アフガン・イラク・北朝鮮と日本

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これは決してホンジュラスだけの問題ではない

2009年07月07日 22時58分52秒 | その他の国際問題
En hondura no pasa nada, todo tranquilo (GOLPE DE ESTADO)
ビデオタイトル:「ホンジュラスでは何も起きていない」(注:勿論これは皮肉である)


 私は、前回エントリー「へんてこなひと」の中で、「反自民世論が切り崩されるパターン」として、次の3つを挙げました。

(1)自民党と第二自民党(民主党)との間で、政権たらい回しや談合・馴れ合い劇が幾度となく繰り返された結果、次第に国民の間に政治的無関心が広まっていく。
(2)それを誤魔化す為に、同上二党間の「やらせ・八百長」対決が意図的に煽られる事で、逆に国民がますます政治嫌いになっていく。
(3)それでも、国民の関心を同上二党に繋ぎ止めておかなければならないので、その刺激策として、各種各様の「あて馬」が用意される。

 但しそこでは、「疑似(贋物)が真性(本物)に変わる」、所謂「瓢箪から駒」の可能性は、一切考慮に入れていませんでした。確かに、過去の歴史においては、「ニワトリからアヒルへ」と変わった総評の例もありますが、少なくとも今の鳩山民主党については、多少のブレはあっても、そこまで豹変(進歩)する事は、まず在り得ないと思っていました。逆に、小沢・福田による大連立交渉で図らずも露呈した様に、いつかきっと自民党に取り込まれていくだろう、その可能性の方が遥かに大きいと思っていました。

 そんな中で飛び込んできたのが、中米ホンジュラスでの大統領追放のニュースです。元々は、単なる「米国の傀儡」にしか過ぎないと思われていた、「バナナ共和国」の一介の親米大統領が、恰も「ニワトリからアヒルへ」豹変するが如く、次第に対米自立と反・新自由主義の道に歩みだしていたのです。その路線が、次第に同国内の特権支配層からの怒りを買う事になり、憲法改正プレ国民投票の施行を契機に、今回の軍事クーデターによる追放劇に至ったのです。

 中南米諸国では、80年代以降、親米軍事独裁政権の下で、新自由主義政策が相次いで強行されました。豊富な天然資源は多国籍資本に売却され、国民は貧しいままに捨て置かれました。福祉・医療・教育や公共サービスが次々民営化され、儲け本位の発想の下で、鉄道網廃止や公共料金値上げが相次ぎました。関税障壁は撤廃され、米国からは安価で農薬漬けの輸入農産物が大量に流入し、国内農業は壊滅的打撃を蒙りました。労働法は改悪され、不当解雇や賃下げが横行し、ストライキは軍事力で弾圧されました。そこに補助金削減による食料など生活必需品の物価値上げも加わって、中南米を未曾有の失業が襲いました。

 その様な社会情勢の中で、この地域の民衆は、新自由主義の酷さを、「理屈ではなく身を以って」体験したのです。これが、この地域で今急速に左派勢力が躍進している、根本的な要因です。それを、時代錯誤の日本の御用マスコミは全然理解できずに(或いは理解した上で意図的に隠蔽しているのかも)、相変わらず「反米独裁か親米民主か」の冷戦ドグマか、若しくは「コミンテルン陰謀論w」の立場からしか、このニュースを見る事が出来ないのです。

 しかし、それでも、長らく親米右派の拠点国家として、近隣のニカラグアやパナマの革命に対する干渉基地として機能してきたホンジュラスにまでも、その変革の波が遂に押し寄せて来るとは、私もよもや思いませんでした。
 この点については、私も、ホンジュラスという国の変化を、完全に見落していました。長らく「米国の裏庭」「バナナ共和国」として、国民党と自由党という類似・保守二大政党の、一方(自由党)の党首でしかなかった大統領が、あそこまで民衆の側に立てるとは、予想だにしていませんでした。これを以って、以前の記事「南米左翼は果たしてスターリン主義を乗り越えられるか?」文中の、ホンジュラスに関する下記記述については、早速その認識を改めたいと思います。

>これは多分、17日付しんぶん赤旗の、「エルサルバドルに左派政権誕生」の記事(写真・地図参照、地図が当該記事に添付の「当該16ヶ国」の内訳)からの引用なのでしょうが、上記の基準も非常に大甘というか。
 キューバ、ニカラグア、ベネズエラ、ボリビアは当然として、まあブラジルのルラ政権も、最近の評価は色々あれど一応左派である事は間違いないとしても、ハイチやホンジュラスまで含めてしまうのは、どうかという気がします。(以上、当該拙稿より)

 その上で、再び日本に話を戻します。方や中南米の途上国、もう方や東アジアの工業国と、国内外の地理的・経済的環境の違いはあれぞ、共に米国の属国で、保守二大政党制による政治が行われている点については、ホンジュラスと日本は、非常によく似通っています。
 その中で、今回クーデターで祖国を追われたホンジュラス自由党のセラヤ大統領は、日本で言えば、差し詰め民主党の鳩山党首に当たります。しかし、今の民主党の鳩山党首に、果たしてセラヤ大統領と同様の役回りを、期待できるでしょうか。つまり、「どんなに邪魔されても、旧支配層からの誘惑に靡く事無く、とことん最後まで民衆の側に立ち得るか?」という事です。これは残念ながら、遅かれ早かれ変節する可能性の方が高いと、私は踏んでいますが。
 そして、「鳩山が、若し変節せずに最後まで筋を通せたとしたら、その時には旧支配層はどう出てくるか?」という事もあります。最悪の場合、田母神あたりの靖国狂信右翼が、クーデターや右翼テロに出てくるとも限りません。そう考えると、これは決して遠い中南米の途上国の話に止まるものではありません。ホンジュラスの問題は、実は我々の問題でもあるのです。
 
