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橋下チルドレンの支離滅裂

2010年12月19日 22時56分00秒 | 都構想・IRカジノ反対!
 先日、大阪・下町の某駅頭で、橋下新党「大阪維新の会」の来春統一地方選予定候補者がビラを撒いているのに偶然遭遇しました。撒かれていたのは、「いとう良夏(よしか)後援会」ビラ(下記左写真)と「維新プレス」号外(同右)の、計2種類のビラでした。両方ともそれぞれ見開きになっています。それを、候補者の「いとう(伊藤)良夏」と、同じ様な年恰好の若い女性の運動員が、2人で撒いていました。
 私も、そのビラを受け取ってざっと目を通してみたのですが、少し目を通しただけでも、おかしな点が幾つか目に付いたので、早速目の前の運動員に下記の質問をしてみました。

●「大阪維新の会」発行の2種類のビラ。左が「いとう良夏後援会」発行のもので、右が「維新プレス」号外。


 質問の一つ目は、「いとう後援会」ビラの見開きページにある「議会改革4プラン」の項目についてです。
 4プランのうちの「議員年金廃止」や「議員報酬3割削減」は良いとしても、「議員定数の半減」というのは如何なものか。今でも特権の上に胡坐をかいてロクスッポ仕事をしない議員が多いのに、定数を半減もしてしまったら、今以上にカネや地盤・看板がモノをいう選挙になってしまい、特権・世襲議員が跋扈するようになる。主権在民・住民自治を実現する意味からも、寧ろ定数は逆に増やして、やる気さえあればカネや地盤・看板が無くても議員になれるようにしておかないと、市民の意見が政治に反映しないし、チェック機能も働かなくなる。定数増に伴う経費は報酬削減で相殺すれば良い。低報酬でも市民の為の政治がしたい人には、寧ろ門戸を広げるべきではないか。これが一つ目の質問です。

●「いとう良夏後援会」ビラの見開きページ。左半分では「議員定数半減」などの「議会改革4プラン」と「大阪市職員の天下り」問題、右半分では大阪経済や府民生活悪化の現状について書かれている。


 そしてもう一つの質問は、上の「いとう後援会」ビラと下の「維新プレス」号外の2種類のビラとも、左半分に書いてある事と右半分の結論部分が全然繋がらない、何故左半分の記述から右半分の結論が導き出されるのかが分からない、書いている事が支離滅裂でよく分からない、という事です。

 まず上の「いとう後援会」ビラで言うと、左半分では先の「議会改革4プラン」の次に、今度はいきなり「大阪市役所職員の天下りがケシカラン」とあり、それが右半分の、府内GDP・府民一人当たり所得の減少や、企業・人材の他府県流出、生活保護率・失業率の悪化を招いている、という構成になっています。
 しかし、これら大阪の経済地盤沈下や府民生活悪化は、全て大阪市職員の天下りによるものでしょうか。違うでしょう。経済低迷も国民生活悪化も、元はと言えば全て、自民党政権時代も含めた歴代中央政府による経済の無為無策によるものでしょう。それが大阪では、中小企業の占める割合が他の大都市よりも多いから、その影響が特に深刻な形で現れているのでしょう。
 だったら、大阪府知事としてまず為すべき事は、中小企業を初めとした府民生活への支援策ではないですか。それをさて置いて、直接には何の関係もない大阪市の天下りを問題にしても、何の解決にもなりません。確かに大阪市の天下りも、それはそれで大きな問題です。でもそれは、「この不況下において自分たちだけ甘い汁を吸っている」という事にしか過ぎない。そんな奴らを幾ら叩いた所で、一時の鬱憤晴らし(ガス抜き)にはなっても、不況自体の根本的解決には全然ならない。
 それ以前に、「そんなに大阪市の天下りを槍玉に挙げるのなら、何故、大阪市長選に出馬せず、管轄外の大阪府知事なんかになったの?」「府知事になってから、何故今頃になって取って付けたように、大阪市政の問題にそんなに介入するの?」という素朴な疑問があるのですが。これでは、単に平松・大阪市長への対抗意識や大阪市との縄張り争いだけで動いているだけではないかと、勘ぐられても仕方ないでしょう。

 同じ事は、下のもう一つの「維新プレス」号外ビラについても言えます。左半分に「がけっぷちの大阪」と題して、「下がり続ける府民所得」や「中小企業の相次ぐ廃業」「大阪府・市の莫大な負債」の現状が記されています。そして右半分には、その打開策として、「大阪都」創設による「府・市二重行政の解消」や、将来的には近隣府県との合併による「関西州」創設をめざすと書かれています。
 しかし、そもそも今の不況を招いたのが中央政府であるのに、それには何も言わず、必要な手立ても取ろうともせずに、徒に器(行政)を多少大きなものに置き換えた所で、何の根本的解決にもならないではないですか。寧ろ、今までの矛盾も器と共に大きくなるだけではないですか。
 それどころか、「大阪都」になんかにしてしまったら、東京都と同じ特別区になる訳ですから、府(都)議会とは別に各区に区議会も置かなければならなくなり、「議員定数半減」どころか「倍増」になってしまう。言っている事が矛盾している。
 「府・市の莫大な負債」にしても、その原因を作ったのは関西財界でしょうが。関西財界が岸昌(きし・さかえ)以降の保守知事と組んで、ATC・WTCやら舞洲(まいしま)やら阪南・箕面のニュータウン建設をごり押しした為に、膨れ上がったものでしょう。安価な公営住宅の建設には背を向け続けて。その仕組みを温存したまま幾ら府・市を都にしても、伏魔殿がより巨大化するだけです。
 しかも「今のバラバラな大阪ではいけない」と、淀川左岸線開通で阪神高速道路環状網の寸断(ミッシングリング)解消を言うに至っては、もう一つの「いとう後援会」ビラにあった「箱モノ行政との決別」とも全く矛盾するではないか。

