乾龍の『漂流日本の羅針盤』・【最新ニュースから見え隠れする闇】:

 在野の政治研究家乾龍が『漂流日本の闇』を斬る! 日々の政治・経済等の時事ニュースの深層を探る。

【社説①】:機密費開示のルールづくりを

2018-01-21 03:30:20 | 【国民の知る権利、国の情報公開】:

【社説①】:機密費開示のルールづくりを

 乾龍の『漂流日本の羅針盤』・【最新ニュースから見え隠れする闇】:【社説①】:機密費開示のルールづくりを

 何でもかんでも秘密にすべきではない。ときの政権が自由に使える機密費の使途をめぐる訴訟で、最高裁がこんな判断を初めて示した。監視の目が届かないと不正が起きがちなのは官民を問わない。妥当な判決だ。

 機密費は正式には内閣官房報償費と言い、2017年度予算では12億3000万円が計上されている。極秘情報の提供者への報酬などに充てるためとされる。

 こうした経費は、どこの国にもある。誰にいくら払ったのかをいちいち公開していたら、まともな情報網はつくれない。不安定な国際情勢などを考えれば、決して無駄なカネではない。

 ただ、官房長官の経験者によれば、外遊に行く与党議員の餞別(せんべつ)などにも使うそうだ。過去に機密費の出納簿と目される書類がネットに流出したことがあったが、政府高官の出身校のOB会費まで載っていた。完全非公開が甘えを生むのだろう。

 最高裁は機密費関連の書類のうち、会計検査院に提出する報償費支払明細書などは情報公開法に基づく請求があれば、一部は公開して差し支えないと判断した。月ごとの機密費の使途を類型別に合算したもので、情報源は明かすことにはならないからだ。

 類型別の使途が公開されるとなれば、公私混同のおそれのある支出はしにくくなる。

 一切明かせないとしてきた国の言い分が否定されたのだから、この機会に与野党で話し合って公開の範囲をきちんと法律で定めてはどうだろうか。

 米国では情報公開法の趣旨に沿って、国の機密文書が順次公開されている。米中央情報局(CIA)がかつて自民党に秘密資金を渡していたなど、いまの外交関係に影響しそうな文書でも出す。

 日本は機密費に限らず、機密文書の公開に消極的だ。書類の存在さえ否定することがある。これでは機密費が有益に使われたのかが検証できない。25年ぐらいで自動的に公開するルールが必要だ。

 元稿:日本経済新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2018年01月20日  03:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:行政文書管理 事後に検証できるよう

2017-12-23 06:10:10 | 【国民の知る権利、国の情報公開】:

【社説①】:行政文書管理 事後に検証できるよう

 乾龍の『漂流日本の羅針盤』・【最新ニュースから見え隠れする闇】:【社説①】:行政文書管理 事後に検証できるよう

 政府は行政文書の管理ガイドラインを改定する。確かに学校法人加計学園問題などでも役所の文書の扱いが注目された。だが本当に「改正」なのか。文書を国民の目から遠ざけるのなら許されない。

 行政文書とは何か。これは法律上の定義がある。(1)職員が職務上、作成、取得した文書で、(2)組織的に用いるものとして、(3)行政機関が保有しているもの-だ。

 政府が考える改正ガイドラインの最も大きく変わる点は「文書管理者」の役割だろう。これは役所の課長級が担い、文書の正確性を確保するため、複数の職員による確認を経た上で、同管理者が確認する。その上で「共用の保存場所に保存」と定める。

 だが、正確性とは何か。作成の形式的な手順をいうのか、中身の内容まで指すのか。不明だ。さらに課長級が確認したもののみ、行政文書とされ、その他の文書は不存在扱いとされる恐れはないだろうか。不安に思う。

 加計学園問題にあてはめてみると、「総理のご意向」などと書かれた文書が文部科学省から見つかった。内閣官房長官が「怪文書」と言った文書だ。文意が確かと言えないとしても、官僚が必要性を覚え、作成した文書であるには違いない。

 前川喜平前文科事務次官も読んだのだから、冒頭に記した行政文書の定義を満たしていよう。改正ガイドラインだと、課長級が仮に内容の正確性に疑問を持つと「総理のご意向」は行政文書に該当しなくなろう。表に出ない。

 だから正確性はなかなか定義が困難なはずである。政策決定に紆余曲折(うよきょくせつ)があった場合など、正確性の判定は余計に難しくなる。公文書管理法の目的は「現在及び将来の国民に説明する責務が全うされるようにすること」である。

 つまり、紆余曲折のすべて、意思決定に至る過程を残すことであろう。幸い現代はデジタルの時代だ。「原則一年以上」の保存とする文書も無期限にパソコンに蓄積し、廃棄など無用である。