 これはまた、如何に「米国の属国」「新自由主義の実験場」とされた国でも、その国の指導者が本気でそこから抜け出そうとするならば、必ず民衆の支持を得る事が出来るという事を、ホンジュラス国民が身を以って示してくれたニュースでもあります。ホンジュラス国民は、これ以上耐乏生活を強いられる事を拒絶しました。翻って日本国民は、いつまで奴隷の耐乏生活を続けるのでしょうか。

(参考記事)
・ホンジュラスで大統領追放、再選可能にする改憲めぐり軍・裁判所と対立(AFP・BB)
 http://www.afpbb.com/article/politics/2615865/4316380
・ホンジュラス・クーデター情報(caracas cafe、以下同上)
http://caracascafe.wordpress.com/2009/06/30/%e3%83%9b%e3%83%b3%e3%82%b8%e3%83%a5%e3%83%a9%e3%82%b9%e3%83%bb%e3%82%af%e3%83%bc%e3%83%87%e3%82%bf%e3%83%bc%e6%83%85%e5%a0%b1/
・ホンジュラス報道と「再選」
http://caracascafe.wordpress.com/2009/07/01/%e3%83%9b%e3%83%b3%e3%82%b8%e3%83%a5%e3%83%a9%e3%82%b9%e5%a0%b1%e9%81%93%e3%81%a8%e3%80%8c%e5%86%8d%e9%81%b8%e3%80%8d/
・ホンジュラス・クーデター4日目
http://caracascafe.wordpress.com/2009/07/02/%e3%83%9b%e3%83%b3%e3%82%b8%e3%83%a5%e3%83%a9%e3%82%b9%e3%83%bb%e3%82%af%e3%83%bc%e3%83%87%e3%82%bf%e3%83%bc4%e6%97%a5%e7%9b%ae/
・ホンジュラスからのメール
http://caracascafe.wordpress.com/2009/07/03/%e3%83%9b%e3%83%b3%e3%82%b8%e3%83%a5%e3%83%a9%e3%82%b9%e3%81%8b%e3%82%89%e3%81%ae%e3%83%a1%e3%83%bc%e3%83%ab/
・ホンジュラスからのメール2
http://caracascafe.wordpress.com/2009/07/04/%e3%83%9b%e3%83%b3%e3%82%b8%e3%83%a5%e3%83%a9%e3%82%b9%e3%81%8b%e3%82%89%e3%81%ae%e3%83%a1%e3%83%bc%e3%83%ab2/
・ホンジュラス軍の発砲映像
http://caracascafe.wordpress.com/2009/07/05/%e3%83%9b%e3%83%b3%e3%82%b8%e3%83%a5%e3%83%a9%e3%82%b9%e8%bb%8d%e3%81%ae%e7%99%ba%e7%a0%b2%e6%98%a0%e5%83%8f/
・ホンジュラス・クーデター7日目:空港にスナイパー
http://caracascafe.wordpress.com/2009/07/05/%e3%83%9b%e3%83%b3%e3%82%b8%e3%83%a5%e3%83%a9%e3%82%b9%e3%83%bb%e3%82%af%e3%83%bc%e3%83%87%e3%82%bf%e3%83%bc7%e6%97%a5%e7%9b%ae%ef%bc%9a%e7%a9%ba%e6%b8%af%e3%81%ab%e3%82%b9%e3%83%8a%e3%82%a4%e3%83%91/
・ホンジュラスでクーデター進行中: オバマ最初のクーデター(マスコミに載らない海外記事、以下同上)
http://eigokiji.justblog.jp/blog/2009/06/post-5b1e.html
・中南米に対するオバマの本当のメッセージは?
http://eigokiji.justblog.jp/blog/2009/07/post-7a90.html
・もう一つの9/11、中南米に再度出没
http://eigokiji.justblog.jp/blog/2009/07/911-d12e.html
・ホンジュラス:ALBAへの6番目の加盟国となる(8月25日)(ラテンアメリカの政治経済、以下同上)
http://ameblo.jp/guevaristajapones/entry-10131956869.html
・ホンジュラス:セラヤ大統領、憲法改正、再選を提案(3月26日)
http://ameblo.jp/guevaristajapones/entry-10232356341.html
・ホンジュラス:政治危機、クーデター前夜の様相に(6月25日)
http://ameblo.jp/guevaristajapones/entry-10288283048.html
・ホンジュラス、6.28クーデター決行される
http://ameblo.jp/guevaristajapones/entry-10290216502.html
・国際的に孤立したホンジュラス、クーデター政権(6月30日)
http://ameblo.jp/guevaristajapones/entry-10291034285.html
・ホンジュラス:セラヤ大統領帰国にむけ緊張たかまる(7月1日)
http://ameblo.jp/guevaristajapones/entry-10292833898.html
・ホンジュラス、米州機構脱退へ(7月4日)
http://ameblo.jp/guevaristajapones/entry-10293657908.html
・ホンジュラス:セラヤ大統領派、空港へ(7月4日)
http://ameblo.jp/guevaristajapones/entry-10294145518.html#main
コメント (3)
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