
砂糖は実は胃にも腸にも悪い。消化がいいか悪いかなんてものじゃない。単に不調にさせるのではなくて、機能を停止させ、臓器の位置までも変えてしまうのである。
まず砂糖を摂取した時の体の反応として「糖反射」というものがある。
胃の中に食べものが入ると、胃は消化活動を行うと同時に、およそ15秒に一回の割合で動いて内容物を腸の方へ絞り出す。しかし糖分が入ってくると、なぜか胃の動きがピタリと止まるのである。この現象は東大で「糖反射」と名付けられた。
糖反射は角砂糖5分の1、キャラメル4分の1個程度の量で作用する。順天堂医科大学学長・故有山登氏の研究によると、この現象は胃腸の浸透圧と同じ濃度(5.4%)以上の糖液15ccで現れるという。つまりほんの僅かのお菓子やジュースで簡単に胃は止まるのだ。面白いことに、砂糖をチューブで胃を経由せず直接小腸に流し込んだ場合も、やはり胃は収縮運動を止めるそうだ。
胃に入った糖分は、その後唾液や胃液で薄められ、濃度が5.4%以下に下がってから初めて消化吸収活動に乗せられる。その間この現象は数十分から1時間以上続く。もし甘いものを食前に食べてしまったら、後から入る食物もこの糖反射が解けないうちは無消化のままで胃内に留まることになる。
「多過ぎる糖分」といっても僅か15ccの糖液で作用するのである。しかも市販の清涼飲料水の糖度は10%前後。的確に言えば、ごく僅かな甘い飲料で充分糖反射は起きる。ここにも砂糖という化学物質を、人体が処理する能力がないという現実が伺える。これではもう、砂糖は人間の食べものとは言えない。
砂糖が胃や十二指腸に潰瘍をもたらすことはよく知られていた。ショ糖の分子は非常に小さいので、浸透圧が高いため空腹時に砂糖が胃に入ると、胃の粘膜が刺激されて胃液の分泌が促進される。また同時に副腎皮質ホルモンも刺激するので更に胃酸を増やす。その結果、胃潰瘍・十二指腸潰瘍が多発するのである。もしかしたらこれは、体が胃内の糖を薄めようとする過剰反応なのかもしれない。
このように胃が一時的に止まるという現象は、繰り返されると単なる消化に時間がかかるという問題を飛び越えて、さまざまな弊害を巻き起こす。例えば、胃に食物が長く残ることによる膨満感、食欲不振(実際にお菓子を食べた後は食が進まない)、腸内で他の栄養を十分に吸収できなくなること(例えばそれに伴って肌荒れなども顕れる)、胃酸過多による胃炎や胃潰瘍の危険、そしてなによりも胃下垂。
この胃下垂という症状を現代、「病気」と見なすかどうかは微妙なところなのだそうだ。原因も今一つ判然としないのでとかく「体質の問題」「腹筋や腹部の脂肪が少ないせい」「インナーマッスル(骨盤底筋群)が衰えているため」なとと簡単に処理される傾向がある。しかし私に言わせれば、多くの場合これはちゃんと食に原因があり、かつ人体に明らかな障害を生じる紛れもない病態である。痛みなどの明確な自覚症状がほとんど無いため、なにかの機会にレントゲン検査で発見されないと気づかない場合が多い。しかし一般的には次のように広範な症状を呈し、また外見的には腹部は窪み下腹部が膨らむ「餓鬼のような」体型を作るのでそれと判別できる。
この胃下垂という症状に、砂糖は大いに貢献しているのである。糖反射によって消化活動が停滞することに伴い、胃に食物が留まる状態が長く、またそれが繰り返し起きる。その結果弛緩した胃に食べもの全体の重みがかかることによって、胃が下垂の方向に向かうのである。
胃下垂はいわゆる「痩せの大食い」に多い。また食べものに節度ない「お菓子食い」「暴飲暴食」タイプの人に多い。痩せてるからこうなるというよりも、胃下垂になった結果、栄養の消化吸収効率が下がって太れない、また栄養的に充足感がないのですっきりとした食欲がなくてもつい食べ過ぎてしまう、というのが実情のようだ。胃そのものが下に下がってるのではなく、胃の上の位置は通常であって、下の位置がヘソよりも下に下がっている状態になる。

