始まりの章

-will be-real sky-








オレンジ色の夕焼け、街を駆ける風・・・

  教会の屋根の上にまで、オレンジの香りが朝風に乗ってやってきた。




 
     ここは、どこなんだろう・・・


  私は、誰なんだろう・・・











 私がこの街に来たのは、ちょうど半年くらい前で、何をしに来たか、どうやって来たかもわからなかった。





   唯一わかったのは、「アイ」という名前と、もう一つ。


 



  話す言葉から、日本から来たのだろう ということだけ。









 私には、日本がどんな国なのか、どこにあるのかだってわからない。









     ──私には、ここに来る前の記憶が残っていない・・・。









 日本に行こうとは思わない・・・








    ここが・・・ この街が現在の私にとっての故郷だから・・・

















 私がどうやってここに来たのかは誰も知らない。


 でも、ちゃんと私を拾ってくれた。




   言葉だって教えてもらった。



     私は ここで暮らすんだ、 そう心に決めていた・・。














 ちゃんと仕事もしてるし、ほんとの親みたいに優しくしてくれる人たちもいる・・。











でもね






なんだろう、最近考えるんだ・・・










  何かが足りない気がする・・・










 そうだよ 今私は幸せだよ。





    でも




      私は、幸せだったのかな・・・?












明日を見た時

  第一章
    ~オレンジ~
       -the little Town-







オレンジ色の夕日が、海に沈んで行く・・・










  そろそろ家に戻らないと・・・







  そう思って、私はオレンジ色に染まった住宅街の坂道を駆け下りた・・










  この街は綺麗だ。。。


     他の街なんか見た事もないけど、確かにそう感じた










中世のヨーロッパのような町並みが残る、オレンジの収穫が盛んな街。



  潮風に吹かれ、また、夕日に照らされ綺麗に色付く街・・・




     ──私が知っている唯一の街・・・。










 私がうまれたのはここじゃない、他のどこか・・・ 遠い所だ。







   でも、私はこの街を、本当の故郷だと そう思いたい。












   「おばさん、ごめんなさい 遅くなりました。」




    私は今、ジェーンおばさんという人の家に住ませてもらっている・・。





 私に、この国の言葉を教えてくれた人だ。








  「大丈夫、まだ夕食まで7分あるよ。」




    大きなソファに腰掛け、ゆったりと新聞を読んでいるジェーンおばさんは、優しくほほえんでいた。



 
  「今日は牡蠣のオリーブサラダだよ、アイ、手伝ってくれるかい?」


        「はい、お手伝いします。」








  ──この人はいい人だ・・。





  私を拾って、こうして育ててくれてる・・・。







 私は今 幸せだ。


   だから、ここに来る前の事を知りたいとは思わない・・。








     もし、知る事によって今の幸せが奪われる事になるなら・・


 私は今の幸せを選ぶだろう・・。
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