 役所が今でも廃棄するのは、都合の悪い情報なのではと疑うほどだ。今回の改正でも、業務連絡や日程表などは一年未満で廃棄できる。政治家や外部との打ち合わせも重要なデータと考えて、ぜひ保存すべきだ。

 歴史的な大事件では、一枚の文書が決定的な意味を持つことがある。検証の意義は大きい。公文書は民主主義の知的資源である原則を忘れないでほしい。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2017年12月20日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【政府】:新公文書館建設、480億円に圧縮、原案 展示機能を拡充

2017-11-19 06:15:55 | 【国民の知る権利、国の情報公開】:

【政府】:新公文書館建設、480億円に圧縮、原案 展示機能を拡充

 乾龍の『漂流日本の羅針盤』・【最新ニュースから見え隠れする闇】:【政府】:新公文書館建設、480億円に圧縮、原案 展示機能を拡充

 政府による新たな国立公文書館の建設計画原案が十八日、判明した。当初最大八百五十億円とした建設費用を約四百八十億円に圧縮し、工期も九年半から約一年短縮した。多くの国民に足を運んでもらおうと、歴史的公文書の閲覧ができる企画展示の機能も充実させる。二〇一八年度に具体的な設計に入り、速やかに着工する。政府関係者が明らかにした。

 新公文書館は、憲政記念館がある国会前の庭園に建設する。既存施設では文書収容能力が数年内に限界に達する見込みとなったことに対応。東京・北の丸公園の本館、茨城県つくば市の分館と合わせ三館体制となる。

 計画は、政府が今月内に開く有識者会議で報告した上で、一七年度内に決定する段取りを想定している。順調に進めば、完成時期は二七年前後になるとみられる。

 原案によると、憲政記念館を解体し、その機能も含めた形で新館を建てる。試算段階の規模計画(地上三階、地下六~七階)を縮小し、地上三階、地下四階とする。重要文化財の展示や、多くの国民が閲覧する可能性が高い中央省庁の公文書などを収蔵し、保存文書のデジタル化設備も導入。総床面積は公文書館機能の部分だけで約三万平方メートルの予定だ。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 政治 【政策・新たな国立公文書館の建設計画原案】  2017年11月19日  06:15:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【HUNTER】:福岡・鹿児島 報道出身首長が「BPO」悪用で報道圧力

2017-11-16 08:55:30 | 【国民の知る権利、国の情報公開】:

【HUNTER】:福岡・鹿児島 報道出身首長が「BPO」悪用で報道圧力

 乾龍の『漂流日本の羅針盤』・【最新ニュースから見え隠れする闇】:【HUNTER】:福岡・鹿児島 報道出身首長が「BPO」悪用で報道圧力

91b05f379e30189855b71448b89462db0ff1adea-thumb-245xauto-21547.jpg BPO(放送倫理・番組向上機構)は、NHKと民放各局によって設置された第三者機関。問題があると指摘された番組・放送を検証して放送界や特定の局に意見や見解を伝え、一般にも公表することで是正を促す団体である。最近、このBPOを“悪用”する形で、権力側が報道に圧力を加える事例が立て続けに起きた。
 初めは鹿児島で県知事が「BPO」に訴えるぞと記者を脅し、次に政令市福岡が実際にテレビ局の報道番組をBPOに訴えた。
 安倍一強の下、海外からあがる「報道の自由」への懸念。危機的状況は地方も同じだ。都合の悪い事実を隠そうとする権力者たちが、あの手この手で報道に圧力を加え、国民の知る権利を侵害している。
(写真は福岡市役所)

 ■「報道圧力」で隠される高島市政の実態
 福岡市がBPOに審議の申立てを行った番組は、フジテレビが関東地区で7月23日に放送した「ザ・ノンフィクション~エリナの夜明け 屋台女将の700日~」。「名義貸し」が切れた屋台の女将を長期にわたって密着取材することで、高島宗一郎福岡市長の発案で実施された「屋台公募」の問題点に光をあてる内容だったという。

 この番組に敏感に反応したのが福岡市。10日後には「屋台行政に著しい誤解を生じさせ、信頼を失墜させた偏向報道」などとしてBPOに審議を申し立てた。BPO側は審議を行っておらず、事実上門前払いしたものとみられている。新聞報道によれば、BPOがこれまでに審議した26件に、自治体からの申し立ては皆無。異例の事態だったことは明らかだ。ただし、脅しの効果は絶大だったらしく、福岡のフジテレビ系列局はこの番組を放送していない。市側の直接的な圧力に屈したか、市長の意向を“忖度”したかのどちらかだ。“偏向報道”だというわけだ。

