乾龍の『漂流日本の羅針盤』・【最新ニュースから見え隠れする闇】:

 在野の政治研究家乾龍が『漂流日本の闇』を斬る! 日々の政治・経済等の時事ニュースの深層を探る。

【社説①】:ニッポンの大問題 もはや環境途上国

2018-01-10 06:10:40 | 【地球温暖化・温室効果ガス・気候変動に関

【社説①】:ニッポンの大問題 もはや環境途上国

 乾龍の『漂流日本の羅針盤』・【最新ニュースから見え隠れする闇】:【社説①】:ニッポンの大問題 もはや環境途上国 

 パリ協定を境目に、地球を巡るお金の流れが変わり、世界の景色も変わり始めた。変われない日本を残し。脱炭素、脱原発、いつやるの? 今年でしょ。

 二一〇一年。つまり二十二世紀の初め。

 三年前のパリ協定の約束通り、「温室効果ガス実質排出ゼロ」の脱炭素社会が実現していれば、恐らく歴史の教科書は次のように記すでしょう。

 <二〇一五年暮れに芽吹いた脱炭素革命は、一七年に急加速、一八年に軌道に乗った>

 パリ協定。二〇年に始まる温暖化対策の新たな国際ルールです。

 そして授業で先生は、このように解説します。

 「その“革命”がなければ、この社会は持続しなかった…」

 十八世紀、石炭を燃やすことで始まった古い産業革命は、私たちが化石燃料や核燃料の呪縛から解き放たれて、太陽や風の力を操ることで終焉(しゅうえん)を迎えます。脱炭素革命はすでにスタートしています。欧州はもちろん、トランプ政権の米国でも、お隣の中国でも-。

 ◆脱炭素市場の開拓者

 昨年の十一月、ドイツのボンで開催された二十三回目の温暖化対策会議(COP23)は、例年とはかなり違った印象でした。

 パリ協定の運用ルールを話し合う議場の外、サイドイベント(関連行事)の会場にビジネススーツの男女が集い、情報を収集したり、投資先を探したり、商談を繰り広げたり-。パリ協定が生み出す巨大な脱炭素市場の熾烈(しれつ)な争奪戦は、とうに始まっているのです。

 その中で日本政府は、高効率の石炭火力発電所の輸出による“貢献”をアピールし、世界から非難と言うより、嘲笑を浴びました。

 石炭火力である限り、二酸化炭素(CO2)を排出します。パリ協定の要求は「低炭素」ではなく「脱炭素」なのだから。

 「もはや途上国なのか」。日本から参加した数少ない企業のメンバーは、かつて「省エネ大国」、あるいは「環境先進国」と呼ばれたこの国の危機感の薄さ、いつの間にか開いてしまった欧米や中国との距離に打ちのめされました。

 世界の景色は、予想以上に激しく変わり始めているようです。

 アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビで、世界最大級の太陽光発電所の建設が進んでいます。

 世界有数の産油国が脱炭素の風を読み、再生可能エネルギーにかじを切り始めているのです。

 太陽光パネルを供給するのは中国企業。安さだけではありません。砂漠の過酷な環境に耐えられる品質の高さが評価されました。

 ◆エコ文明が富を呼ぶ

 習近平国家主席自らが「エコ文明」の構築をうたうのも、環境対策だけのためではありません。巨大な市場があるからです。

 電力の供給価格は一キロワット時二円台。日本の原発が生み出す電気の四分の一程度になるそうです。従来の常識、あるいは先入観が全く通用しない世界です。

 脱炭素時代の投資家は、非脱炭素企業にお金を出しません。脱炭素を掲げる国際企業は、非脱炭素企業から、モノやサービスなどを調達できません。当然です。

 脱炭素は今や、国際的なサプライチェーン(供給網)につながるためのパスポートになりました。

 もう一つ日本がこだわりを持つ原発はどうでしょう。

 「原子力産業の衰退は、地球規模で加速している。建設が始まった原子炉は一〇年の十五基から、一六年には三基、一七年は第三・四半期までで一基に減った。これは生き残るために必要な最低限の増加を下回る状況であり、原発は絶滅の危機に瀕(ひん)していると言える」

 世界の原発を監視するフランス在住のエネルギーコンサルタント、マイケル・シュナイダーさんは、このように断言します。

 福島原発の事故を契機に、安全対策の要求が高まって、原発一基の新設に一兆円の費用がかかるとされる時代です。世界的に見れば原発も、経済的には見合わない、時代遅れの電源になりました。

 石炭火力と原発に寄り掛かる日本も、国際的には時代遅れとみられています。脱炭素、脱原発への挑戦なしに、技術立国日本の持続可能性はあり得ません。

 ◆技術革新の糧にして

 思い出していただきたい。一九七〇年の米マスキー法。その厳しい排ガス規制に尻込みした米国自動車業界が、果敢に挑んだ日本に“王国”の座を明け渡すことになったのを。

 高い目標を自らに課す国のみが技術革新を成し遂げる-。パリ協定が導こうとする世界です。年末にはそのルールが決まる年。先頭集団に食らいつき、未来の教科書に名を刻む、最後のチャンスになる年です。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2018年01月09日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:京都議定書20年 日本はなぜ変われない