●「維新プレス」号外ビラの見開きページ。左半分で「がけっぷちの大阪」の現状について、右半分でその打開策として、「大阪都」「関西州」創設により「官(公共部門)の縮小」「バラバラな都市インフラの解消」を図ると述べられている。


 このように、言っている事がてんでバラバラで、全然整合性が取れていない事について、どう考えているのかを運動員の女性に聞いてみました。すると、横から予定候補の「いとう良夏」当人がいきなり割り込んできて、「これから勉強します」の一点張りで、逆にビラには一切言及が無く、こちらも何も聞いていない「区長公選制実現」について、やにわにまくし立て始めました。完全な論点そらしです。
 そりゃあ、民主主義の観点からすれば、区長も任命制よりは公選制のほうが良いに決まっていますが、別に今それが喫緊の行政課題ではないでしょう。それよりも、議員定数の削減見直し・拡充を図るほうが、よっぽど民主的です。
 その後もしつこく「何処に住んでいるの?」と聞いてきましたが、「そんな事まで何で見ず知らずのアンタに言わなアカンの、放っといてくれ」。ビラにもポスター掲示場所募集のお願いが書かれていたので、よっぽど困っているのでしょう。でも、これだけ言っている事が支離滅裂ではねえ。

 その日は帰宅してから、「いとう(伊藤)良夏(よしか)」や「大阪維新の会」のHPも見ましたが、全然魅力に感じませんでした。
 まず候補者について言えば、セレブと言えば聞こえは良いが、只のブルジョアのお嬢さんでしかない。モデル出身で、何やら今のAKB48の先輩格に当たるようですが、先の受け答えの様子からも、真面目に政治をやろうという意志は全然感じられなかった。それなりに苦労もしたのでしょうが、それも所詮は人を蹴落とす為のもの。そんな人にシングルマザーや高齢者などの生活弱者の苦労なぞ分かろう筈も無く。単なる小泉チルドレン(ゆかり・さつき・百合子等々)のミニ版でしかない。

 次に「大阪維新の会」ですが、肝心の「大阪都構想」のページでいきなり、「保育所の数がどうなるかとか、そんな瑣末な質問には応じられない」だの、それより先にまず「上山信一とかいう学者の書いた本を読め」だの「研究会の資料に先に目を通せ」だの、やたら上から目線の物言いが出てきたのには、恐れ入りました。
 世の中には、本を読んだりネットをしたりする暇なぞない、生きていくだけで精一杯の人も大勢います。しかし、そういう人も立派な有権者です。寧ろ、そういう人こそ幸せになれるような政治をする事こそが、政治家の役割ではないでしょうか。それがこれでは、中間層以下は最初から相手にしないと公言しているようなものです。 
 だから、言っている事も徹頭徹尾「支配者目線」でしかない。「企業に儲けてもらい、従業員の給料を上げる」のが景気対策だなんて書いていますが、これほど実態からかけ離れた言葉はない。実際は「従業員の給料を下げリストラする事で、企業は不況下でも増収を続け、それを社会に還元しようとしない」のが問題になっているのに。今のウチの、下請け叩きに走る元請大資本と、そのしわ寄せを労働者に転嫁して生き延びようとする下請企業の現実が、それを何よりも雄弁に物語っています。

 そもそも、橋下徹の「大阪にカジノ誘致」「国民を勝負師にする」発言(産経記事など参照)にしてからが、何をか況やです。ギャンブルなんて、合法を装った詐欺でしかない。儲かるのは胴元だけで、あとはみんな損する仕組みに最初からなっている。それをさも公正な競争であるかのように言い包めて、貧乏人の射幸心につけ込み、人をギャンブル依存症にする、只の貧困ビジネスではないですか。せいぜいが、煙草のようなものでしかない。
 それは、今は急には無くせないけれども、やがてはそんなギャンブルに依存しなくても良いように、国民の生存権を保障していくのが政治ではないですか。それがこれでは、「自分の所さえ儲かればそれで好し、後は野となれ山となれ」と言っているようなものです。流石にこの親玉にしてこの候補者あり。正に新自由主義=強欲資本主義の権化のような2人です。
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4 コメント

