5章~夏~

蒼く済み渡った空と海… 夏はそこにあった・・・


5章 ~夏~

不安で・・・眠れなかった・・・ 僕はその場で座っていた・・・
          何かを考えていたわけでもないけども、気が付くと、朝になっていた・・・

         美しく・・・そして、大きな朝日が昇る...

           後ろから、声がした、

輝:グッモーニンッ、

           軽い挨拶をする、朝からテンションが異常だ、

輝:空、寝てないんだろ? なんかあったのか?

空:はは・・・ 大丈夫だよ・・・

輝:変な夢でも見たんだろうけど・・・ 夢は夢なんだし、気にすんなよ、

   僕の表情を見ただけでここまで把握できるのは、輝だけだろう、

空:やっぱ、輝には隠しごとなんか出来ないか・・・

輝:昔から一緒にいるからな、大体わかるよ、

       僕と輝が会わない日はなかった... お互い、大体相手の考えていることがわかるし、その考えをお互い、理解しあっていた、
 
輝:ところで、水無瀬さんとはどうなんだ?

     そこまでわかっているとは・・・ いや・・・ さすがだ・・・

空:なんだ・・・ 気使ってくれてたのか・・・

輝:はは... で、どうなのよ?

空:輝が考えてるとおりだと思う・・・

輝:そうか、まぁ、お前なら大丈夫だろうけど・・・

空:頼むから・・・

輝:美氷や木乃には言わないから・・な?

     いや、むしろ・・・ 話させてくれ・・・

輝:んじゃ、先帰ってるから... 飯くらいは食えよっ、

空:あぁ・・・

        旅館はすぐそこだが、霞がかかっているため、旅館から僕の姿を見ることは出来ない・・・ 

   僕は、ゆっくりと歩き出す...  旅館の前に着くと、蒼海が待っていた、

蒼海:もぉ、何してたのよ?

空:散歩

蒼海:まぁ、いいわ、 もうすぐ朝ごはんできるってさ、

空:じゃあ、行こっか、

          本館の食堂で朝食を取る・・・

未来:空、どこ行ってたんだよ? 

空:海見に行ってたんだけど、結構綺麗だったよ、

輝:あ~ぁ、俺も行けばよかったなぁ、

   輝は、会いに来ていた事を知られないように話す、

光:今日もいっぱい遊ぼうねっ

蒼海:そうね、今日はあの岩場あたりまで行くからね、

  
    楽しい食事・・・ 少しの間、僕はあの夢のことを忘れていた・・・

   輝かしく、蒼く澄み渡った海、すがすがしい潮風・・・ 朝食を取った後、僕はそこに立っていた・・・

輝:空、寝てないんだろ? 大丈夫か?

空:あぁ、そりゃ、未来よりはましさ、 やばくなったら輝に助けてもらうし、

     未来は、泳げない側の人間の一人だ、

輝:ぇ、俺が助けるのか?

空:頼んだぞ、

未来:なぁ、空、泳ぎ教えてくれよ~、

空:ちっ、しょうがない・・・ 

蒼海:ぇ~、空も沖行こうよぉ~、

空:ん... 未来連れてゆっくり行くよ・・・

未来:な・・・ もしかして、あれか? 俺を足の着かない場所に連れて行くのか?

空:あぁ、そうだけど・・・

光:浮き輪持って行けば、大丈夫だよぉ、

空:助けてやっからさ、

未来:殺す気かよ・・・

空:やるからには、スパルタだよ、

輝:さてと、じゃあ、先行ってるから、ちゃんと着いて来いよ~、

         未来は、死に掛けながらも、沖に辿り着いた、


未来:ぅ・・きわを・・・ォプッ・・・よこせ・・・

空:なんだ、泳げるんじゃんか、

    浮き輪を渡す、


空:ゆっくり休んでな、潜る練習するなら別だけど、

未来:いぁ、やっぱいいや、潜るのは・・・

空:そうか・・・  お~い、輝、なんかいたか?

     輝と僕は、小学校の頃に潜りを体得してから、海に来るたびに潜っている・・・

輝:なんかっていうか・・・ サザエとかヒトデくらいしか・・・

       こういう場所のサザエは、勝手に採ってはいけない、

蒼海:キレーな魚とかいないの?

輝:さっきチラッと見えたんだけどさ、逃げられたんだ・・・

      輝は、また、すぐに潜っていった、

    僕も潜ることにした、 少し疲れていたが、ちょっとくらいなら大丈夫だろう・・・

     結構深い海だが・・・ 見通しはいいほうだった、

    ふと、上を見た・・・  そこには、美しく澄んだ色の魚がいた・・・

      

        僕は、その魚を手に持っていたケースに入れる・・・ 虫かごのようなケースに、しっかりと収まった、


   輝は、まだ何か探しているようだったが、僕は先に浮上した・・・


空:プハッ・・・

蒼海:おかえり、どうだった?

