乾龍の『漂流日本の羅針盤』・【最新ニュースから見え隠れする闇】:

 在野の政治研究家乾龍が『漂流日本の闇』を斬る! 日々の政治・経済等の時事ニュースの深層を探る。

【春秋】:悪が栄え、善が滅びる。世の中は理不尽なことが多い。

2016-11-06 03:30:15 | 【訃報・訃音・お悔やみ、死亡記事、死亡広

【春秋】:悪が栄え、善が滅びる。世の中は理不尽なことが多い。

乾龍の『漂流日本の羅針盤』・【最新ニュースから見え隠れする闇】:【春秋】:悪が栄え、善が滅びる。世の中は理不尽なことが多い。

 正義の人が悲運のうちに、倒れることもある。どうしようもないが、事実を書きとめよう。死者の魂を慰め、後世に訴えることはできるはずだ。歴史の父、司馬遷は「史記」をまとめた理由をこう書き残している。

 ▼直木賞作家、伊藤桂一さんにも通じる。21歳で入隊し、砲弾飛び交う中国の戦場で7年近くを過ごした。仲間は次々に倒れた。いつ死んでもおかしくない。すべては運だと覚悟した。所属した師団は、除隊後にニューギニアに渡って玉砕している。生き残った者の使命を痛感し、将兵の戦いぶり、無念の思いを描いてきた。

 ▼戦場の語り部になろうと決意する。取材と執筆に集中した。世間的な出世は断念した。家庭生活の幸せも願わない。生活のための勤めや妻子に力をそがれるのを恐れたからだ、という。いつも戦中を意識した。僧家の生まれで「行者的な生き方には向いている」と節制に努めた。思い通り、99歳の長命を保って亡くなった。

 ▼代表作「静かなノモンハン」には、10年かかった。凄絶な戦闘の経験者の話をもとに磨きあげた。叙事詩のような作品だ。あまりに無責任な上層部のもとで、無力な兵士がいかに懸命に働いたか。しみじみと伝わってくる。戦場を描いた作品群は、死者を弔うだけではない。人間の愚かさを未来の読者にも語りかけている。

 元稿:日本経済新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【春秋】  2016年11月04日  03:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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