乾龍の『漂流日本の羅針盤』・【最新ニュースから見え隠れする闇】:

 在野の政治研究家乾龍が『漂流日本の闇』を斬る! 日々の政治・経済等の時事ニュースの深層を探る。

【社説】:日ソ共同宣言60年 二重の戦後処理果たせ

2016-10-19 01:30:50 | 【外交・ロシア・天然資源・北方領土問題】

【社説】:日ソ共同宣言60年 二重の戦後処理果たせ

 乾龍の『漂流日本の羅針盤』・【最新ニュースから見え隠れする闇】:【社説】:日ソ共同宣言60年 二重の戦後処理果たせ

 六十年前の今日、日ソ共同宣言が調印された。だが、ロシアはいまだ遠い隣国だ。第二次大戦と冷戦という二重の意味の戦後処理を果たしたい。

 「これは西半球(南北米大陸)における冷戦の最終章だ」

 南米コロンビア政府と左翼ゲリラのコロンビア革命軍が八月、半世紀以上にわたる内戦終結で合意したことを発表したのを受け、和平交渉を側面支援した米政府高官はこうコメントした。

 ◆葬られる冷戦の残滓(ざんし)

 一九五九年のキューバ革命に触発されて、中南米ではマルクス主義を掲げる反政府左翼ゲリラが台頭。革命軍は最盛期には国土の三分の一を実効支配した。内戦は二十二万人以上の犠牲者を生み、七百万人が家を失ったという。

 和平合意は国民投票で僅差で否決されたものの、サントス・コロンビア大統領のノーベル平和賞受賞によって推進力を再び得た。冷戦期、中南米で米国支援の軍事政権などと武力闘争を繰り広げた左翼ゲリラは、コロンビアを最後に歴史の幕を閉じる。

 ノルウェーとともに和平交渉を仲介したキューバも昨年七月、米国と五十四年ぶりに国交回復を果たした。今年三月、現職の米大統領として八十八年ぶりにキューバの地を踏んだオバマ氏は「私はここに、冷戦の残滓を葬るためにやって来た」と演説した。

 翻って北東アジアではどうか。

 第二次大戦後、朝鮮半島では北緯三八度線を境に北をソ連、南を米国が占領した。四八年に南北の両国が成立、五〇年には朝鮮戦争が起きた。冷戦の落とし子の南北分断は固定化されたままだ。

 「冷戦の残滓」はまだある。北方領土問題だ。

 ◆大国のはざまの四島

 日ソ共同宣言により、両国は戦争状態を終結させ、国交回復を果たした。だが、国境画定には至らず、宣言は平和条約締結後に歯舞、色丹両島を日本に引き渡すことを明記した。平和条約がない不正常な状態が続く限り、第二次大戦の戦後処理は終わらない。

 共同宣言に至る領土交渉の過程で、米国は二島返還だけでソ連と手を打つのなら、沖縄返還を考え直すと日本を脅した。世に言う「ダレス(国務長官)のどう喝」だ。米国は戦略上、日ソ間に不和の種を残そうとした。

 一方、六〇年の日米安保条約改定直後、ソ連は二島引き渡しの条件に駐留米軍の日本撤退を要求する覚書を日本に送り付けた。

 米ソ対立のはざまでもみくちゃにされた領土問題。その解決は冷戦の負の遺産の清算も意味する。

 安倍晋三首相は十三日の国会答弁で、九月にウラジオストクで行ったプーチン・ロシア大統領との首脳会談について「相当突っ込んだ議論を行い、(領土)交渉を具体的に進めていく道筋が見えてくるような手応えを感じた」と強調。プーチン氏に「自分たちの時に解決するという強い意志を持って交渉を進めていこう」と呼び掛けたことを明らかにした。

 首相の領土問題解決にかける意欲は強く、対ロ外交は積極的だ。極東開発、エネルギーなど八項目の経済協力を掲げ、それを担当するロシア経済分野協力担当相を新設し、世耕弘成経済産業相を兼務させた。

 ロシアとの関係深化は日本のエネルギーの中東依存を減らし、リスク分散につながる。中国の軍事大国化や北朝鮮の核・ミサイル開発という北東アジアの情勢を踏まえれば、ロシアとの協力強化は安全保障にプラスになる。

 対するロシアも世界の成長センターであるアジア・太平洋地域への接近を進めている。欧米との関係が冷却化しているだけに、対日関係を前進させたい思惑もあるようだ。

 首相がそんなロシアの事情もとらえて対ロ接近を図るのは理にかなっている。日ロの現政権とも基盤は安定し、荒業を要する領土交渉を行う条件も整っている。

 ただし、プーチン氏は手ごわい交渉相手だ。プーチン氏は日ソ共同宣言には歯舞、色丹二島の引き渡し条件や、引き渡し後にどの国の主権に属するかは書かれていないと主張する。

 二島を返還するにしても、その条件を高くつり上げようという思惑がちらつく。国後、択捉両島も加えた四島の返還を目標にしてきた日本の立場とは大きく違う。

 ◆粘り強い領土交渉を

 戦後七十一年がたち北方四島の元島民も高齢化した。首相が言うように両首脳で解決してほしいが、拙速は禁物だ。首相が前のめりになっている点が気掛かりだ。

 十二月には日ロ首脳会談が日本で予定されている。ロシアのペースにはまり込み、経済協力だけ先行することのないよう、首相には粘り強い交渉を望みたい。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2016年10月19日  01:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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