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2015年大阪ダブル選挙の私的総括

2015年11月27日 14時51分54秒 | 反ハシズム・弱い者虐め

 

 

 

 そろそろ大阪ダブル選挙の総括を書かなければならないと思ってはいましたが、敗戦のショックで、なかなか気乗りしませんでした。ようやく気分も落ち着き、自分なりの感想が書けそうな気がしてきたので、ここに簡単に書いておきます。なお、「ダブル選挙の総括」と言うからには、本来なら大阪市長選挙と府知事選挙の両方について書かなければならないのですが、都構想住民投票とのデータ比較の関係で、ここでは主に市長選のみの総括に限らせていただきます。

 

 2015.11.22.大阪市長選の得票数・率  投票率50.51%(前回比▲10.41P)

 当 吉村洋文 596,045(56.4%) 40 大阪維新の会公認・新人(元・衆院議員)

   柳本 顕  406,595(38.5%) 41 無所属(自民党・「府民の力」推薦)・新人(元・大阪市議)

   中川暢三   35,019( 3.3%) 59 無所属・新人(元・大阪市北区長)

   高尾英尚   18,807( 1.8%) 33 無所属・新人

 

 上記が今回の大阪市長選挙の結果ですが、残念ながら反維新勢力の惨敗です。「維新政治ストップ」を掲げた元・自民党市議の柳本候補が、自民党だけでなく民主党や共産党、公明党の支援まで受けながら、たった40万票しか得票できなかったのですから。つい半年前の5月17日に、「大阪市を無くすな」と、都構想住民投票で投じられた70万票の反対票と比べると30万票も減らしています。

 しかし、その一方で、当選した「大阪維新の会」公認の吉村候補も、60万票弱と、住民投票での都構想賛成票よりも約10万票も減らしています。そして、市長選挙の投票率も、前回市長選よりも約10ポイント、住民投票との比較では約16ポイント下回っています。その原因には、現職大阪市長(平松邦夫)や現職知事(橋下徹)と言ったビッグネーム同士の対決となった前回市長選とは違い、今回は新人同士の対決となった事も大きいと思いますが、それだけでなく、橋下市長や「大阪維新の会」自身が、ワンフレーズ・ポリティクスの乱用や内紛・不祥事の連続などで、最盛期の勢いを失いつつある事もあるのではないでしょうか。

 

前回市長選、都構想住民投票との得票数・率の比較 

 2011.11.27.大阪市長選 橋下 徹 750,813(58.96%) 投票率 60.92%

 2015.05.17.都構想住民投票賛成票 694,855(49.06%) 同上  66.83%

 2015.11.22.大阪市長選 吉村洋文 596,045(56.04%) 同上  50.51%

 

 2011.11.27.大阪市長選 平松邦夫 522,641(41.04%)

 2015.05.17.都構想住民投票反対票 705,585(50.04%)

 2015.11.22.大阪市長選 柳本 顕 406,595(38.05%)

 

   

 少なくとも、5月の住民投票の時には、その一ヶ月近くも前から何度も集会やデモが行われ、「自・共野合」どころか、自民党と中核派系労組が隣同士で都構想反対の署名集めに取り組んでいる光景を、私も目の当たりにしました。共産党系の集会には自民党の柳本卓治氏だけでなく、他の保守系市長も出席したりメッセージを寄せられたりしていました。街頭では自民党と共産党の合同街頭演説会が行われ、自民党系の集会にも民主党や共産党の市会議員が多数参加していました。私も、それらの集会やデモに何度も参加し、レポート記事をブログに上げさせてもらいました。それと比べると、今回の大阪ダブル選挙は低調そのものでした。

 

 実際、今回の市長選挙には、住民投票の時のような熱気は全然感じられませんでした。選挙の告示前にはそのような動きはほとんど無く、告示後も、市民運動レベルではSEALDs(シールズ)主催の集会・デモが一度か二度あったきりではなかったでしょうか。

 そして、知らぬ間に自民党系の候補者が名乗りを上げていて、共産党がそれに乗っかっただけだったように思います。特に、府知事候補の元女性府議(栗原貴子氏)なぞ、無名に近い人物でした。市長選挙には維新陣営も無名の新人候補を出してきましたが、こちらはバックに現職知事の松井一郎や元共同代表の橋下徹がついていて、維新陣営は、この二人の知名度を生かした物量作戦を選挙終盤に展開しました。

 その結果、せっかく橋下引退で府・市政奪還のチャンスがありながら、そのチャンスを活かす事ができずに、相手の「勝ち逃げ」を許してしまったのです。 

 

 維新陣営の駅頭宣伝では、政界を引退したはずの橋下徹が市長選パネルの中に蘇り、運動員は政策そっちのけで「大阪維新の会、知事には松井、市長には吉村」と、ひたすら候補者名を連呼するのみでした。選挙ポスターにも、橋下が客寄せパンダよろしく「×日×時に××小学校に来たる!」と、鳴り物入りで登場する始末。もう、「維新の候補者は橋下の単なる操り人形でしかないのか」と思いました。 