空:ん...

        僕は、ケースを手渡す・・・


蒼海:わぁ・・・ キレー・・・

光:初めて見る魚・・・

       その時、輝が浮上してきた、

輝:ふぅ・・・ だめだわ・・・

蒼海:あら、空はもうこんなに綺麗な魚を見せてくれたのに?

輝:ぐっ・・・ わかったよ・・・

       輝は、もう一度潜っていった、

光:私も、見てくるね、

    光も潜っていった、

空:蒼海は?

蒼海:あはは、無理無理、息続かないよ・・・

空:そっか、じゃあ、行ってくる、

     僕も、光の後を追いかけるようにして潜っていった、


   水無瀬・・・潜るのうまいな…




     海・・・とても綺麗な場所だ・・・
    
    輝は、銀色の煌びやかな魚を見つけ、浮上していった、

     水無瀬が、僕の横に来る・・・  
         二人で見た・・・遠い・・・遠い光・・・

 


  素潜りだということを忘れてはならない、
             息が続きそうにないので、2人は急いで浮上した・・・

光:ふぅ・・・

空:ぁ、あぶねぇ、もうちょっとで水飲んでた・・・

蒼海:おつかれ~、そろそろ、戻ろっか、

空:あれ、未来は?

輝:浮き輪にしがみついて頑張って帰ってるぞ、

    輝が指さした先には、頑張って泳いでいる未来の姿があった、30mは離れているだろうか・・・

光:追いつこ~、

蒼海:そうね、あの距離なら・・・

空:え、いや、マジで?

輝:しょうがない・・・ 空、やばくなったら言えよ

    4人は・・・ いや、たぶん、輝は本気ではないが、少なくとも僕は本気で泳いでいた、

輝:水無瀬さん、早いなぁ...

    すでに、僕らとは10m以上の差がある、

蒼海:ぁ、追いついたみたいね、

空:悪い、輝、そろそろやばいわ、

輝:ん、摑まれ、力抜いてくれれば頑張って泳ぐから、

      何分かして、僕らも未来に追いついた、


未来:ぅ・・・ お前ら早いよ・・・

蒼海:光ちゃん、すっごい早いねっ

光:あはは、そうかな?

      僕は、浮き輪にしがみついている、

未来:空、へばってるけど大丈夫か?

蒼海:疲れてるの?

空:大丈夫だよ、さっき潜ったとき息すぎただけだから、

        僕らは、海岸に戻り、海の家 という夏の出稼ぎ屋台で少し食事を摂った、

輝:やっぱ、こういうとこで食べると、なんでもうまいよな~、

蒼海:そうよね~、こういうのって、たまに食べるからおいしいのよね~、

    何なんだこの上から目線は、

空:未来、お前、大丈夫か?

    未来は、すでに体力をほぼ失っているかのように見えた、

未来:空、心配してくれるのか?

      まぁ、そんな風にしたの僕だし、それに・・

空:いや、昼からもやるから・・・

     ほんの冗談だが・・・

未来:殺す気・・・ですか・・・?

空:冗談だよ、てかさ、午後は何する?

輝:そうだな、ビーチバレーでもするか?

蒼海:それ賛成~、

光:私も、それ賛成ですっ

空:んじゃ、ボールとか借りて来ようか、

   午後も、雲ひとつない晴天、男女対抗でビーチバレーをした・・・
     

     ビートバレーを選んで・・少しだけ後悔した・・・


蒼海:あらあら、3人もいて、手も足も出ないの?

      蒼海は、器用にも指の上でビーチボールを回している、

光:じゃあ、行きますよぉ~、

     出た、光の変化球サーブ、未だかつて、誰も触れたことがない・・・

空:ぐっ・・・

蒼海:さっすが光ちゃん、10点選手で勝ちだから・・・ あと2点よね、

      輝のサーブ、大きな音を立て、風を切り、コートに・・・

     しかし、水無瀬がレシーブを上げる・・・

          嫌な予感がする・・・

     蒼海がジャンプしている・・・
         
       来るのか・・・?  いや、来る・・・

         蒼海の、弾丸スパイク、 未来、ノックアウト・・・ これは、虐めだろうか? 顔面ストライクだ、

蒼海:ごめんごめん、つい本気になっちゃった、

        次は、順番的には蒼海のサーブだ・・・ 正直・・・怖い・・・

輝:(死にたくねぇよぉ~・・・)

空:(俺もまだ...)