 福岡市による報道への圧力は今に始まったことではない。かつては、平の職員でも応じていた取材を、高島体制になってからは課長級以上に限定。取材を受けたら、文書で上に報告することを義務付けるなど徹底した報道規制を行うようになっている。都合の悪い事案について、報道側に文書でのやり取りを強要するようになったのも、ここ数年のことだ。2014年には“保育”に関し、現市政に批判的な記事を書いた朝日新聞の記者に、副市長が「今後の付き合いを考える」といった脅しともとれるメールを送信していたことも分かっている。

 屋台に関する報道には相当ナーバスになっていたようで、今年2月、地元民放局のKBC九州朝日放送が屋台公募における市側の姿勢に批判的なニュースを流した直後に、市政記者クラブ加盟社の記者を一人ずつ呼んで、市側の言い分をきちんと報じるよう圧力をかけていた。BPOにフジテレビの番組を審議するよう申し立てたのは、この延長線上での話とみられる。

 高島市政が歓迎するのは、福岡市が始めた事業を持ち上げるか、市長の活躍ぶりを伝えるニュースだけ。陰の部分に触れられた場合は、なりふり構わずつぶしにかかる。そのため、大半の記者クラブ加盟社は腰が引けており、市民に市政の歪みが伝わっていない。フジテレビが密着した屋台の女将をめぐっては、生活がかかる女将側の訴えを横柄な態度で突っぱねた担当課長が、自分の非を棚に上げ、思わず胸ぐらをつかんだ女将を犯罪者に仕立て上げていた。(参照記事⇒「市民を犯罪者に仕立てる福岡市の理不尽 ~屋台公募の裏で」 )

 ■記者を脅したペテン師知事 
 鹿児島には、職員を使わず自ら記者に脅しをかける恥知らずな首長がいる。「原発止める」で県民を騙し、知事の座を手に入れた三反園訓鹿児島県知事である。気に入らない報道を行ったテレビ局の記者に対し、知事室で「BPO(「放送倫理・番組向上機構」)に訴えるぞ」と脅し、不当な圧力をかけていたことが明らかになっている。定例会見で発言が事実か否かを追及された知事は、「現状の報道をもってBPOに訴えるということはない」という意味不明な文言を繰り返したあげく、最後は「記憶にない」で逃げていた。ペテン師知事が、横暴の牙を剥き出しにした格好だ。

 ■「報道の自由」と「知る権利」の危機 
 タレントアナウンサーと政治記者の違いこそあれ 高島氏と三反園氏はともに報道出身。権力と報道の関係がどうあるべきか、当然知っているはずだ。報道の使命は“権力の監視”。一方、権力側は国民の代理ともいえる報道に対し、真摯に向き合うことが求められる。報道への圧力は、政治や行政の歪みを認めるに等しい愚行なのだが、高島・三反園両氏はそれが理解できていない。

 「BPOに訴えるぞ」と記者を脅した知事に、実際にBPOに審議を申し入れることで地元局に脅しをかけた市長――。安倍政権に倣って報道への圧力を強めるこうした首長が増えれば、この国の「報道の自由」や国民の「知る権利」はますます後退することになる。

  元稿:HUNTER 主要ニュース 政治・社会 【社会ニュース】  2017年11月16日  08:55:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【政府】:行政文書保存の基準公表へ 森友、加計受け新指針案

2017-11-08 05:45:30 | 【国民の知る権利、国の情報公開】:

【政府】:行政文書保存の基準公表へ 森友、加計受け新指針案

 乾龍の『漂流日本の羅針盤』・【最新ニュースから見え隠れする闇】:【政府】:行政文書保存の基準公表へ 森友、加計受け新指針案

 森友、加計学園問題で批判を受けた行政文書管理を巡り、政府の新たなガイドライン案の全容が7日、判明した。保存対象となる文書の種類や期間を決める基準を省庁の課ごとに公表すると明記。文書管理に携わる担当者の増員も求めた。これまで課ごとの基準は公表されるケースが少なく、どんな文書が保存されるか不明確で、重要文書が捨てられているとの指摘が出ていた。

 文書管理新指針案ポイント

 文書管理新指針案ポイント

 ガイドラインは、政府の行政文書の扱いに関する指針。新案では、行政文書について、政策立案や事業実施に影響する各府省庁内や外部との打ち合わせ記録とし、作成の際には、出席者の確認などを経て「正確性の確保を期す」よう求めた。(共同)

 元稿:東京新聞社 主要ニュース 政治 【政策・行政文書管理】  2017年11月08日  05:45:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【筆洗】:政府を批判しただけで、厳しく弾圧されたソ連にあっても、

2017-10-04 06:09:45 | 【国民の知る権利、国の情報公開】:

