あなたがここにいない理由










5章~あなたがここにいない理由~




  -relive-







   彼女はほんの半年前までここにいた。




     けど、あの日・・・



 11月も終わりが近付いていたあの日、




   彼女は僕に会いに来たんだ・・。










    たった一言、




  「ありがとう」って言いに・・。










 その日、彼女は僕の家の前に立っていた。





  「どうしたの? 急に・・。」



  彼女は、走ってきたのか、ひどく息があがっていた。





        「ごめんなさい、でもね、あなたに、これだけは言いたいと想って・・。」







   ──これまでも続いていた平穏な日々が、


     ──これからも続くと、そう信じてた。








         「──何? ゆっくりでもいいから、言ってみてよ。」








  彼女は、僕の目を見て、確かにこう言った。









 それが、何を意味するのかわからない。


   でも、今でもはっきり覚えてる。





  これからも、ずっと忘れない。






     彼女の声を、


   彼女の言葉を・・








  「私ね、あなたと居れて楽しかった。 でもね・・ もう行かないといけないの。」





   ──すぐに言葉は出てこなかった。






  彼女は、ずっとこっちを見たまま話し続けた。









 「もう会えないかもしれないの・・ 遠い、遠い所に行くから・・。」




  「本当の空を探しに行くの・・。 だから、私の事は忘れて・・?」








     ──もう、会えない・・・?

  すぐに理解できなかった。





    そんな事、考えられない










 彼女は、じっとこっちを見て、こう言う。








  「今まで、ありがとう。」









 そう言って彼女は立ち去ろうとした。






       「──待って!」





 彼女は、少し迷った後に振り返った。



    その眼には、涙がにじんでた。







  「どうしたの? 翔くん。 そんな寂しそうな顔しないで? 私まで悲しくなっちゃうから・・。」






         「どうしても、行くの・・・?」





  「うん・・・」



 
           「もう、戻らないの・・・?」






 「うん・・・ でもね・・? 離れてても、どこに居ても。」




 「私たちは繋がってる、そう信じてる。」




 


    「──だから、悲しまないで・・・? 辛かったら、私の事忘れていいから・・。」








  そう言い終えると、彼女は走り去る。




    もう、呼び止めてもだめだった。







 彼女に何があったのか、


   彼女がどこに行ったのか



 誰も真実は知らない。








   でも




 僕らは繋がってる。

そう信じてる。





   この 空の下で・・。




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