世相を斬る あいば達也

民主主義、資本主義とグローバル経済や金融資本主義の異様な違いについて

●“糠喜び”したくなるコラム 黒田敗北宣言とアベノミクス終焉

2016年09月24日 | 日記
アホノミクス完全崩壊に備えよ (角川新書)
浜 矩子
KADOKAWA/角川書店


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●“糠喜び”したくなるコラム 黒田敗北宣言とアベノミクス終焉

 日銀の黒田総裁の歯切れが、劇的に悪くなった。日銀内の不協和音が聞こえてきそうだ。以下の二本の専門的でわかり難いが、要するに、日本経済を、金融政策で不況を好況に変えようと、色んな麻薬を試してみたが、どうにも薬効虚しく、ホスピス行きをお薦めしようかと、担当医が匙を投げた雰囲気が漂っている。

 まあ、お札を沢山刷れば、きっと、数年後に物価の上昇局面が来るから、今の内に投資や消費に金を回そう、そう企業や個人消費者が思うに違いないという発想で始めた日銀黒田総裁の「異次元金融緩和、マイナス金利導入等々」だったが、薬効虚しくと言えないので、グチャグチャ、訳のわからん聞き慣れない言葉を羅列したが、どうも、もう無理ですから、お後は、安倍官邸と財務省で良しなに、と宣言したように思える。

 あれ程のキャリアの人物ともなると、経験則に裏打ちされた金融政策のプロだろうが、安倍官邸の経済政策担当も含めて、どうも、日本と云う国の経済状況と、日本国民のマインドに関して、まったく理解できておらず、頭でっかちな理論武装で、国民や企業が踊りだすとでも思ったのだろうか。だとしたら、完璧な馬鹿である。あれだけ、財務省は「オマエラは借金だらけだ!国民一人当り、1千万円だぜ!」と洗脳された日本国民なんだから、そもそも、マインドが“チョイヤソイヤ”では上向かない。「スミマセン、ウソ言っていました。実は、政府の借金であり、皆さまの借金ではありません」そうでも言えば、多少はマインドも上向くが、口が裂けても告白はしないだろう(笑)。

 いずれにしても、黒田日銀の今回の「柔軟性や持続性を確保するために、さらに強化して長短金利操作付き量的・質的緩和にした」と云う声明の意味は、年内にも判るだろう。敗北宣言かどうか、明確ではないが、自動車で言えば、ニュートラルにギアを入れたまま、サイドブレーキを引いたような状況だ。急な勾配の道に駐車した場合、転がり落ちていくこともある、と言っている。早く、政府は社会保障制度を明確にし、国民に安心を与えなければならない。そして、企業各社は、日銀の異次元緩和で潤った利益を、トリクルダウンの渦に投げ込む必要がある。つまり、日銀はそれまで、これ以上の金融緩和やマイナス金利政策を加速させることはない。こう、黒田総裁は宣言している。

 つまり、ここから先は、パフォーマンス等ではなく、実効性と実体が伴った、政府及び企業の参加がカギである。今こそ、実体のある、言葉だけではないアベノミクスの妄言を、嘘ではなかったと、国民に実感して貰い、前向きな消費行動を起こして、蓄えが少なくなっても、最後には、国家のセーフティーネットが盤石になったから、爪に火を点すような生活感を捨てて、アメリカ人のように、後先構わず消費行動に出て欲しい(笑)。こう政府が社会保障の充実を約束し、企業が労働配分を適正に行わなければ、日銀は、今後一切、サイドブレーキを外すことはない。そう言っているようだ。まあ、難しい理論は、以下の専門家のコラムを読んでいただこう。


≪ 黒田日銀総裁まさかの「敗北宣言」は、アベノミクス終焉の前兆か
経団連の反発、クーデター説も…
「柔軟性や持続性を確保するために、(金融緩和を)さらに強化して長短金利操作付き量的・質的緩和にした」
 日銀総裁・黒田東彦は9月21日の記者会見で、こう表明した。しかし威勢の良い言葉とは裏腹に、黒田の表情はさえず、語り口は覇気に欠けた。 「これは黒田日銀が、これまで進めてきた金融政策のフレームワークの抜本的な転換です。敗北宣言と言ってもいいでしょう」
 市場動向に詳しいメガバンク幹部の一人はこう指摘する。 2013年春に黒田が日銀総裁に就任して以降、株価や為替、長期金利、そして日本経済そのものが、デフレ脱却を掲げ、異次元緩和というバズーカを放った黒田日銀への期待と疑念の渦中にあった。
 しかし黒田は、これまでの金融政策を大きく転換、事実上、異次元緩和の推進にブレーキをかけた。黒田の「敗北宣言」の舞台裏を『黒田日銀 最後の賭け』(文春新書)の著者・小野展克が分析する。

