乾龍の『漂流日本の羅針盤』・【最新ニュースから見え隠れする闇】:

 在野の政治研究家乾龍が『漂流日本の闇』を斬る! 日々の政治・経済等の時事ニュースの深層を探る。

{社説②}:人口減少と鉄道 交通のあり方、国も悩め

2016-10-19 03:03:35 | 【人口減少時代の政治・社会・環境、移民問

{社説②}:人口減少と鉄道 交通のあり方、国も悩め

 乾龍の『漂流日本の羅針盤』・【最新ニュースから見え隠れする闇】:{社説②}:人口減少と鉄道 交通のあり方、国も悩め

 広島県の三次(みよし)駅と島根県の江津(ごうつ)駅を結ぶJR西日本の三江(さんこう)線が1年半後、廃止されることになった。極端に少ない利用に回復のメドが立たないことや、度重なる自然災害で設備の修復に多額の投資を強いられていることなどが背景にある。

 全長108キロに及ぶ路線が丸ごと廃止されるのは、本州では珍しいが、これを特殊な事例と片付けるべきではない。地方における人口減少や高齢化の進行、豪雨などの被害は今や日本中で見られる現象だ。国全体が直面する課題ととらえ、時代に合った交通手段のあり方を今から皆で考える必要がある。

 1980年の国鉄再建法で、乗客の利用が一定以下の路線はバスへの転換が望ましいとされた。三江線はその一つだったが、当時は道路が未整備だったため廃止されず、JR西日本が国鉄から引き継いだ。

 その後の道路整備により、沿線住民の足は自家用車など車に移り、区間地域全般の人口減も相まって三江線の利用は一段と減少していった。JR西日本によると35ある駅のうち、昨年度の1日平均の乗車人数が10人未満という駅が30に上る。うち5駅では利用ゼロだった。

 一方、年々増加する自然災害は、橋や線路といった設備に甚大な被害を与えている。三江線でも、全線の運転再開まで1年近くかかった被災が過去10年に2度もあった。

 JR西日本と協議を重ねてきた地元自治体は、バスなど代替交通の初期費用や当初の運営費をJR側が負担することを前提に、廃止を受け入れた。費用の面でも、高齢者を中心とする利用者の利便性からも、鉄道の維持は合理性が乏しく、やむを得ない決定だったといえる。

 長年、風景の一部として親しんだ列車が消える喪失感や、廃線が町の衰退を加速させないかという不安もあるだろう。だが、赤字を誰が穴埋めするのかという現実的問いから、目を背けるわけにはいかない。

 問題は今回のような決着が、利用の極端に少ない他地域の路線にも適用できるかということだ。赤字路線を多数抱え経営難が続く中、老朽化した設備の安全対策にも取り組まねばならないJR北海道の場合、単独で地元の不安に応えるのは難しそうだ。自治体の財政力も細っている。国は他者任せにすべきではない。

 地方で鉄道の採算性が悪化した背景には、国の交通行政の失敗もある。道路と鉄道への二重投資の結果、互いが競合し、運営体力を消耗してしまった例は少なくない。

 地方が疲弊しきってからでは遅いのだ。時間稼ぎができる状況はとうに過ぎた、との危機意識を持って対応策を急ぐ必要がある。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2016年10月18日  03:27:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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