     死を覚悟した・・・


蒼海:行くわよ~、

       一閃、コートの・・・ 二人の間をぶち抜いた・・・

輝:(今・・・風来たよ・・・)

空:(死ぬかと思った・・・)

       試合終了・・・と同時に・・・


未来:痛てぇ・・・ 何が起きたんだよ・・・

蒼海:勝負あったわよ、 まったくあんたら、女二人相手に手も足も出ないなんて…

       いや、お前らが強すぎるんだよ・・・

輝:蒼海、お前、ドーピングでもしてんのか?

          確かに、中学生の力ではない、

蒼海、失礼ね、これでも軽めなんだから、

光:蒼海さんが本気で打ったら、ボールつぶれちゃいますよぉ、

       反応できないような打球を放った時点でボールはつぶれるはずだが・・・

未来:水無瀬ちゃんも、うますぎだよ、なんかスポーツやってたの?

光:いえ、ビーチバレーもやったことなくて・・・

     何なんだこの二人は・・・  

輝:スポーツ出来て、頭よくって、かわいくて、本当に・・・

蒼海:あら、私のこと?

     僕にはもったいない、とでも言いたいのだろうか

  その後、少し泳いでから宿舎に帰り、夜は花火をした...

蒼海:綺麗・・・

輝:火着けるのはやっぱ俺なのか・・・

空:輝、交代で着けよう、

未来:毎回、蒼海ちゃんが買ってくるのは迫力あるよなぁ、

       1時間・・・弱だろうか・・・? そのくらいの時間が経ち、打ち上げ花火の光は全て夜空の闇に吸い込まれた、

蒼海:綺麗だったね~、

空:ラストは手持ちだな、

光:結構いっぱいありますよぉ

輝:種火は、ここでいいか?

       暗くなり始めた8時半からはじめた花火が全てなくなるころには11時を回っていた、


未来:ぁ~ 楽しかったなぁ、

蒼海:来年もまた来れるといいな

輝:そうだな、来年は、俺たちも高校生かぁ・・・

       そう、来年からはもう、会えないかもしれない・・・


     でも、僕らはこうして、繋がっている・・・ もし離れ離れになっても、僕らは心で繋がっている・・・
             心が繋がっていれば、またいつかきっと会える・・・

空:大丈夫、絶対来年も来れるよ、

輝:あぁ・・・ そうだな・・・


           自分の夢を掴むために歩き出す、人間にはそれぞれの道があり、それぞれの道は違うものだ、
         しかし、それぞれの道が目指す先・・・  終着点は一つ・・・


     夜... 僕らは部屋の中で語り合っていた・・・ まるで、修学旅行の夜のように...

    来年、僕らはどうなっているのだろう、何を目指して生きているんだろう、何を求めているんだろう・・・

       不安は絶えず、その日、あまり深くは眠れなかった・・・ そして、夜が明けた・・・


   この日、僕らは家に帰る仕度をし、宿舎をチェックアウトした、心地よい潮風ともおさらばとなる、


輝:じゃあ、また来年・・・だな、

蒼海:絶対・・・来ようね、

光:いいところでしたね・・・

       電車が来る・・・

空:じゃあ、帰ろっか、

      帰りの電車は、みんな眠っていた、もちろん僕も・・・ 眠っていた・・・

    あの夢を思い出してしまった・・・ 神無月・・・ 11月・・・ 風が・・・変わる・・・?
     
     光か闇・・・ 僕が・・・ 選ばれた・・・?


  そんなことを考えていると、降りなければならない駅に着いていた、

輝:空、着いたぞ、起きろよ

蒼海:空、よっぽど疲れてたのね、   



       すさまじく眠いが、僕は電車を降りた、


空:ふぁぁ、 楽しかったなぁ、 じゃあ、 来年、絶対また行こうなっ、

光:じゃあ、帰りましょうか、

       僕は、輝、水無瀬と帰る方向が同じなので、一緒に帰ることになった、

輝:ぁ~、悪い、俺、蒼海にカメラ返さないといけないから、先に帰っててくれ、

    駅のほうに走っていく輝、しかし、輝がうそをついていることはすぐにわかった、

空:(・・・変に気使ってんじゃねぇよ・・・)

光:そうだ、次の火曜日、宿題一緒にしない?

空:うん、いいよ、どこでやる? 


    話が進み、結局、町外れの図書館でやることになった、

   日が 沈みかけていた・・・

    家の前に着いた、


空:じゃあ、またね、

光:うん・・・

     家に入り、自分の部屋に・・・ ベットに倒れこむと、深い・・・深い睡魔に襲われた・・・

      次の日、目が覚めると、時計は午後の2時を回っていた、


    携帯を見ると、メールが入っていた、 蒸し暑い、夏の昼間、携帯を片手にスカイ・バーというアイスを食べていた、今年のヒット商品だ、

  メールの受信ボックスを開く、


  from 翼
 
   To 空
      
  本文 今年も夏休みがやってきたぜっ☆
     8月の1、2日に家に来るんだろ?
     ばぁちゃんも待ってるから、絶対来いよっ、
     じゃあ、楽しみにしてるぜっ(≧∇≦)b


   夏休みには毎年、親戚ばぁちゃんの家に行く・・・ 
  今年は、一応受験生ということもあって、普段よりも3日短い2日の滞在となっている、

    ばぁちゃんに会うのは、ずいぶん久しぶりだ、元気にしているだろうか・・・





   返信・・・ しておくか・・・

  from 空
  
   To 翼

RE:本文 今年は、一人連れて行きたいんだけど、
      いいかな?
     あと、ばぁちゃん元気かぁ?(・∀・)


      送信・・・っと...