 ■「緩和効果なし」の衝撃
 大量の国債購入によってマネタリーベースの拡大を目指す「量」、ETF(上場投資信託)など日銀が購入する資産の幅を拡大した「質」、そして短期金利をマイナスに誘導するマイナス金利――。
 黒田日銀は、これまでの金融緩和の枠組みをフル稼働してきたが今回、さらに長期金利を操作目標に加えた。具体的には10年物国債の利回りをゼロに誘導する。 「金融緩和強化のための新しい枠組み」
 黒田は、今回の措置を「強化」と位置付けるが、実際には緩和的な要素は皆無だ。デフレ脱却に向けた新たなアクションは、まったくみられない。それどころか今回の措置は、むしろ「金融引き締め」の側面を持っている。
 21日の東京株式市場で日経平均株価(225種)は、前日比315円47銭(1.91%)高の1万6807円62銭と今回の日銀の決定を好感した。
 しかし、これは市場が警戒していたマイナス金利の深掘りが見送られた上、「長期金利のゼロへの誘導」が実際には長期金利の上昇を促し、金融機関の収益拡大を後押しする内容と受け止められ、金融株がけん引して日経平均が上昇したに過ぎないのだ。
 つまり、デフレ脱却が実現、日本経済が力強く成長する可能性を市場が感じ取ったわけではない、ということだ。
 これまで市場は、デフレ脱却に実現に向けて黒田が「何か次の一手を繰り出すだろう」との期待を膨らませてきた。
 しかし、2年と区切られた短期戦から長期戦へとシフト。黒田への緩和圧力は大幅に緩和され、黒田は、そう簡単には動かなくなるだろう。
 黒田が次に動くのは1ドル=100円を大幅に割り込むような円高の急伸や、金融システムを揺るがすような経済危機が起きた時に限られるとみる。市場に、そうした理解が広がるのに、そう多くの時間はかからないはずだ。

 ■聞きなれないキーワード
黒田の戦略転換の裏には何があったのか。
<適合的な予想形成――>
 黒田は、このところ聞きなれないキーワードを使い始めた。まさに、ここに肝がある。 2013年4月に黒田が異次元緩和を導入してから3年余りが過ぎた。しかし、2年間での達成を目指した消費者物価指数(CPI、生鮮食品除く)前年比2%の物価目標には遠く及ばなかった。2016年7月のCPIは前年比0.5%下落、5ヵ月連続のマイナスに沈んだ。
 では、なぜ黒田は目標を達成できなかったのか。
 今回、日銀は「総括的な検証」を公表、その理由を分析している。 物価が上昇するためには、予想物価上昇率、つまり人々の将来の物価観が重要なカギだ。実際、予想物価上昇率は横ばいから弱含みに転じている。
 日銀は、その背景について、①原油価格の下落、②消費税引き上げ後の需要の弱さ、③新興国経済の減速とそのもとでの国際金融市場の不安定な動き――を挙げている。
 さらに日銀は予想物価上昇率が形成されるメカニズムも説明している。そこには2つの軸がある。
 一つは「フォワード・ルッキングな期待形成」だ。
 日銀が2年で2%の物価上昇を実現すると表明することで、企業経営者や個人の中に将来、2%の物価上昇が実現するという期待が働く。
 この期待が強力であれば、多少、現実の目標から外れても、人々は「いずれ物価は2%に戻る」と考えるため、現実の物価も目標に向けて動くと考える。こうした状況は、
 物価上昇率が「アンカーされている」と表現される。
 もう一つが「適合的な予想形成」だ。
 これは、足元の物価の動きに、人々の物価観が縛られている状況だと言える。アメリカと比べて日本は、この適合的な予想が、予想物価上昇率の形成に強く影響しているという。
 日本では春闘などの賃金交渉で、前年度の物価上昇の動きを参照して賃金決定が行われる傾向が強い。いくら日銀がフォワード・ルックンギに物価上昇を示しても、過去のデフレに基づいて給与が増えないのでは、消費意欲は沸かず、物価上昇への期待は盛り上がらないという説明だ。