【筆洗】:政府を批判しただけで、厳しく弾圧されたソ連にあっても、憲法では表現や言論の自由は一応、認められていた。

 乾龍の『漂流日本の羅針盤』・【最新ニュースから見え隠れする闇】:【筆洗】:政府を批判しただけで、厳しく弾圧されたソ連にあっても、憲法では表現や言論の自由は一応、認められていた。

 だから、米国では、こんな皮肉が語られた。「合衆国憲法とソ連憲法の違いは…ソ連憲法は言論、集会の自由を保障する。米国の憲法は、言論の後の自由も、集会の後の自由も保障する」▼発言した「後」の自由が保障されていなくては、自由など空虚な看板。そして「後」と同じように保障されなくてはならぬのが、言論の「前」の自由だ。世界人権宣言は一九条で、こううたっている▼<すべて人は、意見及び表現の自由に対する権利を有する。この権利は、干渉を受けることなく自己の意見をもつ自由並びにあらゆる手段により…情報及び思想を求め、受け、及び伝える自由を含む>▼真の言論の自由のためには、前提条件として、情報などを求め、受ける自由がなくてはならぬ。「知る権利」はそれほど重いものなのだが、この国ではどうだろう▼知る権利を害すると懸念された特定秘密保護法は、強行採決された。行政が歪(ゆが)められたのではないかと指摘される森友・加計問題では、真相究明になくてはならぬ公の記録は「ない」「廃棄された」と、官僚らが平然と言い放っていた▼疑惑の追及を封じ込めるかのように、衆院は唐突に、解散された。おととい二十八日は、「世界知る権利デー」だったのだが。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【筆洗】  2017年09月30日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【社説①】:公文書管理は政策決定過程わかるように

2017-09-25 03:30:50 | 【国民の知る権利、国の情報公開】:

【社説①】:公文書管理は政策決定過程わかるように

 乾龍の『漂流日本の羅針盤』・【最新ニュースから見え隠れする闇】:【社説①】:公文書管理は政策決定過程わかるように

 政府の決定は正しかったのか。検証するには、途中経過を知る必要がある。ところが、記録が残っていないという事例が相次いだ。公文書管理法が制定されて8年にもなるのに、趣旨が徹底されていないのは行政の怠慢である。

 政府の「行政文書の管理の在り方に関する検討チーム」が報告書をまとめた。公文書作成のガイドラインの見直しに向け、(1)行政機関内部の打ち合わせ(2)行政機関と外部との折衝――についても文書を漏れなく作成し、日付や作成者も明記することを提言した。

 保存期間1年未満とされる担当者のメモ程度の行政文書をどう取り扱っていくのかも、公文書管理委員会で明確にするよう促した。

 役所の中でどんな議論がされていたのかは、政策決定をたどる際の重要な手掛かりになる。公務員のメモは公的な記録であり、きちんと保存し、必要に応じて公開する仕組みを整えるべきだ。

 検討チームの報告書には、やや心配になる記述もある。「正確性の確保」のため、記録作成時に「複数の担当職員による確認」「相手方発言部分を確定しがたい場合、その旨を判別できるように記載する」などを求めた点だ。

 文書の中身が不確かでは困る。それはそうだが、わざわざ言及したのは、森友学園や加計学園に関する疑惑を巡り、安倍政権に不利な内容を記した文書が出回った経緯を踏まえてのことだろう。

 報告書に沿って、ガイドラインの見直しが行政にありがちな「よらしむべし、知らしむべからず」という傾向を一段と加速することのないよう、注視したい。

 安倍政権になって、閣議の内容が首相官邸のホームページで公開されるようになった。だが、記載されているのは、国会に提出する法案の一覧などであり、首相や閣僚が何か発言したのかどうかなどはさっぱりわからない。

 公開されるようになってからは閣議内容を政府に尋ねても「ホームページが全て」と答えることが多く、情報公開の名を借りた情報封鎖になっている。

 政策判断の結論を詳しく解説することも大事だが、どんな選択肢があったのかなどもわかるようにしなければ、説明責任を果たしたことにはならない。行政は国民の税金で運営されている組織である。そこでの記録は国民の所有物であるとの認識に立って、公文書の管理に当たってもらいたい。

 元稿:日本経済新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2017年09月25日  03:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:公文書管理見直し 恣意性排除した制度が不可欠だ

2017-09-25 03:15:35 | 【国民の知る権利、国の情報公開】:

【社説】:公文書管理見直し 恣意性排除した制度が不可欠だ

 乾龍の『漂流日本の羅針盤』・【最新ニュースから見え隠れする闇】:【社説】:公文書管理見直し 恣意性排除した制度が不可欠だ

 政府が、公文書管理の在り方を見直す案をまとめた。森友・加計学園問題、南スーダン国連平和維持活動(PKO)で、文書の廃棄や非公開が相次いだためだが、見直し案は恣意(しい)的運用の余地を残し、情報公開の推進どころか、文書作成や公開の対象を狭めかねない。このような方向での改正は容認できない。

