3章~翼を求めし者~

前編 北の聖地へ
彼らはまず、北方に浮かぶ小さな孤島、「北の聖地」へ向かうことにした、
町で食料を買い、舟を借り、それぞれが出発の準備を済ませた・・・

そして、航行を始めて3日目... もうすでに食料の残りも少なくなってきていた、

アル:シン氏、本当に地図はそれで合っているのか? 前どころか、ここ数時間、どこにも島なんか見えていないぞ?

シン:はい、合っていますが…… 本当に小さな島で…… そうですね、大体75トールくらいの面積ですからね・・・

アル:75トール!? 町にあった民家よりも小さいじゃないか、 

クリフ:一体、そこには何があるんですか?

シン:そこにはですね……

リーゼ:チッ、そんなことも知らんのか、このカス助手め、

クリフ:……ごめんなさぃ;;

アル:石碑だよ

クリフ:?

アル:俺も詳しくは知らないんだが、石碑があるらしい、俺はそれを一度見てみたいんだ、

リーゼ:その石碑についてなら、少しくらいの情報はあるぞ、確か、なにか、文字のような物が刻み込まれているらしいが・・・

クリフ:へぇ~、じゃあ、なんか鐘と関係がありそうですね~

アル:あのな、関係があると思うから大金注ぎ込んで向かって……
アルのセリフの途中なのだが、そこへいきなりセリアの透き通った声が割ってはいる、

セリア:すいません!みなさん、急いで帆をたたんでください!

アル:しょうがない、わかった、急ぐぞ!!

クリフ・セファ:せーのっ!

レビン:……すごい風......

 8人は、全速力で帆をたたむ、残念ながら右舷の一部が少し破けてしまったが、全員無事のようだ、

クリス:間に合ったようだな……

シン:でも、荒れますよ、これから……

セリア:はい、そうですね、アルさん、島見えましたか?

アル:……………

セリア:?

アル:何となくなんだが、

セリア:どうしました?

アル:この、嵐を、抜けなければ、北の聖地には着けない、そう思うんだ……

クリス:な、何言ってるんだ!? あんな嵐に突っ込んだら、死ぬのと同じだぞ!?

リーゼ:いや、しかし今の状況では、行くしか方法がないのも事実だ・・・・・・

アル:それだけじゃない、感じるんだ、絶対いける、俺たちなら、この嵐を超えられる!!

レビン:・・・死んだら・・・・・・ どうするつもり?

 この時、アルはこの嵐を越えることを確信していた、だからこんなことがいえたのかもしれない・・・・・・

アル:死ぬ? 俺たちが? そんなわけないじゃないか、だって、約束しただろ、「絶対に生きて帰って、もう一度あの酒場でみんなで騒ぐ」って!

 すこし違う気もするが、まぁその辺は気にしない・・・

セファ:そうか、 そうだったな、 絶対に越えられる、 行こう!嵐の中へ!

セリア:みなさん、準備はいいですかぁ?

セリアは実は嵐が来たときからわくわくしていた、

アル:準備OKだ、セリア、舵と指示を頼むぜ、

セリア:はぃ! じゃあ 行きますよ~

  舟は、嵐による強大な風と、大きな波と、大量の雨に打たれ、まさに危機を向えていた、

セリア:思ったより、すごい・・・・・・ 

アル:行けそうか?

セリア:もう・・・・・・ 限界です・・・

アル:(仕方ない、緊急事態だ、少しくらいなら大丈夫だろう・・・…)

アル:鐘のため、少しは掟を破ってでも魔法を使うしかない、 みんな、持ちこたえてくれよ・・・

アル:「世界をまとめし神の力よ、虚空を切り裂く刃となりて、降り注ぐ災いから我らを守りたまえ、守護の風、『神の息吹!』」

  舟は、まばゆい光に包まれて、雨風は止み、波は静まった・・・・・・

クリス:な・・・ 何が起こったんだ?

