以前は「旧いメルセデスの電機屋」。。。現在は、、、「隙間風産業の超零細企業」の業務日報。。。

バブル時代のメルセデスの電機は趣味仕事。。。現在は隙間産業で生きるOSSANのブログ。。。気に入らない方はスルーしてね。

ステアリングアングルセンサー

2017-04-29 10:43:34 | 日記
先日さんざん嵌った1998y R129 SL600のケース。。。

この時代のモデルで多く採用されて来たステアリングアングルセンサー単品交換が可能な車種によくある定番故障。。。

ADS,ESP/BAS,ABSの不吉な三種の警告灯が点灯して消えないと言うもの。。。

この場合、多くはステアリングアングルセンサー自体のトラブルであれば診断機によるエラーとして「ステアリングアングルセンサー N49」がフォルトメモリーされる。。。



で、、、この場合はステアリングアングルセンサーを交換した上でエンジン始動→ステアリングを右左にロックtoロックで二回回せば三種の不吉な警告灯は消えてくれるのが一般的な当たり前と言いたくなるケース。。。

が、、、それで解決しないのがウチに依頼が来る泥沼直行便になりかねない寒風吹きっ晒しになったケース。。。

勿論、この場合はME,ESP,GMの各モジュールが自己診断のフォルトメモリーコードを車側を人間が何ら触らなくとも診断機をかける度に違った故障を示すコードで答えてくれるなど、、、

人間で言えば昨日は右足が痛い。さっきはお腹が痛い。今は頭が痛いけどお尻も痛い。などと、、、

「何処をどないせいっちゅうねん?!」という状況でしたので診断機による故障箇所特定が困難な状況でもあった事から、、、困り果てたベンツ屋さんが検査&修理を御依頼された芝浦のデイーラーさんもお手上げになってウチに熱いラブコールという経緯であったのは言うまでもない。。。

先ずはモジュール検査としてGMとMEを適正化、ESPを検査の結果。。。



やっと正直になったか。。。(笑)

で、、、何処が痛いんだい?

って具合でESPモジュールはブレーキマスター下に合体しているY61のソレノイドバルブ故障を告げると共にESPモジュール自体が故障していると宣言していた。。。

で、、、ESPモジュールの品番をデイーラーに勤務する仲間に確認したら、、、

このSLの年式が1998y式なのに、1997y式のESPモジュールが装着されている事が判明。。。

正規の1998yモデル用のESPモジュールを手配するも在庫はドイツの本国在庫。。。

取り寄せにて入手し、ESPモジュールを交換対応。。。

更に問題はY61のソレノイドバルブ。。。

WISにも記載が無く、純正部品で調査すると「VALVE」名称で現行部品品番が。。。000 420
1171。。。




しかもたかがバルブですよ!このバルブが、、、285,700円也!!(笑)





