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防衛省

 防衛庁の省昇格が衆院を通過した。
 筆者の認識では、防衛予算が取りやすくなるくらいの変化しか思い浮かばなかった。(国際協力支援に基く後方支援活動が本来業務になるのと、防衛施設庁が廃止されるのは「ついで」)

 分かりやすくまとめられていた記事があったので、引用する。

 法案が成立すれば、防衛庁は来年1月上旬にも「防衛省」となり、防衛庁長官は「防衛相」に格上げされる予定だ。これに伴い、今まで形式上、首相を経ていた法案提出や、海上警備行動発令の承認を得る閣議要求などは、防衛相が直接行うことになる。さらに、自衛隊の国際緊急援助活動や国連の平和維持活動(PKO)、テロ対策特措法やイラク特措法に基づく活動、周辺事態での後方支援などが国土防衛や災害派遣と同等の本来任務に位置づけられる。
http://www.asahi.com/politics/update/1130/006.html

 つまり、規定を実際の仕事に合わせたという理解でいいだろう、所轄業務の性質上からも望ましい改革方向だと思う。更には実際の業務内容から規定が解離すると、業務に支障をきたすのみならず統帥権のように悪さをしかねないので、見つけ次第改正するのがよい。

 

 さて、上記の記事と同じ新聞社の今朝の社説

防衛「省」 改めて昇格に反対する
http://www.asahi.com/paper/editorial.html

 戦争が終わって60年が過ぎた昨年、詩人の長田弘さんはそのころ盛んに語られた「戦後60年」という表現に疑問を投げかけた。「不戦60年」と言うべきではないのか。
 「昭和の戦争に敗れて戦争はしないと決めてからの、戦争をすることを選ばなかった『不戦60年』という数え方のほうが、この国に戦争のなかったこの60年の数え方としては、むしろ当を得ています」(長田弘「知恵の悲しみの時代」みすず書房)
 60年もたてば、多くのものは古くなって時代に合わなくなる。手直しするのは当然だ。憲法しかり、戦後民主主義しかり――。そんな風潮がある。
 だが、日々続けてきたものは古くなるのではなく、日々新たな到達点がある。そこを前向きに評価したい、というのが長田さんの言いたいことだろう。
 防衛庁を「省」に昇格しようという法案の審議が衆院で大詰めを迎えている。きょうにも本会議で可決される見通しだ。「庁」という形は時代に合わないから、直したいということのようだ。
 防衛庁が生まれて52年がたつ。自衛隊は国土防衛だけでなく、カンボジアへの派遣をはじめ海外でもさまざまな経験を積んだ。かつてと比べ、国民は自衛隊や防衛庁をより肯定的に評価するようになったのは事実だ。
 だがこの間の歩みには、戦前とは違う国のありようを求めてきた私たち自身の決意が投影されていることを忘れてはならない。
 戦後日本は、侵略と植民地支配の歴史を反省し、軍が政治をゆがめた戦前の過ちを決して繰り返さないと誓った。だからこそ、戦後再び持った武力組織を軍隊にはせず、自衛隊としてきた。普通の軍隊とは違う存在であることを内外に明らかにする効果も持った。
 軍事に重い価値を置かない、新しい日本のあり方の象徴でもあった。国防省や防衛省ではなく「防衛庁」という位置づけにしたのも、同じメッセージである。
 省になってもこれまでと実質的な違いはないと、政府・与党は言う。自衛隊員が誇りを持てる。諸外国も省の位置づけだ。名前が変わったからといって、戦前のような軍国主義が復活するわけではない。それはそうだろう。
 だが、問われているのは私たちの決意であり、そうありたいと願う戦後日本の姿である。古びたり、時代に合わなくなったりする問題ではないはずだ。
 長田さんが「不戦60年」の表現を薦めるように、私たちは「庁」にこだわりたい。省になることで、軍事的なものがぐっと前に出てくることはないのか。そんな心配もある。
 日本は、惨憺(さんたん)たる敗戦に至った歴史を反省し、新しい平和の道を選んだ。それは多くの国民が賛成し、いまも支持している選択だ。その重みを考えると、あたかも古い上着を取り換えるようなわけにはいかない。

 筆者は何度もこの社説を読み返してみたが、何が書いてあるのか理解できなかった、上記の記事と同じ新聞社の記事とはとても思えない。
 なんとなく、軍備はよくないと言いたいようだがそれも不明。
 この手の奥歯にモノがはさまった話し、文章は政治家、企業の偉い人などがよく多用する。自分からは印象操作だけしておいて、聞き手に判断させ逃げ道を残しておく論理展開だといえる。
 個人的には、この手の話し方をする人間は詐欺師か脅迫者だと思っている。

 もっとも、この社説に関しては論旨そのものが空中分解してしまっているように見えなくもない。昨今の国民意識に合わせて、自衛隊に肯定的な文を微妙に紛れ込ませているからだろう。
 だが、日々続けてきたものは古くなるのではなく、日々新たな到達点がある。古びたり、時代に合わなくなったりする問題ではないはずだ。朝日新聞は国民の意識が変わったからといってそれに迎合して戦前戦後の編集方針に戻る事無く、これからもわが道をいっていただきたい。


↓中国の反応

日本衆議院防衛庁を防衛省に昇格する関係法案を通過
http://news.xinhuanet.com/world/2006-11/30/content_5413979.htm

 中国時間で17:53、3~4時間後の反応は準備していたように早い。内容は事実関係が殆ど、文脈からは「海外での支援任務が本来任務へ」が強調されているように読み取れる。
 自衛隊の海外活動は嫌なようだ。

 

 まあ、↓こんなことしてる最中だから、下手に防衛庁をくさすような記事は書けない、偶然なのだろうが日本政府もいやらしい。



第7回中日防衛当局間協議が開催 東京
http://www.people.ne.jp/2006/11/30/jp20061130_65464.html

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