セリア:嵐が・・・ 消えた!?

アル:ふぅ・・・

シン:もしかして・・・ 今のはあなたが?

アル:あぁ、今のは自然を一時的に封印する特殊呪文だ、効果は30分と少ししかもたない、 さぁ、急ごう・・・

クリフ:でも、最初に会ったときには「掟があるからむやみに魔法は使えない」って・・・・・・

アル:今のは・・・・・・ 緊急事態だったし、それにな、俺が嵐に突っ込もうって言い出したんだしさ、 責任とらねーと、

クリス:そうですか、じゃあ行きましょうか、シンさん、北の方向わかりますか?

シン:いいえ、今の嵐のせいで、方位磁針が壊れてしまったようです・・・

アル:心配は要らないぜ、いい知らせだ、12時の方向に島がかすかに発見できた、

リーゼ:・・・・・・やっとついたか・・・

クリフ:北の聖地・・・・・・ 一体何が僕らを待っているんだろう、

  こうして、8人は北の聖地へと到着することが出来た、しかし、彼らはこの先に待つ運命を知る由もなかった・・・
後編    古代の力
ついに北の聖地にたどり着いた彼らは、島の大きさと、そして、石碑の大きさに戸惑いの色を隠せなかった、

リーゼ:本当に、石碑以外は何もないんだな、

クリフこんな所がこの世界にあったなんて・・・

クリス:しかし、せまいな・・・ 信じられん、

セリア:島の大きさの割に、石碑がとても大きいですね、しかも、この小さな島が波に負けないなんて・・・ まるで石碑に守られているかのよう・・・

セファ:でも、この文字、いったいなんて読むんだろうな、

シン:なにか、昔の地図のような物も… 

レビン:昔の技術が書いてあるのかも……

リーゼ:アルはどう思う? 

アル:・・・

リーゼ:?  どうした?

アル:「我ら、ここに記す、輝きの指輪をここに収めし者に 大いなる古代の力を与えよう、願わくばこの力、悪しき者の手に渡らぬよう・・・」

クリフ:!?

リーゼ:な!? あんた、これが読めるのか?

セリア:どこかで習ったんですか?

クリス:信じられん、こんな意味のわからない文字を読むとは・・・

アル:なぜだか・・・ わからないが・・・ 普通に読めるんだ・・・ 魔法使いたちでもこんな文字を使っているのは見たことがないのに・・・

レビン:それより、指輪ってなんなんだ?

クリス:私たちは、指輪はおろか、装飾品すらも身に着けていないぞ? それに、どこに収めるというのだ?

セリア:あれ? アルさんが着けてるネックレス、宝石の所が指輪になるんじゃないですか?

アル:あぁ、これな、 母親の形見なんだ、 ・・・たぶん何もおきないだろうが、一応試してみようか、

  その指輪は、金のリングの回りに、宝石類が装飾されている、とても美しいものだった、 アルはよく、これを魔法の媒体として使用していた、

リーゼ:あとは・・・ どこに収めるか・・・ か・・・

セファ:石碑の後ろくらいしか・・・ 場所ないよなぁ・・・

リーゼ:それだ!! よし、クリフ行って来い、

  そう言うと、リーゼはクリフを蹴飛ばした、 当然、クリフは海に落ちかける、

クリフ:何するんですか!! 落ちたら終わりじゃないですか!! 僕、泳げないんですよ!?

  クリフは、スポーツの中では唯一、水泳が苦手だ、しかし、リゼに逆らうことなんて、できるわけもなく潔く見に行くことにした、

クリフ:み、見ますよ! 見ればいいんでしょう?