 見直し案は、政策立案や事業実施に影響する府省庁内や外部との打ち合わせ記録の全てを行政文書とし、情報公開の対象とした。保存期間は「1年未満」の基準として日常的・定期的な業務連絡や日程表などを例示。意思決定過程が検証できる文書は、原則「1年以上」とするよう求めた。森友学園への国有地売却の交渉記録は「1年未満」として廃棄されたが、今回の案では1年以上に当たる。

 この内容では、文書作成や保存期間の判断が、担当職員という「身内」に委ねられ、外部のチェックが機能しない。権力側が不都合な情報を隠せる「抜け穴」が多く、決定過程を明らかにするのは不可能。公文書管理法の制定を主導した福田康夫元首相は「(保存の)判断が役所や役人の都合では困る。国民の立場から判断しなければならない」と注文する。保存文書の選定や廃棄に、第三者が関与するシステムが不可欠だ。

 個人メモを行政文書から除外することも「情報隠し」につながりかねず看過できない。都合の悪い内容を「個人メモ」として処理すれば、公開対象外にできるからだ。「仕事」の記録を矮小(わいしょう)化することは許されない。

 個人メモの重要性は、加計問題の経緯が証明している。「総理の意向」などと書かれた文書があったからこそ、疑惑の存在が明らかになった。一連の問題を反省しての公文書管理の見直しであるのなら、個人メモの非公開は本末転倒だ。

 加計問題では、開学時期に関して内閣府の圧力があったとする文部科学省文書が存在するにもかかわらず、同省は萩生田光一官房副長官(当時)が否定したことを根拠に「(文書は)正確性を欠く」と結論付けた。記録がない内閣府を正当化するのは、明らかに無理がある。見直し案は、複数の府省庁や外部との協議では、相手方の発言を確認する仕組みを盛り込んだが、折衝を通じて双方に都合の良い情報しか記されず、客観性が失われることを危惧する。すり合わせなしにそれぞれが記録することで、初めて決定過程や意見のやりとりが分かり、検証に役立つことを忘れてはならない。

 公文書管理法は「健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源」と公文書を位置付ける。政府はあらゆる情報を文書として残し、公開することで、国民から当然、検証を受けるべき立場。法の精神を実現し、国民の知る権利を保障するため、官僚の裁量が入り込む余地がない制度こそ、つくり上げねばならない。そうでなければ、行政機関への信頼回復は失われる。

 元稿:愛媛新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2017年09月23日  03:15:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【内閣官房】:「行政文書は発言すり合わせて」 不透明化加速も

2017-09-21 15:25:40 | 【国民の知る権利、国の情報公開】:

【内閣官房】:「行政文書は発言すり合わせて」 不透明化加速も

 乾龍の『漂流日本の羅針盤』・【最新ニュースから見え隠れする闇】:【内閣官房】:「行政文書は発言すり合わせて」 不透明化加速も

 転んでもタダでは起きないヤツらだ。森友・加計疑惑をめぐり、真相解明につながる公文書が破棄されたり、そもそも作成されていなかったことが問題になった。これを受けて内閣官房は20日、「行政文書の管理において採るべき方策」を提示したが、批判を逆手に取って、政策決定の過程をますます不透明にする内容なのだから呆れる。

加計文書は「確実に存在」と断言した前川喜平前事務次官 /(C)日刊ゲンダイ

  加計文書は「確実に存在」と断言した前川喜平前事務次官 /(C)日刊ゲンダイ

 「方策」では省庁が他の省庁や民間企業などと協議や打ち合わせを行った際は、相手側の発言内容を先方に確認した上で議事録などの記録を残すとしている。

 加計学園の獣医学部新設疑惑では、文部科学省の課長補佐が「萩生田副長官ご発言概要」と題した文書を作成。官房副長官だった萩生田が「官邸は絶対にやると言っている」「総理は『平成30年4月開学』とおしりを切っている」などと迫ったことが生々しく記録されており、これがマスコミなどに流出して大騒ぎとなった。

 新たな「方策」が実施されれば、こうした生々しいやりとりは記録されず、きれいに調整された当たり障りのない文書しか作成されなくなる恐れが大だ。

 問題発言は隠されてしまい、仮に不正が行われても疑惑解明は困難になる。モリカケの教訓に“逆行”している。

 元稿:日刊ゲンダイ 主要ニュース 政治・経済 【政治ニュース】  2017年09月21日  15:25:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【内閣府】:公文書管理監に山西氏、2代続けて検事

2017-07-21 05:00:00 | 【国民の知る権利、国の情報公開】:

【内閣府】:公文書管理監に山西氏、2代続けて検事

 乾龍の『漂流日本の羅針盤』・【最新ニュースから見え隠れする闇】:【内閣府】:公文書管理監に山西氏、2代続けて検事

 内閣府は20日、特定秘密の指定や解除が適切かどうかを検証する独立公文書管理監の2代目に、最高検察庁検事の山西宏紀氏を21日付で充てる人事を発表した。2代連続で検事を起用し、独立性や透明性の確保を強調する狙いがあるとみられる。山西氏は管理監を支える情報保全監察室の室長を同日付で併任する。

 元稿:日本経済新聞社 朝刊 主要ニュース 政治 【政策・内閣府・独立公文書管理監】  2017年07月21日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

 

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【文科省】:文科次官ら厳重注意 公開文書激減で超隠蔽国家が誕生する

2017-07-08 15:25:40 | 【国民の知る権利、国の情報公開】:

【文科省】:文科次官ら厳重注意 公開文書激減で超隠蔽国家が誕生する

 乾龍の『漂流日本の羅針盤』・【最新ニュースから見え隠れする闇】:【文科省】:文科次官ら厳重注意 公開文書激減で超隠蔽国家が誕生する

 菅義偉官房長官が“怪文書”呼ばわりした文科省の内部文書をめぐってトンデモない処分が出た。「加計学園」の獣医学部新設に関連する「総理のご意向」や「官邸の最高レベルが言っている」などと書かれた複数の文書の取り扱いが不適切だったとして、松野博一文科相は4日、戸谷一夫事務次官ら3人の幹部を口頭で厳重注意したというのだ。

松野文科相(C)共同通信社

           松野文科相(C)共同通信社

 文科省人事課は「行政文書ではない個人メモが、共有フォルダーに保存されたり、メールされたりして共有されてしまった。本来は個人のみで保管すべきもので不適切だった」と説明したが、オイオイちょっと待て、だろう。

 「これらの文書は文科省の課長補佐が特区対応の業務として作成したものです。『総理のご意向』といった多くの文書は当時の前川前次官への説明で使われている。個人メモではなく、組織的使用された立派な行政文書ですよ。個人メモということにして共有したのが間違っていたというのはムチャクチャ論理です」(政治評論家の山口朝雄氏)

 文書が共有フォルダーに保存されていたおかげで、国民は加計問題をめぐる省庁間のやりとりが分かったのだ。いわば内部文書は「国民の知る権利」に応えたのだ。公僕として当然の役割を果たした国家公務員に対して厳重注意はあり得ない処分だろう。

 「“怪文書”呼ばわりした文書を、最後は“個人メモ”にしてフタ。隠蔽体制がむしろ強化されている。今後、職員は作成したメモを共有フォルダーに投稿したり、メールしたりすることをためらうのではないでしょうか。誰だって処分されたくありませんからね。しかし、これでは公開されることのない個人メモばかりになってしまう」(山口朝雄氏)

 このままだと超隠蔽国家が生まれる日も近い。

 元稿:日刊ゲンダイ 主要ニュース 政治・経済 【政治ニュース】  2017年07月08日  07:15:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。 

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【公文書】:公文書館の研修受講率2%強 省庁で続くずさんな文書管理

2017-07-06 06:15:56 | 【国民の知る権利、国の情報公開】:

【公文書】:公文書館の研修受講率2%強 省庁で続くずさんな文書管理

 乾龍の『漂流日本の羅針盤』・【最新ニュースから見え隠れする闇】:【公文書】:公文書館の研修受講率2%強 省庁で続くずさんな文書管理

 公文書のずさんな管理が問題になる中、全省庁を対象にした国立公文書館の研修受講率が2%強しかないことが分かった。各省庁でも独自に研修を行っているものの、防衛省や財務省などで公文書隠しとも言える事例が相次ぐ。専門家は「公文書管理への意識の低さが一連の問題の背景にあり、再発防止に向け受講率を上げるべきだ」と指摘している。 (桐山純平)

写真

 国立公文書館の研修は、各省庁で管理責任者となる課長や室長などが対象。公文書館の職員や外部の有識者らが、文書管理の実務のほか歴史文書を保存することの意義などを教える。文書管理の初任者向け講習のほか、歴史文書保存に必要な知識を習得する専門家養成の講座もある。

 二〇一一年に施行された公文書管理法は、歴史文書への意識改革を図るため研修の実施を義務付けた。だが、二〇一五年度は、全体の受講対象二万三千九百四十一人のうち、実際に受けたのは2・7%の六百三十九人のみ。法律の施行以来、受講率は2%前後と低い水準のままだ。

 低い受講率の理由について、内閣府公文書管理課は「講師、受講者ともに通常業務があり、研修の日程に制約がある」と説明。さらに研修の実施と違って、職員の受講は法律で義務化されていないことも影響していると推測する。