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公選制だからと言っても必ずしも民主的とは限らない (プレカリアート)
2010-12-23 22:08:33
>そりゃあ、民主主義の観点からすれば、区長も任命制よりは公選制のほうが良いに決まっていますが、別に今それが喫緊の行政課題ではないでしょう。それよりも、議員定数の削減見直し・拡充を図るほうが、よっぽど民主的です。

 今気付いたのですが、記事の上記部分の、「任命制よりは公選制のほうが良いに決まってい」るとのくだりについては、そう簡単に割り切れないのではないか。
 公選制のほうが民主的と言えるのは、あくまでも民主主義が名実共に機能している場合においてのみです。ビラ配布や選挙活動に不当な制限が加えられていないか。カネや情実に左右される選挙になっていないか。民意が正確に反映され、少数意見が不当に切り捨てられるような事はないか。

 それらがきちんと担保されていなければ、寧ろ選挙が独裁のアリバイ作りにされてしまう可能すらあります。そうなれば、折角の公選制も、単なる「多数の暴力」「衆愚政治」「ポピュリズム」に堕してしまいます。かつてのヒットラー・ナチスや数年前の小泉劇場、今の鹿児島県阿久根市長、河村たかし・名古屋市長による扇動政治や、今の北朝鮮やミャンマー(ビルマ)の選挙や、事実上保守二大政党による独裁と化した米国の選挙のように。寧ろ、橋下の日頃の言動や政治手法から判断して、そうなる公算のほうが非常に大きいと思います。
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橋下は共通の敵を作るのがうまいですね (狭小住宅子沢山)
2011-03-06 02:21:32
相変わらず橋下はより多く人たちのの共通の敵を作るのが上手ですね。まるで対象の人たちが世の中を悪くしているみたいに・・・。ほんとはそうではないのですがね。そして多く人の票をかっさらう。
直近で共通の敵にされたのは地方議員さんたち。
ブッシュや小泉のやり方にそっくり。彼らの政策が世界を、日本を良くしたとは決して思えない。
経済の回復は労働者の賃金アップ、雇用安定、過剰な巨大企業の内部留保の適切な分配。それでお金が回りだす。
こちらに進むのが筋だと思うのだが。
次の選挙では、勇敢にその方向に政治を動かす人が当選してほしいと思う。
大阪維新の会は、どちらにせよ大企業寄り。それを一般民衆の味方みたいな顔をして選挙運動をしている。有権者は騙されてはいけないと思う。
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微妙ですね ()
2011-04-13 19:49:17
>>しかし、これら大阪の経済地盤沈下や府民生活悪化は、全て大阪市職員の天下りによるものでしょうか。<<

↑あなたのこの文章はすぐに訂正した方がいいと思いますよ。
「全て」なんてどこにも書いてないのに、パンフにそう書いてあるようかのように誤記しそれを論破することで、あたかもパンフの内容を論破したかのようにふるまっている訳ですから。
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驕る維新は久しからず (プレカリアート)
2015-07-28 19:45:23
 この記事を書いた時は正に橋下・維新の絶頂期。当時無名だった兵庫の号泣県議ですら、諸派の「西宮維新の会」を自称しただけで当選できたほどだった。
 あれから5年、慰安婦発言に組合敵視政策の破綻、堺市長選に大阪出直し市長選、都構想住民投票の結果からも、もはや橋下・維新に昔日の勢いはなし。逆に上西問題を始め、不祥事が次々と露呈。
 「既得権益打破」を叫ぶ人間が実は一番既得権益に染まっていたという、シャレにもならないオチが待っていた。

レクサス購入に政務活動費充当 大阪市議、80万円返還

 大阪市議の伊藤良夏(よしか)氏(35)=大阪維新の会、住吉区選出=が、トヨタ自動車の高級車「レクサス」をローンで購入したのに、政務活動費80万8450円を「自動車リース費用」の名目で支払いに充てていたことが朝日新聞の取材で分かった。伊藤氏は「契約は母親任せで、確認せずにリース契約と思い込んでいた」と説明。不適切な支出と認め、27日までに全額を返還した。
 市議会では、政務活動に使う自動車のリース費用には政活費を使えるが、資産形成につながる支出は認めていない。市議会の「手引き」も自動車の購入には充てられないと明記する。
 政活費の収支報告書によると、伊藤氏は2012~13年度に「レクサスクレジット」名で月7万300円を支払い、うち23カ月分は半額の3万5150円について、「リース費用」名目で政活費を充てていた。
 朝日新聞の取材に伊藤氏は「母親に確認したところ、5年60回の分割払い契約だった」と認めた。初当選した11年、母親に政務活動などに使う自動車のリース契約を依頼。実際はレクサスを5年60回の分割払いで購入する契約を結んでおり、車は昨年度、残額を支払って買い取ったという。
 伊藤氏は「政活費の計上や報告書の作成は秘書に、契約は母親に任せっきりにしていた。自分が悪かった」と話している。(2015年7月27日18時10分 朝日新聞)
http://digital.asahi.com/articles/ASH7W2TQMH7WPTIL003.html
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