乾龍の『漂流日本の羅針盤』・【最新ニュースから見え隠れする闇】:

 在野の政治研究家乾龍が『漂流日本の闇』を斬る! 日々の政治・経済等の時事ニュースの深層を探る。

【社説】:憲法に時代の風を吹き込むときだ

2016-11-06 03:30:10 | 【憲法、擁護・改正、第9条問題他】:

【社説】:憲法に時代の風を吹き込むときだ

 乾龍の『漂流日本の羅針盤』・【最新ニュースから見え隠れする闇】:【社説】:憲法に時代の風を吹き込むときだ

 日本国憲法が公布されて3日で70年を迎えた。憲法の制定過程から、9条にからんでの自衛隊の存在や安全保障のあり方など、さまざまな議論を重ねながら、いちどとして改正されることなくここまで来た。

 7月の参院選をへて、衆参両院で「改憲勢力」が改憲の発議が可能な3分の2を確保した。改憲案を検討する衆院の憲法審査会もようやく論議を再開する。古希を迎えて憲法もいよいよ新たな段階に入ろうとしている。

 ■戦後政治は9条の攻防

 ちょうど70年前の1946年(昭和21年)11月3日午前。貴族院議場で吉田茂首相をはじめ貴衆両院の議長らが参列し、憲法公布の記念式典が開かれた。

 昭和天皇は玉座から立ち上がり勅語を読み上げられた。

 「この憲法は帝国憲法を全面的に改正したものであって……日本国民はみずから進んで戦争を放棄し……常に基本的人権を尊重し、民主主義に基づいて国政を運営することをここに明らかに定めたものである」

 「朕(ちん)は国民と共に……自由と平和とを愛する文化国家を建設するように努めたいと思う」

 施行されるのは半年後の翌47年5月3日で新憲法秩序がスタートするのはそこからだが、この天皇勅語に戦後日本が求めた国のかたちが端的に言いあらわされている。それは、自由で平和でそして豊かな国という目標である。

 たしかに憲法がそのために果たした役割は大きい。軽武装重商主義によって焼け跡の中から高度成長を実現し、世界第2の経済大国になった。その背景に9条の存在があったのは間違いない。

 90年代に入って冷戦構造が完全にこわれた。米国依存は許されなくなった。世界の中の日本として経済力に見合った負担や貢献が求められはじめた。自衛隊の海外活動がテーマとなった。

 もともと自衛隊違憲論が主張され、改憲―護憲両派の議論がつづいている中での、9条問題の新たな展開だった。

 政府が容認していないと解釈した集団的自衛権の行使も、問題点としてクローズアップされた。戦後政治とは一貫して9条をめぐる攻防だった。

 現行憲法は不磨の大典ではない。憲法は権力の行使に枠をはめるものだとしても、状況の変化に柔軟に対応する必要があるのはどんな制度にもいえることだ。

 昨年の安全保障関連法の成立により、皮肉なことに改憲の本丸である9条改正はとりあえず必要性が薄れてしまった。

 自民党が野党当時の2012年にまとめた改憲案は、あまりに保守色が濃く論外だが、党の体質を知るうえで撤回せず人目にさらしておくのも悪くない。

 今日迫られているテーマは別のところにある。とどまるところを知らない人口減少と、3.11の教訓からいつ起こるか想定できないことが明らかになった緊急事態への、備えである。時代の風を憲法に吹き込まなければならない。

 人口減少が憲法と深くからんできているのは、参院の選挙区の合区問題だ。法の下の平等と、全国民の代表としての国会議員の地位を、憲法は定めている。合区を避け、都道府県単位で参院議員を選出する仕組みを維持しようとするなら、改憲するしかない。

 ■参院を「地方の府」に

 そのときの参院は今のような衆院と同じ選挙制度ではなく参院を完全に「地方の府」にしてしまうのが一案である。「強すぎる参議院」の是正も当然必要だ。参院のあり方を全面的に改め、統治構造改革に切り込むものだ。

 緊急事態に備えるための改憲は、自然災害で国政選挙ができなくなった場合の対応など、条文を触らないとできないものに限るべきだろう。広い範囲で政府に権限を認めるのは避けた方がいい。

 国会の憲法審査会の運営はもたもたしている。議論がどこまで進み、いつになったら改憲案の発議から国民投票まで行くのか、とても見通せる状況にない。

 46年6月、帝国憲法の改正案として提出された日本国憲法は10月に入って帝国議会での手続きをおえた。憲法担当相として答弁を一手に引き受けた金森徳次郎は真夏の暑い盛り、冷房などない時代、戦災で焼け出されて一張羅になった冬のモーニングを着て国会審議にのぞんだ(古関彰一著『日本国憲法の誕生』)。

 政治の駆け引きをつづける与野党議員らは、正装で流れる汗をふきながら憲法論議に向き合った先人の姿に思いをはせた方がいい。

  元稿:日本経済新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2016年11月03日  03:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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