■黒田の言い分
 黒田は今回の決定に先立つ9月5日の講演で、適合的な予想形成について、こう説明している。 「日本の場合は、長期にわたるデフレのもとで目標となる物価上昇率が実現できていないこともあって、『適合的な予想形成』の影響が大きいことが知られています。 『これまで長年にわたって物価が上がってこなかったのだから、今後も物価は上がらないだろう』との見方が人々の間に根付いているということです」
 異次元緩和の本質は、円の供給量は爆発的に増大させることで、その価値を破壊することにあった。人々の中に巣くう円という通貨への過剰な信用を叩き潰し、モノやサービスへの欲望を取り戻させることが、異次元緩和という壮大な実験のテーマだった。
 しかし、3年を超える異次元緩和を経ても、人々の円への偏愛は揺るがず、デフレマインドを解消することはできなかった。異次元緩和の限界について黒田自身が分析した言葉が、適合的な予想形成と言えるだろう。

■まさかの「経団連の反発」
「銀行の収益のために仕事をしているわけじゃない。マイナス金利は、まだ深掘りできる」
 黒田は最近まで周辺に強気の姿勢を貫いていた。実際、デフレが脱却できていない状況を受けて、「一段のマイナス金利深掘りの可能性を探っていた節がある」(関係者)という。
 しかし、マイナス金利への反対は根強く広がっていた。経団連会長の榊原定征は今回の日銀の決定の前の9月9日の記者会見で、こう語った。
 「マイナス金利をめぐっても、プラスとマイナスの両方の側面があるので、導入から半年という一つの節目の中、功罪両面を検証してほしい。プラスの効果は間違いなくあるものの、現象としては、金利を下げて、設備投資を拡大するという目標に対して大きな効果は出ていない」
 榊原の言葉は、明確にマイナス金利拡大を牽制したものと言えよう。マイナス金利は、利ザヤ縮小を通じて、銀行収益にダメージを与える。また生保や年金資金の運用を難しくする側面もあり、金融機関の反発は、黒田も織り込み済みだったはずだ。 しかし、マイナス金利は長期金利の低下を促し、社債やCP(コマーシャルペーパー)の利回りを引き下げ、企業の資金調達環境は大幅に改善させた。
 低利で資金調達できるメカニズムを作動させ、企業に積極的な設備投資を呼び起こすことが黒田の狙いだったはずだ。
 しかし、本来ならマイナス金利の恩恵を得られる大企業の団体である経団連からノーを突き付けられたことは、黒田に計り知れないダメージを与えたはずだ。 榊原の言葉からは、日本の大企業経営者が、デフレマインドを払拭できず、日本経済の明るい未来を描けていないことが読み取れる。
 大企業経営者が、黒田が与えたマイナス金利というチャンスを生かせないのでは、日本経済に好循環は訪れない。大企業経営者こそが、「適合的な予想形成」の罠に捕らわれていると言えるだろう。

 ■白川派のクーデター?
 さらに、今回、新たに導入した「イールドカーブ(利回り曲線)
 コントロール」は、金融機関への配慮がにじむ。
 これは長期金利の指標となる10年物国債の利回りを、おおむねゼロ%程度で推移するように誘導する仕掛けだ。マイナス金利の導入で、マイナス圏に沈んでいた10年物国債の利回りは21日に一時、半年ぶりにプラスに転じた。
 長期と短期の金利に差が生まれたことは金融機関の収益を改善する。ただ、その一方で長期金利に上昇見通しを生み出したことは、ある意味で金融引き締めの側面も持つ。本来なら景気には決してプラスではない。
 さらに、今回の日銀の発表文には、黒田が推進した年80兆円の国債購入を自戒するかのような文言も記されている。 「あと1年強で、マネタリーベースの対名目GDP比率は100%(約500兆円)を超える見込みである(現在、日本は約80%、米国・ユーロエリアは約20%)…」
 異次元緩和による国債購入の突出ぶりを、国際比較で描き出す文言は、異次元緩和の行き過ぎに自らくぎを刺しているようにも読める。 日銀の動向に詳しい金融関係者は、こう分析する。
「今回の決定の裏では、異次元緩和やマイナス金利を推進してきた黒田総裁、岩田副総裁の指導力が低下、白川前総裁に連なる伝統的な日銀マンである中曽副総裁に、主導権が移ったのではないでしょうか。これは一種のクーデターのように思えます」
 アベノミクスを牽引してきた黒田の異次元緩和にはブレーキがかかった。これでデフレ脱却のボールは首相の安倍晋三へと投げ返されたことになる。 (文中敬称略)
 ≫(現代ビジネス>経済・企業>財政・金融・小野展克)


