理性かつ相当性がなく、不当であり、公金支出の情報非開示の理由とは何ら相当因果関係がない。

 本件住民監査請求申立につき、情報不開示による立証不能の不利益が住民に課せられるとすれば、それは、県民の住民監査請求権という基本的人権そのものを侵害し、否定することになる。 

 2 実質審理の開始を要望する

 住民監査請求は、地方公共団体の住民が、当該団体の執行機関又は職員の違法又は不当な職務会計上の行為又は怠る事実について、これを予防し、又は、是正することで、住民全体の利益を護ることを目的とするもので、かかる権利の侵害は公序に反し、公共の福祉にも反する。

 監査委員におかれては、審理を実質的に開始して、監査委員より棒給等支払担当者より、支出額の実態と公金支出理由、その原因及び先行行為につき十分に聴取して、情報の公開を求め、かつ県民の意見聴取及び証拠の提出を認めて、誠実に本件申立に対処されるよう要望する。仮に情報公開がされないため、特定が不十分であるとして実質的審議が行われないとすれば、いったん行政が情報公開を拒否すれば、違法な支出を争う道がなくなることになる。このような県による違法な行為のやり得を愛知県監査委員が見過ごされることのないよう強く要望する。    

 

                 添   付   書   類 

1、請求委任状(原本)
2、事実証明書 第1号証~第78号証
3、主張事実と事実証明書の対比表
4、事実証明書に関する説明書

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