つまり胃下垂は、胃が引き伸ばされて元に戻らなくなった状態である。このようになった胃は蠕動運動が弱くなっているか、もしくは全く機能しなくなっている。胃壁の筋肉の緊張が低下し、胃の働きが鈍くなる状態を胃アトニーと言う。胃下垂は胃の機能を低下させるため、胃下垂の人は胃アトニーを併発することが多い。
加えて圧迫された腸も機能が阻害される。そのために食物がうまく消化吸収されなくなって消化不良になり、かつ食物が溜まった状態が長く続くので、食べものの腐敗が進み有害ガスや毒素を大量に出し、同時に便秘にもなる。また胃下垂経由とは別に、砂糖によるカルシウム収奪で胃腸の筋肉が弾力性と活動性を失い、消化管全体の機能低下を招くことがそれに拍車をかける。ひどい胃下垂になってしまった場合、その胃の消化率は通常の胃に比べておよそ3分の1にまで下がると言われている。
また胃下垂が進むと、それに引っ張られて他の臓器、例えば腸や腎臓なども下がってしまう。腎臓は遊走腎(腎臓下垂)となり、内臓全体が下がると内臓下垂となる。胃下垂は胃下垂自体を増長させ、更に内臓下垂となるのである。
また脂肪や筋肉が薄い下腹部に胃が垂れ下がることで胃が冷やされるために全身が冷えるようになる。加えてそこには下半身へ血液を送る大きな血管の分岐点があるので、血行が悪くなり特に下半身が冷える。
女性の場合には子宮や卵巣も圧迫される。子宮や前立腺も冷やされ、不妊となり尿が出にくくもなる。また下腹が出ることで体の重心が崩れ、背骨も曲がり姿勢も悪くなっていく。このように内臓が所定の位置にないと、身体のあちこちに故障が生まれるのである。
この砂糖による「糖反射⇒胃下垂⇒内臓下垂⇒全身症状」の連鎖は、仮に症状が現れても一見して原因がわかりにくい。まさか自分の好物がこんなものを引き起こしてるとは、大方の人は考えない。私も若い頃はヤセの大食いで、胃下垂であり遊走腎であり胃腸が弱く冷え体質だった。それが何十年も続いた後、食生活を変えたことによってやがてすべてが消えた。今ではまったくとは言わないが、甘いものを食べることはほとんどないし料理に砂糖も使わない。以上述べたような症状の幾つかに心覚えがある方は、一度自分が砂糖を過剰摂取してないかどうか、食に節度があるかどうかを自問してみることをお勧めする。
これからわかるとおり、砂糖はもちろんそれ自体無くした方がいいものだが、食べるにしても特に空腹時や食前などに食べてはいけない。子どもに10時や3時のおやつを与えるなどもっての外である。本来ヒトという種はこれほど濃厚な糖質を体に摂リ入れることはなかった。特に食事の時に食べものをつつき廻して食べたがらない子などは、ほぼ例外なくおやつを食べ過ぎている子どもである。
私も子どもの頃、おやつの時間がとても楽しみだった憶えがある。タイ焼きや大判焼きなど出ようものならいっぱいの幸福感に包まれたものである。しかしこの甘さが、同時に幼い精神と体を蝕んでいたことにはまるで気づかなかった。現代の子どもはおそらくもっと深刻な状況にあるだろう。甘いもの、甘い飲み物が常に手の届くところにあって当たり前のようになっている。親は、それによって子どもに病的体質と抜けがたい食習慣をすり込み、子がおそらくは一生つき合うことになる大きな重荷を負わせていることに気づかない。
(つづく)
まず砂糖を摂取した時の体の反応として「糖反射」というものがある。
胃の中に食べものが入ると、胃は消化活動を行うと同時に、およそ15秒に一回の割合で動いて内容物を腸の方へ絞り出す。しかし糖分が入ってくると、なぜか胃の動きがピタリと止まるのである。この現象は東大で「糖反射」と名付けられた。
