乾龍の『漂流日本の羅針盤』・【最新ニュースから見え隠れする闇】:

 在野の政治研究家乾龍が『漂流日本の闇』を斬る! 日々の政治・経済等の時事ニュースの深層を探る。

【新刊】:戦場ぬ止み(いくさばぬとぅどぅみ) ■辺野古・高江からの祈り

2016-12-04 23:55:45 | 在日米軍基地・再編問題・防衛・武器

【新刊】:戦場ぬ止み(いくさばぬとぅどぅみ) ■辺野古・高江からの祈り

 乾龍の『漂流日本の羅針盤』・【最新ニュースから見え隠れする闇】:【新刊】:戦場ぬ止み(いくさばぬとぅどぅみ) ■辺野古・高江からの祈り

 ◆内容紹介

  2015年7月、新作「戦場ぬ止み」全国で公開!
  映画「標的の村」で注目を集める著者の待望の著書です。

  戦後70年、いまだ「戦時」を強いられる沖縄に真の平和を――。普天間基地の代替施設として、世界有数のサンゴ礁を埋め巨大な基地が建設されようとする沖縄・辺野古。圧倒的な国家の力に立ち向かう人々の姿を描く待望の単著。

戦場ぬ止み(いくさばぬとぅどぅみ)
 
 ◆目次
 プロローグ
  1 この国の「戦争を許さない闘い」の最前線
  2 「命に代えても」沖縄戦を生き延びたおばあたちの思い
  3 「もはや戦場だ」ついに辺野古は包囲された
  4 「標的の村」高江のいま
  5 いつかはわかりあえる日がくると信じたい
  6 統一地方選で示された「不屈」の精神
  7 沖縄の抵抗するリーダーを歓迎しない中央メディア
  8 「オール沖縄」の熱狂の陰で
  9 海人(うみんちゅ)の尊厳を奪いつづける国――ある漁師の肖像
 10 この子たちの目に宿る尊厳は奪えない
 11 増幅する悪意の言葉と沖縄
 12 還らぬ人となったS船長へ
 13 表現者たちの闘い
 14 「戦場にとどめを」県知事選にかけた思い
 15 生命のホットスポット、大浦湾
 16 敗者は暴走する安倍政権
 17 知事選から2日で潰された民意
 18 文子おばあのブローチ
 19 日本一恥ずかしい知事
 20 「ゾンビ議員」全員当選の怪
 21 素顔の辺野古――55年間基地とともに生きた集落
 22 それからの辺野古と「島ぐるみ闘争」のゆくえ(書き下ろし)
    おわりに 

 本書の元になった「マガジン9」の連載三上智恵の沖縄〈辺野古・高江〉撮影日記に付随する動画の再生リストです。書籍の内容と連動してご覧いただくと、より臨場感をもって本文をお読みいただくことが可能です。

       (動画の内容および著作権は大月書店の管理するものではありません)

  ◆登場する人たち一人ひとりのすべての表情が愛おしい。

 ──三上さんの新作映画『戦場ぬ止み』が、5月末から先行上映されています。辺野古への基地建設反対を掲げる翁長雄志・沖縄県知事を誕生させた2014年 11月の県知事選、それでも止まらない新基地工事と、まさに沖縄の激動の時期がとらえられていますが、当初は7月公開の予定だったんですね。

 三上  撮影を始めたのは去年の7月ごろです。その時点ではいつの公開を目指すのがいいのか、わからないことだらけでした。あまり先ではもう辺野古の埋め立てが 始まってしまっているかもしれないし、年末に予定されていた沖縄知事選までには完成させたほうがいいんじゃないかと思ったこともありました。ただ、いずれ にしてもどこかで区切りをつけなきゃいけないということで、映画祭への出品なども視野に入れながら、7月公開の予定で進めていたんです。
 でもここに来て、状況が大きく変わりました。本土でも辺野古への注目が高まり、仲井真(弘多)前知事が出した辺野古の埋め立て承認を翁長知事が撤回する かどうかが焦点になっている。こんな状況で、7月まで公開を待つ意味はない。今見てもらわなきゃいけないというので、無理矢理先行上映にこぎつけたんで す。急な話で十分広報もできていないんですが、口コミで知った人たちだけでもいいから見てほしいという私のわがままで実現してもらいました。

