ADONISの手記

主にADONISが書いた二次小説を公開しています。リンクフリーです。

15.買取

2017年08月13日 00時04分53秒 | 小説

 ユグドラシルをプレイするようになって約12年。この手のオンラインゲームとしては破格の長期間続いたと言えるゲームも終わりの時が来るのは必然だった。そう、つい先日に運営から三か月後にサービスが終了するというお知らせが来たのだ。

 全盛期には十万人を超える程のプレイヤーがいた大ヒットゲームであったが、やはり12年もたてば寂れてしまうのは仕方がない事だった。現在ではわずかアカウントを有しているプレイヤーは数千人にまで減っていたし、アカウントを持っていてもほとんどログインしていないプレイヤーを除けばさらに数が減ってしまう有様だった。

 当然そんな状況ではサービス終了は当然の処置だろう。そもそもオンラインゲームの運営にはそれなりの費用が掛かるのだからこうも寂れてしまうと収益が悪くなるのだ。

 そして、サービス終了によってそれは更に加速することになった。残ったプレイヤーのモチベーションは一気に低下した。課金アイテムの売上の低下するだけでなく、他のゲームと掛け持ちしている者はユグドラシルの月額料金を払う事すら嫌になりゲームを引退する者が続出するのだった。

 そんな状況ではユグドラシルのアイテムの価値が大暴落してしまうのは当然で、それは神器級アイテムどころか世界級アイテムですら避けられない。だからこそチャンスだった。

 そこで、私はミサカシスターズを使って世界級アイテム買取キャンペーンを行うことにした。勿論、ユグドラシル金貨もアイテム同様価値が暴落しているが、リアルマネーを使うことにした。

 具体的には金で雇った私立探偵を使って世界級アイテムを所有しているプレイヤーやギルドから一個100万円で世界級アイテムをミサカシスターズに譲渡させる買取交渉をやらせた。

 この買取価格は終了が決まったゲームアイテムの価格としては破格のものであるが、異世界転移が現実のものになる世界級アイテムの価値からすればこの一万倍以上はあるでしょうから暴利でしかないね。

 世界級アイテムを所有しているプレイヤーの情報は運営から入手しているから探偵に一々調べさせる必要はなかったので面倒な買取交渉だけやらせていたのだ。

 実のところ、私たちはとっくにユグドラシルの運営を魔術で洗脳しており、ゲームの有益な情報を得たり、後々役に立ちそうなアイテムを用意させたりしていた。

 それにしてもオンラインゲームではハッキングでデータを改竄する不正行為はあるでしょうが、たかがゲームの為に運営を洗脳して情報を得たりするのは私たちぐらいなものでしょうね。

 結果として、すべての世界級アイテムを買い取ることができた。やはりいくら苦労した世界級アイテムでもすぐになくなってしまう代物ならば100万円で売却した方がいいと思うプレイヤーが多かったので割とスムーズに事は進んだ。

 中にはモモンガのように金で売るのを嫌がる頑固なプレイヤーもいたが、そうした者は私たちが直接暗示をかけて強制的に売却させた。といっても、本人は操られたという意識はなく、世界級アイテムを金で売ってしまったという認識するようにしておいた。

 この一件で探偵の依頼料と買取料金を合わせて二億円を超える資金を使ったが、そんなものはした金にすぎない。

 勿論、それ以外にもミサカシスターズは暴落して市場に流れた神器級アイテムや課金アイテムなどを買いあさり物資を蓄積していたのは言うまでもない。

 

某プレイヤーside

 ユグドラシルがサービス終了を受けて俺のモチベーションは一気に低下した。いつもなら日々の仕事が終わった後にゲームをやるものであるが、ここ数日はそれもしなくなった。もうゲームを引退して次のゲームに移ろうかと思っていた時、俺の元に一人の探偵が来た。

 その探偵はギルド『ミサカシスターズ』のプレイヤーに雇われて世界級アイテムの買取交渉に来たらしい。ここで探偵が雇い主を言っていいのかと思うかもしれないが、ユグドラシルのプレイヤーの情報が流れてもリアルでの情報は分からないので、問題ないのだろう。

 逆に俺のリアルでの情報流出が問題である。確かに俺のギルドが世界級アイテムを所有しているのは情報通ならば知っているだろうが、それでリアルバレを起こしているというのは困る。そこまで調べてしまうとはさすがは探偵だと俺は思った。

 彼は知るよりもなかったが、エリーゼは探偵の雇い主は運営から情報を得ていたわけであるが、探偵という如何にもなダミーの存在によって運営から情報を得ているという真実に気づけないかったのだ。

 買取価格は何と一個100万円で、俺のギルドは世界級アイテムを二個有しているので二つ売るなら200万円を出すといいながらその探偵は俺の前に200万円を出してきた。そんな風に銀行振り込みではなく現金を出して言われるとすごく魅力的なので、俺はあっさりと探偵を売却契約を果たした。

 実のところ、俺のギルドはギルメンの大半が引退して残った者もここ数ヶ月以上一度もログインしていない幽霊部員のような状態だったので、実質上俺一人でギルドを支えていたのだ。

 それだけに本来ならギルメンを集めて決めるべき世界級アイテムの売却という大事であっても独断で決めることができた。

 こうして200万円を受け取った俺はユグドラシルでミサカシスターズに二つの世界級アイテムを譲渡した。その後、月額料金を払うのも面倒になったので、ゲームを引退して次のゲームを遊ぶすることにした。幸いまとまった臨時収入もあったことだしな。

 それにしても終わるゲームのアイテムをあんな高値で買い取るなんてどこの金持ちの道楽なんだろうなと思わなくもないが、ミサカシスターズは世界級アイテムを手に入れることができ、俺は大金を手に入れてお互い満足できたからwinwinの関係なんだろう。

 

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2 コメント

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Unknown (ドノヴァ星人)
2017-08-13 11:25:48
>物資の・蓄積したのは・

>物資の・蓄積にしておいたのは・

>起こしているというのは・困ったものである・。

>起こしているというのは・困る・。

>俺の前に200万円・の・出してきた。

>俺の前に200万円・を・出してきた。
返信 (ADONIS)
2017-08-13 11:40:28
>ドノヴァ星人さんへ
誤字報告ありがとうございます。修正しました。

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