アジアと小松

アジアの人々との友好関係を築くために、日本の戦争責任と小松基地の問題について発信します。
小松基地問題研究会

『未完の憲法』(奥平康弘×木村草太014年)の感想

2016年10月19日 | 教育、憲法、報道
『未完の憲法』(奥平康弘×木村草太2014年)の感想

【058】木村:(法学者にとっては)制定の経緯よりは内容が合理的であるかどうかが重要
<このフレーズを読んで感じたこと>
 手続きや形式によって「押しつけ」論を主張する改憲派にたいする批判でしょう。改憲派は中身を変えたいから、形式・手続きを問題にするのであって、現行憲法から明治憲法に近づけるための「改憲」であり、この論にたいして警戒心を持って臨む必要があると思います。

【071】木村:日本が核兵器や空母を持つことそれ自体を9条が具体的に禁じているわけではない。…外国船の領海侵犯などは…9条の範囲内で自衛権を行使出来る。
<このフレーズを読んで感じたこと>
 「防衛戦争」をあっけらかんと認めています。吉田首相でさえも「近年の戦争は国家防衛戦争の名においておこなわれた。正当防衛権を認めることは戦争を誘発する」という趣旨の答弁をしています。解釈改憲にたいしてなんと無防備な論述でしょう。
 憲法学は結局のところ憲法解釈学でしかないようです。改憲派学者も反改憲派学者も解釈の幅を認めあっており、戦争をさせない、戦争を止める、戦争に抵抗するという主体的行為とは結びつかない人種なのでしょう。

【053】奥平:連合国側が天皇制廃止を選択していたら、日本人はすんなりそれを受けいれてたに違いない
<このフレーズを読んで感じたこと>
 奥平さんのGHQ期待感が吐露されています。戦後革命期(1946年メーデーは50万人決起)になぜ経済問題と政治(憲法)問題が結びつかなかったのかという総括的視点からみれば、当時の共産党、社会党の路線問題が問われるとおもいます。

【117】木村:カウンターグループのやっていることも、同レベルの嫌がらせにしか思えません。【119】たたかう側が品位を下げてはいけない。ヘイトスピーチをする側と同じ所まで降りていって、相手と同じ品位に身を落として戦ってはいけない。
<このフレーズを読んで感じたこと>
 目の前でヘイトスピーチを受け、苦しんでいる人(在日)にむかってこの言葉を投げることができますか? 在特会のヘイトスピーチは権力と結びついた極右暴力であり、これにたいして「文化の力」を対置していますが、我慢と泣き寝入りの要求です。基本的には、被害者の悔しさや怒りを共有するという姿勢・感覚がないのではないでしょうか。

【119】奥平:暴力に暴力で対抗したら、暴力の連鎖は終わらない。
<このフレーズを読んで感じたこと>
 国家暴力にたいしても同じなのでしょう。沖縄の辺野古や高江のたたかいに一体感を持てない感性です。聞き手の木村さんも反論せず、容認しているようです。

【番外】憲法第29条について
 日本国憲法第29条第1項には「財産権は、これを侵してはならない」とありますが、対談本のなかでは一切議論の対象になっていません。私有財産制=資本主義こそが現代の戦争の根源であり、日本国憲法の最も守りたい聖域です。日本国憲法の諸条文は、その聖域を守るために、その枠内での権利規定であることを明確にしておく必要があると思いました。
ジャンル:
ウェブログ
コメント   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 偽装詩は嫌いだ | トップ | 10・19大飯原発控訴審第9回口... »
最近の画像もっと見る

あわせて読む

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL
  • 30日以上前の記事に対するトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • 送信元の記事内容が半角英数のみのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • このブログへのリンクがない記事からのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • ※ブログ管理者のみ、編集画面で設定の変更が可能です。