2017-12-17 06:09:35 | 【地球温暖化・温室効果ガス・気候変動に関

【社説①】:京都議定書20年 日本はなぜ変われない

 乾龍の『漂流日本の羅針盤』・【最新ニュースから見え隠れする闇】:【社説①】:京都議定書20年 日本はなぜ変われない

 世界は脱炭素へ舵(かじ)を切り、後戻りはありえない。その原点になったのが、日本で生まれた京都議定書だ。あれから二十年、この国は、なぜ変われない。

 「京都議定書の成功を祝福したい」

 ドイツのボンで先月開催された国連の第二十三回温暖化対策会議(COP23)の開会式で、グテレス事務総長は賛辞を述べた。

 京都議定書は、史上初めて国際社会が合意した温室効果ガス削減のための約束(ルール)である。

 一九九七年、第三回京都会議(COP3)で採択された。

 ◆源流はキョウトにあり

 先進国全体で二〇一二年までに九〇年比で5・2%、二酸化炭素(CO2)など、温暖化の原因になる排ガスを削減することにした。十八世紀後半の産業革命以来、温室効果ガスの排出を野放しにして発展してきた先進国に、より重い責任があるとして、欧州連合(EU)8%、米国には7%、日本には6%の削減義務を振り分けた。

 数値目標や期限、罰則までも伴うルールは画期的だった。

 しかし、先進国にのみ削減義務を課したため、翌年のブエノスアイレス会議(COP4)ですでに“南北問題”が顕著になった。

 二〇〇一年、発起人とも言える米国が「自国経済に影響する」と、いち早く議定書から離脱した。

 一二年のドーハ会議(COP18)で、二〇年までの延長(第二約束期間)が決まったが、京都議定書が生まれた日本は「二大排出国の米中が不在では意味がない」と不参加を宣言し、「議定書を殺すのか」などと非難を浴びた。

 それでも京都議定書は、当初の削減目標の三倍以上の効果を上げた。一昨年、ようやく合意にこぎ着けた後継のパリ協定は、産業革命以降の平均気温の上昇を二度未満に抑えることを目標に、途上国にも、それなりの削減義務を課す。“全員参加”が基本である。

 ◆脱炭素と経済の両立へ

 キョウトという土台があればこそ、温暖化への挑戦は、持続可能性を保ち得た。

 野放しから削減へ、異常気象に対する危機感の共有へ-。京都議定書は国際社会の流れを変えた。そして、それよりはるかに大きな変化の源流にもなっていた。

 「脱化石燃料に舵を切ろう、経済を低炭素で回していこう-。北欧発の小さな流れを、世界に広げる機運が京都で起きた」

 NPO法人気候ネットワーク理事長の浅岡美恵さんは振り返る。その誕生以前から、京都議定書を見守り続けてきた人だ。

 以来、CO2排出削減と経済成長の両立をなし得た国は、米国を含め二十二カ国にも上る。日本は入っていない。

 この数年で激変したのが、国際経済の血流とも言える投資マネーの流れである。ESG投資が世界を席巻しつつある。

 Eは環境(Environment)、Sは社会(Social)、Gは企業統治(Governance)の頭文字。目先の収益などよりも、環境や人権に対する企業の配慮を投資の基準にしよう、配慮のない企業を市場から追い出そうという流れである。

 二〇〇六年、国連が世界の機関投資家に「責任投資原則(PRI)」を呼びかけたのをきっかけに、拡大を続けている。温暖化に対する危機感が、共有された証しと言ってもいいだろう。ESG投資の運用額は、この五年で二倍に増えた。日本円で二千五百兆円にも上る。世界の投資総額の四分の一を占めている。

 もちろん、危機感だけでは語れない。社会はかつてない大変革のさなかにある。

 例えばこの夏のこと、英仏が相次いで四〇年にガソリン車の販売禁止を宣言した。ガソリン車が退場を余儀なくされる-。脱化石燃料、脱炭素の象徴である。このスピードを誰が予想し得ただろう。

 巨大な変化が起きればそこに、巨大な市場ができる。例えば再生可能エネルギー市場のような。

 脱炭素に投資をすれば、倫理的にも経済的にも莫大(ばくだい)な利益を生み出す時代になった。

 欧州では投資の過半をESGが占めている。米国では二割強。トランプ大統領のパリ協定離脱表明は、米国の本意とはほど遠い。

 ◆今も時計を止めたまま

 日本ではわずか3・4%。フクシマを経験しながら、この期に及んで石炭火力や、もはや持続可能とは言えない原発にしがみつき、前進できない日本に、世界は奇異のまなざしを向けている。

 二十年前、COP3の最終日。会場の時計を止めて徹夜の協議を続け、国際社会は京都議定書に合意した。その熱意が巨大な変化の源流になったのだ。

 日本の時計は、なぜいまだ止まったままなのか。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2017年12月12日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【社説②】:COP23閉幕 「脱炭素」が加速する

2017-11-24 06:10:05 | 【地球温暖化・温室効果ガス・気候変動に関

【社説②】:COP23閉幕 「脱炭素」が加速する

 乾龍の『漂流日本の羅針盤』・【最新ニュースから見え隠れする闇】:【社説②】:COP23閉幕 「脱炭素」が加速する

 気候変動問題の国際会議、COP23は地球温暖化対策の新たな枠組みであるパリ協定の運用ルール作りを加速させ、また一歩、脱炭素に近づいた。変わってしまった米国、変われない日本を置いて。