 

 むろん、反維新陣営にも、それなりに「言い分」はあるでしょう。

 共産党について言えば、「住民投票の後は戦争法反対運動で手一杯だった。全国レベルでは、戦争法成立を強行しようとする自民党との協議なぞ、とても出来ないような雰囲気だった。でも、ダブル選挙で維新に勝つためには、自民党大阪府連とは手を携えて行かなくてはならない。だから、戦争法成立の後の選挙戦では自民党とも共闘したのだ」と言うのが、おそらく本音ではないでしょうか。

 なるほど、政党や支持者レベルでは、その理屈は成り立ちます。戦争法や維新政治に反対するのも、「国民(府民)生活防衛、改憲反対、平和と民主主義を守る」という同じ目的から出たものですから。でも、その理屈が通用するのは共産党の支持者までです。「今の自民党の安倍政治や維新の橋下政治が、国民生活や平和や民主主義を脅かしているとは感じない」層にとっては、いくらそんな事を言っても、「野合」としか映らないでしょう。

 他方、自民党の大阪府連について言えば、自民党政治の枠内にとどまりながらも、その枠内でできる精一杯の事はやってきたと思います。府連組織が、維新陣営のような派手な宣伝戦には打って出ずに、地味な組織固めに精力を注いだのも、ある程度の票の目減りが避けられない事を、彼ら自身も分かっていたからでしょう。そして、安倍政権が、表向きは自民府連を応援しながら、裏では同じ改憲志向の維新とも手を握り、選挙応援サボタージュを決め込む中でも、独自に候補者擁立に動いた事も、これまでの報道から推測できます。しかし、官邸サイドからの横槍もあって、意中の候補者にはことごとく出馬を断られ、最終的に身内の無名候補を擁立するしかなくなった、というのが実態ではないでしょうか。

 

「橋下新党こそ偽物」=松井氏の政権寄り発言暴露―維新・江田氏(時事通信)

 維新の党の江田憲司前代表は23日、富山県小矢部市で講演し、橋下徹大阪市長が率いる国政新党「おおさか維新の会」について、「大阪都構想実現のために安倍官邸と手を組んでいかないといけなくなる。どうぞ与党の方に行ってください」と述べ、一線を画す姿勢を示した。その上で「大阪側から『偽物』と誹謗(ひぼう)中傷を受けたが、野党勢力結集という公約を違えた方が『偽物』だ」と批判した。(中略)

 江田氏は、維新分裂の引き金となったのは、松井一郎大阪府知事が安倍政権寄りの姿勢を明言したことだと説明。松井氏が6月に江田氏と会談した際に「自民党と手を組んで政策を実現していく。われわれはもう政権交代を目指さない」と述べた、と暴露した。(後略)(以上引用)

 http://www.jiji.com/jc/zc?k=201511/2015112300325

 

 もう、この時点で、本当に大阪の事を思うならば、こんな「隠れ維新」の自民党からは離脱すべきだったのでしょうが、残念ながら、府連にはそこまでの覚悟が無かった。だから、候補者の出馬表明が告示直前にまでもつれこみ、共産党も自民党大阪府連の候補者に乗るしか無かったのでしょう。 

 これが有権者には「相乗り」と映ってしまったのではないでしょうか。かつての社会党が自民党と相乗りして、オール与党として大阪の政治を食い物にした姿と同じように見られてしまった。その一方で、大阪維新の方はと言うと、こちらも東京の維新執行部と醜い本家争いを繰り広げながら、橋下のマスコミ操縦術とそれに迎合する安倍や商業マスコミの宣伝のおかげで、逆に自党の宣伝に利用してしまった。

 

 そこで、私が不思議に思うのは、「なぜ、住民投票が終わった段階で、第三者の文化人や市民団体も交えた候補者選考委員会を立ち上げなかったのか?」という事です。市民団体や民主党、公明党なども交えた候補者選考委員会を立ち上げ、そこに候補者選考や公約づくりを任すのです。もちろん、自民党や共産党もその中に加わります。

 そうすれば、たとえ自民党や共産党が身動き取れなくなっても、その他の人たちで協議を続ける事ができ、うまくいけば、もっと維新に対抗できる候補者を擁立できたかも知れません。告示前には確認団体として選挙を戦う事もできたのではないでしょうか。選挙ビラにも、「元・市議団幹事長」や「元・女性府議」なんかではなく、堂々と候補者名を載せる事ができたでしょう。そして、「統一公約」の形で発表していれば、共産党や自民党の支持者ではない無党派の一般市民にも、「これは野合ではなく政策に基づく共闘だ」と、堂々と説明できたのではないでしょうか。

 つまり、「沖縄県知事選挙や那覇市長選挙と同じ構図の闘いに持ち込むべきではなかったのか?」という事です。沖縄の辺野古新基地建設問題と大阪都構想の問題とでは、抱える問題の規模や深刻度は違いますが、どちらも自民党の安倍政治や、その別働隊たる維新の橋下政治に、国民生活も民主主義も踏みにじられようとしている点や、その悪政に抵抗する動きが自民党の地元組織の中からも起こっている点では共通しています。違うのは、大阪の自民党が安倍政権への期待(幻想)をいまだに捨てきれない点だけですが、これも、橋下の「入閣」次第によって変わってくるでしょう。

