トイレを覗く心理

　犯罪者を理解するのではなく、分析するのである。
　「いったいトイレなんて覗いて、どうしようというのか？」と誰でも思うはずだ。多くが「用を足しているところを見ても気分が悪くなるだけ」と思っているだろう。
　しかしまた、多くが「性的興奮があった」とも思っているだろう。「のぞきは興奮する」と誰もが分かっている。しかし、なぜトイレなのか？

asahi.com（朝日新聞社）：病院トイレで盗撮の疑い、広島県警の警部補逮捕 - 社会
　発表によると、亀井容疑者は昨年１２月３１日午後９時半ごろ、広島市中区の病院の男子トイレに入り、壁で仕切られている隣接の女子トイレ内にいた病院職員の女性を、携帯電話の内蔵カメラで撮影した疑いがもたれている。壁と天井のすき間から撮影していたという。シャッター音に気付いた女性が男子トイレに入り亀井容疑者を見つけた。亀井容疑者は以前この病院で診療を受けており、女性は顔見知りだったという。

病院トイレで顔見知り女性盗撮、警部補逮捕(読売新聞) - goo ニュース
　広島中央署は２日、広島市東区牛田新町、広島県警公安課警部補亀井治容疑者（３６）を建造物侵入、軽犯罪法違反（のぞき行為）の疑いで逮捕した。
　シャッター音に気づいた女性が、男子トイレで顔見知りの亀井容疑者を発見。女性が問いただすと、亀井容疑者はその場で謝罪したという。女性から相談を受けた病院の上司が１日、同署に被害を届け出た。

　性的な興奮が、罪悪感を超えて、警察官して法を犯すまでの行為に発展させる。フロイトの言うように、我々は性的な動機で行動しているのかもしれない。
　特に満たされない願望は深層下に抑圧され、それがふとした弾みで暴発し無茶な行動に出てしまうことがある。痴漢を弁護する気はないが、理屈としてはそういうことだ。

　閉ざされたトイレのドアは、異性から相手にされない、という失望感そのものであり、女性にアタックできない弱気さは、ただ息を殺して「覗いてみたい」という、ゆがんだ性意識となる。
　それで気付かれて相手が憤慨すると、「やっぱり自分は嫌われている」と、自分の考えが正しかったことを裏付けたように自覚し、ますます陰湿になってしまう。
　このような負の連鎖が、のぞき癖や、痴漢行為が直らない理由でもある。「女性に嫌われているから、こうするしかない」と思い込んで、なかなか正統な方法で相手にアプローチできないのだ。

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