ADONISの手記

主にADONISが書いた二次小説を公開しています。リンクフリーです。

幕間二 西暦②

2017年05月13日 09時02分34秒 | 小説

 明治維新によって新政府が樹立して誕生した大日本帝国であるが、表向きはその前途は中々に厳しいものだった。というもの前政権(徳川幕府)の残した不平等条約はそのままであったし、近代化を始めたと言っても列強から大きく遅れていた後進国にすぎなかったからだ。

 しかし、大日本帝国に真の姿を知る者にとってそんなものはどうとでもなる些事にすぎなかった。この時期になると三千世界監察軍日本支部は日本の政官財すべてを牛耳る影の朝廷として君臨しており、その彼らからすれば、この世界の欧米列強など井の中の蛙でしかなかった。

 勿論、異端極まりないトリッパーという存在が日本を好きに動かしている現状には大久保利通や伊藤博文などの要人たちも思う所はあったが、彼らは監察軍やその後ろ盾であるブリタニア帝国の次元違いの力を恐れて日本支部に敵対できなった。

 それに彼らも佐天から黒歴史の一部を教えられており、日本がアメリカに敗北してその属国になってしまうことや、その後の地球連邦に吸収された挙句、その地球連邦どころか人類文明そのものが崩壊してしまう事を知り、日本の国体を守り更なる繁栄をもたらすという監察軍の計画に乗る事にした。というよりもそれ以外に日本を存続させる方法はなかったのだ。

 こうして利害関係もあって彼らは監察軍に協力することになるが、後に大日本帝国は監察軍日本支部に完全に支配されることになる。

 そして、そんな監察軍日本支部の盟主である佐天令子はどうしていたかというと、トリッパー達をまとめ上げる一方で謎の占い師“霞”として地震や津波などの災害予知で大活躍していた。

 実を言うと、この世界の西暦はガンダム世界だけあって大まかな歴史は史実と同じであるが、細かいところでは色々と差異があり、特に地震や津波情報は史実と異なっていた。このため災害多発地域である日本列島を国土にしていたが、その分野ではトリッパー達の史実知識は役に立たなかった。

 それをフォローしたのが、佐天のアカシックレコードであった。これさえあればこの世界の様々な災害情報も手に入るだけでなく、トリッパー達の干渉によって変化する未来情報にも対応できるというチートぶりだった為に、トリッパー達は「チートオリ主乙!」などと言いながらも自然と佐天を頼る事になった。

 こうして災害情報を手に入れていた監察軍であるが、問題はそれをどう使うかであった。いくらなんでも馬鹿正直に“佐天令子がアカシックレコードという能力を持っていて災害が発生することが分かった”なんて口が裂けても言えない。かといって国内の災害に対処せずに被害を受けるというのも問題外であった。

 そこで佐天は、占い師の霞として活動することにした。要するに霞という存在しない占い師をでっち上げる事で疑われることなく未来情報を使う事にしたのだ。

 こうして大日本帝国は政府の命令で地震や津波の事前避難が行われて、当然ながら国民や諸外国からの疑問を占い師の霞という存在で誤魔化していた。

 その結果、占い師の霞という存在は国民の間で一人歩きしてしまい。何時しか敬意を込めて奇跡の占い師“霞御前”と呼ばれることになる。

 また、この霞御前と言う存在によって、今後の日本の急発展をある程度誤魔化すことに成功した。つまり各国の諜報機関の目を三千世界監察軍日本支部から逸らす囮としても使えたのだ。各国は貴重な労力を実在しない占い師を探すことに浪費してしまい、日本のとんでもない秘密に最後まで気付くことはなかった。

 そんなこんなで日本魔改造に励む監察軍であったが、この世界でも日清戦争と日露戦争は勃発していた。

 まず、日清戦争では史実以上の大勝利を収めて、3億円もの賠償金を手に入れた。史実では大陸に手を出そうとしたばかりに三国干渉を招いてしまったが、この世界では清国の内陸部にはそもそも進出するつもりはないのでやっていない。正直言ってトリッパー達は大陸や半島には嫌気が指していたのだ。その為この世界では朝鮮併合なんて勿論やっていない。

 史実では朝鮮の莫大な借金を肩代わりして莫大な予算を投じてインフラを整えたにも関わらず、それらは日本に何ら寄与する事もなかった。その上、朝鮮は反日国家となってしまい、碌な結果になっていないから、この世界では朝鮮の近代化に協力などしていない。

 その影響でこの世界ではハングルが普及していないし、王族と両班(ヤンバン・官吏貴族)が残っていた。彼らは労働を蔑視して一般民衆を生かさず殺さずの状態におき、そこから搾取していた。

