乾龍の『漂流日本の羅針盤』・【最新ニュースから見え隠れする闇】:

 在野の政治研究家乾龍が『漂流日本の闇』を斬る! 日々の政治・経済等の時事ニュースの深層を探る。

【社説】:週のはじめに考える 韓国政治と縁故社会

2016-11-20 06:10:30 | 【外交・韓国・従軍慰安婦、竹島問題】

【社説】:週のはじめに考える 韓国政治と縁故社会

 乾龍の『漂流日本の羅針盤』・【最新ニュースから見え隠れする闇】:【社説】:週のはじめに考える 韓国政治と縁故社会

 韓国の歴代大統領は任期終盤になると政権内の不正が発覚して、国民に謝罪します。朴槿恵大統領も例外ではなく、退陣要求が全国に拡大しています。

 震源地は朴大統領の四十年来の親友である崔順実容疑者。設立に関わった二つのスポーツ、文化振興財団について、職権乱用の疑いで検察に逮捕されました。

 青瓦台(大統領府)秘書官のうち、朴氏の国会議員時代から仕える三人組が大きな力を持ち、崔容疑者が関与する財団に資金を提供するよう大企業に圧力をかけた疑いも。政財界を巻き込む巨大疑獄に発展するかもしれません。

 ◆寂しき青瓦台の女王

 深刻なのは、朴氏自身が民間人の崔容疑者に対し、演説文の草稿を見せて感想を求めた機密漏えいの疑いまで浮上したこと。職務を分担する政府高官たちとは別に、家臣ともいえる秘書官や親友による「密室政治」が存在し、国政や人事まで牛耳っていたと、メディアは指摘します。

 朴大統領は孤独な女性なのでしょう。父である朴正熙元大統領と母陸英修さんはいずれも、銃弾による不慮の死を遂げました。自叙伝「絶望は私を鍛え、希望は私を動かす」を読むと、三十代では母が残した財団の仕事をし、後は読書や史跡巡りをするだけで、「隠とん生活」のようでした。働き盛りに社会との接触をほとんど断ってしまったことが、その後の生き方に影響したと、思わざるを得ません。

 韓国メディアは「寂しき青瓦台の女王」と表現しています。

 では、国民はなぜ、朴氏を大統領に押し上げたのでしょうか。

 家系の良さに加え、両親が殺害されたことへの深い同情がありました。朴氏は一九九八年に政界に進出。選挙戦の先頭に立ち、野党で低落の危機にあったハンナラ党(現与党セヌリ党の前身)を立て直します。

 大統領になって、内政や経済の評価は低かったが外交はずっと高得点でした。二〇一三年、米議会で英語で演説し、オバマ大統領と長時間、ホワイトハウスの庭を散策した。中国の習近平主席とは六回会談し、得意の中国語でも話したといいます。小柄な体で大国の首脳と渡り合う。韓国メディアの多くが、強い指導者としての期待感をはっきり記していました。

 ところが今回、保守本流の象徴である朴氏の威信は地に落ちました。今月初めにソウルで会った政治学者は「大統領は国民の多様な意見を聞こうとせず、正体の知れない人物に頼った。民主化以前の権威主義の時代に逆戻りしてしまった」と、苦渋の表情でした。

 ◆上昇志向に潜む危うさ

 過去四代の大統領の場合、兄や息子たちが不正資金を受け取り訴追されています。政治家や経済人が大統領の強い権限を利用しようと親族に接近したからです。朴氏は妹や弟を公邸に出入りさせず、清廉なイメージがあったはずですが、「(崔容疑者は)最も苦しい時にそばにいてくれた」(大統領談話)と、ほとんど「身内」扱いをして、歴代政権の轍(てつ)を踏む結果になりました。

 そこには韓国特有の、縁故を重視する風土が見え隠れします。政治に限らず、社会を支配するのは、濃密な親族関係とともに友人の強い絆です。故郷が一緒だとか同じ高校や大学の同窓生なら、仕事の話がはずむ。男性なら軍隊仲間が人脈づくりに役立ちます。

 縁故重視には強みもあって、信用し合える仲間が政権に集まれば意思決定が速いし、後ろ盾がいれば大胆な政策も打ち出せます。しかし、権力の座に居座れば腐敗するのは、どの国、どの時代にも共通することでしょう。

 退陣要求のデモ参加者には、母親や学生の姿が多く見られます。崔容疑者の娘が名門の梨花女子大に不正入学した事実が、怒りを増幅させました。韓国も低成長の時代に入りつつあり、高学歴でも望む仕事には就けない。不正を糾弾する市民たちも内心では、何とかいいコネをつかもうと必死なのが、切ない現実なのです。友人の韓国記者は「縁故ではなく、能力で評価される社会を今度こそつくらないと…。でも、それが難しい」と深刻でした。

 ◆民主主義の再構築を

 十二日、ソウルのデモは二十六万人が路上を埋め尽くしました。八七年、全斗煥軍事政権に終止符を打ったのも大規模なデモでした。民主化を勝ち取った成功体験があるからこそ、多くの市民が街頭に繰り出すのです。

 少数ですが、デモの過激化が保革による国論分裂を招くと心配する考えも。憲法で規定された大統領の権限を認めながら、「法治」によって事態解決を図るべきだという声を、現地で聞きました。

 韓国はいま民主主義を再構築すべき時を迎えているようです。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2016年11月20日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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