乾龍の『漂流日本の羅針盤』・【最新ニュースから見え隠れする闇】:

 在野の政治研究家乾龍が『漂流日本の闇』を斬る! 日々の政治・経済等の時事ニュースの深層を探る。

【余録】:テレビドラマの撮影の昼食時である…

2016-10-25 02:06:30 | 【訃報・訃音・お悔やみ、死亡記事、死亡広

【余録】:テレビドラマの撮影の昼食時である…

 乾龍の『漂流日本の羅針盤』・【最新ニュースから見え隠れする闇】:【余録】:テレビドラマの撮影の昼食時である…

 テレビドラマの撮影の昼食時である。主役の刑事だった平幹二朗(ひらみきじろう)さんは、おずおずと犯人役に声をかけた。「あなたの演出する芝居に出たいな」。犯人役の俳優は演出家として頭角をあらわしていた蜷川幸雄(にながわゆきお)さんだった。2人の出会いである▲平さんがギリシャ悲劇の王女を演じる「王女メディア」の初演はその3年後である。メディアが悩む場面で演出の蜷川さんから飛んだダメだしは「子宮で悩め!」だった。「そう言われてもね。でもエネルギッシュな演出が快かった」(高橋(たかはし)豊(ゆたか)著「蜷川幸雄伝説」)▲後に海外公演を成功させた「王女メディア」が本場、アテネの野外劇場で上演された時の喝采(かっさい)を平さんはこう回想している。「生涯でもう二度と聞けぬほどの圧倒的な拍手、歓声でした。石の古代劇場に木霊(こだま)して、果てしなく続く。今も幻聴のように思い出します」▲平さんはいつも「私は3人の演出家に育ててもらった」と語っていた。「俳優座の千田是也(せんだこれや)先生にリアリスティックな芝居の作り方、劇団四季の浅利慶太(あさりけいた)さんにセリフを話す技術を教えてもらい、蜷川さんには『むちゃくちゃやっていい』と自由を与えてもらった」▲その平さんが蜷川さんの舞台の出演を辞退し、絶縁状態となった時もある。10年後、肺がんが原因だったのを公表してコンビは復活した。5月の蜷川さんの葬儀での「僕らはまた近いうちに再会する」という予言的な弔辞にそんな過去を重ね合わせた方もおられよう▲代表作を尋ねられれば、いつも「今度の舞台」と答えていた平さんの突然の訃報(ふほう)だった。俳優として走り続けながらの死は本懐(ほんかい)だったのかもしれない。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【余録】  2016年10月25日  03:47:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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