 史実の日本はこの朝鮮を近代化させようと余計なお節介をやいたが、この世界ではそんな事をしていないので、朝鮮の民衆の現状は史実よりも悲惨なものになったが、日本支部はそんな事を顧みることはなかった。

 次の日露戦争であるが、これは諸外国から見れば突っ込みどころ満載だっただろう。何しろ日本海軍は列強に知られずに超弩級戦艦を12隻も建造及び戦力化してロシア海軍を撃滅した。言うまでもないが、戦艦の建造となると大規模な国家プロジェクトなので隠し通せるものではないし、その訓練だって秘密裏に行うのは至難だ。

 では何故そのような事ができたのか? それは勿論、監察軍の暗躍によるものだった。海軍は地球外惑星で戦艦の完熟訓練を行い、開戦と同時にその存在を世界に知らしめたのだった。

 ちなみにこの世界の日本軍は監察軍の影響で機密保持が厳しくなっており、当時の軍人たちは例え家族や友人にも余計な情報をいう事はなかった。何しろ万が一にも機密を漏らしてしまったら国家反逆罪になってしまうから溜まったものではないだろう。

 この日本海軍の活躍により旅順要塞攻略は行われることなく、日本は史実と異なり消耗を抑えた上で戦争を終わらせる事ができた。この日露戦争では賠償金を取る事はできなかったものの、戦時中に膨大な量の武田埋蔵金が発見された事で戦費は賄う事ができて、史実のように借金に苦しむことはなかった。

 この日露戦争後、日本は各国との不平等条約を改正することに成功して躍進していくことになる。

 

解説

■霞御前
 占い師の霞は、未来情報を使って地震や津波などの災害に対処するためにでっち上げた架空の存在であったが、霞に助けられたと感謝する国民があまりにも多くなった為にいつの間にかそう呼ばれるようになった。ちなみに御前という語は貴人や貴人の妻に対し用いられるが、静御前や虎御前のように、白拍子や遊女に対しても用いられる事がある。また巴御前も後者と同様の用例である。

■武田埋蔵金
 言うまでもないが、監察軍が武田埋蔵金とでっち上げて横流しした金である。監察軍では金など自由に生成出来るからその価値は低いが、この世界では価値があるため実行された。

ジャンル:
ウェブログ
コメント (6)   この記事についてブログを書く
« 幕間一 西暦① | トップ | 幕間三 西暦③ »

6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (スペースマソ★)
2014-03-15 12:34:51
>それを・フォーロー・したのが、

>それを・フォロー・したのが、

>日本は史実と異なり消耗を抑え・て・上で戦争を終わらせる事ができた

>日本は史実と異なり消耗を抑え・た・上で戦争を終わらせる事ができた
感想 (目玉)
2014-03-15 16:47:43
まあ、伊藤博文たちもここまで次元が違うと反抗する気力も残らないでしょうね。
それにしても、この世界のアメリカは可哀想ですね~、もうどんなに頑張っても日本に勝てないですし。アメリカがどんなふうに崩壊するか楽しみです。

更新お疲れ様です。
Unknown (サニーサイドアップ)
2014-03-15 20:32:16
天照計画(仮想戦記)みたいなノリになってきてるな
返信 (ADONIS)
2014-03-16 13:16:38
>スペースマソ★さんへ
誤字報告ありがとうございます。早速修正しました。

>目玉さんへ
監察軍にはどうやっても勝てませんし、協力すればお国の為になるから他に選択肢はないでしょう。まぁ選択肢があるだけ彼らは恵まれていると思います。

>サニーサイドアップさんへ
そういえばそれっぽいですね(笑)。
Unknown (テロドール)
2014-03-17 19:54:27
この世界の未来の日本だと、
朝鮮が日本に対し、謝罪と賠償を請求汁とか
わけのわからんことは、言えそうにないですね。
完全に挑戦にかかわっていないから。
返信 (ADONIS)
2014-03-17 22:24:11
>テロドールさんへ
半島に関わってもデメリットしかありませんからね(笑)。史実の日本もちゃんと朝鮮人の事を理解していれば別のやりようもあったかもしれません。とはいえ朝鮮半島は地政学上重要な場所だったからそれでもやりにくかったでしょうね。いっそのこと半島がなければ史実日本もいくらか楽だったかもしれません。

コメントを投稿


コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL
  • 30日以上前の記事に対するトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • 送信元の記事内容が半角英数のみのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • このブログへのリンクがない記事からのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • ※ブログ管理者のみ、編集画面で設定の変更が可能です。