 昨年十一月に発効のパリ協定に“観客”は存在しない。国際社会が全員参加、各自の目標を掲げて温室効果ガスの削減を競い合う。

 “試合開始”は二〇二〇年。しかし、来年末のCOP24までに、その「ルールブック」をつくることになっている。

 今月六日に開幕したCOP23では、開催地ドイツではなくフィジーが議長国だった。温暖化の進行に伴う海面上昇で国土消失の危機にさらされた、島国の代表だ。

 米国トランプ政権のパリ協定離脱宣言は途上国を動揺させた。

 温暖化による環境変化に適応していくための支援に影響が出るのではないか、という不信感が頭をもたげ、南北対立の再燃も心配された。

 それでも、COP23の「ルールブック」のたたき台となる文書の作成や、各国が自主的に設定済みの削減目標を引き上げるための対話活動を新年早々始めること、先進国の削減目標の達成や途上国支援の進捗(しんちょく)状況を検証することなど、すべての議題に合意をみた。

 世界が共有すべき気候変動危機の象徴であるフィジーを軸に、参加国が、先進国、途上国の立場の違いを超えて、全員参加の枠組みを維持する意志を強める中で、離脱を表明した米国の次に浮き上がって見えたのが日本だ。

 COP23の開幕当日に発表された「日米戦略エネルギー・パートナーシップ(JUSEP)」では、原子力や石炭火力の推進が確認され、国際NGOなどの非難が集まった。

 石炭火力はたとえ高効率のものであっても、天然ガスの二倍の二酸化炭素(CO2)が出てしまう。

 温暖化対策の面から見れば、石炭火力も原子力も、すでに“終わったエネルギー”なのである。

 一方、よい意味で存在感をアピールしたのが、自治体や企業による脱炭素化の取り組みだ。

 世界経済は脱化石燃料、脱炭素へと急展開しつつある。再生可能エネルギーなど、脱炭素市場も急速に膨らみ続けている。

 あと一年、世界の脱炭素化は、さらに加速するだろう。日本政府も野心的な貢献策を掲げて「ルールブック」づくりへの関与を強め、発言力を持たないと、経済の足を引っ張ることになる。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2017年11月21日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【筆洗】:水からガソリンをつくる。

2017-11-24 06:10:00 | 【地球温暖化・温室効果ガス・気候変動に関

【筆洗】:水からガソリンをつくる。

 乾龍の『漂流日本の羅針盤』・【最新ニュースから見え隠れする闇】:【筆洗】:水からガソリンをつくる。

 そう聞けば、だれもがばかなとおっしゃるだろうが、この詐欺に引っかかりそうになったのが、旧帝国海軍である。山本一生さんの『水を石油に変える人』(文芸春秋)に詳しい▼詐欺の触れ込みによれば「水に七種類の薬品を一定の間隔で投入、五十度まで加熱するとガソリンに変化する」。一九三九(昭和十四)年一月、海軍省での実験では水だったはずの液体がライターの火で燃え上がったという▼もちろん、すり替えによる「神業」。見破られて御用になったが、海軍をおこわにかけようとはおそれいる。海軍もそれほどガソリンの入手に悩んでいたか▼「コーヒーでバスを走らせる」。この話も…とつい身構えたくなるが、本当らしい。コーヒーを抽出した後に残る豆のかすを使った燃料の開発に、英国の会社が成功したそうだ▼捨てれば、メタンガスや二酸化炭素(CO2)を発生させる豆のかすを再利用。ロンドン交通当局はこの燃料を採用し名物の赤い二階建てバスを走らせるそうでこの燃料なら、排出されるCO2の量は従来に比較して10~15%削減できるというからコーヒーのせいではなく、目が覚める▼<一杯のコーヒーから夢の花咲くこともある>。「一杯のコーヒーから」。省エネ、排ガス抑制の知恵と成果が頼もしく、つい口ずさむ。海軍がだまされかけた三九年の流行歌である。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【筆洗】  2017年11月22日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②】:パリ協定の実行へ日本は積極的役割を

2017-11-23 03:30:20 | 【地球温暖化・温室効果ガス・気候変動に関

【社説②】:パリ協定の実行へ日本は積極的役割を

 乾龍の『漂流日本の羅針盤』・【最新ニュースから見え隠れする闇】:【社説②】:パリ協定の実行へ日本は積極的役割を

 温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」の運用ルールなどを話し合う第23回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP23)が閉幕した。協定開始時期の2020年に先立ち、18年から温暖化ガスの排出削減量の評価や目標の上積みを検討することなどで合意した。

 先送りした課題もあるが、温暖化対策の着実な実施へあらためて結束を確認できた意義は大きい。日本も合意を踏まえ、対策の強化が求められる。

 COP23では、世界第2位の温暖化ガス排出国である米国が、今年6月にパリ協定離脱を発表した影響が懸念された。先進国に対する途上国の不信が高まり議論が難航するおそれがあったからだが、交渉の停滞は回避できた。

 米国内でもパリ協定を支持する声は多い。国際社会は米政府に離脱を思いとどまるよう、粘り強く働きかけ続けねばならない。

 パリ協定は地球の気温上昇を産業革命前に比べ2度未満に抑えるとしているが、現在の各国の温暖化ガス削減目標を合わせても3度以上の上昇が避けられない見通しだ。不足分をできるだけ早期に明らかにし、目標の引き上げにつなげるのが今回の合意のねらいだ。

 日本は30年度までに、温暖化ガスを13年度に比べ26%削減する目標を条約事務局に提出している。今後の目標設定では上積みを迫られるだろう。

 しかし、新たな目標の検討に必要な温暖化対策の長期戦略は定まっていない。火力、原子力、太陽光などの最適な電源構成(ベストミックス)を将来的にどうするか早期に詰めなければならない。

