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韓国政界、喜劇か悲劇か 与党は核実験翌日に「対話」連呼、野党は“炎上商法”

2017年09月22日 07時42分08秒 | 国際・社会
 北朝鮮が核ミサイル挑発を繰り返す中、韓国政界が吉本新喜劇も真っ青の“コメディーショー”を披露している。核実験翌日の演説で「対話」を連呼し失笑を買う与党代表や、「俺が代わりに米国と交渉してくる」と息巻く最大野党代表ら豪華な出演キャストが、有事にもなりふり構わず政争を優先させる風刺劇を展開。文在寅(ムン・ジェイン)大統領が各国の批判を受けつつ「対話」外交を掲げるなか、足下の国内政治で「断絶」が浮き彫りになるさまは、滑稽さをこえてどこか哀れみを感じさせる。

核実験翌日の国会風景

 「米朝『対話』を促す」「『対話』の努力を諦めてはいけない」「いつか米朝『対話』が始まり南北『対話』が始まる将来に向け準備しなければ-」

 「対話」を強調すること、実に12回。与党「共に民主党」の秋美愛(チュ・ミエ)代表の国会演説は、北朝鮮が6回目の核実験に踏み切った翌日の4日に行われたものだった。野党議員らは演説の途中で次々に退席を始めた。

 同じころ、本会議場そばのホールでは、国会出席をボイコットした最大野党「自由韓国党」所属の議員90人が「北朝鮮への命乞いをやめろ」などと書かれた横断幕を掲げていた。その様子を、与党の女性議員が「国会をボイコットしてまで何を訴えているのか国民に示す」としてスマートフォンで撮影し、フェイスブックで中継。撮影を制止する野党議員に対し「ほら、一発殴ってごらんなさいよ」と挑発する様子は、「炎上商法」を売りにするユーチューバーを彷彿させた。

 他方、ホール内の別の場所では、朴槿恵(パク・クネ)前大統領の騒動で自由韓国党と袂を分かった元所属議員の姿も。「北がこんな時に、なにをやってるんだ。『韓国の保守は死んだ』といわれる理由が分かってんのか」。自由韓国党員らは「裏切り者! お前に保守を名乗る資格はない」と罵倒して応じた。

 与党代表が「KY」な演説を行うかたわら、与野党、あるいは野党同士が放送禁止用語を交えて衝突する。繰り返しになるが、これは核実験が実施された翌日の国会風景だ。


国会ボイコットの野党を保守紙も非難

 そもそも自由韓国党が国会ボイコットに至ったのは、地上波の公営放送MBCに検察捜査のメスが入ったことがきっかけだった。同社の経営陣と労働組合が対立する中、組合活動に不当に介入した容疑について事情聴取に応じない社長に逮捕状が出されると、自由韓国党は「与党が前政権下で就任した経営陣を追放し、MBCを掌握しようしている」と反発。国会活動のボイコットに踏み切った。

 直後に社長が聴取に応じたことで事態は収拾されたが、同党は矛を収めることができないまま、政府の安保政策への不信をボイコットの理由に追加し、1週間にわたり闘争を継続した。

 同党の洪準杓(ホン・ジュンピョ)代表は「専門家を連れて米国に行く。中国にも行く」「政府ができない外交をそろそろ我々がやらなければ」などと強調。「核危機の最中に、国会を離れて『安保』を叫ぶことになんの名分も実利もない」(朝鮮日報)と、保守系メディアからも非難を浴びる結果に終わった。


選挙不正、金品受領…苦境の小政党

 なお、核危機の中で迷走しているのは最大野党だけではない。第2野党「国民の党」は議席が過半数を超える政党のない韓国国会でキャスチングボードを握るが、大統領選で文在寅大統領の息子に関する証言をでっち上げたとして元党幹部らが起訴されており、信頼回復は遠い。

 自由韓国党から分裂した「正しい政党」では7日、党代表が6000万ウォンを超える金品を支援者から受け取ったとして、代表を辞任したばかりだ。与党と最大野党を仲裁し、結束を訴えるべき立場の小政党も、それぞれの事情で苦境にあえいでいる。

 北朝鮮問題が、改めて浮き彫りにした韓国政治の実相。東亜日報の担当記者は「政権発足後初の定期国会には、懐深く野党を受け入れる与党の姿も、『こと安保に限っては協調する』という責任野党の姿もなかった」と振り返った。