    10秒もしないうちに返信が来た、


  from 翼
   
   To 空

RE2本文 ほぉ、空にもついに彼女ができたのか、
     もちろんOKだぜっ(≧o≦)b  
     ばぁちゃんは今薪割りしてるよん☆


   ・・・どんな体力してんだよばぁちゃん・・・

     メールの相手は日比野 翼、僕の従兄弟にあたる人物だ、

     ・・・勝手に彼女って決め付けてるし・・・


   その日、少しだけ夏休みの宿題なるものを片付け、火曜日までは何もせずに日を過ごした、

  そして、火曜日・・・


光:空君っ、久しぶりっ、

        そんなに久しぶりでもないんだけど・・・

空:あぁ、久しぶり、 宿題どのくらい終わったの?


     雑談・・・


空:そっか、じゃあ頑張れば今日終わるね、

       2人で図書館で調べ物をしながら、数学の宿題、『悪魔のドリル』に取り組む・・・

   僕は数学が得意なわけではないので、とてもじゃないが毎日やっていても終わりそうもない、


空:水無瀬、もうそんなに終わったの!?

光:うん、数学と社会は好きだから・・・


       社会は歴史年表と世界地図に国名を書き込むというやっかいな代物だったが、これも終わらせているようだった、


光:でも、この宿題、問題多いから終わるかわかんないよ・・・


      そう、この宿題は、問題がまぁまぁ難しい割に、1日400問ペースというまさに悪魔のドリルと呼ぶにふさわしいものなのだ、

    水無瀬がサクサク問題を解いていくも、終わる気配なんて毛頭ない、

     ・・・誰かの視線を感じた・・・

        少しだけ・・・辺りを見渡す・・


    本棚の影に蒼海と・・・未来だろうか・・・? 二人でこっちを見ているようだ・・・


空:(なんでいるんだよ・・・二人とも・・・)

光:空君? どうしたの?

空:いや、なんでも・・・


     後ろを誰か・・・ いや、輝が通る・・・


空:(輝もいたのか・・・)



        輝は蒼海たちがいる本棚のほうに歩いて行き、わざと少し大きめの声で話した、


輝:あれ、蒼海、未来、奇遇だな お前らも宿題か?

       蒼海と未来はすさまじく動揺している

輝:こんなことで何してんだよ、机のほう行こうぜ、

未来:て、輝、机は・・・

蒼海:う、うん、私達、そろそろ帰るし・・・

輝:そうか、残念だな・・・ せっかく

空:一緒にやろうと思ったのに、

       蒼海は固まってしまった、

光:美氷さん、未来さんと仲いいんですねっ、

未来:そう言われると・・・ 照れるな・・・

蒼海:ばかっ、違うわよ! 私は空のことが...

           少しの間・・・その場に沈黙が流れた・・・

         僕は、驚きのあまり固まらざるを得なかった、

      みんな、驚きを隠しきれないようだった......

    最初に口を開いたのは、輝だった・・・

輝:少し、二人で話しな... 俺たちの出る幕じゃない・・・


       3人は、その場を離れる・・・


     図書館の中庭で話すことになった、


蒼海:光ちゃんと、付き合ってるの・・・?

空:あぁ...

       出きれば、知られたくなかった・・・


蒼海:そっか・・・

空:だから・・・悪い・・・

      ・・・これから、どうなるんだろう・・・


          蒼海が僕を好きだなんて、考えたことも無かった・・・

蒼海:私ね、小学校の頃に初めて空と話した時... その時から空のこと・・・

空:うん...

蒼海:でもね・・・

    蒼海は、心を決めたかのように・・・ 口を開く・・・

蒼海:でもね、私、諦めないから... 今の気持ちは変わらないから、だから... 自分に自身が持てるようになったら...また...


       そう言って、蒼海は走り去る・・・    

     僕には、追いかける資格なんて無い・・・


      今はただ、一人になっていたかった・・

    夕日が美しく木々を彩る・・・
 
       渦巻き、そして消えてゆく幾多もの想い・・・

   人はただ、自分の中の光を求めているだけなのかもしれない・・・ 
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