 ≪ 円安期待なき日銀新スキームの矛盾と限界
[東京 22日] - 日銀金融政策決定会合と米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催された21日の主要通貨の動きを見ると、円が独歩高となり、2番目に強かった豪ドルに対しても0.4%程度上昇した。一方、米ドルは英ポンドと並んで最弱通貨となった。
 ドル円相場は日銀金 融政策発表後には一時102.79円まで上昇したが、その後、黒田東彦日銀総裁が記者会見を始めたころから反落基調に入り、米ニューヨーク(NY)時間午前中には100円台半ばまで下落。そして、NY時間午後にFOMCが政策金利据え置きを発表した後、米長期金利低下に沿う形でドルが徐々に弱含み、本稿執 筆中の日本時間22日午前6時現在、8月26日以来となる100.30円程度まで下落している。
 最初にマーケットの反応が比較的小さかったFOMCの結果から見ると、政策金利は大方の予想通り据え置かれたが、声明文には「フェデラルファンド(FF)金利を引き上げる根拠は強まった(the case for an increase in the federal funds rate has strengthened)」との文言が加えられたほか、ジョージ・カンザスシティー連銀総裁、メスター・クリーブランド連銀総裁、ローゼングレン・ボス トン連銀総裁の3人が利上げを主張して決定に反対した。
 こうした点は予想よりタカ派的であり、米長期金利も声明文発表直後には上昇したが、結局上昇は続かず反落した。注目された2016年中のFOMCメンバーの予想政策金利、いわゆるドットは、3人が年内の利上げなし、10人が1回の利上げを予想した。この結果はほぼ想定通りであり、当社は引き続き12月の利上げを予想している。
<総括検証と政策枠組み強化「同時実施」の違和感>
 それより12時間以上前に行われていた日銀の金融政策決定会合では、「総括的な検証」を踏まえて、2%の物価安定の目標をできるだけ早期に実現するために「政策枠組みを強化する」策が決まった。
 この結果を受けて、東京市場では長期金利が上昇。また、マイナス金利の深掘りがなかったことから、銀行・生保株が大きく上昇し、日経平均株価を押し上げた。為替市場も一時円安となった。
 もっとも、前述の通り、その後円高基調へと反転し、ドル円相場はNY時間朝方には21日の上昇分を全て帳消しにした。結果的に円が買い戻され、1日を通して見れば独歩高となったのは、市場参加者が日銀の金融緩和政策に限界を感じ始めたからだと考えられる。
 まず、総括検証の対象は、5日と8日に黒田総裁と中曽宏副総裁がそれぞれ講演ですでに明らかにしていたように、「2%のインフレ率が実現できていない要因」と「マイナス金利政策の効果と影響」だ。
 「2%のインフレ率が実現できていない要因」としては、予想物価上昇率の期待形成メカニズムが、現実の物価上昇率の影響を受けるバックワード・ルッキング(適合的)であることが示された。
 もう1つの総括検証の対象である「マイナス金利政策の効果と影響」については、マイナス金利と国債買い入れの組み合わせはイールドカーブに対して強い影響を与えるが、長期金利の低下には悪影響もあることが示された。
 21日の発表がここまでで終わっていて、これらを踏まえ、政策枠組みの強化策を次回会合で発表する、ということであれば、さほど違和感もなかったかもしれない。また、追加緩和策に期待も残ったのかもしれない。
 もっとも、日銀は 「フォワード・ルッキングな期待形成」を強める手段として、「オーバーシュート型コミットメント」を導入した。これは、従来の「2%の物価安定の目標を安定的に持続するために必要な時点まで現状の金融緩和政策を続ける」というメッセージから、「物価上昇率の実績値が安定的に2%の物価安定の目標を超えるまで、マネタリーベースの拡大方針を継続する」というメッセージへの変更のようだ。つまり、「2%の物価安定の目標を超えるまで」という点がポイントらしい。
 とはいえ、今まで行ってきた3次元の緩和政策では、人々の予想物価上昇率の期待形成メカニズムをバックワード・ルッキングからフォワード・ルッキングに変えられなかったと認めている。特に新たな緩和策を導入せずに、なぜ 人々の予想物価上昇率の期待形成メカニズムがフォワード・ルッキングに変わるのだろうか。「2%に届かせる」と言っても信じてもらえないのに、やっていることも変えずに「2%を超えるまで」と言い換えても誰も信じないだろう。
