乾龍の『漂流日本の羅針盤』・【最新ニュースから見え隠れする闇】:

 在野の政治研究家乾龍が『漂流日本の闇』を斬る! 日々の政治・経済等の時事ニュースの深層を探る。

{社説①}:象徴天皇 「国民と共に」あってこそ

2016-10-16 03:22:50 | 【天皇家・皇室・女性宮家問題】

{社説①}:象徴天皇 「国民と共に」あってこそ

 乾龍の『漂流日本の羅針盤』・【最新ニュースから見え隠れする闇】:{社説①}:象徴天皇 「国民と共に」あってこそ

 戦後民主主義の中に定着した象徴天皇と、天皇陛下の自由意思による退位との関係をどう位置づけるのか。高齢化社会における天皇の役割に見直すべき点はあるのか。

 天皇の生前退位などを検討する「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」があす初会合を開く。陛下が提起された「象徴としてのお務め」のあり方を踏まえたものだ。

 現行制度では、皇位の継承は天皇が逝去した場合に限られ、生前退位を想定していない。有識者会議での論点は多岐にわたるとみられるが、象徴天皇をどう考えるかはその中核になろう。

 ■憲法由来の地位を模索

 「即位以来、国事行為を行うと共に、日本国憲法下で象徴と位置づけられた天皇の望ましい在り方を、日々模索しつつ過ごして来ました」

 8月のおことばで陛下は「象徴」のあるべき姿を自問自答してきたと振り返った。新憲法で象徴に変わった昭和天皇と異なり、即位したときから象徴だった初めての天皇だ。

 憲法1条は「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基づく」と定める。しかし、象徴とは何かの明確な定義があるわけではない。

 陛下は即位以来「憲法を守る」と繰り返してきた。天皇制のよりどころであり、平和主義や国民主権、基本的人権の尊重を原則とする憲法に最大の価値を置きながら、新たな天皇像を探ってきた。

 皇太子時代、慣習を破って民間女性の美智子さまと結婚されるなど「大衆天皇」の素地を早くからうかがわせ、即位後は、さらに国民の中に分け入っていく。

 自然災害の被災地を慰問に訪れ、ひざを接して被災者に寄り添う姿は国民に感銘を与えた。東日本大震災ではビデオ映像を通じて被災者を励ました。先の悲惨な戦争に思いをはせ、アジア太平洋の戦跡慰霊の旅も続けている。

 陛下は「国民に対する理解を深め、常に国民と共にある自覚」を持つ必要性を強調する。皇居の奥にあって国民とほとんど接触しない存在ではなく、自ら行動し、国民の声を直接聞き、苦楽を分かち合うことに象徴の意味を見いだしてきた。また、「全身全霊をもって象徴の務めを果たしていく」とも述べた。

 こうした強い責任感と使命感に裏打ちされた象徴への考え方を、わたしたちも支持したい。

 82歳の高齢からこれまでの活動が今後は「難しくなるのではないか」という不安が、生前退位の考えにつながっているのだろう。

 明治憲法で国の「元首」として「統治権を総攬(そうらん)」するとされた天皇が新憲法で「象徴」となったのは、戦前や戦中に天皇の名のもとに軍部が歯止めのきかない権力を振るうようになった教訓からだ。

 新憲法は天皇から大権を排して主権が天皇から国民に移ったことを明確にし、天皇に「国政に関する権能」を与えず、国事行為を「内閣の助言と承認」によると定めた。陛下の象徴像はこうした憲法との緊張関係の中で生まれてきた。

 象徴の姿は固定化されたものではないだろう。時代とともに変化し、天皇の個性で変わることもあろう。時々の受けとめ方があっていい。

 ■安定的な継承を求めて

 自民党などには憲法改正で天皇を「元首」と明記し復活させようとする動きがある。天皇は対外的に元首の機能を有しているが形式的でしかない。国家権力を担うかのような元首という表現は、象徴天皇にはなじまない。

 有識者会議は専門家の意見を幅広く聞く方針という。しかし、生前退位を認めるかや、どうやって実現させるかの議論は多様で複雑だ。

 退位の前例をつくってしまうと皇位継承の安定性が揺らぐといった懸念から、現行法の枠内で摂政や臨時代行で対応すべきだという意見もある。ただし、陛下はおことばでこれに否定的な意見を述べている。

 退位を認める場合も、特別立法で今の天皇一代に限る方法から、皇室典範改正で恒久制度化する案もある。「天皇の意思」を直接反映して制度改革につなげることは憲法に抵触するという議論もある。

 さらに、天皇を男系男子に限る伝統を貫けばやがて皇位継承が難しくなるため、安定的な皇室の維持のためにも女系天皇や女性宮家の議論を求める意見もある。

 「象徴天皇の務めが常に途切れることなく、安定的に続いていくことを念じる」とのおことばからは、安定した天皇制の維持への願いが伝わる。皇位継承と合わせて皇室の将来を見据えた論議も必要だ。

 退位する天皇の地位や役割から元号制定まで付随する決定事項や法改正、関連する儀礼など必要になる作業は膨大だ。

 安倍政権は一代限りの特別立法で対応したい意向とも伝えられているが、特別立法の整備さえすれば退位が実現するわけではない。一方で時間の制約もある。その折り合いをつけるのは簡単ではない。

 国民の多くが納得し社会全体が共有できる議論がなにより重要だ。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2016年10月16日  02:10:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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