7日間で100首を詠む!
ツイッターで「7days100tanka」というイベントに参加させていただき、
とてもたのしくるしく100首を詠んだ記録です
開催期間 2012/03/06正午〜03/13正午(03/12に完走)
【001】夜になれば夜がすきっておもうのに寂しい声を風車はまつよ
【002】オレンジのひと皮むけば上昇す未知なるうみに未知なる岸辺
【003】詩をつむぐしずかなゆびのわたしとは異なる塩基配列をもつ
【004】費用対効果はさして問われずに国家斉唱するひでりあめ
【005】ゆうやけのかかる桟橋ふりたがり ふみこめないわ息がつまって
【006】だれからのおてがみでしょう六角の音符つらなる ひとつは星座
【007】謝罪などもとめてなんかいないから空へとどまる青い実のまま
【008】あまだれにうたれていたい遠ざかるあなたも本も水辺がきらい
【009】とおいからほしいとおもう花月の宵のわかれときちんと出逢う
【010】わたしから水にうまれてきたかった器用にくずれてしまう埋み火
【011】腕ばかりかたちをかえる真夜中のみえない針はこんなにおろか
【012】あんぜんに刺せますこれは絶対に安全だからですほんとうです
【013】ふゆだけのせいにせずとも灰白(かいはく)のそらを開け閉めする蝶番
【014】この花とおなじはやさで散るはるの万葉集に恋さがしおり
【015】待つことも恋とよびたきふところにつつしみぶかき銀鈴は冴ゆ
【016】かさなって熟れてゆくまで忍冬(すいかずら)ふたりはよい鳥でいましょうね
【017】やわらかい針の夜には折りかたをおぼえた犬が影をひろげて
【018】どうみても劣等感の桃だからわたしは踏んであげられないの
【019】かえりみるひともないまま五線紙のうえにはなびら縫いつけられて
【020】アデューアデューあかあかとまだ潮騒のもえることしかしらない日日を
【021】そのままでかまわないのに風向きをえらぶのだろうおまえのビオラ
【022】オーロラにむねをやかれた白夜から基礎体温はゆっくりさがる
【023】足音がもどらぬことを告げている窓のむこうはグレースケール
【024】はずされて知らないことを知るときの蛍光色に火はうずくまる
【025】10年後20年後の橋までにゆっくりひかれてゆけよドナドナ
【026】いじめても結構ですがこの雲はきみのようには降りられません
【027】ロボットはロボットたちに従わず人間たちにならい、裏切る
【028】注いだら三分を待て 爆弾はあたためられて孵されるもの
【029】濾過水のすすぐきらきらすみきった言葉つめたく冬好む釘
【030】願いごと金平糖にとじこめる(痛い、痛い)うん?ひとりごと
【031】のぞまずに朝をむかえたつばめらは春分点を越えてしまった
【032】すずしろをさばくやいばのはきはきとましろき時をかさねゆきたり
【033】たまのをのながきゴールをなでしこに託せしこころわするるなゆめ
【034】うわさでは海のちかくに住むという郵便夫からとどくはつなつ
【035】ああなんて全国的なあかるさでパン屋が焼いている青空だ
【036】ことだまのキャベツをはがす解剖のようにきみにはふれないように
【037】淡々と明け渡されていったのをみていたんだよ純情として
【038】喩のようにミルクまきこむみぎまきの紅茶の渦をあざわらいたい
【039】あたためてさしあげたいが彼の人はいまも三角州に住んでいる
【040】とらわれた内部の檻のしずくごとみだれるという祝祭がある
【041】トンネルを抜けたから傘とじなさい なのはなさいた方向が、晴れ
【042】交流の回路がきれたふゆぞらにひとつだけほしいものを尋ねる
【043】そそがれていたのだハードカバーには消せない波がおこるということ
【044】花火師のいる庭先にあきらかな誤植みつけてしまうごめんな
【045】とどかないところに置いたスイッチを朝一番でいれにくる客
【046】さむい日が売りに出されたあとからは埋め戻すための土 所望する
【047】五分後に作用するひと あまがみの耳にこたえる数がやさしい
【048】しんしんとならぶ休符を待ちながらひとりはとけてふたりは固まる
【049】くちづけは初めて出逢うさみしさのふれたがさいごはなれるさだめ
【050】倍音を交えぬ声がよびかける かなりや 水はうつろうばかり
【051】黄水仙きづいてもなお閉じられた円環だれもふれてはならぬ
【052】おねえさまと呼び合いたくてすきとおる聖水曜日にうもれるかおり