 COP23では、日本が国内外で石炭火力発電所の建設計画を進めていることに、戸惑いと非難の声があがった。

 日本は原発の再稼働が限られ、電力を石炭火力で補わざるを得ない事情はある。長い目で脱石炭を進めるにはどんな方法があるかも検討すべきだ。

 政府はCOP23で記者会見を一度も開かず、出席した中川雅治環境相も海外メディアと接する機会はほとんどなかった。石炭火力の問題ばかりが注目されるなか、日本の得意な環境技術や対策について、政府が直接説明する場を設けなかったのは残念だ。

 パリ協定のルールづくりをはじめ、温暖化対策で日本が国際的な役割を果たすには、政策をわかりやすく対外発信する工夫も要る。

 元稿:日本経済新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2017年11月21日  03:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:①COP23閉幕 米国抜きのパリ協定に道筋を

2017-11-19 06:05:55 | 【地球温暖化・温室効果ガス・気候変動に関

【社説】:①COP23閉幕 米国抜きのパリ協定に道筋を

 乾龍の『漂流日本の羅針盤』・【最新ニュースから見え隠れする闇】:【社説】:①COP23閉幕 米国抜きのパリ協定に道筋を

 パリ協定は、温室効果ガスの排出を世界規模で削減するための礎だ。各国が協調し、着実に機能させねばならない。

 ドイツ・ボンで開かれていた国連気候変動枠組み条約の第23回締約国会議(COP23)が閉幕した。トランプ米大統領がパリ協定からの離脱を宣言して以来、初めてのCOPだった。

 メルケル独首相は会期中の演説で、「共に立ち、パリ協定を実行に移すことが大切だ」と結束を訴えた。欧州の他の首脳も、米国の穴を埋めて、世界の温暖化対策を主導する決意を示した。

 中国に次ぐ排出大国である米国に追随する動きはなかった。パリ協定の下で、各国の結束が維持されたことが、COP23の最大の成果だったと言えよう。

 強大な台風やハリケーンの発生が目立つ。豪雨や洪水も頻発している。温暖化の悪影響として、かねて指摘されてきた気象現象が現実のものとなっている。

 今回の議長国は、南太平洋の小国フィジーだった。受け入れ態勢の関係から、ドイツでの開催となったが、高潮被害など、島嶼(とうしょ)国が直面する脅威を訴えた。

 パリ協定は2020年にスタートする。今回の主な議題は、国別の排出量の計測方法や、5年ごとの目標引き上げの手順だった。

 削減目標は各国が独自に決めるが、削減結果については、外部からの検証を可能にする必要がある。合意文書には、ルール作りを加速することが盛り込まれた。建設的な取り組みが求められる。

 各国は、自国の削減策を会議でアピールした。マクロン仏大統領は、21年までに石炭火力発電を全廃することを表明した。

 マクロン氏は、原子力発電を今後も活用していく方針も示している。会議では「原発を減らすには、石炭火力の再開が必要だ。優先されるべきは、二酸化炭素(CO2)の排出削減だ」と主張した。

 CO2を排出しない原発の有用性を強調した意義は大きい。

 日本は30年度に13年度比で26%削減する目標を掲げる。福島第一原発事故以来、ほとんどの原発が停止し、化石燃料の発電に大きく頼っている。目標達成のためには、安全性が確認された原発を順次、稼働させることが欠かせない。

 日本政府は今回、途上国への技術支援や、大気中のCO2濃度を測定する人工衛星「いぶき2号」の打ち上げなどを発表した。

 省エネなどの科学技術に一段と磨きをかけて、世界に貢献する。それが日本の存在感を高める。

 元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2017年11月19日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【パリ協定】:温室ガス削減、COP23合意 先進国の状況を検証へ

2017-11-18 13:14:30 | 【地球温暖化・温室効果ガス・気候変動に関

【パリ協定】:温室ガス削減、COP23合意 先進国の状況を検証へ

 乾龍の『漂流日本の羅針盤』・【最新ニュースから見え隠れする闇】:【パリ協定】:温室ガス削減、COP23合意 先進国の状況を検証へ

 【ボン共同】ドイツ・ボンの気候変動枠組み条約第23回締約国会議(COP23)は18日、パリ協定が始まる2020年までの取り組み強化を図る内容を盛り込んだ決議を、全体会合で採択した。先進国の温室効果ガス削減状況を、18年と19年の締約国会議で検証することなどが柱。先進国による発展途上国支援などを巡り協議が難航し、17日に予定した閉幕は大幅にずれ込んだ。

 大詰めを迎えた気候変動枠組み条約第23回締約国会議(COP23)の本会議場=18日、ドイツ・ボン(共同)

 大詰めを迎えた気候変動枠組み条約第23回締約国会議(COP23)の本会議場=18日、ドイツ・ボン(共同)

 焦点のパリ協定のルール作り協議は意見の隔たりが大きかったため進展が乏しく、各国の主張を並べた長大な文書をまとめるにとどまり、大半の作業を来年に持ち越す。来年末の交渉期限までに追加会合を開くことを検討する。

 元稿:東京新聞社 主要ニュース 社会 【話題・地球温暖化・温室効果ガス】  2017年11月18日  13:14:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【社説②】:COP23 大切なステップだから

