11章~春・そして・・~

  出会いと別れ・・・ それは春にうまれ・・ そして消えていく・・・

            高校に入学して間もなく、その時はやってきた。

    11章~春・・・そして・・・~
 
         5月の連休が終わった後に、宿泊学習と呼ばれるものがあり、クラスでどこに行くかを決める事になった。
            輝も水無瀬も蒼海も同じクラスになり、クラス委員長には輝が選ばれていた。


       宿泊の行き先は京都・・・

          
          ゴールデンウィークが終われば、すぐに旅行に出発する・・・


      ゴールデンウィーク・・ 高校生活の忙しさに疲れていた僕は、一日の半分を寝て過ごした日もあった。

    1週間というものは、休みの時に限って短く感じる物だった・・・。


          もう準備は終わっていたが、僕はなんとなく荷物を見ていた・・・。
             この調子だと・・・。すぐに六月が来てしまう・・・。


      次の日、学校の近くの公園に集合し、バスで京都に向かった・・・。

           バスの中では、昨日までほとんど寝ていた癖にぐっすりと眠ってしまった。

        最近、時間がすぐに逃げていく・・・   残された時間は少ないというのに・・・。




     京都に着き。旅館にチェックインした後は、3時間の自由行動となった・・・


輝:三時間あったら結構いろいろ見れるよな? どこ行く?

空:どこって言われてもなぁ・・・

蒼海:京都来たの初めてだし・・・。

光:あのね、ここから電車で10分くらい行ったところに、嵐山っていう場所があるんだけど・・・

蒼海:へぇ・・・。でも、電車っていいのかな・・・?

輝:市内線はいいみたいだぜ

空:水無瀬、もしかして前に京都来た事とかあるの?

光:ううん、前に京都に住んでた事があるから・・・。

蒼海:そっか、じゃあ案内してくれないかしら? この子達勝手に歩いたら迷子になっちゃうから・・・。

光:うんっ。

          嵐山に着き、生八橋を食べたりして、いろいろ見て回った。


           


空:そろそろ2時間半・・・ 後20分か・・・。

輝:もう戻ったほうがよさそうだな。

光:ここからなら、旅館までバスが出てますよっ。

蒼海:じゃあ、それに乗って戻りましょ

        


         旅館に着くと、もう数名が帰ってきていたが、まだほとんどのグループが帰ってきていなかった。


     全員が揃ったあと、旅館で夕食を採り、班ごとに部屋に戻った。


       修学旅行の夜なんかだったら、夜中まで話してたりするもんだが、僕らはまだ会って間もないからだろうか・・?
                  僕と輝以外は皆眠ってしまったようだった。


        少しの間、輝と話した後に僕らは布団に潜った・・・。 僕はここでも夢を見る・・・。

            その夢は、今までに見てきた「文字が流れ込んでくる夢」ではなかった。

       言葉で言い表すのは難しい・・・。でも、そう、こう言うのが一番正しいのかもしれない・・・。

          僕が見た夢・・・。それは「記憶」。 昔の事かもしれない・・・。 誰の物かもわからないけど・・・。

        もしかしたらその「記憶」は僕の物かもしれない・・・。 その「記憶の夢」は最後にどこかで眠った後に・・・
 
                 今の僕の記憶と繋がった・・・。


                     僕は・・・。一体誰なんだろう・・・?










       ───次の日、京都の街でオリエンテーリングをした。
              地図を見ながら街を巡り、先生のサインを集めるというものだった。


蒼海:道はわかりやすいから迷うような事はないと思うけど・・・。 全員ちゃんと地図持った?

         輝も方向音痴なので、蒼海は念を押す・・・。

輝:うっせぇ、大丈夫だよ。


       水無瀬は班が違うため、別行動になった。


              5人班で、女子3人 男子2人になっている、


    スムーズにチェックポイントを通過し、3つ目のチェックポイントに着いた。
        大きな寺院で、僕らの他に周りには誰もいない・・・。


輝:ここは写真撮れば通過していいんだってさ、んじゃ、撮るから並んで~。

          写真を撮り、次の場所へ行こうとした時、何かが僕の中にささやいてきた・・・。

      「こっちに・・・来て・・・」

          本堂の方へ行けという事だろうか・・・?