【053】立ちのぼる煙のごときファルセットきえゆくところ狭き門あり
【054】えらばれていないコインの裏表いずれおとらずしずかな湖面
【055】潮風にさらしたふりをしていよう固体となって落ちてくるだろう
【056】純銀のくもりのなさが聞こえたらこゆびをそっとはなしてくれる
【057】ちいさな輪ちいさな芯があたたかく拡散しだすコスモスのうみ
【058】まどろみの金魚のゆめにしずみゆくこのやくそくを噛んだらおわる
【059】アルペジオのぼっておりる純水を十指ひろげてわたしのほうへ
【060】詰草のつみとられゆくなきがらにものがたりするストローハット
【061】「もうすこし」すがりつく身のおろかさに蛍光灯はふるえてしまう
【062】バスケットボールのくせに逆立ちをして「ともだちでいましょう」なんて
【063】古書店におぼれてしまうわたくしへきのうの岸辺ゆうべの岸辺
【064】ひざこぞう帰りなさいと放課後をうたうだいだいいろのオルガン
【065】愛しあうまえに謝罪をするまえにわすれそうだと扉をたたく
【066】ことさらに枝分かれした変奏がこわい足音までつれてくる
【067】気化熱にからみとられる草原へやけにまぶしい鏡の朝が
【068】三輪車のこされほんのひとときの祭であった鬼さんこちら
【069】水玉をはじきとばしてはしっこへゆくの回転しつづけるため
【070】あけぼののうすべにいろの境界にきえる星からうまれるアリア
【071】やせこけた林檎のようなふたりからとおくなってもまだ冬ですか
【072】靴ぬいでおわりにしよう手折ってはいけなかったのこのはなたんぽぽ
【073】かあさんはオロナインぬるきずというきずみればぬる わたしにも塗る
【074】「どうも、朝」あさにあいさつ投げかけるひとはここにはいませんだれも
【075】中天をみつめる猫とはなしてるわたしのようなものでも錦
【076】そらに添う送電線は無記名のふるい記憶をきしませながら
【077】けずられた日記のような空があり羽ばたきひとつきこえぬひるま
【078】うつくしい怒りに支えられないと立ってはおれぬ瓦礫の上は
【079】血脈もなく散る花をわすれてもいいととなりに声はしている
【080】濡れた手をどうしてくれる汲みとれずころがる真珠あらしのまえに
【081】からだまでおぼえるために発火するエチュード何度も何度も何度も
【082】禅譲をとなえるふるえはじまりぬ楓をおとすことばさながら
【083】ひっそりとわたしが消した火であった からの巣箱にこだましている
【084】春はまた春にもどってきますから靴ひもむすびなおしてあるく
【085】ばあちゃんはおとぎり草のお酒びんかもして魔女の末裔である
【086】十六夜せんせいあのね制服のリボンはいつかほどかれるもの
【087】塗りかえてしまうまえなら純白がまだ見えていたことわすれたの?
【088】さようならわたしから背をむけたからグリッサンドでおちるゆうやけ
【089】ふくらんだ金のラッパできみの手にふれる上昇気流あふれる
【090】薄青いひとみに宿る不可解なヴェロニクぼくをおぼえているかい
【091】爪先でまわるフェリシテ祝福のときは来たれり自由のなかに
【092】みなゆるい螺子をまきつつ風のなかこわれてもいいものを捧げる
【093】いのりへはとどかぬ駅を過ぎながらまた鈴がなる 呼ばれたみたい
【094】自転車のサドルをあげよ虹のもとのびてゆくいっぽんのプライド
【095】ゆううつな指紋だらけのガラス窓それもわたしの家なんだもの
【096】乗り込めば二度と帰港はしないからおまえはもっと欲張ればいい
【097】希望的観測ながらまなうらにモンシロチョウがきびきびとぶとこ
【098】ふいに墜落するように眠らせて誤植だらけの歌を唄って
【099】「おじょうさん世界はまるで奇跡だ」と目をあけたままねるうちのいぬ
【100】朝になりやっぱり好きじゃない朝にきづく歯車すりへってきた
togetterのまとめもあります。
テキストは同じですが、1首ごとの投稿日、投稿時間が記録されています。
七日百首のまとめ
…けっこう夜中にごそごそ詠んでたんだなー
短期間での多作は、連作づくりや題詠ともまたちがった、得難い経験でした。
でも、ひとりだったら途中で投げ出していました。
参加者が思いのほかたくさんいらっしゃって、TLに励まされながら詠みきれたんだと思います。
イベントを企画されたみなさま、参加者のみなさま、
見守ってくださったみなさまへ、
あらためて感謝を申し上げます。
お祭りみたいで、たのしかったよおぅぅ