今日は大晦日。
年末は大掃除、年賀状、お正月の準備と慌しいですが、私はこの時期が案外好きです。ただし、この時期を楽しいと思う理由は別に私が掃除・料理好きだからではなく、その一年間にあった出来事、知り合った人々のことをいろいろ頭の中で思い返す時期だからです。
また最近はそれだけでなく、「○○年の大晦日はこうして過ごした」、「○○年はこうだったな」と昔のことまで考えるようになりました。ま、それだけ歳をとったことかもしれません。
私が若い頃に勤めていたところは大晦日まで仕事があり、しかも私の部署の仕事は外国相手であった為、時差の関係もあり夜遅くまで仕事になることがありました。
料理が得意だった男性職員の一人がお給湯室のやかんを使って「年越しそば」ならぬ「年越し点心」なるものを作って、残業している数人の職員にふるまってくれ、彼らと一緒に過ごした大晦日の晩もなかなか楽しいものでした。
年末年始を異国で過ごそうと、友人とモルディブで過ごしたときもありました。24年前のモルディブはまだ日本ではあまり馴染みがなく、私達が過ごしたリゾート島にいた観光客も日本人はごくわずかでした。
飛行場しかない島からホテルには、‘ドーニ’と呼ばれる船で移動するのですが、乗客は欧米人ばかり。家族連れ、カップル、一人旅・・・。
この旅行では、日本人が珍しかったせいか、私達はすぐ数人の客と従業員と仲良くなりましたが、ここで一番記憶に残っているのはギリシャ人のコスタスおじさん。
当時70歳くらいのこの男性は一人旅で、気難しいのか、他の客と話ている姿を見たことがありませんでした。しかし、たまたま写真のシャッターを押してもらうお願いをしたところから、彼が単に人見知りが激しいということがわかりました。
彼は若い頃日本の八幡に軍の仕事でいたことがあり、そして日本のことを今でもよく思い出すという話をしてくれました。それからたびたび話をしたり、一緒に冷たく冷えたコーラを飲んだり・・。
そういえば、コスタスおじさんに「あなたは今何をやっているんですか?」と尋ねたとき、彼が「“ペンション”で暮らしている」と答えたので、彼がペンション(宿泊所)のオーナーだと一瞬思い込み、トンチンカンなことを言って彼を笑わせました。‘pension’に年金という意味もあったのは、その時知りました。
波の音を聞いて過ごした大晦日、翌日のインド洋の初日の出は、こうした異国の良き人達がいたからこそより忘れられないものになっているのでしょう。
その他、結婚した年初めて過ごした夫の実家の大晦日、臨月のお腹を抱えて過ごした大晦日、新居で迎えた大晦日、風邪をひいて唸りながら過ごした大晦日・・・、どれも良い思い出です。
今年の大晦日は取り立てて変わったものではないけれど、それでも2007年の大晦日も、あとで思い返せば素敵な思い出になるでしょう。
皆様素敵な大晦日をお過ごしください。(本来、「良いお年をお迎えください」と言うべきなんでしょうけどね。)