空:なぁ、先行っててくれないか? すぐ追いつくからさ・・・。

蒼海:じゃあ、次のところで待ってるから、早く着なさいよ?

輝:迷子になるなよ?

蒼海:大丈夫よ、あんたじゃあるまいし・・・。

        輝は何か言いたげだったが。蒼海が無理矢理連れて行った・・・。


     僕は、本堂の方へ歩いて行った。 そこにはさっきまで居なかった、二人の少女が立っていた・・・。
             双子に見える、右に立っている子が話をはじめる・・・。


メイ:お待ちしておりました、記憶の主よ。

皐月:私たちはあなたに真実を伝えに来ました。

空:君たちは誰・・・?

メイ:私はメイ、全てを語るための記憶・・・。

皐月:私は皐月、全てを伝えるための記憶・・・。

メイ:あなたは、知らなければならない・・・。

皐月:今起きている事を・・・。

メイ:あなたが何を迫られるか・・・。

空:わかった・・・。 でも、記憶って・・・?

メイ:記憶・・・。私たちはあなたにしか見えない・・・。

皐月:記憶・・・。それはあなたの物・・・。

    僕の・・・記憶・・・?


メイ:あなたは、選ぶ権利を得た・・・。

皐月:同時に、選ぶ義務を受け継いだ・・・。

メイ:あなたは、選ばなければならない・・・。

皐月:あなたは、戦わなくてはならない・・・。

空:なぜ僕が選ばれたんだ・・?

皐月:それは、あなたが・・・、全ての闇の源だから・・・。

メイ:あなたには・・・。 何にも負けない光があるから・・・。

空:僕は・・・。何をすればいいんだ・・・?

メイ:あなたはまず・・・、戦う力を得なければいけない・・・。

皐月:そして、光を守らなければならない・・・。

メイ:光を守れば・・・、闇は失われる・・・。

皐月:──彼らは・・・手加減をしない。

       ──彼ら・・・?

   突然、辺りが暗闇に変わり、2人の姿が見えなくなった。

       二人の声だけが・・・。心の中に響く・・・。


メイ:光を見失わないで・・・。 あなたには、力があるから・・・。


        目の前に、白いローブを身に纏った男が現れる・・・。

    男は、手で空を裂いたかと思うと、長く・・・。そして淡く光る剣をどこからともなくそこに現した・・・。


       ──目を閉じて、ゆっくりと手に精神を集中させる・・・。

            男は一歩一歩、僕に近付いてくる・・・。


        僕の中にまた、声が響く・・・。

             「心で感じて・・・。それが、あなたの力になるから・・・。」

           男は剣を振り下ろしていた・・・。 でも、僕はその剣を防いでいた・・・。

         僕の手に握られたその剣は、碧い光を放ち、その刀身からは、大きな力を感じた・・・。

            ───信じる・・・力・・・   

                ───何かを守ろうとする、強い・・・意志・・・

         男は、少し驚いた後、口を開く・・・。


男:俺の仕事はこれで終わりだ・・・。 空、その感覚を忘れるなよ・・・?


        そう言い残して、彼は姿を消した・・・。 その瞬間、僕の視界には、大きな寺院と二人の少女の姿が映っていた・・・。



    





    手に持っていたはずのあの剣は、もうそこにはなかった。




メイ:あなたは、戦いの記憶を取り戻しました、でもそれは・・・、光の一片にすぎません。

皐月:あなたはここでまた選ばなければなりません。 あなたの持つべきと思う力を・・・。

空:持つべきと思う・・・力・・・?