2017-11-11 06:10:05 | 【地球温暖化・温室効果ガス・気候変動に関

【社説②】:COP23 大切なステップだから

 乾龍の『漂流日本の羅針盤』・【最新ニュースから見え隠れする闇】:【社説②】:COP23 大切なステップだから

 気候変動枠組み条約第二十三回締約国会議(COP23)がドイツのボンで始まった。パリ協定のルールブックづくりが本格化、温暖化に歯止めをかける“約束”に魂を込める、重要なステップだ。

 “全員参加”がパリ協定の大前提だ。

 先進国だけに温室効果ガスの削減目標を割り当てた京都議定書とは違い、どれだけ減らすかは、参加各国の申告制になっている。ある意味緩い。だが、だからこそ、議定書では削減義務のなかった二大排出国の米中を含む百九十七の全条約加盟国・地域が参加した。

 パリ協定は、世界の平均気温上昇を産業革命前に比べ二度未満、できれば一・五度未満に抑制、今世紀後半にはガス排出を実質ゼロにするという目標を掲げている。

 国連環境計画が先月末に公表した報告書によると、今届け出のある自主目標をすべて達成し得たとしても、気温は三度上昇し、地球は未知の災害に見舞われる。

 パリ協定は、進化を前提とした未完成の約束事だ。五年ごとに、それぞれの目標を引き上げる。協定の運用ルールは来年のCOP24で決められる。目標引き上げに向けた話し合いも来年からだ。

 COP23はパリ協定のスタートダッシュに弾みをつける大切な会議なのである。

 採択から発効まで七年余をかけた京都議定書とは違い、パリ協定は一年足らずで発効にこぎ着けた。世界中で異常気象が顕在化、国際社会が危機感を共有したことの表れだ。今年、相次いで巨大ハリケーンに見舞われた米国も、例外ではありえない。

 トランプ大統領の離脱表明をよそに、全米で二千五百人を超える市長や州知事、企業トップらのグループは「われわれはまだパリ協定の中にいる」との声明に賛同している。進化は加速するだろう。

 大気汚染に悩む中国などと見比べても、日本の出足は鈍い。低い目標、多量排出源である石炭火力発電所の増設計画などに、国際社会は厳しい視線を送っている。このままでは、運用ルールづくりへの発言力を失って、国益も地球益をも、損なうことになりかねない。協定発効に伴って急速に膨らみつつある再生可能エネルギー市場でも、さらに水をあけられることになるだろう。

 大切なステップの年だからこそ、目前の“地球難”回避に向けた具体的貢献策を、強くアピールすべきである。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2017年11月08日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:温暖化対策COP23 実効性を高めるルールづくりを

2017-11-11 03:15:45 | 【地球温暖化・温室効果ガス・気候変動に関

【社説】:温暖化対策COP23 実効性を高めるルールづくりを

 乾龍の『漂流日本の羅針盤』・【最新ニュースから見え隠れする闇】:【社説】:温暖化対策COP23 実効性を高めるルールづくりを

 第23回気候変動枠組み条約締約国会議(COP23)がドイツ・ボンで開幕した。17日まで、温暖化対策の新枠組み「パリ協定」の2020年開始に向けての具体的なルールを話し合う。世界2位の温室効果ガス排出国である米国が協定からの離脱を表明する中、他の国がどこまで協調できるかが協定の実効性を左右する。排出量世界5位の日本も積極的に役割を果たさなければならない。

 世界気象機関(WMO)は会議に先立ち、地球温暖化に及ぼす影響が最も大きいとされる二酸化炭素の世界平均濃度が、16年に過去最高を更新したと発表した。産業革命前の1750年と比べると45%増えており、上昇が止まらない状況だ。

 パリ協定では産業革命前からの気温上昇を2度未満に抑えることを目指している。国連環境計画は、世界各国が掲げる温室効果ガスの排出削減目標を達成しても、今世紀末の気温上昇が3度に達し、深刻な被害が生じる恐れがあると警告した。各国の削減目標がまだ不十分だと指摘している。

 日本は中国やインドと共に、排出量が多い石炭火力発電を推進する国として名指しされ「新規建設をやめ、既存の施設も早期に閉鎖することが極めて重要だ」と指摘された。再生可能エネルギーの導入や省エネ家電の拡大など、国と自治体、企業が一体となり、これまで以上の取り組みを進める必要がある。

 日本は2030年度までに13年度比でガス排出を26%削減する目標を掲げている。国際社会から厳しい視線が注がれていることを自覚し、目標を上回る成果を目指さなければならない。

 COP23では、各国が自主的に定めた削減目標の達成にどんな手法を認めるかや、取り組み状況をどう検証するかといった実施ルールが焦点となる。先進国は全ての国に同じルールを適用し、透明性の高い仕組みを目指しているが、途上国は先進国に厳しい内容を求めて対立している。双方が歩み寄り、パリ協定を前進させるべきだ。

 各国が掲げた削減量が、目標の達成にどれだけ足りないかを精査する必要もある。日本政府は国際協力の一環として、ガスの排出量を途上国が正確に算出する取り組みの支援に乗り出す方針。高精度な測定や分析技術を生かし、途上国での温暖化対策に貢献したい。

 「温暖化はでっち上げだ」と主張していたトランプ米政権は先日、「地球温暖化は人類の活動以外の原因は見当たらない」と結論付ける全米気候評価報告書を公表した。矛盾する報告書の背景には、政権内の意見の対立があるとみられる。