 一方、公文書館に加えて、法律は各役所での研修実施も義務付けており、省庁の研修は一五年度で二万一千七百一回行われた。しかし、そのうち八割近くに当たる一万七千百七十回を実施した防衛省では、南スーダン国連平和維持活動の日報管理で問題が発覚している。同省は「日報の調査結果で、改善すべき点があれば取り組みたい」と話す。財務省も一五年度は研修を五百十九回実施している。

 政府の公文書管理委員会で委員長代理を務める三宅弘弁護士は「一連の問題から省庁での研修が内容をともなっているかは疑問だ。専門的な公文書館の研修をより活用することを検討すべきだ」と指摘している。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 政治 【政策・全省庁を対象にした国立公文書館の研修受講率】  2017年07月06日  06:15:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【社説】:「表現の自由」国連報告 人権侵害の懸念直視し改善

2017-06-14 03:15:50 | 【国民の知る権利、国の情報公開】:

【社説】:「表現の自由」国連報告 人権侵害の懸念直視し改善

 乾龍の『漂流日本の羅針盤』・【最新ニュースから見え隠れする闇】:【社説】:「表現の自由」国連報告 人権侵害の懸念直視し改善

 日本の表現の自由が土台から揺らいでいる。国連の相次ぐ警告に安倍政権は耳を傾けず、内心の自由をも脅かす「共謀罪」法案をごり押しする姿勢は、断じて許されない。

 スイスで開かれている国連人権理事会で、言論と表現の自由に関する特別報告者のデービッド・ケイ氏が、昨年の訪日調査を報告、特定秘密保護法の改正などを求めた。同法がメディアを萎縮させ、知る権利の範囲を狭めているとの批判はもっともだ。国民の多くが法案段階から抱いた懸念が案の定、顕在化して、国際的な専門家も法の危うさを認めたといえよう。人権理が人権侵害を認めれば、非難決議が採択される可能性がある。政府は指摘を重く受け止め、法を抜本的に見直すべきだ。

 だが政府代表は「報告書がわが国の説明や立場に正確な理解のないまま記述されている点は遺憾だ」と反論した。特別報告者は人権理の任命を受け、特定の国の人権の調査や監視を行っている。日本は人権理の理事国であり、本来は国際社会に模範を示すべき立場である。指摘を無視するのは人権理の存在意義を自ら否定するに等しい。日本の国際的信用を著しく損ねる言動だと認識する必要がある。

 さらにケイ氏が問題視したのはメディアの独立性だ。高市早苗総務相が、政治的公平ではないと判断すれば放送局に電波停止を命じる可能性があると言及したことに対し、「メディア規制の脅し」と批判した。

 「国境なき記者団」による世界の報道自由度でも日本は2010年の11位から17年は72位に急落した。政府は、民主主義の根幹をなす報道の自由を侵す言動を顧みてもらいたい。

 市民の表現の自由への直接的な抑圧も憂慮する。沖縄平和運動センターの山城博治議長が米軍基地移設工事の抗議行動を巡り逮捕され、5カ月間も勾留された。報告書では「公共政策への反対表明の自由は侵害されるべきではない」と指摘する。このような不当行為を許せば市民は萎縮して発言や行動を控える可能性があり、看過できない。

 「共謀罪」法案については、プライバシーの権利に関する特別報告者のジョセフ・ケナタッチ氏が「プライバシーや表現の自由を制約する恐れがある」と批判、改善策を求めた。政府は国際組織犯罪防止条約の締結のための法整備だと感情的に反論したが、そもそも条約はマフィア対策としての経済犯罪の取り締まりが主眼で、共謀罪が不可欠かどうかは疑わしい。抗議ではなく、ケナタッチ氏の懸念に真摯(しんし)に答える責務があるはず。指摘を一顧だにせず、法案を正当化しようとしても理解は得られまい。

 政府の不誠実な振る舞いは、国際社会に「日本は人権軽視の国」との印象を与える。専門家の批判、懸念に対し丁寧に説明し、見直すべきは見直すという謙虚な姿勢が求められていると自覚するべきだ。

 元稿:愛媛新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2017年06月14日  03:15:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:公文書管理 意思決定が見えるよう

2017-06-06 06:09:25 | 【国民の知る権利、国の情報公開】:

【社説①】:公文書管理 意思決定が見えるよう

 乾龍の『漂流日本の羅針盤』・【最新ニュースから見え隠れする闇】:【社説①】:公文書管理 意思決定が見えるよう

 学校法人加計学園をめぐる「文書」は怪文書扱いだった。森友学園への国有地売却の関連文書は財務省で廃棄されたという。役所での文書の扱いがあまりにずさんだ。公文書管理を見直すべきだ。