<イールドカーブ・コントロールの矛盾>
 もう1つの政策枠組み強化策として、日銀は 「イールドカーブ・コントロール」を導入した。内容としては、日銀当座預金のうち政策金利残高に課す金利(短期金利)をマイナス0.1%に維持する一方、 10年物国債金利(長期金利)がおおむね現状程度(ゼロ%程度)で推移するよう、長期国債の買い入れを行う、というものだ。
 まず、そもそも、このイールドカーブ・コントロール政策は何のために行うのだろうか。仮に、これが2%のインフレ率実現に向けて適切なイールドカーブを形成するため、ということであれば、なぜ現状程度のイールドカーブの形状が適切と言えるのかについて説明がない。日銀は10年物国債金利をゼロにアンカーさせることに重点を置いているようにも見えるが、なぜ10年物国債金利のゼロ%が適切なのだろうか。
 恐らくイールドカーブ・コントロール政策導入の理由は、「イールドカーブがフラット化し過ぎることを避けるため」だろう。そうだとすれば、これは明確に金融緩和政策ではないと言える。 イールドカーブがおおむね現状程度の水準から大きく変動することを防止するために、日銀は、 金利が上昇した場合などには、例えば10年金利、20年金利を対象にした指値オペを金額無制限で実施する用意があるとしている。ここで、矛盾を感じるのが、無制限でオペを実施するとしながら、国債の買い入れ額は、おおむね現状程度のペース(年80兆円増)としている点だ。イールドカーブの形状を維持するために無制限に売買するのであれば、年間の買い入れ額は約束できないのではないか。
 仮にイールドカーブに強い上昇圧力がかかるとすれば、日銀が購入しなければならない国債は従来以上となり、これまでもくすぶっていた国債購入の限界到達が早まることはないのか。
 一方、イールドカーブに強い低下圧力がかかるとすれば、日銀は国債を売却することになるが、これは量的緩和の段階的縮小(テーパリング)の模索どころか、明白な縮小になり、これまでの量的緩和政策の効果を否定することにならないか。
 イールドカーブ・コントロール政策と量的緩和政策は矛盾しているように見える。そして、そもそも、中央銀行は本当に長期金利をコントロールできるのだろうか。
<さらなる実質金利低下と円安進行は期待薄>
 最後に言い添えれば、日銀は今回の決定で「政策枠組みを強化する」というが、何を強化する政策なのかが分かりにくい。少なくとも「追加緩和」だったとは言えそうにない。
 そして、その結果、市場には金融緩和政策の限界論が強まる可能性が高いと考えられる。その場合、もっとも分かりやすいマーケットへのインプリケーションは円高だろう。
 すでに日銀は 事実上、量的緩和政策の効果を半ば否定し、長期金利が低下し過ぎることを警戒して金利を固定し始めた(予想物価上昇率の期待形成メカニズムを根本的に変えるのは難しいことが露呈した)。こうなると、日銀の金融政策が急速な円安を発生させることは、期待できなくなってきたようにも思える。
 また、マイナス金利の深掘りを避け、10年国債金利をゼロ%にアンカーすることとし、イールドカーブも現状程度を維持することを目指すという政策の採用は、金融機関収益に配慮する側面が強いとも言えそうだ。よって、マイナス金利深掘りのハードルは引き続き高いとも言える。
 つまり、日本の名目金利は、しばらくここから大きく低下することはなさそうだ。そうだとすれば、日本の実質金利の動きは期待インフレ率に委ねられることになる。21日に決定した政策で日本の実質金利を低下させる方向に働きかけたのは、文言を多少修正したオーバーシュート型コミットメントだけだ。この観点から 見ても、日本の実質金利に低下圧力がかかり、円安方向への影響が出てくるのは難しそうだ。

* 佐々木融氏は、JPモルガン・チェース銀行の市場調査本部長で、マネジング・ディレクター。1992年上智大学卒業後、日本銀行入行。調査統計局、国際局 為替課、ニューヨーク事務所などを経て、2003年4月にJPモルガン・チェース銀行に入行。著書に「インフレで私たちの収入は本当に増えるのか?」「弱い日本の強い円」など。 *本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。*本稿は、筆者の個人的見解に基づいています。
 ≫(ロイターコラム:佐々木融JPモルガン証券ー編集:麻生祐司)

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