世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

●扱いにくい新興国のパワー 維持困難な20世紀の覇権

2015年01月05日 | 日記
資本主義という謎 (NHK出版新書 400)
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●扱いにくい新興国のパワー 維持困難な20世紀の覇権

 本日も小生は高角望遠鏡の罠に嵌っている(笑)。まずは目についたニュースは以下の中国スマホメーカーの大躍進の記事である。記事の中でも触れているが、「知的財産権を侵害している」つまり、研究開発費をネグって、他企業の知的財産をパクって、創業たったの5年で売上1兆円に達したのだから、訝るのも当然だ。しかし、現に、5年で1兆円企業が出来たのも、中国やインドなど開発途上国のパワーは侮れないことをも示している。たしか、インドには製薬に関しての他国の知的財産権認めない大胆さもあるわけで、こういう日欧米のいかがわしい仕組みを無視する辺り、毛嫌いする面であると同時に、敵わんな、この厚顔無恥度にはと云う印象もある。

 ≪ 中国スマホメーカー、創業5年目で売上高1兆円の急成長
中国のスマートフォンメーカー「小米科技(シャオミー)」は4日、2014年の売上高が前年の約2・4倍の743億元(約1・4兆円)になったこと を明らかにした。日本ではまだ販売していないが、創業5年目の会社が売上高が1兆円を超えるのは世界でもまれとされており、急成長で世界の大手メーカーと を並べようとしている。
 シャオミーは2010年4月に北京で創業し、高性能のスマホをインターネットで安く販売する手法によって中国で爆発的な人気を集めてきた。14年のスマホの販売台数は前年の約3・3倍の6112万台に達し、日本全体の販売台数のほぼ2倍を売り切った。
 米国の調査会社IDCによると、14年7~9月期にはスマホの世界シェア3位に躍り出て、米アップルや韓国サムスン電子を追う存在に名乗りを上げた。スマホのほかにもテレビや空気清浄機などの家電へ商品を広げてもいる。
 シャオミーは中国のほかにインドなど6カ国・地域にも進出している。創業者の雷軍・最高経営責任者(CEO)は従業員向けの年初のメールで、「今年はさらに多くの国外市場へ進出する」と宣言した。  先行するメーカーからは、技術面で「知的財産権を侵害している」という批判も起き始めた。今後、シャオミーが日米などの先進国に販売を広げるかが注目されている。 ≫(朝日新聞デジタル:北京=斎藤徳彦)


 このような新興国、開発途上国も、我こそはと云う勢いで、欧米の怪しげな、老化の著しい資本主義と民主主義のセット販売をこれ以上守ることは不可能に近くなっているのだろう。現時点では、まだセット販売しているシステムが崩壊していないので、プロパガンダが成り立つわけでが、アチコチから、このセット販売システムが御法度破りに遭遇し、秩序を徐々に崩壊させることは、論を待たない。

 近代資本主義が、製造を捨て、金融に頼ったがために、その仕組みは資本主義にして資本主義ではなくなった。IT金融主義は資本主義の限界が明確になった故に産まれた“鬼子”だが、それもこれも、世界に君臨していた通貨基軸「ドル」があったからに相違ない。米英に対抗する覇権構造として姿を現した中露のユーラシア共同体構想的な関係は、表向き「元とルーブルの通貨交換」と云う姿を見せているようだが、裏では「金の交換」でなされるのではないかと云う穿った論も紹介されている。

 米英は、新興国、新興資源国家の生意気な力を削ぐために、原油戦争、鉱物資源戦争と通貨戦争をミックスして、IT金融主義で勝利乃至は延命を試みているのだろうが、基軸通貨などと云うもの、世界貿易の中で10~20%流通量が減少しただけで、その信頼性は一気に萎むのだろう。米英の資本主義が崩壊したにもかかわらず詐術的にウォール街さえ元気にしておけば(株価=景気)と云う、バーチャルな経済世界を劇場の公演に乗せただけのことで、人類は見たり聞いたりは出来るのだが、味わうことが出来ない「マネー教」の取り巻き信者にさせられるわけである。衣食住に関係がないし、嗜好品でもない「マネー」が人類に役に立つのは、“ヒト・モノ・カネ”がセットの時だけだと、近々気づくのだろう。

 米英覇権にとって、世界に君臨する源泉は1、軍事力、2、外交戦略、3、資本主義で産みだされた経済力、4、ドル基軸通貨(IMF,世界銀行支配)5、先進科学技術、6、覇権国プロパガンダ機能等々だが、3の本来の資本主義の崩壊により、似て非なる「IT金融主義」で穴埋めしようとしたが、“ヒト・モノ・カネ”を介在させて資本を蓄積できなくなった。つまり、すべてに裏打ちされた実体を伴う“ヒト・モノ・カネ”と資本の蓄積、及び再投資の循環を放棄し、IT金融主義による資本の蓄積に頼らざるを得なくなった。つまり、資本主義のヒト・モノをグローバル化で失い、カネ(マネー)だけが残った。

 1の軍事力も3による経済力の低下に伴い、単独で世界を牛耳るパワーは失われ、謀略や諜報活動で弱点を補い、親米国を巻き込むことで力を保っている。本来の軍事力と云うよりも、他力に頼る傾向が強まっており、絶対的ではないし、他力が常に米国に忠誠的である保証はない。無論、比較において、米国の軍事力は今でも世界一ではあるが、核使用の怖れある国をコントロールする能力には欠けている。核の実用化が近代的になっている、ロシア、中国との核バランスは、危うい状況のままだ。また、アメリカ国民が自ら犠牲になる軍事力行使に厭戦的であり、政治がその選択をする世論は盛り上がらない。

 外交戦略は、そのような事情の中、謀略や諜報活動による軍事力行使状況を行い、それに、覇権国プロパガンダ機能を発揮させる流れになっている。スノーデン事件のような出来事が起きる状況を、覇権国・米国は常に抱える国家になっている。4のドル基軸通貨(IMF,世界銀行支配)も綻びが見られ、BRICSが推進する機構の誕生により、ドル基軸のメリットに齟齬が生まれ、米国一国が、世界のマネーをコントロール出来る唯一の存在も脅かされつつある。

 5、6の先進科学技術と覇権国プロパガンダ機能だけが、まだ優位性を保っている。米国にしてみれば、先端科学やプロパガンダ機能の権威で差別化を図り、マスメディアを通じて、世界の潮流に変化の兆しが生まれていないような土壌を作るのに躍起となっているが、資本主義に変わるダミーな「IT金融主義」を己のコントロール下に置く為に必要だったIT技術を世界に広める行為が、プロパガンダ機能の抵抗勢力として抬頭してきている。

 現在目の前で、世界的に起きている様々な地域における出来事を、強大だった米英覇権が徐々に力を失いつつある時代であり、BRICSを中心にその力と対等な力量を見せはじめている現状は、覇権の移行期と云うものが無血で起きるのかどうかを目撃できる世紀に生きていることに感謝したい。小生が死ぬまでに、その移行が行われるかどうか、是非とも目撃したいが、無血の覇権移行となると、長い時間が必要なのかもしれない。そうなると、或る国家が、旧覇権陣営に居るか、新覇権陣営に属するか、器量が問われることになるのだろう。

ナショナリズムの現在――〈ネトウヨ〉化する日本と東アジアの未来 (朝日新書)
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1 コメント

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アジアの中心に (おじん)
2015-01-05 15:55:06
中國・インドは、アジアの経済を。

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