糖反射は角砂糖5分の1、キャラメル4分の1個程度の量で作用する。順天堂医科大学学長・故有山登氏の研究によると、この現象は胃腸の浸透圧と同じ濃度(5.4%)以上の糖液15ccで現れるという。つまりほんの僅かのお菓子やジュースで簡単に胃は止まるのだ。面白いことに、砂糖をチューブで胃を経由せず直接小腸に流し込んだ場合も、やはり胃は収縮運動を止めるそうだ。
胃に入った糖分は、その後唾液や胃液で薄められ、濃度が5.4%以下に下がってから初めて消化吸収活動に乗せられる。その間この現象は数十分から1時間以上続く。もし甘いものを食前に食べてしまったら、後から入る食物もこの糖反射が解けないうちは無消化のままで胃内に留まることになる。
東大で実証された「糖反射」の実験が有ります。被験者に砂糖水を飲ませますと、数十秒間、胃腸の働きはピタリと止ります。反対に塩水を飲ませますと、胃腸の働きは急に活発化します。この糖分を摂ると、細胞の働きが緩慢になる生体反応を東大では、糖反射と名付けました。なぜこの様な事が起こるかが確定されている訳ではありませんが、多すぎる糖分は、細胞を取囲むと、絶縁物質となり、神経信号の伝達を阻害していると考えられています。専売塩のイオン交換による化学塩が、純粋すぎるがゆえに生体にとって害が出現する様に、砂糖という純粋物質も生体は過剰な負担を受けるのです。
( 「排泄の科学」より)
「多過ぎる糖分」といっても僅か15ccの糖液で作用するのである。しかも市販の清涼飲料水の糖度は10%前後。的確に言えば、ごく僅かな甘い飲料で充分糖反射は起きる。ここにも砂糖という化学物質を、人体が処理する能力がないという現実が伺える。これではもう、砂糖は人間の食べものとは言えない。
砂糖が胃や十二指腸に潰瘍をもたらすことはよく知られていた。ショ糖の分子は非常に小さいので、浸透圧が高いため空腹時に砂糖が胃に入ると、胃の粘膜が刺激されて胃液の分泌が促進される。また同時に副腎皮質ホルモンも刺激するので更に胃酸を増やす。その結果、胃潰瘍・十二指腸潰瘍が多発するのである。もしかしたらこれは、体が胃内の糖を薄めようとする過剰反応なのかもしれない。
このように胃が一時的に止まるという現象は、繰り返されると単なる消化に時間がかかるという問題を飛び越えて、さまざまな弊害を巻き起こす。例えば、胃に食物が長く残ることによる膨満感、食欲不振(実際にお菓子を食べた後は食が進まない)、腸内で他の栄養を十分に吸収できなくなること(例えばそれに伴って肌荒れなども顕れる)、胃酸過多による胃炎や胃潰瘍の危険、そしてなによりも胃下垂。
この胃下垂という症状を現代、「病気」と見なすかどうかは微妙なところなのだそうだ。原因も今一つ判然としないのでとかく「体質の問題」「腹筋や腹部の脂肪が少ないせい」「インナーマッスル(骨盤底筋群)が衰えているため」なとと簡単に処理される傾向がある。しかし私に言わせれば、多くの場合これはちゃんと食に原因があり、かつ人体に明らかな障害を生じる紛れもない病態である。痛みなどの明確な自覚症状がほとんど無いため、なにかの機会にレントゲン検査で発見されないと気づかない場合が多い。しかし一般的には次のように広範な症状を呈し、また外見的には腹部は窪み下腹部が膨らむ「餓鬼のような」体型を作るのでそれと判別できる。
腹部膨満感
少し食べても胃がもたれる
栄養的に充足感がない
胃腸の具合が悪くなりがち
食後のむかつき・胸焼け
肩こりや手足の冷え
便秘がち
スタミナがなく疲れやすい
この胃下垂という症状に、砂糖は大いに貢献しているのである。糖反射によって消化活動が停滞することに伴い、胃に食物が留まる状態が長く、またそれが繰り返し起きる。その結果弛緩した胃に食べもの全体の重みがかかることによって、胃が下垂の方向に向かうのである。