 実際に協定からの離脱が可能になるのは20年11月以降。条件次第では協定にとどまる可能性も示唆している。米国抜きの協定が実効性に乏しいことは言うまでもない。日本をはじめ各国が働きかけ、米国の翻意を促すべきだ。

 元稿:愛媛新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2017年11月10日  03:15:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②】:パリ協定のルールづくりで存在感示せ

2017-11-06 03:30:50 | 【地球温暖化・温室効果ガス・気候変動に関

【社説②】:パリ協定のルールづくりで存在感示せ

 乾龍の『漂流日本の羅針盤』・【最新ニュースから見え隠れする闇】:【社説②】:パリ協定のルールづくりで存在感示せ

 温暖化対策の新しい国際的枠組み「パリ協定」の発効から1年がたった。6日からは協定の詳細ルールを話し合う国際会議がドイツのボンで始まる。協定離脱を決めた米国の存在感が低下するなか、日本は透明性の高い公正なルールづくりへ力を入れるべきだ。

 パリ協定は2020年以降の温暖化ガス削減策を定めており、現在は準備期間にあたる。ルールを18年に決める予定で、今月6日からボンで開く第23回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP23)で実質的な議論が始まる。

 めざすのは温暖化ガス排出量の測定や削減量の評価に使う共通の「ものさし」づくりだ。パリ協定では削減目標や達成度合いを自己申告する。ものさしが定まらないと、削減量を大きく見せかける国も出てくるかもしれない。

 日本は排出量の高精度な測定や分析・予測技術で定評がある。ノウハウの乏しい途上国や新興国を積極的に支援する役割が、国際的にも期待されている。

 温暖化ガス排出枠の取引をどのように削減量に算入するかも課題だ。日本は省エネルギー技術などを提供し、相手国で削減できた分を自国の排出枠とする「2国間クレジット」を重視している。これが正確に削減量に反映されなければならない。

 COP23には米国からも政府高官が出席する見通しだが、「発言は控えめになるだろう」(米有力シンクタンクの世界資源研究所)とみられている。

 代わって中国が、自国に有利なルールづくりへ主導権確保をめざすとの見方が多い。日本政府内からは「今年は物事が大きく動かない」との声も聞くが、様子見を決め込んでいてはいけない。

 パリ協定の発効を機に、20年を待たずに世界の投資家や企業の行動はすでに大きく変わりだした。

 石炭火力発電は敬遠され、事業からの撤退や出資引き揚げの動きが出ている。自動車業界は電気自動車(EV)の拡充へアクセルを踏む。インドやアフリカでは太陽光発電の普及計画が急ピッチだ。

 日本では、温暖化対策は企業イメージ改善のための社会貢献的な活動ととらえられることが多かった。しかし、今後は事業戦略の柱に据える発想が欠かせない。

 国際競争の共通の土俵を整えるうえで、パリ協定のルールづくりは極めて重要だ。日本政府には積極的な役割を果たしてほしい。

 元稿:日本経済新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2017年11月06日  03:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【環境】:温暖化で北海道に竹林拡大 稚内も適地、生態系懸念

2017-10-28 17:20:30 | 【地球温暖化・温室効果ガス・気候変動に関

【環境】:温暖化で北海道に竹林拡大 稚内も適地、生態系懸念

 乾龍の『漂流日本の羅針盤』・【最新ニュースから見え隠れする闇】:【環境】:温暖化で北海道に竹林拡大 稚内も適地、生態系懸念

 地球温暖化が進むと竹の分布域が北上し、北海道最北端の稚内にまで広がる恐れがあるとの予測を、東北大や長野県環境保全研究所などのチームが28日までにまとめた。竹は成長が速く、日光を遮って周りの植物を枯らすため、地域の生態系に悪影響を及ぼすことが懸念される。

 雑木林に入り込み、分布を広げる竹=2013年10月、神奈川県逗子市(東北大提供)

 雑木林に入り込み、分布を広げる竹=2013年10月、神奈川県逗子市(東北大提供)

 調べたのは日本の竹林のほとんどを占めるモウソウチクとマダケ。日用品の材料などに広く利用されてきた一方、1970年代以降、タケノコの輸入自由化や農家の高齢化が原因で、手入れされずに周りの林などを侵食する例が増加。国は適切な管理が必要な「産業管理外来種」に指定している。(共同)

 元稿:東京新聞社 主要ニュース 社会 【話題・環境・地球温暖化】  2017年10月28日  17:20:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。 

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【地球温暖化】:進めば、北海道で竹も…東北大などチーム

2017-10-19 14:21:30 | 【地球温暖化・温室効果ガス・気候変動に関

【地球温暖化】:進めば、北海道で竹も…東北大などチーム

 乾龍の『漂流日本の羅針盤』・【最新ニュースから見え隠れする闇】:【地球温暖化】:進めば、北海道で竹も…東北大などチーム

 地球温暖化で平均気温が上昇すると、竹が生育できる地域が北海道まで広がるとの予測を、東北大や国立環境研究所などの研究チームが発表した。

 竹は温暖な地域に生育し、成長が速い。周囲の植物を枯らすなど本来の生態系を壊してしまう恐れがあるため、対策が求められるという。

 専門誌に論文が掲載された。チームは、竹林のある地域の気温や日射量を調べ、温暖化した場合の竹の分布域の変化を予測した。

 温室効果ガスの削減が進まないと、日本の平均気温は21世紀末までに、産業革命前より最大4度、1980~2000年の平均に比べて最大で3・5度上昇すると考えられている。この場合、東日本で竹の生育に適した地域の割合は、現状の35%から最大83%に拡大する。現在はほとんど竹が生育していない北海道も、沿岸部など広範囲で生育が可能になるという。