(c)2015『戦場ぬ止み』製作委員会

 ──琉球朝日放送で長くキャスターとして活躍されていた三上さんにとっては、退職後初の作品ですね。これまでと何か意識は違いましたか。

 三上  全部の時間を、自分の体力が続く限り撮影に使えるって、なんて幸せなんだろうと思いながら現場にいました(笑)。今までは、生放送仕事もあるので自分で 現場に行けない場合は、カメラマンだけに張り付いてもらうことも多かったんです。今回は現場にいる時間が圧倒的に長い。人々の息遣いや現場のダイナミズ ム、わずか数秒の間に人々が泣いたり笑ったりするその様子をそのまま切り取れる。現場は暑いし寒いし日に焼けるし辛いんですけど(笑)、でも皆さんが、私 がカメラを持っていくのを待っていたかのように生き生きと話してくれるのがすごく嬉しかったですね。

 ──前作の『標的の村』はテレビ番組が元になっていましたが、今回は最初から「映画を撮ろう」という前提で撮影を始められたわけですよね。その意味ではいかがでしたか。

 三上  ニュースのために撮った映像をドキュメンタリーにも使う。局では日々のニュースをやりながらの番組作りだからそれは致し方ないんです。でも今回は最初か ら映画として撮影しているから、登場する一人ひとりのキャラクターをより際立たせて描くことができたかなと思っています。抗議運動のリーダーの(山城)博 治さん、沖縄戦を経験している(島袋)文子おばあ、そして家族ぐるみで辺野古の基地建設反対運動を続ける渡具知一家が「三大主人公」ではあるのですが、そ れ以外の人についてもすごく愛情を持って描いています。抗議に参加している人はもちろん、警官の1人に至るまでみんな魅力的だしみんな輝いてるし、悩んで いる姿もうつむいている姿も全部愛おしいと思いながら編集していました。

(c)2015『戦場ぬ止み』製作委員会

 ──撮影中は、何人くらいの方を取材されていたんですか。

 三上  追いかけていたのは20人くらいですね。どの人のエピソードも、本当はあまり落としたくなかったんですが、約2時間という限られた時間の中で、何人を描 き分けられるかが私の腕の見せ所だと思っているし、作品をつくるときにはいつも「群像劇をやりたい」と思っているんです。

 ──群像劇ですか?

 三上  もちろん、一人の視点から描いたもので優秀なドキュメンタリー作品もたくさんあるけれど、その人に良くも悪くもおもねってしまいがちだし、日米を揺るが す大衆の抵抗を描くのには適さないと思うのです。いろんな視点があっていろんな人がいて、その一人ひとりが活き活きと描かれているほうが断然面白い。作り 手の力量が試されていると俄然、燃えます(笑)。
 だから、今回の映画は「人間賛歌」だと思っているんです。見た人に、どの登場人物を好きになってもらってもいいし、どのエピソードで「ひっかかって」も らってもいい。実際、「ここが好き」「ここが印象に残った」と言ってくださる場面が見た方によってそれぞれ全然違うんですね。

 ◆子どもが運動に参加するのは「かわいそう」なのか。

 ──20人くらいを追いかけて取材していたとのことですが、その中でどの人をメインに描いていくかというのは、撮影当初から決めていたんですか。

 三上  文子おばあと博治さんについては重要人物として追いかけるのは決めていても主人公とは決めていませんでした。撮影を始めた去年7月の時点では、おばあは 基地反対ではあったけれど座り込みには参加していなくて、まさか工事機材の搬入を止めるためにトラックの前に立ちはだかるなんて思っていませんでした。博 治さんも私自身はずっと大ファンだったけど、当初はやり方に反発している人もいたし、あそこまでみんなから信頼されるリーダーになっていくとはその時点で はわからなかったですね。なので撮影を続ける中で、「化けて」いった人をメインに据えたという感じです。
 ただ、渡具知一家については割と最初のころからメインで描きたいと考えていました。

(c)2015『戦場ぬ止み』製作委員会

 ──どうしてですか?