でも、このバルブの電磁コイルがショートしてたらバルブコントロールをしているESPモジュールが即死することは必至なので交換するしかない結論に。。。

で、、、モジュール関係と周辺のアクチュエータのトラブルを追い込んで絞り込んで行った結果。。。

ステアリングアングルセンサーN49の故障でアングルセンサーの初期化がされないと訴えていた。。。

御依頼の業者さん曰くステアリングアングルセンサーもアングルセンサーに組み合わされるスパイラルコンタクトも新品だと言う。。。

しかしですね。。。ステアリングアングルセンサーもスパイラルコンタクトも異国の製品ですから日本製の様な品質管理はされてませんのよ。。。

で、、、ステアリングアングルセンサーを交換前の旧部品に組み替えしてテストしたらステアリングアングルセンサーは初期化されて一旦不吉な警告灯三種は消灯。。。

現車を試乗して点灯しない事を確認したが数時間後にまた再発。。。

で、、、ステアリングアングルセンサーに繋がる四極ソケットをチェック。

この症状が電気的な流れのモノなのか物理的なモノなのかを判断する為である。

端子1はステアリングアングルセンサーの信号。
端子2はボディアース。
端子3はGMモジュールからのイグニッション電源。
端子4は常時供給+12V電源。

これらの電圧と車台側の信号経路の導通検査を行い、車台側の疑いはシロ。。。

で、、、結論はステアリングアングルセンサー自体なのかそれとも何か物理的な問題が発生しているのか。。。

試しにステアリングアングルセンサーの四極ソケットを抜いた状態で診断機でフォルトを拾う。。。

すると。。。



ESPのステアリングアングルセンサーのフォルトコードの枝番が電源断裂のセンサーシステム休止を示すエラーを宣言。。。

ってコトはステアリングアングルセンサーの存在も認識されていてステアリングアングルセンサーはスタンバイ状態になるって判断が出来るからクルマ側は正常。。。

では、今度はステアリングアングルセンサーとスパイラルコンタクトを分離して診断機でフォルトを拾ってみる。。。



今度はESPのフォルトコードはステアリングアングルセンサーの信号不良を示す枝番に。。。

ってコトはステアリングアングルセンサーの信号取得部に何か問題があると考えられるってコトで。。。

スパイラルコンタクトの可動する円盤の円周上に生えている遮光部分がステアリングアングルセンサーと組み合わされてハンドルの位置に応じてアングルセンサーの複数ある受光部分が幾通りもの組み合わせ反応を行うことで舵角信号を出力しているシステムであることからこのスパイラルコンタクトの遮光部分が正規の位置で可動しなければ当然舵角の信号が正常に検出出来ない。

そこで、スパイラルコンタクトの観察結果、可動部分のはめ込み箇所のガタが大きい事に気付いたオイラ。。。
誰しもが「まさか〜!」と笑ってしまう様な話であるがウチに御依頼のあるケースってのはだいたい「そのまさか〜!」が着陸地点だったりするから電機屋の目線で疑いを潰す必要があるのですわ。(笑)

クライアントさんは上程度のメルセデスの中古車を売る程在庫してらっしゃる会社さんなので、横にあった別の在庫車からスパイラルコンタクトを外して試しにステアリングアングルセンサーと組み合わせて試用してみた。。。

まずは初期化前。。。



イイ感じ。。。

で、ハンドルをロックtoロック×2回で初期化。。。

不吉な三種の警告灯は消灯してくれて、、、更にフォルトチェック。。。



はい。問題は完璧に消えました。ビンゴでした。。。

最終的な不具合はステアリングのロックtoロックによる安全装置の初期化が行えず、ADS,ESP/BAS,ABSがシステム休止になった状態のままになるって話でした。

初期化動作が行えないってコトはステアリングのロックtoロックによる左右の最大舵角値がESP,ADS各モジュールに入力されていないってコトなので、、、

恐らく、ステアリングアングルセンサーの円周上に存在する複数の光学センサーの発光部と受光部を行き来するスパイラルコンタクトの可動部分に存在する遮蔽壁が均一に同じ高さで移動していない状態だったと考えられます。
外した問題のスパイラルコンタクトの本体と可動部の異常なクリアランスから考察するにスパイラルコンタクトの可動部分の円盤が最大舵角位置で歪んで回った事でセンサーの正規のあるべき位置から逸脱していたのだと思われます。


これにて試乗の結果、複合原因の故障は解消致しました。

モジュールやソレノイド、スイッチ等の部品故障に上乗せして事を更に難しくしてくれていたのはスパイラルコンタクトだったと言う訳です。

新品だからって外国製品は信じきっていると地獄を見ます。。。(笑)

新品部品は発注すればそれらしくもっともらしいお姿でメーカーから入荷しますから疑いの範疇から遠ざけても仕方無いですよね。。。

ってか、、、此処まで安全装置のシステム全体に不具合を抱えていると極論に行き着くのに各駅停車の長い旅になるわな。。。

現場で資料の提供や一緒に勉強して下さったクライアントさんの担当整備士さんにこの場を借りて感謝致します。

担当整備士さんも今回の様なケースは初体験なところにこの当時の安全装置のシステムについてかなり頭に入って相当スキルを上げたと思いますよ。(笑)

検証の為のフローを進めて行く中でのウチの仕事の手順に度々サプライズされてましたが。。。

オチを知った時のズッコケに苦笑いでしたね。。。(笑)

今後ともよろしくお願い申し上げます。m(_ _)m

ねっ!ウチって隙間風産業の変な会社だからこういった整備士さん泣かせのお話が舞い込んで来るんですわ。。。(笑)
もっともソレを解析するのも面白いから仕事の条件さえ納得出来ればやってますけどね。。。(笑)







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