 元稿:讀賣新聞社 主要ニュース 環境 【自然環境・地球温暖化、温室効果ガス】  2017年10月19日  14:21:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。  

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【筆洗】:アガサ・クリスティの推理小説「七つの時計」の中に・・・

2017-09-13 06:10:25 | 【地球温暖化・温室効果ガス・気候変動に関

【筆洗】:アガサ・クリスティの推理小説「七つの時計」の中に目覚まし時計を使ったちょっとした、いたずらの場面が出てくる

 乾龍の『漂流日本の羅針盤』・【最新ニュースから見え隠れする闇】:【筆洗】:アガサ・クリスティの推理小説「七つの時計」の中に目覚まし時計を使ったちょっとした、いたずらの場面が出てくる

 ▼ひどく朝寝坊の男を起こすために友人たちが男の部屋に八つの目覚まし時計を仕掛けて、午前六時半から順に鳴りだすようにセットする。これならば、男は必ず起きるはずだ▼翌朝、目覚まし時計は鳴った。ところが男は起きない。なぜ目覚まし時計の連続攻撃にもはね起きなかったのかはちょっと伏せておく▼さて、同じ時計でも、地球環境の悪化に伴う人類存続の危機を時刻で示す「環境危機時計」の話である。先日の発表によると、今年は九時三十三分となり、昨年より二分も進んだと旭硝子財団が発表した▼世界の研究者、政府関係者からのアンケート結果で時計の針を動かしている。九時三十三分は二〇〇八年と並び、最も危機に近い。米トランプ政権の地球温暖化対策「パリ協定」からの離脱表明も二分進んだ背景となったのだろう。気候変動、環境汚染、水資源…。危機の針は刻々と進んでいく▼あの男はなぜ目覚まし時計に微動だにしなかったか。なんということはない。既に毒殺されていた。死んでいては、目覚ましに気がつくことはない。環境危機の大きなアラーム音に「心配ないさ」の毛布をはねのけ跳び起きたい。それができるのも今のうちとは脅しすぎか。されど時間はあまりない。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【筆洗】  2017年09月12日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【霞が関2017夏】:まとまらない日本の温暖化対策 戦略策定へ報告書3つ

2017-09-12 06:30:50 | 【地球温暖化・温室効果ガス・気候変動に関

【霞が関2017夏】:まとまらない日本の温暖化対策 戦略策定へ報告書3つ

 乾龍の『漂流日本の羅針盤』・【最新ニュースから見え隠れする闇】:【霞が関2017夏】:まとまらない日本の温暖化対策 戦略策定へ報告書3つ

 経済産業省で8月末、2050年に向けて長期的なエネルギー政策を検討する有識者会合「エネルギー情勢懇談会」が始まった。地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」への対応をにらんで、今年度中に報告書をまとめる計画だ。だが実は同じような狙いの報告書はすでに2つある。

 環境省は3月、審議会での議論をへて「長期低炭素ビジョン」をまとめた。その1カ月後、経産省は有識者研究会の話し合いをもとに「長期地球温暖化対策プラットフォーム報告書」を公表した。

 ■独仏より遅れ

温暖化対策に向け3つ目の報告書作りが始まった(8月30日のエネルギー情勢懇談会)

 温暖化対策に向け3つ目の報告書作りが始まった(8月30日のエネルギー情勢懇談会)

 国連は20年までに「今世紀半ばごろの温暖化ガス削減の戦略を提出する」ことを各国に求めている。いずれの報告書も、この国連の要請をにらんだものだ。主要7カ国(G7)のなかでは、ドイツ、フランス、カナダは提出済みで、米国もオバマ政権時に公表した。英国、イタリア、日本はまだ提出していない。

 すでにまとまった経産省と環境省の報告書の違いは大きく2点。1つは、政府が閣議決定している「50年までに温暖化ガスの排出を80%減らす」との目標を、経産省は「日本企業などが国外で減らした分も算入すべきだ」としているのに対し、環境省は「国内だけで実現すべきだ」と主張している点だ。もうひとつは達成の手段。環境省は企業などに排出枠を割り当てて過不足分を売買する排出量取引や、化石燃料に課税する炭素税の導入を訴えるが、経産省は「十分な効果が見込めず、必要ない」との立場だ。

 地球環境産業技術研究機構(RITE)の秋元圭吾主席研究員は「両省の報告書は方向性がまったく違う。内容を擦り合わせるのは難しい」と指摘する。本来ならば両省が同じ場で検討を進めるべきだったようにも見えるが、それぞれの道を突き進んだ。

 ■省内の連携もあいまい

 そして今回始まったエネルギー情勢懇談会で、経産省には50年戦略に関する報告書が2つ存在することになる。公表済みのものは産業技術環境局が主導してまとめた報告書で、最近議論が始まった懇談会は資源エネルギー庁が事務局を務める。同庁は「エネルギーの観点から50年の戦略を考える」と説明するが、産技局の報告書との関係は明確ではない。

 今のところ、経産省と環境省が共通の方向性を明記した報告書をつくろうとする動きはない。エネルギー情勢懇談会が報告書をまとめるのは17年度末。政府全体の立場を決める議論が始まるのは早くても18年度になりそうだ。その議論がまとまるタイミングについて「日本が議長を務める19年の20カ国・地域(G20)首脳会議前に発表する」(有識者)との見方が多い。

