10章~時間~


其の1

 2つの世界を知る者






神の宮殿の門には、 不思議な文字が刻まれていた、

セリア:この門に書いてある文字・・・

アル:あぁ、 あの石碑と同じ文字だな・・・

セリア:読めそうですか? アルさん、

アル:あぁ、 じゃあ、読むぜ・・・

アルは石碑の文字を読み始めた・・・

アル:「この門、開きたくば足元の龍の紋章に手をかざせ、 選ばれし者がこれをせし時、扉は開かん・・・」

アルは、 足元にあった小さな青龍の紋章に手をかざす・・・

すると・・・   ゆっくりと扉が開いた・・・

中から男が出てきた、

男:お待ちしておりました、われらが神の子孫よ・・・

アル:!? どういうことだ!?  俺が・・・ 神の子孫!?

男:まぁまぁ、その話は後にして・・・ 奥で主がお待ちです・・・  さぁ、そちらの女性もご一緒に・・・

   アルとセリアは、宮殿の中に入っていく・・・ しかし、その奥には、アルにはとても見覚えのある人物が座っていた・・・

アル:な・・・ なんであんたが・・・?

 それは、 アルが少し前に出会った、自らを神と名乗った老人だった、


セリア:知ってる人なんですか!?

老人:ハッハッ・・・ よく来たのう・・・  これで・・・ やつの目的は果たされたか・・・

アル:な!? どういうことだ? やつって誰なんだ?  それに・・・ この世界は何のために作られた?

老人:そうか・・・ お主らには話さねばならぬな・・・  この世界と主軸世界の全て・・・ そして、この村のことも・・・

  こうして、2つの世界を知る老人は、最後の役目を果たすべく、2人に全てを話すことにした・・・ 
            そう、すべての過去・・・ そして、未来を・・・
     


    其の2
         時空を超えて・・・




神は、こう語った、

この世界はその昔、数人の学者の研究によって作られた、
学者たちは、主軸世界が戦争によって人間の住めない土地になってしまうと悟って、過去に戻り、数十年の研究を経て、この世界の作成に成功した、


鐘も彼が創った、

そして、私は彼に全てを・・・ 鐘の守護、そして、この世界の守護を任されたのじゃ、


私は、生命の水というものを持っている、  これは、命を永らえさせることの出来るものでな、わしは寿命によって死ぬことはないのじゃ、

そして、彼はこちらの世界に来て数十年の間暮し、そして、永遠の眠りにつくことになった、 この世界は、普通の人間は入ることなど出来ないが、しかし、魔法が使えたり、ましてや、翼が生えている人間なんて、本当に生まれることは少ない、


彼の名は、リーゼ=バレンシア、この村は、その名を忘れないように、バレンシア村と、そう呼ばれているよ、

彼らは、 君に全てを託したのだよ、全ての人類の未来を、そして、この世界の未来を・・・


そう言い終えると、老人は深いため息をついた、 しかし、その老人に対してアルは、休む暇など与えはしなかった、


アル:どういうことだ? リーゼが、あのリーゼが時を越えて・・・ しかも、この世界を作っただと? 信じられるもんか・・・  それに、なぜやつは死んだんだ? あんたは、生命の水を持ってるんだろ? なぜ今会えないんだ!?


アルは、話続ける、

アル:もし・・・ 仮にあいつがこの世界を作ったのが本当だとしても... うまくいきすぎだ… なぜ俺のところにあの指輪が?   こんな偶然・・・ ありえるのか・・・?


それまで黙っていた老人が、関を切ったかのように話し出した、

老人:偶然・・・  おぬし・・・ まだこれが偶然だと思っておるのか・・・? 本当は、もう気付いておろうに、 それに奴は... 偽りの命を生きることを望みはしなかった、

アル:・・・主軸世界が滅ぶ原因は・・・?

老人:ふむ、答えてやろう・・・   主軸世界は、おろかなる人間が作り出した兵器によって、滅ぼされるのじゃ... 奴らは、それを核と言っておったかのう・・・ 戦争の原因は・・・ 小さな争いじゃった、 時間軸で言うと、ちょうどお主らがこちらの世界に来た直後じゃな...  その争いが悪化して... 奴らはついに核兵器を使った、 自分たちが滅びる道を、自分たちで作りおったのじゃ・・・  人間は、 自分達で自分達の種族を滅ぼすことが出来る生物だということも忘れてな・・・

老人は、悲しみと、そして、怒りの篭った声で話し続ける...

老人:奴らは、破壊を続けた・・・ そう、人間が、罪のない人々までもが生きる場所を失うほどにな・・・





       其の3 先人の遺産



話を終え、伝えるべくことがなくなった老人は、アルたちを宮殿の奥へ連れて行った、

老人:ここが、この世界の中心点であり、そして・・・ 先人の学者達の墓となっている場所じゃ・・・

その墓は、決して大きくないが、石碑をはじめて見た時と、同じ感覚を覚えた、
  それぞれの墓には、それぞれの人物の誕生石によって装飾されているようだ、


老人:右から、クリフ、リーゼ、クリスの墓じゃ・・・

   3人は、その場で目を閉じ、黙祷をした・・・  そして・・・


アル:お前達の意思・・・ しっかりと受け取ったぜ・・・  安心して眠りな・・・

  3人がその場を離れようとすると、後方が眩く輝いた、 そして、そこには・・・


アル:まさか・・・ お前、リーゼか? そうなのか? 本物・・・なのか・・・?

