乾龍の『漂流日本の羅針盤』・【最新ニュースから見え隠れする闇】:

 在野の政治研究家乾龍が『漂流日本の闇』を斬る! 日々の政治・経済等の時事ニュースの深層を探る。

{社説①}:ボブ・ディラン氏 歌に宿った高い文学性

2016-10-16 03:22:30 | 【ノーベル賞(物理学・科学・生理学・医学

{社説①}:ボブ・ディラン氏 歌に宿った高い文学性

 乾龍の『漂流日本の羅針盤』・【最新ニュースから見え隠れする闇】:{社説①}:ボブ・ディラン氏 歌に宿った高い文学性

 ノーベル文学賞の歴史上、一つの事件と言えるだろう。米国のシンガー・ソングライター、ボブ・ディラン氏にノーベル文学賞が授与されることが決まった。

 歌手の受賞は初めてであり、世界中で歓喜と当惑を持って受け止められている。選考の経緯は50年たたないと公表されないが、文学の概念が拡大したと捉えることもできる。

 スウェーデン・アカデミーは授賞理由を、「米国の歌の伝統において新たな詩的表現を創造した」と説明した。西欧では概して詩人の評価が高く、第1回文学賞もフランスの詩人に与えられた経緯がある。

 その先例にならえば、ディラン氏の受賞は原点回帰とも受け取れる。アカデミーは、古代ギリシャの詩人のホメロスらを引き合いに「彼らは人々に聞かれることや演奏されることを前提に詩を書いた。ディラン氏も同じやり方だ」と称賛した。

 ディラン氏は、1960年代初頭に公民権運動やベトナム戦争の時代を背景に、若者から熱狂的な支持を得た。ディランの名は、英ウェールズ出身の詩人、ディラン・トーマスに傾倒し、自ら思いついたという。

 「何回砲弾が飛び交えば/永遠に禁止されるのだろう」。代表曲「風に吹かれて」は、反戦歌として受容されながら、安直に答えを出さずに問い続ける大切さを訴えている。

 メッセージ性の強い「プロテストソング(抵抗の歌)」の旗手として有名にはなったが、その歌詞はさまざまな解釈が可能で、深みと広がりがある。当初は、問いかけが曖昧という声もあったほどだった。

 欧米ばかりでなく日本のミュージシャンにも強い影響を与えてきた。

 「ボブ・ディランがいたから今日があるような気もする。多くのことがそこから始まったと思うのだ」。70年代にヒットを飛ばした吉田拓郎(よしだたくろう)氏の言葉がそれを雄弁に物語る。

 聖書などあらゆる言葉を歌詞に生かし、新たな文学性を切り開いてきたディラン氏は、正に「口語で表現する偉大な詩人」(アカデミー)という評価に値する。

 今回の受賞からは欧州に偏ってきた選考の変化もうかがえる。米国には前評判の高い文豪らが控え、2013年はカナダの作家が受賞した。

 「理想主義的傾向を持つ最も優れた作品を書いた人」というノーベル賞創設者、アルフレッド・ノーベルの遺言に、アカデミーが新たな解釈を加えたとも言えるのではないか。

 多くの問題を抱えながら、社会を改革しようと人々が苦闘した時代にディラン氏はデビューした。それから54年の長きにわたり新しい創造を続ける姿は、現代人にも強い改革のメッセージを投げかけている。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2016年10月15日  03:22:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

ジャンル:
歌手
コメント   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« {社説②}:参院選違憲状態 抜... | トップ | 【余録】:「4分33秒」は... »
最近の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。

あわせて読む

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL
ブログ作成者から承認されるまでトラックバックは反映されません。
  • 30日以上前の記事に対するトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • 送信元の記事内容が半角英数のみのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • このブログへのリンクがない記事からのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • ※ブログ管理者のみ、編集画面で設定の変更が可能です。