  完全に声が裏返っていることは気にしないで、話は続く、

クリフ:みなさん、来てください、こっちにも文字がありますよ、

アル:そうか、じゃあ行くよ、待っててくれ、

そういうと、アルは呪文を唱えだす、

アル:「風と大地と空間の神よ、われに従え姿を現せ、空間魔法『アルミスタ』」

そういうと、彼は普通に水面に立った、 

アル:この周辺一体に、見えない地面を作った、 これで、海の上も歩けるぜ、

クリス:ほぅ 便利なものだな、 

  皆が関心しているにもかかわらず、クリフは泣いている、

クリフ:ひどいですよぉアルさん…… そんな魔法があるなら、僕の時に使ってくださいよぉ・・・

アル:いや、だって面白かったし・・・

と言いつつも、彼らは石碑の裏へたどり着いた、

アル:じゃあ、読むぞ、「汝の血液をもって、われに捧げよ、代わりのない金属によって作られし神の指輪を石碑に翳せ、さすれば、神の産物を捧げよう、」

アル:代わりのない金属か・・・ おそらく金のことだな、金は、絶対安定金属、そう易々と変化するものではない、

リーゼ:なんだか、怖くなってきたな、ここまで偶然が重なるとは・・・

セリア:もしかしたら、偶然じゃないかもしれませんね、 全ては最初から決まっていたのかも・・・

アル:さて、じゃあ・・・ 試してみるぜ?

クリス:あぁ 頼む・・・

アルは、手にしたナイフで指に少し切り込みを入れる・・・
  そこから滴ったアルの真っ赤な血液は、その下に丁寧に置かれた指輪に触れて、そして、流れ落ちた、

その瞬間、島全体を青白い光が包む、 

クリス:な、なんだ!?

アル:これは!? 何が起こってるんだ!?

リーゼ:アル! 大丈夫か?

 島は、数秒間輝き続けた、  そして・・・

セリア:アルさん・・・ それは・・・?

アル:な・・・ 何が起こった!?

クリス:・・・信じられん・・・・・・

リーゼ:羽・・・ いや、そんなもんじゃないな・・・ 翼と呼ぶにふさわしい・・・

セリア:飛べそうですか?

  アルは、最初は驚いていた、 自分の母親の形見が、こんなに重要な遺産だったこと、 そして、自分が翼を得たことに・・・

 その翼は、アルが思ったとおりに動き、 そして・・・ 華麗に宙を舞った・・・

クリフ:す・・・ すごい・・・・

アル:信じられねぇ・・・ 俺が、飛んでるなんて・・・

 しかし、そこへリーゼが思い立ったかのように話を始める・・・

リーゼ:そうか・・・ そういうことだったのか・・・

アル:?

リーゼ:アルは、このために生まれてきたんだ、生まれつき魔法が使えたのも、あの文字が読めたのも、私たちに出会ったことも、 すべては、最初から決められていたんだ・・・ 

アル:そんなこと・・・ まだ指輪に血をかければ皆だって・・・

 しかし、指輪は粉々に砕け散ってしまった後だった・・・

リーゼ:いいんだ、俺たちのことは気にせず、その翼で鐘のある場所まで行って、調べてきてくれ、 もぅ、俺たちにできることは、見送ることしかないんだ・・・

アル:そんな・・・ 俺一人なんて・・・ 無理だよ・・・

リーゼ:これは、皆だって望んでるんだ、 なぁ? みんな・・・

クリフ:そうです! がんばって謎を解き明かしてきてください!!

レビン:・・・絶対帰ってこいよ

クリス:待ってるぜ!

セファ:なにかあったら、電話でもしろよ!!

セリア:ここでお別れするのは悲しいですけど・・・ また会いましょう!!

シン:これを・・・ お持ちください・・・ 磁針と地図です・・・ 待ってますよ・・・

  全員の気持ちが一つになった・・・ もう ためらう理由はない・・・ アルもそう決心した・・・


アル:みんな・・・ ありがとう・・・  俺、しっかり調べて、ちゃんと報告するよ・・・・   みんな、また会おう!!
 

  そういい残し、アルは鐘の方に向かって飛び立った、 大いなる希望をその翼に乗せて...

 
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