想いを風に乗せ

 

7章~想いを風に乗せ~

sink








──最近、思った事がある。

    彼女と過ごしたあの時間は、夢だったんじゃないかって・・・。












──ここの所私は毎日海岸を見つめている。


    教会から響く鐘の音と、海から吹く風は、そこに何かを運んでくれる気がした。




 ──私、忘れたままでいいのかなぁ・・・



  思い出す事は怖い・・ でも。



 絶対に忘れちゃならない「何か」を忘れた。

   そんな気がする・・。



 オレンジの収穫も終わりに近付いたある日。
  私はそこで空を見ていた。



    考える度に切なくて、でも、思い出せない。


気が付くといつも私の手にはあの手紙が握られていて、私はそれを眺めていた。


 私は無意識に、その手紙を広げてこう言った。








   「──ちゃんと届いてるよ、駆の気持ち・・・。」


 駆って人がどんな人かも知らないし、なんでこんな事言ったのかもわからないけど。 私の眼は涙で滲んでた。



 確かに、でもとっても不鮮明に、彼の名前は残る・・。


  
   きっと、この空の向こうに、私を待ってくれてる人がいる・・・。




















 ──ほんの一瞬だって、君の事を忘れた事なんてなかった。


     もし本当に手紙が着いたらって思う。


 戻ってきたら 彼女はまた悲しみを背負うかもしれない。


    ──でもね、思うんだ。


  本当の空って、その先に見えるものなんじゃないかな・・?















──今まで、思い出したくないって思ってた。


 幸せな自分を失いたくないと思ってた。


    でも、もっと大切な事、あるんだよね・・?




 ──わかってる、本当の空がそこにあるかもしれないって事・・。











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