メイ:一つは何にも負けない圧倒的な力、その剣は全てをなぎ払う

皐月:一つは全てを守る力、全ての力を防ぐ技・・・

メイ:あなたがどれを選んでも、行き着く先は同じ場所・・・。

皐月:ただ、それまでの道が違うだけ・・・。

メイ:あなたは、どちらの力がほしい・・・?

     


        ───そんなの決まってる・・・


空:全てを・・・守る力・・・。


        足元が光り、頭の中にまた何かが流れ込んだ・・・

             その何かは一瞬にして体中を駆け巡った・・・。


メイ:今のは戦いの記憶・・・。 あなたが何かを守るために残した力・・・。

皐月:一度体験した事を心は忘れない・・・。

メイ:だから・・・

皐月:心で感じれば、いつでもあの剣を取り出せる・・・。

メイ:守る力・・・ それがあなたの力・・・。

皐月:信じる心・・・ それがあなたの光・・・。

メイ:全ては、あなたと繋がってる・・・

皐月:あなたは、全てと繋がってる・・・。


空:僕は・・・ 一体・・・?


       ──淡く、心地よい風が辺りを駆け抜けた・・・。


メイ:教えましょう、あなたの全てを・・・。

皐月:話しましょう、世界の全てを・・・。








     11章~春、そして真実~


メイ:あなたは数年前に白夜に出会い、ある男と対立しました。

皐月:そして、その男を倒し、力を失ったあなたは深い眠りに着きました・・・。

空:眠りについた...?

メイ:あなたの記憶は、光様にお会いする所から始まります。

皐月:それまでの記憶は、全て創り物の記憶・・・。

メイ:先ほど見た記憶は全てあなたの物・・・。

皐月:あなたは力を取り戻すために4年間の眠りにつき、

メイ:そして光様と出会いました。

皐月:平和になったかと思われていた世の中でしたが、

メイ:あの男には弟子が一人いました。

皐月:あなたはそれを見落としたまま眠りについてしまいました。

メイ:男の弟子はあなたに復讐しようと、

皐月:世界に終止符を打とうとしています。



メイ:男の弟子の名前は・・・

皐月:霧影 白夜・・・ あなたとはもう何度か会っているはず・・・。



メイ:あなたは、守らなければならない・・・。

皐月:あなたは、戦わなくてはならない・・・。

メイ:何かを、失うかもしれない・・・。

皐月:何も、得られないかもしれない・・・。




メイ:でも、歩みを止めないで・・・

皐月:そうすればきっと・・・    光りが見えるから・・・。



          二人は話し終えると、少し微笑み、何かを差し出した・・・。

             それは小さなお守りだった・・・。


メイ:それには、いろんな人の想いが詰まってる・・・。

皐月:だから・・・、負けないでねっ!


         そう言うと、二人は僕にもう行くように言った…

       少し歩いてから振り返ると、もう二人の姿はなかった・・・。


        二人とは結構長い時間話していたはずだったが、不思議と辺りの様子は変わっていなかった・・。

      寺院から出ると、遠くの方に輝たちの後姿が見えた・・・。



         ──不思議な事ばっかりだけど・・

       でも、追いつかないといけないので僕は走った。
           いろんな事を一気に聞かされたせいか、何も考えようと思えなかった・・・。


      10mくらいの所に近付いた時、輝が僕に気付いた・・・。


輝:早かったな、空。

       ここに来るまでにあった自販機で買ったのか、みんなの手にはコーラが握られていた。

空:あ~ 喉渇いた・・・。 俺も買ってくればよかったな・・・。


    蒼海がスッと手に持っていたコーラを差し出す、

蒼海:ほら、あげるわよ。  輝が全部おごってくれたんだからね?

       ずっと持っていてくれたのか、その手は少し赤くなっていた・・。


空:ありがと、助かったよ・・。



     くだらない話で笑いあったりして宿泊研修も終わりを告げた・・・。

          真実・・・    それは深く、重みのあるものだった・・・。
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