 公文書管理法という法律がある。第一条に崇高な目的が書かれている。まず公文書とは「健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源」であると位置づける。だから、それに鑑み「現在及び将来の国民に説明する責務が全うされるようにすることを目的」としているのだ。

 さらに第四条でもこう記す。「行政機関における経緯も含めた意思決定に至る過程」をも合理的に後になって検証することができるように、文書を作成することを義務付けるのだ。

 つまり行政機関の意思決定のプロセスが現在・未来の国民にもよくわかるようにするために、この法で定めているわけだ。

 ところが、昨今、政権周辺で起きていることは、この精神をまったく踏みにじっている。むしろ国民に知らしめないために文書がなかったことにしているかのようだ。その典型例が陸上自衛隊の南スーダン国連平和維持活動(PKO)派遣をめぐる行政文書である。

 「戦闘」などの表現が入った日報の原本が削除されたのである。その後、写しファイルが別の部署で見つかったにもかかわらず公表せず、「情報隠し」と厳しく指摘される事態になった。

 大阪の学校法人「森友学園」に国有地が格安で払い下げられた問題では、財務省との交渉内容が焦点だ。だが、国会答弁で同省は「記録の保存期間は一年未満。速やかに廃棄した」とし、電子データも同様に削除したという。

 しかも、六月には財務省は省内システムを入れ替える。記録の復元が不可能になる恐れがある。八億円もの値引きに関わる証拠書類の保存期間は五年に該当するという指摘もある。恣意(しい)的な解釈で記録を廃棄した判断には違法性すら伴う可能性があろう。

 「総理のご意向」と書かれた加計学園をめぐる文書もそうだ。政府は「確認できない」とするが、前川喜平・文部科学省前事務次官が存在を認めている。同省内で作成されたことなどを極めて具体的に証言している。

 前川証言に基づけば、怪文書どころか立派な行政文書である。省内に残っているはずであり、国会などで意思決定がどう働いたか徹底追及してもらいたい。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2017年05月31日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:②個人情報保護法 改正への過剰反応を懸念する

2017-06-01 06:05:30 | 【国民の知る権利、国の情報公開】:

【社説】:②個人情報保護法 改正への過剰反応を懸念する

 乾龍の『漂流日本の羅針盤』・【最新ニュースから見え隠れする闇】:【社説】:②個人情報保護法 改正への過剰反応を懸念する

 国民の「知る権利」が損なわれてはならない。改正法施行にあたり、社会全体で共有すべき視点だと言えよう。

 情報技術(IT)の進展に対応する改正個人情報保護法が施行された。

 柱の一つが、個人を特定できないように加工した「匿名加工情報」に関する規定の新設だ。厳格に保護すべき個人情報とは区別し、本人の同意がなくても第三者に提供できるようにした。

 企業は、個人情報を含む購入履歴などを蓄積している。これらのビッグデータは、商品開発などの際の貴重な情報として期待されるものの、情報の拡散に不安を抱く消費者は少なくない。

 取引のルールを設けることで、トラブルを防ぎ、活用を推進する。この狙いは理解できる。

 問題は、情報を加工する手順が必ずしも明確ではないことだ。氏名や住所を削除するほかに、どのような措置が必要か。加工が不十分であれば、他の情報との照合で個人が特定される恐れもある。

 監督機関である政府の個人情報保護委員会が定めた基準は、細部には及んでいない。情報を加工する企業が、ケースごとに最終判断するしかないのが実情だ。

 混乱も予想されるだけに、委員会は、企業などの相談に丁寧に対応せねばならない。業界団体による自主ルールの整備も大切だ。

 活用推進と安全確保を両立させる取り組みが求められる。

 改正法には、規制強化も盛り込まれた。人種や病歴、犯罪歴などを「要配慮個人情報」と規定し、本人の同意なしに取得することを原則として禁じた。不当な差別や偏見を防ぐことは重要だ。

 規制強化で、懸念されるのは過剰反応である。日本新聞協会は「『匿名社会』の深刻化につながる」との声明を発表した。

 事件・事故や災害で、被害者らの実名を公的機関が明らかにしなければ、真相に迫る取材は困難になる。当事者に対する公権力の不正な行使などをチェックするためにも、実名は不可欠だ。

 匿名社会の問題は、2005年に個人情報保護法が全面施行されたのを機に顕在化した。これ以上、過剰反応を広げてはなるまい。

 そもそも、報道機関が報道目的で情報を取得する場合には、個人情報保護法は適用されず、情報の提供者も規制を受けない。

 報道機関は、当事者のプライバシーに十分に配慮し、実名を報じるかどうかを自らの責任で判断する。それが本来の在り方だ。

 元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2017年05月30日  06:02:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。 

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