世相を斬る あいば達也

民主主義、資本主義とグローバル経済や金融資本主義の異様な違いについて

●大丈夫なのか? 立法・行政が不安だらけの韓国の原発

2017年03月09日 | 日記

 

超ソロ社会 「独身大国・日本」の衝撃 (PHP新書)
クリエーター情報なし
PHP研究所


●大丈夫なのか? 立法・行政が不安だらけの韓国の原発

 東京電力のフクイチ原発事故は、天災と云うよりは人災と言っても過言ではなかった。最悪の事故ではあったが、それでも偏西風の影響で、首都圏の放射能汚染の被害が相当程度軽減されたであろうことは確かだ。無論、太平洋が汚染されて結果オーライとは言えないが、直接的に首都圏が襲われなかったことは、不幸中の幸いであった。

 フクイチの原発事故の影響が落ち着いてきたと云う表現をするのは尚早だが、パニック的な状況は取りあえず脱した、そう表現しても良いのだろう。幾分、フクイチ原発事故の喧騒が一段落した今日この頃、偏西風の風上にある原発は大丈夫だろうかと日本地図を眺めてみた。新潟の柏崎刈羽原子力発電所、石川の志賀原子力発電所、福井の美浜、敦賀、高浜、大飯原子力発電所、島根のもんじゅ、島根原子力発電所等々の立地は、偏西風を背中に背負った原発であり、一旦事故が起きた場合は、首都圏及び日本全体への放射能汚染は、想像を絶するものになる可能性は大きい。

 筆者の知り限り、日本の行政や電力会社の原発運営管理統治能力は、最低限レベルをクリアしているものと思われていたが、フクイチで知ったことは、それすらも危ういという事実である。その後の、原子力規制委員会の対応をみても、原発行政の深耕ありきと云う態度なのだから、その危うさは推して知るべしと云うところだろう。そんなことを考えながら、もう少し地図を引いて眺めてみると、隣国、韓国の原発もずらりと日本海沿いに立ち並んでいた。古里原子力発電所、ハヌル原子力発電所、月城原子力発電所、ハンビッ原子力発電所の4原子力発電所に30以上の原子炉を抱えていると云う現実だ。

 原子力発電所の立地は国境に応じて、その国及び運営企業が管理しているわけだが、仮に、当該原発において事故が起きた場合、そこから発生する放射能、特に放射性物質セシウム137は、国境など人的境界線とは無関係に、拡散することは言うまでもない。そもそもの隣国韓国の科学技術を云々するつもりはないが、日本で起きたことは韓国でも起き得るわけである。ここ最近では、韓国の立法、行政機能が不全を起こしているニュースに接する機会が多いだけに、万が一に十分対応出来るのだろうか、他人事ながら不安になる。そんな折、朝日に気になる記事が載っていたので、以下、紹介しておく。


≪ 韓国の原発銀座で惨事なら 「西日本の大半避難」の推定
原発の重大事故で、西日本の大半が避難を余儀なくされる――。そんな計算結果が、ひそかに関心を集めている。日本の原発が舞台ではない。海を挟んだ隣国、韓国での原発事故を想定した話だ。

■韓国人の学者が警鐘
 シミュレーションをしたのは、韓国人の核物理学者で現在、米ワシントンのシンクタンク「天然資源防衛委員会」(NRDC)の上級研究員を務める姜政敏(カン・ジョンミン)博士(51)ら。カン博士が昨年10月末に韓国で発表し、その後も日韓での核問題関連の集会で警鐘を鳴らしている。国際会議で来日したカン博士に話を聞いた。
 カン博士らがシミュレーションの舞台に選んだのは、韓国南東部、釜山市の海沿いにある古里(コリ)原発だ。古里は、軍出身の朴正熙(パク・チョンヒ)独裁政権時代の1978年に1号機が完成した韓国最古の原発。韓国内で商業運転する25基のうち7基が海沿いに並ぶ、韓国最大規模の「原発銀座」だ。  ここでは原発の運転で生じる「使用済み核燃料」を、各原子炉に隣接する貯蔵プールで冷却、保管している。しかし、使用済み核燃料はどんどん増えており、間隔を詰めて「密集貯蔵」している。このうち古里3号機には、韓国の原子炉別では最も多い818トン分の使用済み核燃料(2015年末)が貯蔵されている、とされる。貯蔵プールが手狭になった1、2号機の使用済み核燃料も移送され、3号機で保管しているためだという。
 カン博士はこうした貯蔵方法の危険性を指摘する。もし災害やテロなど、何らかの原因で電源が喪失し、使用済み核燃料を冷やす機能が失われ、温度の急上昇で火災が起きたらどうなるのか。博士らは、この3号機の使用済み核燃料プールで冷却機能が失われ、燃料プールの水位の低下で使用済み核燃料がむき出しになって火災が起き、さらに建屋内に水素ガスが充満して爆発した事態を想定。使用済み核燃料に含まれる放射性物質セシウム137が次々と気体化して大気中に放出された場合、どのように拡散するかを検討することにした。
 15年1月1日に事故が発生したとし、それから1週間の実際の天候状況や風向き、風速などをもとにセシウム137がどのように拡散し、地表に降下するかをコンピューターで計算。放射線防護に関する国際基準などをもとに、避難を余儀なくされる地域の面積と人口、さらにセシウム137の半減期にあたる30年を超えても避難し続けなければならなくなる地域を算定した。
 その結果、明らかになったのは、最も大きな被害が予想されるのは、原発事故の当事国である韓国ではなく、日本になるということだ。韓国では最大54000平方キロメートルが避難対象地域になり、最大2430万人が避難を余儀なくされる。これに対し、日本では最大67000平方キロメートルが避難対象地域になり、最大2830万人が避難を迫られる、というシミュレーション結果が出た。被害は南北軍事境界線を挟んだ北朝鮮や中国など広範囲に及ぶ。セシウム137の半減期である30年が過ぎても引き続き避難したままとなるのは最悪の場合、韓国では1900万人、日本は1840万人、との計算結果が出た。
 このような最悪の事態を起こしてはならないが、カン博士は「これまでは幸いにもこうした事故が起きていないが、早めに対策をとる必要がある」と主張する。