 少なくとも、今年5月の住民投票直後には、反維新陣営の間には、統一候補擁立を検討する声もありました。それを今からでも発揮すべきではないでしょうか。そうすれば、いかに橋下と言えども、そう簡単に自分の好き勝手にはできないはずです。いくら大阪では維新が第一党だと言っても、相対得票率でも過半数を割り込み、基礎票では府民の3割程度の支持しか獲得できていないのですから(下記参考資料参照)。統一候補の擁立や統一公約の策定まで出来てこそ、本当の「国民連合政府」構想と言えるのではないでしょうか。

 

(参考資料)

 2014.12.14.衆院比例区得票(大阪市計) 投票率 47.78%

  維新  331,343 (A)

  次世代   19,444 (B) (A)+(B)=350,787

  自民  230,797 (C) 

  生活    11,808 (D)

  社民    12,850 (E)

  共産    140,410 (F)

  民主    65,479 (G)

  公明  183,442 (H) (C)~(H)計=644,786

 

 維新・次世代支持層の95%、自民支持層の4割、その他の党支持層の2割が維新陣営に流れたと想定しても、

 維新陣営の (A+B)×0.95+(C)×0.4+(D~H計)×0.2=508,362票に対し、

 反維新陣営は(A+B)×0.05+(C)×0.6+(D~H計)×0.8=487,208票と、わずか21,154票差にしかならない事が分かる。

 しかも、この衆院選(比例区)の投票率はわずか47.78%。大阪市民有権者の過半数、111万8533名もの有権者が棄権しているのだ。その111万8千余票の2%も獲得できれば、今回の市長選挙の結果も簡単にひっくり返す事が出来たのではないか。

 http://www.city.osaka.lg.jp/contents/wdu240/sokuhoukekka/kaihyo_data_02_h26.html

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この総括はまだ終わらない (プレカリアート)
2015-11-27 22:36:56
 せっかく大阪ダブル選挙の総括記事を仕上げながら、こんな事を書くのも気が引けますが。新たな疑惑が急浮上してきたので。
 その疑惑というのは、自民党大阪府連内部にも、維新と気脈を通じた者がいて、安倍官邸筋や橋下・松井サイドと裏で連絡を取りながら、柳本氏や栗原氏を支援するふりしながら、実際は反維新の団結を破壊するような事をやってきたのではないか、という内容です。
 具体的には、両陣営の演説会には自民党支持者だけでなく共産党支持者や民主党支持者も多数詰めかけている事も承知の上で、わざわざ安倍政権や戦争法成立をことさら持ち上げ、まるで維新がやるような共産党批判を会場で展開し、野党支持者をドン引きさせ票を蹴散らすような発言を繰り返していたのではないか、という疑惑です。下記ブログの記事にその事が詳しく載っています。

中山泰秀自民党大阪府連会長は首相官邸から派遣された「オール大阪」壊しのトロイの木馬だった、おおさか維新を野党分断カードに起用する安倍戦略が着々と進行している(1)、大阪ダブル選挙の行方を考える(その11)(広原盛明のつれづれ日記)
http://d.hatena.ne.jp/hiroharablog/20151126/1448496723

 もちろん、これはあくまで疑惑でしかありません。実際に演説会場でどのような発言が行われていたのか。私は参加していないので皆目分かりません。自民党大阪府連の公式HPを見ても、当たり障りのない内容しか載っていません。

自民党が共産党と共闘しているというご批判について(自民党大阪府連HP)
http://osaka-jimin.jp/special/#2

 上記のHPに載っているのは、「地方政治の二元代表制の下では、国政で対立している政党同士でも政策が一致すれば協力し合う事はいくらでもある。現に、維新と共産党の間でも、そのような例が多数あるじゃないか」という程度の内容です。この程度の内容なら何も問題はないでしょう。
 ところが、それを超えて、会場で反共攻撃みたいな事が行われていたとしたら、共産党支持者としても見過ごす訳には行きません。

 実際、柳本氏や栗原氏の得票も、自民党から共産党まで支援したにしては、余りにも少なすぎます。栗原氏の得票に至っては、わずか105万票しかありません。これぐらいの票なら、かつての共産党の府知事候補でも一党だけで取っていました。亀田得治や鯵坂真の例を上げるまでもなく。
 得票が不自然なまでに少なすぎるのも、この疑惑と関係があるのでしょうか。ここは是非、実際に演説会に参加された方からのコメントを期待したいところです。
なるほど (あるみさん)
2015-11-27 23:06:54
「候補者選考委員会」方式ですか…そこまでは思い至りませんでしたね(^^)・・・「都構想」反対運動で精力を使い果たしてしまったからでしょうか、それとも「橋下」が「政治家引退」を表明したから、油断してしまったのでしょうか(後者のような気がしますが…)

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