乾龍の『漂流日本の羅針盤』・【最新ニュースから見え隠れする闇】:

 在野の政治研究家乾龍が『漂流日本の闇』を斬る! 日々の政治・経済等の時事ニュースの深層を探る。

【社説】:熊本地震から半年 大構想ばかりでなく

2016-10-16 01:30:45 | 災害・地震・津波・台風・竜巻・地滑り

【社説】:熊本地震から半年 大構想ばかりでなく

 乾龍の『漂流日本の羅針盤』・【最新ニュースから見え隠れする闇】:【社説】:熊本地震から半年 大構想ばかりでなく

 街には今も、被災直後かと見まがう光景が広がっている。熊本地震から半年。復興への大きな絵は見えてきたが、暮らしの再建は、まだ見えてこない。

 復興への足音だろうか。

 日銀熊本支店が今月三日に発表した熊本県内の九月の企業短期経済観測調査(短観)によると、景況感を示す業況判断指数(DI)はプラス八で、マイナス一六だった六月の前回調査から二四ポイントの改善となった。

 改善幅は過去最大で、地震前三月のプラス七をも上回った。復興需要の強い非製造業が先行して改善し、製造業も順調に操業を回復しているという。地震で大きく落ち込んだ景況感が、いわば「V字回復」した格好だ。企業が明るい見通しを持てるようになったとすれば、復興への確かな一歩が踏み出されたことになる。

 しかしながら、景況感とは対照的に、被災した街の光景はV字回復にはほど遠く見える。傷痕が今なおそのままの姿で残っている場所が少なくないのである。

 石垣の崩れた熊本城の姿は地震発生直後、今回の被害の象徴として繰り返し全国に伝えられた。それから半年が過ぎ、城の姿はどうなっているだろう。

 その部分だけ崩れ落ちずに残った「奇跡の一本石垣」に支えられた飯田丸五階櫓(やぐら)が鉄骨で補強されるなど、応急手当てが進み始めてはいる。しかし、立ち入り禁止とされた城内は、いくつもの塀や櫓が傾き、崩れたままになっており、八月末の余震で石垣がさらに崩れもしている。瓦が落ちた天守閣の屋根は雑草が伸び放題だ。

 ◆進まぬ解体撤去作業

 熊本城総合事務所によると、特別史跡である石垣は六十四カ所で崩落・破損、国指定重要文化財の建造物は十三棟すべてが倒壊・破損した。その修復は、崩れ落ちた石や木材を再利用して進めなくてはならない。被害額は六百三十四億円。二十年という気の遠くなりそうな年月をかけて城全体を地震前の状態に戻すことになる。

 人々の暮らしの再建は、城の再建とは違い、本来、待ったなしのはずである。ところが、こちらも復旧への足取りは重い。

 一万棟を超す家屋が被害を受けた益城(ましき)町では、今なお倒壊・損壊家屋がそこかしこに放置されている。階下に止めてあったワゴン車に崩れかかった二階部分が支えられた建物などが、ほとんど手付かずで残っている=写真。

 罹災(りさい)証明書で半壊以上と判定された家屋について、町は七月から公費解体撤去を始めた。しかし、被害認定調査には多大な人員と時間が必要な上、判定基準の市町村間の調整に手間取るなどして調査は難航。解体作業のマンパワーも不十分で、撤去終了は来年度末になる見通しだ。多くの住民は仮設住宅などに落ち着いたが、このままでは、住まい再建の見通しはなかなか立てられぬだろう。

 復興への歩みが遅く見えるのには理由がある。

 阪神大震災、東日本大震災の教訓を踏まえ、熊本県は早い段階から「創造的復興」を掲げた。単に被災前の姿に戻すだけでなく、例えば益城町なら町内にある熊本空港を生かした大きな将来構想を描こうということだ。

 蒲島郁夫知事は「東日本大震災の後は、トップダウンではあまりうまくいっていない。急がば回れだ。市町村の意見を待って進めていきたい」と説明している。

 西村博則・益城町長も「目の前のことばかりでなく十年後、二十年後の町を考えたい。まずは住民の意見を聞く」としている。

 あるいは、仮設住宅にも「急がば回れ」でひと手間加えている。 仮設住宅といえば、これまでは手っ取り早いプレハブばかりだった。熊本では、世界的な建築家、伊東豊雄さんが参画して県内四千戸を超す仮設住宅の15%を木造とした。さらに、仮設住宅五十戸ごとに「みんなの家」と呼ぶ集会所も造る。プレハブより時間がかかっても、県産材を使い、住み心地やコミュニティーを大事にしようという考え方だ。

 ◆生活再建いまだ見えず

 これまでの災害の教訓を踏まえて大きな復興構想を示すことは政治の大事な役目だろう。同時に、その日その日の人々の暮らしを守る責任もある。暮らしの再建に必要なのは、まず、住まいの再建に見通しが立つことである。

 将来を見通した復興構想を結実させるには、崩れてしまった人々の住まいを、いつまでもそのままにしておくことはできまい。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2016年10月15日  01:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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