胃下垂はいわゆる「痩せの大食い」に多い。また食べものに節度ない「お菓子食い」「暴飲暴食」タイプの人に多い。痩せてるからこうなるというよりも、胃下垂になった結果、栄養の消化吸収効率が下がって太れない、また栄養的に充足感がないのですっきりとした食欲がなくてもつい食べ過ぎてしまう、というのが実情のようだ。胃そのものが下に下がってるのではなく、胃の上の位置は通常であって、下の位置がヘソよりも下に下がっている状態になる。

つまり胃下垂は、胃が引き伸ばされて元に戻らなくなった状態である。このようになった胃は蠕動運動が弱くなっているか、もしくは全く機能しなくなっている。胃壁の筋肉の緊張が低下し、胃の働きが鈍くなる状態を胃アトニーと言う。胃下垂は胃の機能を低下させるため、胃下垂の人は胃アトニーを併発することが多い。
加えて圧迫された腸も機能が阻害される。そのために食物がうまく消化吸収されなくなって消化不良になり、かつ食物が溜まった状態が長く続くので、食べものの腐敗が進み有害ガスや毒素を大量に出し、同時に便秘にもなる。また胃下垂経由とは別に、砂糖によるカルシウム収奪で胃腸の筋肉が弾力性と活動性を失い、消化管全体の機能低下を招くことがそれに拍車をかける。ひどい胃下垂になってしまった場合、その胃の消化率は通常の胃に比べておよそ3分の1にまで下がると言われている。
また胃下垂が進むと、それに引っ張られて他の臓器、例えば腸や腎臓なども下がってしまう。腎臓は遊走腎(腎臓下垂)となり、内臓全体が下がると内臓下垂となる。胃下垂は胃下垂自体を増長させ、更に内臓下垂となるのである。
また脂肪や筋肉が薄い下腹部に胃が垂れ下がることで胃が冷やされるために全身が冷えるようになる。加えてそこには下半身へ血液を送る大きな血管の分岐点があるので、血行が悪くなり特に下半身が冷える。
女性の場合には子宮や卵巣も圧迫される。子宮や前立腺も冷やされ、不妊となり尿が出にくくもなる。また下腹が出ることで体の重心が崩れ、背骨も曲がり姿勢も悪くなっていく。このように内臓が所定の位置にないと、身体のあちこちに故障が生まれるのである。
この砂糖による「糖反射⇒胃下垂⇒内臓下垂⇒全身症状」の連鎖は、仮に症状が現れても一見して原因がわかりにくい。まさか自分の好物がこんなものを引き起こしてるとは、大方の人は考えない。私も若い頃はヤセの大食いで、胃下垂であり遊走腎であり胃腸が弱く冷え体質だった。それが何十年も続いた後、食生活を変えたことによってやがてすべてが消えた。今ではまったくとは言わないが、甘いものを食べることはほとんどないし料理に砂糖も使わない。以上述べたような症状の幾つかに心覚えがある方は、一度自分が砂糖を過剰摂取してないかどうか、食に節度があるかどうかを自問してみることをお勧めする。
これからわかるとおり、砂糖はもちろんそれ自体無くした方がいいものだが、食べるにしても特に空腹時や食前などに食べてはいけない。子どもに10時や3時のおやつを与えるなどもっての外である。本来ヒトという種はこれほど濃厚な糖質を体に摂リ入れることはなかった。特に食事の時に食べものをつつき廻して食べたがらない子などは、ほぼ例外なくおやつを食べ過ぎている子どもである。
私も子どもの頃、おやつの時間がとても楽しみだった憶えがある。タイ焼きや大判焼きなど出ようものならいっぱいの幸福感に包まれたものである。しかしこの甘さが、同時に幼い精神と体を蝕んでいたことにはまるで気づかなかった。現代の子どもはおそらくもっと深刻な状況にあるだろう。甘いもの、甘い飲み物が常に手の届くところにあって当たり前のようになっている。親は、それによって子どもに病的体質と抜けがたい食習慣をすり込み、子がおそらくは一生つき合うことになる大きな重荷を負わせていることに気づかない。
(つづく)