 日本の中長期的な温暖化対策の議論は他国と比べて大きく遅れ、まとまりもない。かつて京都議定書をまとめあげた環境先進国の名声は失われつつある。(竹内康雄)

 元稿:日本経済新聞社 朝刊 主要ニュース ビジネスリーダー  【コンフィデンシャル】  2017年09月05日  02:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:温暖化とエネルギー 乗り遅れてしまうのか

2017-08-28 06:09:20 | 【地球温暖化・温室効果ガス・気候変動に関

【社説①】:温暖化とエネルギー 乗り遅れてしまうのか

 乾龍の『漂流日本の羅針盤』・【最新ニュースから見え隠れする闇】:【社説①】:温暖化とエネルギー 乗り遅れてしまうのか

 厳しい残暑、やまない雨…。「異常気象」の文字が全身に突き刺さる。温暖化の危機をバネにして世界は大きく変わり始めた。変われない日本を残し。

 米海洋大気局(NOAA)の報告によると、去年地球は観測史上最も暑かった。三年連続の記録更新は初めてだ。

 暑さで氷が解けだして、北極の海氷面積は、衛星による観測を始めて以来三十七年間で、最も小さくなった。地球全体の海面水位は一九九三年に比べて平均八センチ上昇し、最も高くなっている。

 ◆大統領が何と言おうと

 地球温暖化の要因とされる二酸化炭素(CO2)の年間平均濃度は四〇二・九ppmと、初めて四〇〇ppmの大台を超えた。

 産業革命以前の一・四倍。その増加の半分は、過去三十年間に起こったことである。

 石油や石炭などの化石燃料を燃やし続けて成し遂げた大量生産、大量消費の反作用。先進国も途上国も、この“地球灼熱(しゃくねつ)化”について「共通だが差異ある責任」を逃れられないということだ。

 インドではこの夏の熱波による死者が、二千人を超えた。イラクでは気温が五〇度を突破して、政府機関が臨時休業を余儀なくされた。異常は加速しつつある。

 トランプ米大統領がいくら「温暖化は、でっち上げだ」と叫ぼうと、二〇二〇年以降の新たな気候変動対策を約束したパリ協定から離脱しようと、NOAAは「温暖化は、人類とすべての生命が直面する最大の課題の一つだ」と、正しく警鐘を鳴らしている。

 幾何学模様の軌跡を描いて迷走する台風、居座る豪雨…。緑の地球は今や“赤変”しつつある-。身のまわりの異常から、それは十分体感できるのだ。

 ◆太陽と風に帆を揚げて

 世界はこの“不都合な真実”を直視して、自ら引き起こした地球の深刻な変化に適応、つまり生き延びていくために変わろうとし始めた。パリ協定は、変化の“のろし”なのである。「成長」から「持続可能性」へ-。宇宙船地球号の電源の切り替えが始まった。

 その電源が、風力や太陽光、バイオマスといった再生可能エネルギーであることは、もはや疑う余地がない。

 一昨年世界では、再生可能エネの新規発電設備容量が、化石燃料プラス原子力を超え、投資額も史上最高を記録、発電量に占める割合も23・7%と、四割に及ぶ石炭に次ぐ第二の電源に浮上した。

 需要の伸びに従って発電コストも大幅にダウンした。

 ドバイやチリでは太陽光が一キロワット時あたり三円台前半、欧州の洋上風力が六円前後で取引されている。日本で「安い」とされる原発は、約十円だ。

 国際エネルギー機関(IEA)の予測では、再エネ電力は四〇年には37%を占めるようになる。しかし、現状では四〇年に58%というパリ協定の長期目標に届かない。温暖化への危機感をてこに、再エネ電力市場への投資はさらに加速する見通しだ。

 再生可能エネへの投資は一一年の段階で、化石燃料への投資額を上回る。超有望市場なのである。

 日本では「(CO2を出さない)クリーンなエネルギー」として温暖化対策の柱に原子力を据えている。だが福島原発事故の映像を見たあとで、原発を「クリーン」と呼ぶ人は、まずいない。

 脱化石燃料、脱原発が、そしてフクシマ以来の省エネの定着が、世界の変化の原動力なのである。

 その大変化の象徴とされるガソリンエンジンから電気自動車(EV)への急激な流れ。“シフトチェンジ”をリードする米テスラ社の幹部は語っている。

 「太陽光でつくった電気を蓄電池にためてEVを走らせるのが、持続可能な未来の姿-」

 持続可能をめざす未来社会に原発が活躍する余地はない。

 日本政府は七月、原子力の長期的な利用方針を閣議決定した。

 発電コストが安く温室効果ガスの排出が少ない原子力の利用を、地球温暖化対策を踏まえて進めていく旨、明記した。

 ◆地球号、秒読み開始

 経済産業省は今月、国のエネルギー政策の指針となる「エネルギー基本計画」の見直しに着手した。原発の新設、建て替えを視野に、“主な電源”としての原子力の地位を維持する方向だ。

 日本の発電量に占める再生可能エネルギーの割合(水力を除く)はいまだ3・2%。福島の事故をまのあたりにし、この夏の異常気象を体感してなお、世界の大きな流れに乗れない、あるいは乗ろうとしないのは、なぜなのか。

 ためらうような日本をよそに、改良型の地球号は、船出へのカウントダウンを始めている。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2017年08月19日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。 

 

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