 三上  渡具知さん夫妻の長男の武龍くんは、名護市で辺野古への基地建設の是非を問う住民投票が行なわれ、「反対」が過半数を占めた1997年に生まれていま す。それから17年が経っても、辺野古への基地建設計画は民意を無視して続いています。その「17年」という時間の軸を、渡具知さん一家の姿を通じて表現 したいと思ったんです。

 ──両親や双子の妹たちと毎週、基地のゲート前でピースキャンドルを灯して基地建設反対をアピールし続ける武龍くんの姿がとても印象的でした。

 三上  あの一家のことを取り上げると「子どもを政治的に利用するなんてひどい」といった批判も常について回ります。でも、「本当にそうなのか?」と思うんです。
 だって武龍くんたちは基地問題の真っ只中に生きていて、両親は彼らのためにも基地をなくそうとずっと頑張ってきている。その姿を、大人になるまで見る な、現場に来るなというのでしょうか。彼らが何を「引き受けて」いかなくてはならないのかを思えば、自分の住む地域の大人達が何のために闘っているのかを ちゃんと知って、頑張ってくれている親に感謝する気持ちから自然に自分も引き継いでいこうと思えるのは、政治については知らぬ存ぜぬで通す家の子よりも幸 せなことだと思うんです。 辺野古の「カヌー隊」に参加していた寿里ちゃんだってそうですよね。

(c)2015『戦場ぬ止み』製作委員会

 ──『標的の村』にも登場した、恩納村から抗議行動に参加している20代の女性ですね。両親が1989年、恩納村の米軍の都市型訓練施設反対闘争に参加した経験を持っているという。

 三上  亡くなったお父さんが25年前にやっていたことを、今彼女が受け継いでいるわけです。それは悲劇の再生産だともいえるかもしれないけれど、でも自分が暮 す地域に愛情を持って守り抜こうと思うこととか、正しいと信じるもののための闘い方を教えてくれた両親との絆とか、そういうものってやっぱり豊かさだと思 うんです。

 ◆沖縄のおじいやおばあに「あなたたちの人生には意味がある」と伝えたかった。

 ──映画を見ていて、東京に住む身としては、自分たちが沖縄を犠牲にしているということを改めて突きつけられるような思いもありました。三上さんご自身、「本土」の人に対する怒りというか、せめて事実を知るべきだという思いはあるのでしょうか。

 三上  そういうふうに思われるのは当然だし、もちろん多くの人に知ってもらうためにこの映画を使ってほしいとは思います。でも、そのためだけにつくっているわけではないんです。
 たとえばこの映画は、沖縄のおじいやおばあたちに向かって作った部分もあるんです。それは、皆さんが戦争で辛酸を舐めて、それでも頑張って生きて、闘っ てきてくれた。そのことが勇気になって、今、次の世代が闘えているということ。それが日本を動かすくらいの力になっている。勝ち目がなくても子や孫のため に皆さんがやってきてくれたことにはこんなに大きな意味があったんですと伝えたい。

(c)2015『戦場ぬ止み』製作委員会

 ──映画の中にも、壮絶な体験の末に沖縄戦を生き延びた文子さんが、「あのとき死んでたほうがよかった」という場面がありますね。

 三上  文子おばあとは10年以上のお付き合いですが、「生きてきて何もいいことなんてなかった」といつも言ってました。沖縄戦で生きのびた方々の多くは自己肯 定感というものがない。自分が生き伸びた意味を探しあぐねているんですね。「死んだ人たちの分まで生きて」なんて生やさしい慰めは、そこでは通用しないん です。
 その彼女が、県知事選の勝利の夜に「生きててよかった」と言った。みんなで歓喜の歌を歌い、カチャーシーを踊って。あの夜は、多分おばあにとって一生、 いや、あの世に行っても忘れられないくらいの夜だったと思うんですね。そんなふうに、心に傷を持ちながら生き延びてきた沖縄のお年寄りたちに見て頂いて、 自分たちの生きてきた意味を肯定してほしい。

 ──沖縄の、もう少し若い世代に向けてはどうですか。

 三上  映画の中で使った「敗戦数え歌」という沖縄民謡の中に、こんな一節があります。

 九つ 困難あたてぃから
 ありくり 物思みさんぐとぅに
 解放さりゆる 節待たな  
 (訳 敗戦・占領という困難に当たっても、
 あれこれ思い悩まず解放される時期を待ちましょう)

 戦争に負けて、土地も取られて誇りも奪われて、難しいことを考えても心が壊れるだけ。いつか解放されるときが来るんだからそれを待ちましょうという意味です。だけど、実際には敗戦から70年経っても「解放されるとき」なんて来なかったわけです。
 辺野古にも、日米両政府みたいな強大な権力にはどうせ抵抗できないんだから、それなら少しでも得をとったほうがいいと、条件交渉の末に基地を受け入れた という過去があります。そのことを、他人から責められる筋合いはまったくないと思う。そういう構図をつくられて、いわば「追い込まれた」わけですから。で も、いつまでもこの「敗戦数え歌」を歌っているわけにはいかない、いつかは自分たちからそこを出ていかないといけない。解放されるときは、ただ待ってい たって来ないというのも、この映画のテーマの一つです。
 あと、博治さんとはずっと「50年後、100年後の沖縄に見せられるものにしたいね」という話をしていましたね。

