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SCE解散から読み解く日本製造業の未来

2010-03-02 11:12:02 | ビジネス
散文的で読みにくいですが、まとめるのも面倒なので・・

このブログはわかりやすい。

SCE解散へ これから何が起こるのか考える(東京のはじっこで愛を叫ぶ)
http://d.hatena.ne.jp/tenten99/20100228/1267373500


私からは、もっと企業戦略的な観点から、雑感を述べたいと思います。

ゲームやソニーに関心のない人は知らないかもしれないが、SCE(ソニー・コンピュータ・エンターテイメント)という会社はソニー・グループの中でもアグレッシブで独善的で、そして先進的な会社で、一時期、売上高1兆円にもなったバブル崩壊後最大級の社内ベンチャー企業であると同時に、その動向は世界中から注目を浴びる会社である。
SCEは知らずとも、PS(プレイステーション)は多くの人が知っているはずだ。
少し前に、事業仕分けを起点としたスーパーコンピュータを巡る騒動で、PS3に搭載されたCELLプロセッサが改めて注目された。
CELLプロセッサは、Wintelに対抗すべくソニーが5000億円投資して、IBM、東芝と組んで作り上げたCPUで、その性能はスーパーコンピュータに匹敵するといわれている。
(ただ、コンピュータには「ムーアの法則」と呼ばれるトレンドがあって、処理性能は時とともに陳腐化する)
(最近では、東芝がCELL TVを出した。)
その企業精神は、ソニー本体の井深大、森田昭夫といった創業者からなる「ソニースピリッツ」というよりも、SCEの創業者といえる技術者、久多良木健氏の影響を多分に受けている。
とにかく、技術オリエンテッドな企業で、最先端のコンピュータ技術をゲーム業界に持ち込み、時代の寵児になった。
(ただ、久多良木氏の目標はゲームではなく、その先であったのだが、技術がついてこなかった。)

私は、久多良木健氏を近年稀に見るビジョナリストだと考えている。
今でいえばスティーブ・ジョブス級だった。
彼がアメリカにいけば、彼の話を聞きたいといって面会を申し出る人はごまんといた。
今、日本人でそれほどの人物がいるだろうか。

私が特に彼について驚いたのは、まだ携帯電話が普及する前の時点で「プレイステーションのライバルは携帯電話だ」と語っていたことである。
当時、その意味を理解できる人がどれだけいただろうか。
彼は、マルチメディアの最終目的がコミュニケーションにあることを見抜いていたのである。

彼は、出井政権時代のソニーショックの後、ソニー本体の副社長を任されるが、出井会長とともに経営不振について引責辞任させられた。
その後にSCEに戻るのだが、PS3で出した損失の責任をとらされてか、引退することになった。

その彼が去ってからのSCEは独善路線から一転、ハワード体制の下でソニーと共同歩調をとることになるが、ついにここまで至ってしまったかという思いがしてならない。
SCEがソニーの100%子会社ながらもソニー本体よりも強気の経営を続けてこられたのも、利益を上げることができたからだが、現在のSCEのビジネスモデルは破綻寸前であり、ソニー本体の助けなしにやってはいけない状態だ。
このような状況下では軍門に下ってしまう他あるまい。
(いや、債務超過なのだからSCE単体で見たときに会計的には破綻している。)

ソニー本体はというと、総合的ネットワーク戦略に力を入れているので、今回の吸収合併によってSCEのネットワーク部門が手元に入るのだからメリットが十分にあると考えているのだろう。(最近ハワードは腐るほどPSNの成功を主張している。ソニーにはそれしかないのか、とついつい思ってしまう)
SCEの下にあるとどうしてもゲームオリエンテッドな戦略にならざるを得ないので、ソニー・グループ全体としてネットワーク戦略を推進することを考えれば、指揮権を手に入れるのが得策だ。
しかし、私個人としてはSCEのベンチャースピリッツが失われるとデメリットの方が大きくなる可能性があると考えている。

ソフトウェア一般のことを考えれば、アイディアやアーキテクチャをアメリカ側で構想して、それを日本に輸入した方がいいが、たぶん、それをやろうとしているのだろう。
日本人社員は優秀で仕事は速いが、新しいコンセプトを構想する力がない。
新しいコンセプトを構想する力というのは、ビジネスモデルのことだ。
ネットワーク戦略を日本から引き離して、アメリカ側でヘッドハントしたアーキテクトにアメリカ側で構想させて、それを日本の優秀な社員を使って構築する。
(実際に手を動かすのはインドか中国かはわからないが)
私がハワード・ストリンガーなら、そう考える。
SCEというサイドウィングを失う以上、それしか選択肢はあるまい。
いや、むしろSCEの債務超過を解消すると同時に、SCEからネットワーク部門をソニー本体に引き込んで、それをアメリカからコントロールさせて、SCEというベンチャーを失うデメリットを相殺させる。
そうすると全てのチェインが繋がるではないか。
この戦略が可能になるためには、アメリカという登場人物が存在することが必要だ。
つまるところ、日本的製造業企業の未来を暗示しているのかもしれない。
しかし、これがグローバル化というものだ。
それぞれが得意なところを分業する。
日本人が得意なところに特化することこそ、自然なのだろう。
ビジネスに国境はない。

なにか寂しい思いもするが。


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