セリア:リーゼさん!

リーゼ:あぁ、本物だとも、 しかし、すぐに眠りにつかなくてはならない、

リーゼ:俺は、こいつをお前達に渡しに来たんだ、


そう言って、リーゼは布で包まれた何かをアルに手渡した、

アル:これは・・・?

リーゼ:・・・お前なら、なんとか出来るはずだ・・・ 後は頼んだぞ・・・ 最後に会えてよかったよ・・・

リーゼの体が、しだいにやさしい光に包まれていく・・・

セリア:まってください! リーゼさん! 私達は・・・


セリアが話し終えるよりも早く、リーゼの体は光に包まれ消えてゆく・・・ しかし、セリアは続ける、

セリア:私達・・・ 世界を、主軸世界を助けたい!!

セリアが言い終えた直後、リーゼの姿は、完全に消えてしまった、 消える直前、リーゼは明るく微笑んでいた・・・

アルが突然、口を開く。

アル:主軸世界へ行こう・・・ そして・・・ 世界を救おう・・・ 必ず・・・

老人:だめじゃ・・・ そんなこと、奴は望んではおらん・・・ 今行っても、無駄死にするだけじゃ・・・


アル:そ... そんなのわかんないだろ!?

老人:今の主軸世界は、わしですらも1時間ともたん、それに、核兵器がそこらじゅうで起爆しておる、 放射能にあふれ、 人間がいるかすらもわからん・・・


そう、現在の主軸世界とは、まさに地獄、 人口も、以前の半分以下になっていた・・・



この戦争は・・・ 止まることはないのだろうか・・・


      其の4 神の技術を・・・



数十年前、 この世界には、神の技術を持つといわれた人物が存在した、
彼らは、人々に慕われ、そして、崇められた、


一人は、リーゼ=バレンシア、この世界を作った人物だ、
もう一人は、後に神と呼ばれる人物、 ギルソン=リーザス、当時最高の魔術師だった、
最後の一人は、レオナルド=マルコス、 リーゼが、過去の主軸世界で知り合った、唯一の非魔法使いの住人だ、 彼は、相当な技術を持っていた、

レオナルド:なぁ、リーゼ、こんな宮殿、何に使うんだ? それに、この文字だって、俺達が勝手に作ったんだ、 読める奴なんていないだろう・・・

リーゼ:なに、大丈夫さ、 気にするなよ、  それより、例の「水晶」はできたのか?

レオナルド:あぁ、あれなら、もう少しで完成だ、 何分、必要な記憶を記録させるには、それなりの大きさ、そして、時間がいるからな、

そのとき、後ろから誰かが話しかける、

ギルソン:ふむ、リーゼや、頼まれていたものが出来上がったぞ、 しかし、直接渡せばよかろうに・・・  生命の水なら、分けてやれるんだぞ?


リーゼ:ギル爺、それは、俺には出来ない・・・ 偽りの命なんて、俺は望みやしない・・・

レオナルド:ははっ、相変わらず堅いな、 で、俺の記憶は明日にでも入れられるけど、あんたらはどうするんだ?

リーゼ:あぁ、じゃあ、終わったら渡してくれ・・・

レオナルド:おっけ~、 わかった、 がんばってみるよ、

クリフ:リゼ兄、主軸界、ブラック家を除いて、全魔法使いの移住完了したよぉ

リーゼ:そうか、ごくろう

ギルソン:後は・・・ 時が来るのを待つだけか・・・

リーゼ:あぁ、ギル爺、頼んだ・・・

  3人は、「水晶」と呼ばれるものに、それぞれの記憶・・・技術を封じた、


   神の技術を、そして・・・最後の希望を・・・


   其の5  その翼、剣となりて


リーゼ:あいつなら・・・ ここを超えられるはずだ・・・

レオナルド:どういうことだ!? いくら未来で飛行技術が発達していても、鐘で移動できるのは、人と、身に着けている物だけ、 そいつもここに落ちて終わるんじゃないか?

クリフ:アルさんには・・・ 翼があります・・・

レオナルド:な・・・ それは、本当か・・・?

リーゼ:あぁ・・・ 大丈夫だよ・・・ 本当だ・・・

ギルソン:魔法の力もたいしたものじゃ、 あやつなら・・・ 誰かを守りながらでも村までたどり着けるじゃろうな・・・

リーゼ:やつの翼は・・・ 世界の剣だ・・・


 人類の未来をつなぐ最後の剣は、翼となり、選ばれし者の背に、形となって姿を現す、 彼らは、それを知っていた、   全ては・・・ 最初から決まっていたことだった・・・





    其の6 そして伝説へ・・・



彼らは、目的を果たすため、それぞれの仕事をこなしていた、
記憶を全て水晶に封じたギルソンは、主軸世界に分身を送り、そして、平行世界の守護に回った、

レオナルドは、バレンシア村を完全なものにし、繁栄させた、

時を越えてやってきたクリフ、リーゼ、クリスは、それぞれの技術を人々に伝え、そして、死んでいった・・・

人々は、彼らのことを何代にもわたって語り継いだ、また、リーゼ達は、死ぬ前に、ある言葉を残していた、
「翼を持ちし神の子孫がいずれ訪れるであろう」

この言葉は、 村中に伝わっていた、

彼らは、伝説となり、これまでも、そしてこれからも永遠に語り継がれるのだ・・・



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