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小松基地問題研究会

2016年アメリカシロヒトリ観察記録(4月上旬~8月下旬)

2016年08月30日 | 自然
2016年アメリカシロヒトリ観察記録(4月上旬~8月下旬)

今年8月下旬までの集約
 6月上旬から下旬にかけて第1化期<産卵→孵化→巣網形成→幼虫成長→拡散→暴食→蛹化>があり、8月上旬から下旬にかけて第2化期<産卵→孵化→巣網形成→幼虫成長→拡散→暴食>のサイクルが終わり、現在(8月末)は一部の街路樹を黄変させて、ほぼ収束している。

 巣網形成が樹木1本につき1カ所程度なら、街路樹の外観はそれほど見苦しくならないが、何カ所か巣網が形成された樹木は全体が黄変してしまう。

 3.5メートルの高枝ばさみなら、身長をプラスして、約5メートルまで除去可能だが、それを超える高所の巣網は除去出来ない。その高所に複数以上の巣網が形成されれば、鳥などの天敵による捕食は間に合わず、樹木全体が暴食される。

M小学校の梅林
 具体的に見ると、M小学校の梅林(12本)は、一部には樹高の高い梅の木(2本)があるが、多くは高枝ばさみが届く程度の高さなので、巣網形成期にていねいに除去することによって、ほぼ除去・制圧することが出来た(高枝ばさみの届かない巣網は残された)。
 昨年8月下旬の写真と、今年同時期の写真を見比べればその結果は歴然としている。

     

M小学校正門脇の桜
 一方、M小学校正門前の桜は樹高が10メートルほどあり、高枝ばさみでは対応不能で、昨年とほとんど同じように、下の方以外の大部分が丸坊主になってしまった(写真)。児童が活動する小学校であり、薬剤散布によるアメシロ駆除は避けたいので、現実的な対応が見えてこない。来年もこの桜の木にアメシロは大量発生し、梅林での発生ももたらすだろう。

       

M小学校隣家の柿の木
 また、梅林に隣接する民家の柿の木2本も、第1化期から巣網を視認してきたが、民家の敷地内ということもあり、対応が消極的になり、8月下旬には暴食によって2本とも丸坊主になり、青い柿の実だけが目立っている(写真)。

 柿の木で発生したアメシロのサナギが大量に越冬して、来年の春には柿の木はもちろん、隣接する梅林でのアメシロ大量発生は避けられないだろう。柿の木の所有者との間で、何らかの確認をしないと、解決はしないだろう。

2015年以降の変化
 ここまでは、M小学校の正門付近の状況について述べてきたが、M団地内の街路樹(アメリカ楓)の食害状況を俯瞰しておこう。2011年から観察を始めたのだが、本格的な調査は2013年からで、3年目である。M団地内にはアメリカ楓並木が4カ所あり、区間2(45本)、区間1-3(24本)、区間1-4(34本)、区間6(35本)、合計138本を対象化した(第2児童公園の3本は区間1-4に含めた)。

 同団地内にはアメシロが好む樹木(ニワウルシ、桜など)もあるが対象から除外した。また、周辺には何カ所かアメリカ楓並木があるが、これも調査不充分なので除外した。【区間3(18本)、尾山台高校テニスコート(9本)、区間9-1(29本)、区間9-2(34本)、区間7(25本)、中学校グラウンド内(34本)、中央公園(24本)、第2児童公園(3本)】

     

 4カ所138本のアメリカ楓におけるアメシロ被害(1化期、2化期をとおして被害が見られた樹木数)について確認する。2011年から2014年までは、毎年50本以上(36%以上)のアメリカ楓に巣網形成・黄変が見られたが、2015年、2016年は16本(12%)に巣網(黄変の被害)を確認した。

   

何が奏効したのか
 2011年以前は拡散・暴食時点での市民からの通報→薬剤散布によるアメシロ駆除がおこなわれてきた(2012年までは薬剤散布量が増加)が、2012年をピークに薬剤散布量が減少している。それが結果として、2013年、2014年のアメシロ被害を増加させた一要因と考えられる。

 では、2014年以前と2015年以降の差はなにか、①夏剪定、②蛹の越冬場所=コケの剥ぎ取り、③巣網段階での除去が効を奏しているのだろう。2014年から始まった夏剪定が2015年以降のアメシロ被害減少の大きな要因と考えられる。アメリカ楓などの夏剪定は2014年は6月中旬、2015年は5月下旬、2016年は6月中旬におこなわれた。

 確かに夏剪定によって、アメシロの<羽化→産卵>前後に産卵対象木としてのアメリカ楓を丸坊主(夏剪定)にすれば、アメシロにとっての有効な産卵対象がなくなり、第1化期の<産卵→孵化→巣網形成>の初期過程を破壊することができ、第1化期の暴食はもちろん、第2化期への橋渡しである蛹化の数を低めることが出来る。

功罪相半ばの夏剪定
 だが、この対策には決定的な欠点がある。街路樹としての役割(夏の日陰、秋の紅葉)を無視するという欠点である。夏剪定されたアメリカ楓は枯れ木とそれほど相違がなく、街路樹としての役割を果たせていない。人間が丸坊主にするのか、アメシロが丸坊主にするのかの違いであり、市民にとってはいずれも受け入れがたいのである。(2016年8月30日)
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