(c)2015『戦場ぬ止み』製作委員会

 ──50年後、100年後ですか。

 三上  そのころ沖縄がどんな形になっているとしても、2014年から2015年にかけて頑張った人たちがいたんだということを知って、若者たちが誇りを取り戻 したり、自分たちが抱えている問題に向き合うためのヒントを得たりできるような映画。今沖縄で起きていることは、たとえこの闘いに負けたとしても、次の闘 いへの糧に、勇気に必ずなるものだと思うんです。だからこの映画も、本当におこがましいけれど、50年後100年後の沖縄を勇気づけられるようなものにし たかった。
 告発型ではなくて、人間賛歌にしたかったのは、そういう意味もあるんです。「泣ける」エピソードも中にはあると思うけれど、みんなが同じところで泣いて終わり、というものにはしたくなかった。

 ──特に最近は、「泣ける」が惹句になっている映画も多いですね。

 三上  私も、「泣ける」が褒め言葉だと思っていた時期はあるし、短い時間で人を引き込まなきゃいけないテレビの仕事をしていたから、「泣かせる」技術はあると思うんだけど、それはやりたくなかった。
 こういう映画を見たら、もやもやするでしょう。県外の人なら、さっきもおっしゃったように「沖縄に悪いことをしてる」と思ったり、自分を責めたり。で も、そこで泣いてしまうと、せっかくのその「もやもや」がすっきりして、消えてしまう。何も解決していないのに、問題を理解したような気持ちになってしま う。せっかくその人の中に植えつけられた「もやもや」の種を育ててもらえなくなる気がするんです。

(c)2015『戦場ぬ止み』製作委員会

 ◆沖縄だけでなく、「日本の戦争」に止めを刺す。

 ──『戦場ぬ止み』という印象的なタイトルは、辺野古のゲート前フェンスに掲げられていた琉歌の一節なんですね。

 三上  もともとは、本当に暑かった去年の7月8月、炎天下で抗議行動を続けていたみんなの「11月には県知事選があるから、そこで勝ってこの闘いを終わらせる んだ」という、すがるような思いを表した歌なんです。でもその後、日本全国から県知事選に向けて翁長さんを応援する人が集まってくる中で、「今の安倍政権 を止められるとしたら沖縄からしかない、だから絶対にこの知事選は勝たなきゃいけないんだ」という空気が出てきました。
 私には「そんなにいろんなものを沖縄に覆い被せないでよ」という思いもあるんだけど、文子おばあなんかはそれも受けて立って「そうだよ、ここからしか止められない」って言っています。

(c)2015『戦場ぬ止み』製作委員会

  ──「日本が二度と戦争をしない国になるためにやってるんだ」と文子さんが言うシーンもありました。

 三上  現場の人たちはそこまで引き受けて闘っている。沖縄から基地がなくなればいいやなんていう闘いではなくて、日本で、何度封じ込めても息を吹き返す「戦 争」の息の根を、今度こそ本当に止めようとしているんです。元自民党の翁長さんが、本土の政府と対決しながら闘い続けているのも、何も沖縄のことだけを考 えているんじゃない。後になって、「2015年ごろ日本は軍事国家になってまた戦争をしようとしていたけれど、沖縄の闘いが起点になってそれを止めていっ たと言われればいい」という理想さえ語られているんです。
 すごい崇高な理想ですよね。二度と息を吹き返さないように、二度と戦争をするなんて言わない国になれるように、沖縄が70年ずっと苦労して蓄えてきた力を使って、戦場にとどめを刺す。これは、そういう意味での「戦場ぬ止み」なんです。

『戦場ぬ止み(いくさばぬとぅどぅみ)』


監督:三上智恵 音楽:小室等 ナレーション:Cocco
2015年/日本/129分/東風 配給

東京・ポレポレ東中野にて緊急先行上映中
【本上映】
7月11日(土)より沖縄・桜坂劇場
7月18日(土)より東京・ポレポレ東中野、大阪・第七藝術劇場、ほか全国順次公開
※最新情報は映画公式HPにて

   元稿大月書店 主要出版物 【政治ニュース】  2015年06月10日  09:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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