■偏西風で「日本に被害」
 カン博士の今回のシミュレーションは、使用済み核燃料を想定対象としたが、古里原発を含めて韓国の原発のうち19基は、日本海側の海沿いに並んでいる。こうした原発で、放射性物質が漏れ出すような事故が起きた場合、西から東へと吹く偏西風の影響によって放射性物質は風に運ばれて海を越え、日本列島の広範囲に及ぶおそれがあるという。カン博士は「特に強い偏西風が吹く冬に事故が起きたとすれば、深刻な被害はほとんどが日本に及ぶでしょう」と指摘する。
 カン博士は、原発を動かせば必ず生じる使用済み核燃料の危険性に気づいて欲しいと、このようなシミュレーションを試みた。1986年、ソ連のチェルノブイリ原発事故に伴って大気中に放出された放射性物質の大半を占めたのがセシウム137だった。チェルノブイリ原発事故で放出されたと推定されるセシウム137の総量は約200万キュリーと推定されている。
 一方、使用済み核燃料1トン分に含まれるセシウム137は約10万キュリーという。つまり計算上は、使用済み核燃料20トン分に含まれるセシウム137が、チェルノブイリ事故に匹敵することになる。この20トンというのは、平均的規模の原発(軽水炉)を1年間運転すれば生じる使用済み核燃料の量という。つまり、原発1基を1年間稼働すれば、チェルノブイリ原発事故の被害に匹敵する放射性物質を含む「核のゴミ」を作り出していることになるのだ。
 原発推進策をとる韓国だが、使用済み核燃料の最終処分方法は定まらない一方、原子炉ごとの使用済み核燃料プールはどんどん余裕がなくなっている。カン博士によると、プールで貯蔵する使用済み核燃料棒の間隔の幅を少しでも広げることで、火災発生の危険性を下げられるという。そのため、「5年ほどは使用済み核燃料の熱をさげるために貯蔵プールで冷却し、その後は専用の密閉容器の中で空気で冷却する『乾式貯蔵』をとりいれるべきだ」と提案する。
 さらに、カン博士が何よりも訴えたいことは、核の惨事において東アジアは「運命共同体」である、という点だ。日本、中国、韓国とも国策として原発の稼働や増設を推進し、商業炉は日中韓で計約100基に達する。核実験を繰り返す北朝鮮の寧辺(ニョンビョン)にも核開発関連施設が集まる。地球儀を眺めれば、私たちが暮らす東アジアは、世界的にもまれな核施設の「密集地域」と言える、というのだ。
 もし核の惨事が起きれば、その被害は気象条件によっては東アジアの広範囲に及ぶおそれがある。韓国で起きれば日本へ、中国で起きれば韓国、日本へと、被害地域は偏西風の流れに沿って東側に広がる可能性が高い。カン博士は「だからこそ、自国だけでなく隣国の核問題にも関心を持たなければならないし、使用済み核燃料をはじめ、核施設の安全管理の面で日中韓が協力しなければならない」と指摘する。
 原発から出る使用済み核燃料をめぐっては、日本政府はこれを再処理してプルトニウムを取り出し、ウランと混ぜたMOX燃料にして再び原発の燃料にするという「核燃料サイクル」政策を維持している。だが、日本のプルトニウムの保有量は約47・9トン(2015年末、国内外)に達する半面、政府が描いた核燃料サイクルはうまく機能していない。日本のプルトニウム保有量が「核兵器約6千発分」に匹敵する膨大な量であることから、関係国の核専門家らは「日本は潜在的な核武装能力を保持しようとしているのではないか」と懸念している。
 ただ、こうした日本の核政策は、韓国の核推進論者の間で格好の「模範」とされ、「韓国でも使用済み核燃料の再処理の実施を」という主張を後押ししている。核政策も海を越えて、互いに影響を与えあっているのだ。カン博士は「日本でさらにプルトニウムの量が増えれば、地域の緊張を高め、周辺国にプルトニウム保有の口実を与えるだけだ」と警告する。
 チェルノブイリや福島の原発事故を通して、私たちは核惨事の被害に「国境」はないことを学んだ。重大な事故が起きれば、隣国や周辺国に取り返しのつかない甚大な被害を与えるおそれがある。福島の原発事故から6年。私たちはもう一度、教訓を思い起こし、日本はもちろん、近隣国の原発・核問題にも関心を持ち続けなければならない。    
  ◇  
なかの・あきら 1994年、朝日新聞社入社。東日本大震災直後の2011年4月~14年3月、ソウル支局で勤務。16年4月から現職(編集委員・中野晃)
 ≫(朝日新聞デジタル)


なぜアマゾンは1円で本が売れるのか ネット時代のメディア戦争 (新潮新書)
クリエーター情報なし
新潮社
『政治』 ジャンルのランキング
コメント   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« ●“豊洲の責任我にあり” 断言... | トップ | ●孫正義という男 世界一の投... »
最近の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。

あわせて読む

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL